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第三章:エマと一緒に異世界旅行
第34話:ビッグネーム
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ホウオウさんとの食事も終わり、妖精の様子を確認するというシルフくんの目的も果たせた私たちは、王都に帰ることにした。
明確なイメージができる場所であれば、エマの空間魔法で移動できるとのことなので、次に会う時も貢ぎ物を持ってこよう。
聖女の仕事を担うつもりはないけど、料理を作るだけでホウオウさんの浄化に協力できるのであれば、大きな負担にはならない。
ましてや――、
「あのどら焼きというのは、なかなか面白い甘味だったな」
ホウオウさんもどら焼きが好きだと発覚したため、無下にはできなかった。
意外に辛いのも甘いのもいける妖精さんである。
この結果には、なんだかんだでどら焼きが好きなエマもご満悦だ。
「どら焼きは世界を救う」
ホウオウさんの黒いモヤが、どら焼きで一番浄化されたため、あながち嘘でもない。
お父さんが再婚してからというもの、妙にどら焼きの価値が高まっている気がするので、今後も精進していこう。
そんなこんなでエマと一緒に先頭を歩き、神殿の出入り口にたどり着くと、眩しい日差しに照らされた。
時間的にまだ昼を過ぎた頃か……と思い、あまりの眩しさに目を半分閉じると、突然エマに腕を引っ張られる。
その瞬間、私の足元に炎の矢が突き刺さった。
「貴様ら、ここで何をしておる」
異世界で魔法や魔物を見ている影響か、敵意を向けられても、私は取り乱さない。
今日はよく命を狙われる日だなーと、意外に冷静でいる。
それだけに、聖域に足を踏み入れることができる人物を見て、驚きを隠せなかった。
「こんな場所に入ってこられるなんて、あの人はいったい……」
当然のように見覚えはない。顎にヒゲを生やした中年の渋い顔をした男性で、立派な赤いローブを着用している。
右手には赤い宝石の付いた杖を、左手には大きな袋を持っていた。
誰なんだ……と思っているのも束の間、向こうはそうでもなかったみたいで、眉間にシワを寄せて、目を細めてくる。
「むっ。お主は、時の賢者か」
……ん? 時の賢者? もしかして、エマの二つ名かな。
「あっ、王様だ」
あっ、向こうは王様なんだ。へえ、どうりで立派な服装をしていると思ったよ。
「……えっ! 王様!?」
とんでもないほどのビッグネームが現われたが、少し考えたらわかることだろう。
聖域に足を踏み入れられる人間は、女神に選ばれた人か、王族しかいない。
王城にいた騎士が『公務』と言っていたのも、ホウオウさんの様子を見に来る予定だったんだと思う。
途中でバッタリと会うこともなく、私たちの方が早く着いてしまった影響で、ややこしい感じになっているけど。
「結界は正常に作動しているはずだが、どうしてお主が聖域内に入ってこられるのだ。場合によっては、厳しく尋問せねばならんぞ」
異世界が急に怖くなってきたよ。一国の王様に尋問を言い渡されたら、さすがに気分が沈みこんでしまう。
でも、ホウオウさんと友好的な関係を築けたから、すぐに誤解は解けるはずで――、
「とりあえず、相手を冷静にさせた方がいい。話し合いの場を作るために、まずは王様をボコボコにしよう」
ややこしい状況を作り出そうとするのは、やめてほしい。それは確実に状況を悪化させる行為だ。
「ちょっと待って、エマ。それは逆効果だから。いったん落ち着いて」
「でも、ママに胡桃を守るように言われてる」
「ママの言いつけの効力、強すぎない? いや、でもそうか。エマはまだ子供なのか」
王様よりもママの言いつけの方が大事な気がしないこともない。
エルフ族であることも考慮すると、妖精と契約した私の方を優先することにも納得がいく。
でも、今はそういう問題ではなかった。
