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第一章 私は絶滅危惧種
第六話 魔法習得
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少しずつだけどレベルも上がってきたって感じ 今ではスライムなら一撃で倒せるようになったし。でもまだレベルは8なんだけどね。
「君は力が弱いから魔法を覚えた方がいいね」
「魔法ってどうやって覚えるの?」
「魔法を使うモンスターを倒せば希に覚えられるんだ」
「ふーん」
私は理解したような返事をした。
「ところで『稀』って何?」
「まさかこの流れでその質問を受けるとは思わなかったよ」
何よ。別に何を聞いたっていいじゃない。
「稀というのは少しの確率でってことだよ」
「え? たくさん倒せば確実に覚えるんじゃないの?」
「1回で覚えられる時もあれば100回倒しても覚えられない時もあるんだ。まさに運次第だね」
「じゃあ、たまたま凄い魔法を覚えちゃうってこともあるんだ」
「いや、覚えられるのはそのモンスターが使う魔法だけだ。強い魔法を覚えたければその魔法を使う強いモンスターを倒す必要がある」
微かな希望を持っていた私はチェッと舌打ちをして足下の小石を蹴った。突然強くなるチャンスだと思ったのにな。
「とにかく魔法を使うモンスターを探しに行こう。森の奥にある洞窟に行けばうようよいるよ」
うようよって何か嫌な響きだよね。虫がたくさんいるって感じで。私は思わず身震いした。
ポチについて洞窟に入ると当然のように中は真っ暗だ。
「これじゃ前が見えないよ。今にもお化けか幽霊が出そう」
「僕が明かりを出すから大丈夫さ」
ポチが簡単な呪文を唱えると私達の前がポッと明るくなった。
「ちょっと、これって火の玉だよね」
「それがどうかしたかい?」
「もう少しましな明かりはないの? 懐中電灯とか」
「異世界にそんな文明の利器はないよ」
ううー。益々怖くなったよ。
その時、突然ポチが止まった。
「いたよ」
ポチが眺める方向には杖をついたよぼよぼのおじいさんが立っている。
「チョーロージジイだ。このモンスターは回復魔法を使う。そんなに強くないから魔法を覚えるチャンスだよ」
「そうなの?」
「さあ、戦うんだ」
「うん」
麗華の攻撃、20のダメージを与えた。チョーロージジイはスグナオールの呪文を唱えた。HPが20回復した。麗華の攻撃、20のダメージを与えた。チョーロージジイはスグナオールの呪文を唱えた。HPが20回復した。麗華の攻撃、20のダメージを与えた。チョーロージジイはスグナオールの呪文を唱えた。HPが20回復した。
「これじゃきりがないよ」
「大丈夫、そのうち回復せずに攻撃してくるから、その時がチャンスだ」
麗華の攻撃、20のダメージを与えた。チョーロージジイは杖を大きく振りかぶった。しかし足がもつれてこけてしまった。
「よし、今だ麗華。仕留めるんだ!」
「え? でもいいの? こんなおじいさんを攻撃して」
「やっつけないと魔法が覚えられないよ」
「そ、そうだよね。だったらエイッ!」
ボカ! チョーロージジイは頭を抱えてもがき苦しんでいる。
「おしい、後一押しだ」
「・・・・・・・・」
「どうしたんだい?」
「さすがに人権意識が」
「そんなことを言ってたらいつまで経っても弱いままだ。ここは心を鬼にしてとどめを刺すんだ」
「わ、わかったわ」
「エイ!」
麗華はチョーロージジイを倒した。
「何も起きないよ」
「残念ながら今回は魔法を習得できることはできなかったみたいだね」
その後、私は30匹ほどのチョーロージジイを倒したがスグナオールの魔法を習得することができなかった。
「全然魔法を覚えられないよ」
「そんな簡単にはいかないさ。回復呪文は貴重な魔法だからね」
「そんなぁ。罪悪感と戦いながら倒し続けたのに・・・・」
その時、私の目の前にチョーロージジイとは違うモンスターが現れた。
「スッカンクーだ。気をつけろ。このモンスターは目を見えなくする魔法が得意なんだ」
「気をつけろって言われても、どうすりゃいいのよ!」
スッカンクーの攻撃、5のダメージを受けた。麗華の攻撃、10のダメージを与えた。
スッカンクーは悪臭の呪文を唱えた。スッカンクーはお尻から強烈なガスを噴き出した。
「きゃー! 目が見えないよ!」
どうしていいかわからなくなった私は短刀を適当に振り回した。会心の一撃。スッカンクーに300のダメージを与えた。
完全にラッキーパンチだわ。
「よし、相手のHPは1になった。最後のとどめを刺すんだ」
「・・・・・・・・」
「どうしたんだい?」
「とても嫌な予感がするんだけど」
「何を言ってるんだ? やらなければやられるよ」
「そ、そうよね。エイッ!」
麗華はスッカンクーを倒した。
ポロロロン。
「何この音?」
「どうやら悪臭の魔法を習得したようだね。おめでとう」
「悪臭の魔法って?」
「この魔法を使うとお尻から強烈なガスが出て一定時間相手の目が見えなくなるんだ」
