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第一章 私は絶滅危惧種
第十一話 ウォーターバリアの魔法を習得せよ
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「今日から暫くは海辺に行ってモンスター狩りをするよ」
突然ポチが提案してきた。
「どうして海なの?」
「魔王は火属性なんだ。だから水系の魔法を習得しておく必要があるのさ」
「水系の魔法って?」
「ウォーターバリアという魔法は必須だね。水の膜でバリアを作るんだ。炎系の攻撃を防ぐことができるんだ」
「なるほど」
私は言われるがままに海へと向かった。暫く歩くと足が痛くなってきた。普段運動をしてない付けがいきなり出てきたかしら?
「ねえ、後どれくらい歩くの?」
「そうだね。10キロくらいかな?」
「10キロー!? 嘘でしょ?」
私は思わずその場に座り込んだ。
「早く行かないとたくさんのモンスターを倒せないよ。魔法は絶対に習得できるわけじゃないからね」
「それはわかってるけど。楽に行く方法はないの?」
「魔法の絨毯があれば飛んでいけるけど」
「それってどこで手に入れられるのよ?」
私は必死で聞いた。もうこれ以上歩けないよ。
「古道具屋に時々売られている。お金に困った冒険者が売ることがあるんだ」
「買いに行きましょう!」
「もし売っていたとしても凄く高価なんだ。君の持っているお金じゃ全然足りないね」
「ええー。そんなー」
私は完全にお尻をついて座り込んだ。もう絶対に動かないんだから!
「本当に稀なケースだけど、落ちている宝箱に入っていることもある。でも、魔法の絨毯はレアなアイテムだから入っている確率は0.0001%くらいなんだ」
「あれ? あそこに宝箱があるよ。魔法の絨毯入ってないかな?」
「僕の話を聞いてたかい? まず入ってないね」
私はポチの言葉を無視して宝箱を開けた。
「入ってたね魔法の絨毯・・・・」
「やったー! これで歩かずにすむんだ!」
「君は鬼のような運の持ち主だね」
こうして私は歩くことなく楽して海へ行くことができた。しかも魔法の絨毯って速ーい! 快適快適♪
海へ着くとポチが私に言い出した。
「さあ、ここで海辺のモンスターを倒すんだ。そしてウォーターバリアの魔法を習得するんだ。題して『ウォーターバリアを習得するまで帰れまテン』作戦だ」
「何なのよ、そのパクったようなネーミングは!」
その後、私は何匹かのモンスターを倒したけど、一向に魔法を習得することはできなかった。
「どうして魔法を習得できないのよ」
「そうだね。それはウォーターバリアの魔法を使うモンスターと戦っていないからだよ」
「そんなことは早く言いなさいよ! 時間の無駄でしょ!」
「それもそうだね」
「で? 何てモンスターがウォーターバリアの魔法を使ってくるわけ?」
「水竜とか大鯨とか、そうだこの前見たブルードラゴンも使うかな」
「強そうなモンスターばかりじゃない!」
「あっ! ミズミズクラゲも使うよ。あれなら弱いからいいかも」
「それだ。ミズミズクラゲを狙いましょ」
そして一時間、いろいろなモンスターに出会ったがミズミジクラゲには出会わなかった。
「どうしていないんだろう?」
「それはミズミズクラゲは海の上にいかなけりゃ出てこないモンスターだからだよ」
「あんたバカじゃないの! だったら浜辺にいたって出てくるわけないじゃない! この無駄な一時間は何だったのよ!」
もしかしてポチって頭が弱いんじゃないかしら?
「舟を探さなきゃ行けないのね?」
「そんなことしなくても魔法の絨毯があるじゃないか」
思いっきりバカでもないみたいね。本当によくわからない存在だわ。
そして5時間。私はミズミズクラゲを倒し続けたが、ウォーターバリアの魔法を習得することはできなかった。
「さっきので50匹目だよ。どうして習得できないの?」
「おかしいなあ。こんなはずはないんだけど」
ポチは例の本を出すと何かを調べ始めた。
「それって私のデータでしょ。何を調べるの?」
「この本は辞書もついてるんだ。あっ原因がわかったよ。そもそもミズミズクラゲはウォーターバリアの魔法を持ってないんだ。だからいくら倒しても習得できないわけだ」
こいつやっぱり正真正銘のバカだわ。
その時、もの凄い音と共に大きなモンスターが現れた。
「水竜だ! こいつは間違いなくウォーターバリアの魔法を持ってるよ! さあ、倒すんだ!」
私はポチの言葉を思いっきり無視して家へと向かって魔法の絨毯を全速力で飛ばした。
「どうして逃げたんだい? せっかくのチャンスだったのに」
「あんなの倒せるわけないじゃない!!」
こうして私はウォーターバリアの魔法を取得できないままだった。でも、魔法の絨毯を手に入れたからいいか。それにポチがどうしようもないバカだってわかったし。今日は収穫の多い一日だったよね。
突然ポチが提案してきた。
「どうして海なの?」
「魔王は火属性なんだ。だから水系の魔法を習得しておく必要があるのさ」
「水系の魔法って?」
「ウォーターバリアという魔法は必須だね。水の膜でバリアを作るんだ。炎系の攻撃を防ぐことができるんだ」
「なるほど」
私は言われるがままに海へと向かった。暫く歩くと足が痛くなってきた。普段運動をしてない付けがいきなり出てきたかしら?