「相手は王様だから、穏便にいこうね」
王様も、まさか相手がエマだとは思わなかったのか、とても委縮している。
もしかしたら、王城の城門前で対応してくれた騎士が緊張していたのは、単純にエマを恐れていただけなのかもしれない。
若くして『時の賢者』という二つ名を持っているのであれば、あながち間違っていない気がする。
一つだけ確かなことは、王様が戦闘を求めている気配がないことだけだった。
そんな中、ホウオウさんが仲介に入ってくれるみたいで、前に出てきてくれる。
「ここにいるのは俺の客人だ。攻撃しないでくれ」
私たちにいきなり先制攻撃をしてきた過去を持つので、あまり人のことは言えないが、今は水に流そう。
「手違いでこうなってしまっただけだ。こちらに戦う意思はない」
王様が杖を下ろすと、エマも同じように杖を下ろした。
火の妖精の一言で戦闘を回避できるなら、とてもありがたい。祀られているだけあって、この国ではとても権威があるみたいだ。
「すまない、国王は俺の客だ。少し待っていてくれ」
そう言ったホウオウさんは、王様の下へと歩いていく。
すると、王様が手に持っていた袋の中からクッキーや果物を取り出して、ホウオウさんに差し出した。
「今年は例年よりも作物の出来がいい。戦争も終わり、うまい甘味を作り出すこともできた。この地を守るホウオウよ、これを受け取ってはくれぬだろうか」
その光景を見て、この場にいる誰もがこう思ったことだろう。
足を運ぶ日を間違えた、と。
カレーうどんにご飯にどら焼き……と、大量に貢ぎ物を渡してしまった私は、大量の冷や汗が溢れてくる。
もうすでにホウオウさんのお腹はパンパン。デザートまでしっかりと食べた後であった。
しかし、ここはホウオウさんが大人の対応を取ってくれれば、何も問題は生まれな――、
「悪いが、受け取れない」
まさかの受け取ってくれない!
いったいどうして……と思ってしまうが、国王様とホウオウさんの表情を見る限り、根の深い問題なんだと察した。
「なぜだ! なぜ受け取ってはくれぬ! 昔は受け取ってくれていたであろう!」
「悪いが、俺はその貢ぎ物を欲していない」
「嘘を申すでない。すでに体が蝕まれているはずだ」
「何度でも言おう。俺はその貢ぎ物を欲していない」
「今までの貢ぎ物と何が違う。いい加減に意地を張るのはやめてくれ。このままでは、せっかく平和が訪れた我が国と共倒れになるのだぞ」
真剣な表情で訴えかける王様が、心の奥底で何を心配しているのか、私にはわからない。
純粋にホウオウさんの身を案じているのか、国民の命を守りたいのか、国を反映させたいのか。
魔王軍との戦争があったばかりで、民が疲弊していることを考えたら、王様としての想いが強くなるわけであって……。
「俺はその貢ぎ物を欲していない。わかってくれ」
頑なに拒むホウオウさんは、決して貢ぎ物を受け取ろうとしなかった。
戦争が無事に終わった後に栽培されたものであれば、まだ受け取りやすいだろう。
でも、ホウオウさんが拒むということは、きっと戦時中に栽培していた果物に違いない。
それに瘴気が混じっているとは思わないが、不安や邪念に満ちている可能性は十分にある。
妖精にとっては、貢ぎ物が毒になる恐れがあるのだから。
さっきからホウオウさんも『その貢ぎ物は』と言っているので、受け取れるものを持ってきてほしいと、間接的に伝えているように思う。
祀られているホウオウさんとしては、あくまで自主的に貢いでもらったものを受け取るスタンスだから、注文を付けられないんだ。
「この国が嫌いにでもなったのか?」
「そうではない」
「では、何を理解しろと……」
一方、王様は苛立っているように見えるが、決してホウオウさんを粗末に扱っているわけではない。
戦争を終えたばかりなのに、王都で大きな祭りを開いて、妖精を讃えている。
今だって、何とかホウオウさんに心を開いてもらおうと、必死になっていた。
