どうして、ただの女子高生が魔王と戦うことになるわけ!?

小松広和

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第一章 私は絶滅危惧種

第十話 ポチの予知能力

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 今日もいろいろなことがあったね。私の寝る間の日課は日記を書くこと。ここへ来てから毎日書いてるんだ。
「何をしてるんだい?」
「きゃー!」
「どうしたんだい? 急に大きな声を上げて」
「何でポチが私の部屋にいるのよ!」
「いたらいけないのかい?」
「だってあなたは一応男の子でしょ? 入る時は声を掛けてよ」

 ポチは私のお願いには耳を貸さずポンと机に飛び乗った。
「これは何だい?」
「日記よ」
そう言うと私は慌ててページを閉じた。
「どうして隠すんだい?」
「見られたら恥ずかしいからよ」
「ふーん」

 ポチはじっと日記を見つめている。
「何してるの?」
私は不審な行動をとるポチに恐る恐る聞いてみた。
「この喋る変な猫って僕のことかい?」
「ええ! いつの間に読んだの?」
「今だよ」
「だって日記は閉じてあるし」

 ポチはニコッと笑って私を見た。意外な発見! 猫って笑うんだ。またまた異世界での発見が増えてしまった。
「透視だよ」
「透視?」
「物が透けて見える能力さ」
「嘘?」
私は慌てて胸に手を当てて隠した。

「大丈夫だよ。君の服を透ししたことはないから」
「本当?」
「当然さ。そんな膨らんでない胸を見たって仕方ないだろ?」
「どういう意味よ!」

 ポチって思っていた以上に変な能力を持ってるみたいね。気を付けなきゃ。
「他にも簡単な予知能力ならあるよ」
「予知能力?」
「そうさ。未来を知る能力だよ」
「嘘? 凄い能力じゃない! じゃあ、ロト7とかの宝くじの当たり番号もわかるわけ?」
「簡単な予知能力だからね。はっきりとした数字はわからないんだ」
「なあんだ」
「それにこの世界に宝くじは存在しないよ」
「そうか」
私はがっかりしながら日記を机の引き出しにしまった。
 
「じゃあ、どんなことならわかるの?」
「危険予知とかだよ」
「危険予知?」
「危険な目に遭いそうな時は何となくわかるんだ」
「例えば?」
ポチは突然部屋を見回した。

「この部屋は非常に危険だね」
「え!? ど、どういうこと?」
「強い霊がいるみたいだ」
「ちょっと、変なことを言わないでよ」

 ポチは部屋中の匂いを嗅ぎ出した。
「特にこの辺が危険だ」
「ええー、タンスが!」
「このままだと君は呪われてしまうね」
「そんなあ、どうしたらいいの?」

 ポチは暫くの間目を閉じ瞑想に入った。
「方法は一つだけあるみたいだ」
「何? 何?」
「身近な小動物に高級な餌を与えるといいらしい」
「身近な小動物って言われても」
「君はハムスターかリスを飼っていないかい?」
「飼ってないよ。ポチも知ってるでしょ」

 ポチがまた瞑想に入る。
「ダメだ。君がもがき苦しみながらのたうち回る姿が見えてしまった」
「ええー!! 助かる方法はないの?」
「例えば窓の外から小さな動物が訪問するとかはないのかい?」
「ないよー」
私は今にも泣き出しそうになっていた。

「因みに猫も小動物に入るよ」
「そうか! 高級な餌を買ってくる!」
私はそう言い残すと部屋を飛び出し、階段を転げるように降りた。そう、私の部屋は二階にあるのだ。
「どうしたんだい? そんなに慌てて」
「小動物に高級な餌をあげないと私が呪われてしまうんです」
「どうせポチの仕業だね」

 そして私はおばさんと二階の私の部屋にやってきた。
「ポチ、麗華ちゃんに何を言ったんだい?」
「・・・・この部屋に霊がいるって・・・・」
「ふーん、じゃああなたの言うことが正しいか試させて貰うわね?」
「ダメだよ! ああー! ごめんなさい」

 突然ポチが苦しみ出した。どういうこと?
「嘘発見の魔法を唱えたのさ。嘘をついた人がいると苦しみ出す仕組みだよ。まあこいつは人じゃないけどね」
「おばさんて魔法が使えるんですか?」
「この世界の人は何らかの魔法は使えるよ。麗華ちゃんはまだ魔法を覚えていないのかい?」

「・・・・覚えてません・・・・」
私は蚊の鳴くような小さな声で答えた。まさかおならを出す魔法と禿げる魔法を覚えたなんて言えないよね。
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