「ねえ、後どれくらい歩くの?」
「そうだね。10キロくらいかな?」
「10キロー!? 嘘でしょ?」
私は思わずその場に座り込んだ。
「早く行かないとたくさんのモンスターを倒せないよ。魔法は絶対に習得できるわけじゃないからね」
「それはわかってるけど。楽に行く方法はないの?」
「魔法の絨毯があれば飛んでいけるけど」
「それってどこで手に入れられるのよ?」
私は必死で聞いた。もうこれ以上歩けないよ。
「古道具屋に時々売られている。お金に困った冒険者が売ることがあるんだ」
「買いに行きましょう!」
「もし売っていたとしても凄く高価なんだ。君の持っているお金じゃ全然足りないね」
「ええー。そんなー」
私は完全にお尻をついて座り込んだ。もう絶対に動かないんだから!
「本当に稀なケースだけど、落ちている宝箱に入っていることもある。でも、魔法の絨毯はレアなアイテムだから入っている確率は0.0001%くらいなんだ」
「あれ? あそこに宝箱があるよ。魔法の絨毯入ってないかな?」
「僕の話を聞いてたかい? まず入ってないね」
私はポチの言葉を無視して宝箱を開けた。
「入ってたね魔法の絨毯・・・・」
「やったー! これで歩かずにすむんだ!」
「君は鬼のような運の持ち主だね」
こうして私は歩くことなく楽して海へ行くことができた。しかも魔法の絨毯って速ーい! 快適快適♪
海へ着くとポチが私に言い出した。
「さあ、ここで海辺のモンスターを倒すんだ。そしてウォーターバリアの魔法を習得するんだ。題して『ウォーターバリアを習得するまで帰れまテン』作戦だ」
「何なのよ、そのパクったようなネーミングは!」
その後、私は何匹かのモンスターを倒したけど、一向に魔法を習得することはできなかった。
「どうして魔法を習得できないのよ」
「そうだね。それはウォーターバリアの魔法を使うモンスターと戦っていないからだよ」
「そんなことは早く言いなさいよ! 時間の無駄でしょ!」
「それもそうだね」
「で? 何てモンスターがウォーターバリアの魔法を使ってくるわけ?」
「水竜とか大鯨とか、そうだこの前見たブルードラゴンも使うかな」
「強そうなモンスターばかりじゃない!」
「あっ! ミズミズクラゲも使うよ。あれなら弱いからいいかも」
「それだ。ミズミズクラゲを狙いましょ」
そして一時間、いろいろなモンスターに出会ったがミズミジクラゲには出会わなかった。
「どうしていないんだろう?」
「それはミズミズクラゲは海の上にいかなけりゃ出てこないモンスターだからだよ」
「あんたバカじゃないの! だったら浜辺にいたって出てくるわけないじゃない! この無駄な一時間は何だったのよ!」
もしかしてポチって頭が弱いんじゃないかしら?
「舟を探さなきゃ行けないのね?」
「そんなことしなくても魔法の絨毯があるじゃないか」
思いっきりバカでもないみたいね。本当によくわからない存在だわ。
そして5時間。私はミズミズクラゲを倒し続けたが、ウォーターバリアの魔法を習得することはできなかった。
「さっきので50匹目だよ。どうして習得できないの?」
「おかしいなあ。こんなはずはないんだけど」
ポチは例の本を出すと何かを調べ始めた。
「それって私のデータでしょ。何を調べるの?」
「この本は辞書もついてるんだ。あっ原因がわかったよ。そもそもミズミズクラゲはウォーターバリアの魔法を持ってないんだ。だからいくら倒しても習得できないわけだ」
こいつやっぱり正真正銘のバカだわ。
その時、もの凄い音と共に大きなモンスターが現れた。
「水竜だ! こいつは間違いなくウォーターバリアの魔法を持ってるよ! さあ、倒すんだ!」
私はポチの言葉を思いっきり無視して家へと向かって魔法の絨毯を全速力で飛ばした。
「どうして逃げたんだい? せっかくのチャンスだったのに」
「あんなの倒せるわけないじゃない!!」
こうして私はウォーターバリアの魔法を取得できないままだった。でも、魔法の絨毯を手に入れたからいいか。それにポチがどうしようもないバカだってわかったし。今日は収穫の多い一日だったよね。
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