王様としては、純粋に心配な気持ちはあるものの、ホウオウさんが貢ぎ物を受け取ってくれない理由がわからなくて、どうしていいのかわからないんだろう。
その結果、何だか……見ているこっちがムズムズするような光景だった。
「いい加減に機嫌を直してくれ」
「最初から怒ってなどいない」
イケオジVSイケオジの些細なすれ違いを見せつけられて、いったいどうしろというんだろうか。
なんとなくそれぞれの気持ちがわかるだけに、居ても立っても居られなくなった私は――、
「あのー! いったんお茶にします?」
とりあえず、両者を落ち着かせることにした。
明確なイメージができる場所であれば、エマの空間魔法で移動できるとのことなので、次に会う時も貢ぎ物を持ってこよう。
聖女の仕事を担うつもりはないけど、料理を作るだけでホウオウさんの浄化に協力できるのであれば、大きな負担にはならない。
ましてや――、
「あのどら焼きというのは、なかなか面白い甘味だったな」
ホウオウさんもどら焼きが好きだと発覚したため、無下にはできなかった。
意外に辛いのも甘いのもいける妖精さんである。
この結果には、なんだかんだでどら焼きが好きなエマもご満悦だ。
「どら焼きは世界を救う」
ホウオウさんの黒いモヤが、どら焼きで一番浄化されたため、あながち嘘でもない。
お父さんが再婚してからというもの、妙にどら焼きの価値が高まっている気がするので、今後も精進していこう。
そんなこんなでエマと一緒に先頭を歩き、神殿の出入り口にたどり着くと、眩しい日差しに照らされた。
時間的にまだ昼を過ぎた頃か……と思い、あまりの眩しさに目を半分閉じると、突然エマに腕を引っ張られる。
その瞬間、私の足元に炎の矢が突き刺さった。
「貴様ら、ここで何をしておる」
異世界で魔法や魔物を見ている影響か、敵意を向けられても、私は取り乱さない。
今日はよく命を狙われる日だなーと、意外に冷静でいる。
それだけに、聖域に足を踏み入れることができる人物を見て、驚きを隠せなかった。
「こんな場所に入ってこられるなんて、あの人はいったい……」
当然のように見覚えはない。顎にヒゲを生やした中年の渋い顔をした男性で、立派な赤いローブを着用している。
右手には赤い宝石の付いた杖を、左手には大きな袋を持っていた。
誰なんだ……と思っているのも束の間、向こうはそうでもなかったみたいで、眉間にシワを寄せて、目を細めてくる。
「むっ。お主は、時の賢者か」
……ん? 時の賢者? もしかして、エマの二つ名かな。
「あっ、王様だ」
あっ、向こうは王様なんだ。へえ、どうりで立派な服装をしていると思ったよ。
「……えっ! 王様!?」
とんでもないほどのビッグネームが現われたが、少し考えたらわかることだろう。
聖域に足を踏み入れられる人間は、女神に選ばれた人か、王族しかいない。
王城にいた騎士が『公務』と言っていたのも、ホウオウさんの様子を見に来る予定だったんだと思う。
途中でバッタリと会うこともなく、私たちの方が早く着いてしまった影響で、ややこしい感じになっているけど。
「結界は正常に作動しているはずだが、どうしてお主が聖域内に入ってこられるのだ。場合によっては、厳しく尋問せねばならんぞ」
異世界が急に怖くなってきたよ。一国の王様に尋問を言い渡されたら、さすがに気分が沈みこんでしまう。
でも、ホウオウさんと友好的な関係を築けたから、すぐに誤解は解けるはずで――、
「とりあえず、相手を冷静にさせた方がいい。話し合いの場を作るために、まずは王様をボコボコにしよう」
ややこしい状況を作り出そうとするのは、やめてほしい。それは確実に状況を悪化させる行為だ。
「ちょっと待って、エマ。それは逆効果だから。いったん落ち着いて」
「でも、ママに胡桃を守るように言われてる」
「ママの言いつけの効力、強すぎない? いや、でもそうか。エマはまだ子供なのか」