「そ、そんな魔法、絶対に嫌よ! 早く消して!」
「一度覚えた魔法は絶対に消えないんだ」
「ええー! そんなぁー」
こうして私は新たな絶望感を覚えるのであった。
「君は力が弱いから魔法を覚えた方がいいね」
「魔法ってどうやって覚えるの?」
「魔法を使うモンスターを倒せば希に覚えられるんだ」
「ふーん」
私は理解したような返事をした。
「ところで『稀』って何?」
「まさかこの流れでその質問を受けるとは思わなかったよ」
何よ。別に何を聞いたっていいじゃない。
「稀というのは少しの確率でってことだよ」
「え? たくさん倒せば確実に覚えるんじゃないの?」
「1回で覚えられる時もあれば100回倒しても覚えられない時もあるんだ。まさに運次第だね」
「じゃあ、たまたま凄い魔法を覚えちゃうってこともあるんだ」
「いや、覚えられるのはそのモンスターが使う魔法だけだ。強い魔法を覚えたければその魔法を使う強いモンスターを倒す必要がある」
微かな希望を持っていた私はチェッと舌打ちをして足下の小石を蹴った。突然強くなるチャンスだと思ったのにな。
「とにかく魔法を使うモンスターを探しに行こう。森の奥にある洞窟に行けばうようよいるよ」
うようよって何か嫌な響きだよね。虫がたくさんいるって感じで。私は思わず身震いした。
ポチについて洞窟に入ると当然のように中は真っ暗だ。
「これじゃ前が見えないよ。今にもお化けか幽霊が出そう」
「僕が明かりを出すから大丈夫さ」
ポチが簡単な呪文を唱えると私達の前がポッと明るくなった。
「ちょっと、これって火の玉だよね」
「それがどうかしたかい?」
「もう少しましな明かりはないの? 懐中電灯とか」
「異世界にそんな文明の利器はないよ」
ううー。益々怖くなったよ。
その時、突然ポチが止まった。
「いたよ」
ポチが眺める方向には杖をついたよぼよぼのおじいさんが立っている。
「チョーロージジイだ。このモンスターは回復魔法を使う。そんなに強くないから魔法を覚えるチャンスだよ」
「そうなの?」
「さあ、戦うんだ」
「うん」
麗華の攻撃、20のダメージを与えた。チョーロージジイはスグナオールの呪文を唱えた。HPが20回復した。麗華の攻撃、20のダメージを与えた。チョーロージジイはスグナオールの呪文を唱えた。HPが20回復した。麗華の攻撃、20のダメージを与えた。チョーロージジイはスグナオールの呪文を唱えた。HPが20回復した。
「これじゃきりがないよ」
「大丈夫、そのうち回復せずに攻撃してくるから、その時がチャンスだ」
麗華の攻撃、20のダメージを与えた。チョーロージジイは杖を大きく振りかぶった。しかし足がもつれてこけてしまった。
「よし、今だ麗華。仕留めるんだ!」
「え? でもいいの? こんなおじいさんを攻撃して」
「やっつけないと魔法が覚えられないよ」
「そ、そうだよね。だったらエイッ!」
ボカ! チョーロージジイは頭を抱えてもがき苦しんでいる。
「おしい、後一押しだ」
「・・・・・・・・」
「どうしたんだい?」
「さすがに人権意識が」
「そんなことを言ってたらいつまで経っても弱いままだ。ここは心を鬼にしてとどめを刺すんだ」
「わ、わかったわ」
「エイ!」
麗華はチョーロージジイを倒した。
「何も起きないよ」
「残念ながら今回は魔法を習得できることはできなかったみたいだね」
その後、私は30匹ほどのチョーロージジイを倒したがスグナオールの魔法を習得することができなかった。
「全然魔法を覚えられないよ」
「そんな簡単にはいかないさ。回復呪文は貴重な魔法だからね」
「そんなぁ。罪悪感と戦いながら倒し続けたのに・・・・」
その時、私の目の前にチョーロージジイとは違うモンスターが現れた。
「スッカンクーだ。気をつけろ。このモンスターは目を見えなくする魔法が得意なんだ」
「気をつけろって言われても、どうすりゃいいのよ!」
スッカンクーの攻撃、5のダメージを受けた。麗華の攻撃、10のダメージを与えた。
スッカンクーは悪臭の呪文を唱えた。スッカンクーはお尻から強烈なガスを噴き出した。
「きゃー! 目が見えないよ!」
どうしていいかわからなくなった私は短刀を適当に振り回した。会心の一撃。スッカンクーに300のダメージを与えた。
完全にラッキーパンチだわ。
「よし、相手のHPは1になった。最後のとどめを刺すんだ」
「・・・・・・・・」
「どうしたんだい?」
「とても嫌な予感がするんだけど」
「何を言ってるんだ? やらなければやられるよ」
「そ、そうよね。エイッ!」
麗華はスッカンクーを倒した。
ポロロロン。
「何この音?」
「どうやら悪臭の魔法を習得したようだね。おめでとう」
「悪臭の魔法って?」
「この魔法を使うとお尻から強烈なガスが出て一定時間相手の目が見えなくなるんだ」
「そ、そんな魔法、絶対に嫌よ! 早く消して!」
「一度覚えた魔法は絶対に消えないんだ」
「ええー! そんなぁー」
こうして私は新たな絶望感を覚えるのであった。
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