どうして、ただの女子高生が魔王と戦うことになるわけ!?

小松広和

文字の大きさ
上 下
25 / 68
第二章 旅立ち

第二十五話 足手まとい

しおりを挟む
 ブラックキャットヤマトンAの攻撃。麗華は123のダメージを受けた。
「麗華大丈夫? ここは私に任せて下がって!」
「はい、サラさん」
クレアは癒やしの魔法を唱えた。麗華のHPが200回復した。
「これで大丈夫ですね」
「ありがとうございます。クレアさん」
あああああの攻撃。あああああは稲妻クラッシュを発動した。ブラックキャットヤマトンの群れを倒した。

「怪我はありませんか? 麗華さん」
「大丈夫ですクレアさん。私って足手まといですよね?」
「そんなことはありませんよ」
「そうだよ。そんなこと気にするなって」
「サラさん、ありがとうございます」

 私は戦闘のたびに経験値を得ることはできるけど、殆ど戦力になってないよね。ていうか私がいなかったらもっと楽に勝てる気がする。これでいいのかな?

 私はそんなことを考えながらみんなの一番後ろを歩いていた。
「どうしたんだい麗華?」
ポチが聞いてきた。
「何でもないの?」
「自分が戦闘の足手まといになってることを考えていたんだね」
そうかポチは心が読めるんだっけ。

「私このパーティにいていいのかな?」
「それはいない方がいいに決まってるよ。君がいなければもっと強いモンスターと戦うこともできるしね」
何か面と向かって言われると腹が立つわね。

 今日の宿は少し大きい部屋だった。お風呂も大浴場があるという。
「じゃあ、私はお風呂に入ってきます」
「ああ、ゆっくり入っておいで?」
「皆さんはまだ入らないのですか?」
「いいからいいから早くお風呂に行った行った」
アイラが私の背中を押した。バタン。

 え? 私、部屋から追い出された? まさかだよね?
『でも、私はいつも戦闘のお荷物だし、いない方がいいって思われてるかも。みんな優しいから声に出さないだけで』
「そんなことはないと思うよ」
「ええーー!! ポチ! ここはお風呂よ!」
「それがどうかしたかい?」
「きゃー! エッチ!」
私はタオルで前を隠して湯船から立ち上がった。でもこういう場合立ち上がらない方がいいよね。

 私が部屋に戻ると、
「え! もう上がってきたの?」
とアイラが叫び、何かを後ろに隠した。
「ごめんなさい。お風呂に変態が出没したものですから」
私のいないところで何かしてたんだ。私を守りながら戦う方法の研究とか? やっぱりお荷物なのかなぁ?

「まあ、いいか。少し準備不足だけど」
「え?」
「はい、これプレゼント」
「プレゼント?」
アイラは4つの包紙を私に差し出した。

「麗華ちゃんがこのパーティーに入ってからお祝いしてなかったでしょ? お祝いのパーティーができない代わりにプレゼント」
「嘘?」
「どう? 貰ってくれる?」
「も、もちろんです。ありがとうございます。嘘みたい」

 私は4つの包み紙を抱えて頬ずりをした。
「今開けていいですか?」
「もちろんよ。ねえみんな」
「いいに決まってます。お気に召すと嬉しいのですが」
私はクレアさんの優しい言葉に押されて包み紙を開けることにした。

 まず一番小さいのから。中から可愛いピンクのリボンが出てきた。
「それは私からよ」
アイラが微笑んで言った。
「ありがとうございます。とても可愛いです」
私は早速自分の頭にリボンを付けてみる。そしてクレアさんが魔法で出してくれた鏡を覗き込んでみた。自分で言うのも何だがとても似合ってて可愛い。

 次に二番目に小さな包みを開ける。私は食事をする時一番好きな物を最後に残す主義だ。だって嫌いな物から食べて好きな物だけにしたいじゃない。
「うわー。可愛いポーチだ」
「それは私からです。麗華さんに似合うと思って」
「クレアさん。ありがとうございます。こんなの欲しかったんです」

 次からは少し大きくなる。細長い箱だけどなんだろう? 中から棒が一本出てきた。
「これは何?」
「それは私からだよ。横のボタンを押してごらん」
私は棒の横に付いているボタンらしき物を押した。すると物凄い勢いで棒が長く伸びていった。
「きゃー!」

「驚いただろ? 如意棒さ」
「如意棒って孫悟空の?」
「もちろん偽物だけどね」
突然女の子らしい物から遠ざかったわね。
「モンスターの目を目掛けて伸ばしてやれば目潰しとして使えるよ」
何かせこいような・・・・

 いよいよ最後は勇者様よね。何だろう? とっても気になる。
「お洋服だ! とても高そう・・・・」
「気に入ってくれたかな?」
「もちろん・・・・でも・・・・ちょっと露出が多いような・・・・かなりセクシーだし・・・・」
「少し高かったからポチと半分ずつお金を出し合ったんだ。この服はポチの意見がふんだんに入ってる」

 道理で。こんな大胆な服着られないよ。
「どうだい? 気に入ってくれたかい?」
「ポチ! 勇者様に何言ったのよ?」
「麗華の好みを教えただけだよ」
「それって絶対に誤解されてるでしょ!」

「ハッ! ポチ、あなたお金なんて持ってないわよね? どうしたの?」
「お金なら麗華の財布に入ってたよ」
「くおらー!!! この泥棒猫が!!!」
こうしてポチはこの夜、外の犬小屋で寝ることになったのでした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

処理中です...