王様よりもママの言いつけの方が大事な気がしないこともない。
エルフ族であることも考慮すると、妖精と契約した私の方を優先することにも納得がいく。
でも、今はそういう問題ではなかった。
「相手は王様だから、穏便にいこうね」
王様も、まさか相手がエマだとは思わなかったのか、とても委縮している。
もしかしたら、王城の城門前で対応してくれた騎士が緊張していたのは、単純にエマを恐れていただけなのかもしれない。
若くして『時の賢者』という二つ名を持っているのであれば、あながち間違っていない気がする。
一つだけ確かなことは、王様が戦闘を求めている気配がないことだけだった。
そんな中、ホウオウさんが仲介に入ってくれるみたいで、前に出てきてくれる。
「ここにいるのは俺の客人だ。攻撃しないでくれ」
私たちにいきなり先制攻撃をしてきた過去を持つので、あまり人のことは言えないが、今は水に流そう。
「手違いでこうなってしまっただけだ。こちらに戦う意思はない」
王様が杖を下ろすと、エマも同じように杖を下ろした。
火の妖精の一言で戦闘を回避できるなら、とてもありがたい。祀られているだけあって、この国ではとても権威があるみたいだ。
「すまない、国王は俺の客だ。少し待っていてくれ」
そう言ったホウオウさんは、王様の下へと歩いていく。
すると、王様が手に持っていた袋の中からクッキーや果物を取り出して、ホウオウさんに差し出した。
「今年は例年よりも作物の出来がいい。戦争も終わり、うまい甘味を作り出すこともできた。この地を守るホウオウよ、これを受け取ってはくれぬだろうか」
その光景を見て、この場にいる誰もがこう思ったことだろう。
足を運ぶ日を間違えた、と。
カレーうどんにご飯にどら焼き……と、大量に貢ぎ物を渡してしまった私は、大量の冷や汗が溢れてくる。
もうすでにホウオウさんのお腹はパンパン。デザートまでしっかりと食べた後であった。
しかし、ここはホウオウさんが大人の対応を取ってくれれば、何も問題は生まれな――、
「悪いが、受け取れない」
まさかの受け取ってくれない!
いったいどうして……と思ってしまうが、国王様とホウオウさんの表情を見る限り、根の深い問題なんだと察した。
「なぜだ! なぜ受け取ってはくれぬ! 昔は受け取ってくれていたであろう!」
「悪いが、俺はその貢ぎ物を欲していない」
「嘘を申すでない。すでに体が蝕まれているはずだ」
「何度でも言おう。俺はその貢ぎ物を欲していない」
「今までの貢ぎ物と何が違う。いい加減に意地を張るのはやめてくれ。このままでは、せっかく平和が訪れた我が国と共倒れになるのだぞ」
真剣な表情で訴えかける王様が、心の奥底で何を心配しているのか、私にはわからない。
純粋にホウオウさんの身を案じているのか、国民の命を守りたいのか、国を反映させたいのか。
魔王軍との戦争があったばかりで、民が疲弊していることを考えたら、王様としての想いが強くなるわけであって……。
「俺はその貢ぎ物を欲していない。わかってくれ」
頑なに拒むホウオウさんは、決して貢ぎ物を受け取ろうとしなかった。
戦争が無事に終わった後に栽培されたものであれば、まだ受け取りやすいだろう。
でも、ホウオウさんが拒むということは、きっと戦時中に栽培していた果物に違いない。
それに瘴気が混じっているとは思わないが、不安や邪念に満ちている可能性は十分にある。
妖精にとっては、貢ぎ物が毒になる恐れがあるのだから。
さっきからホウオウさんも『その貢ぎ物は』と言っているので、受け取れるものを持ってきてほしいと、間接的に伝えているように思う。
祀られているホウオウさんとしては、あくまで自主的に貢いでもらったものを受け取るスタンスだから、注文を付けられないんだ。
「この国が嫌いにでもなったのか?」
「そうではない」
「では、何を理解しろと……」
一方、王様は苛立っているように見えるが、決してホウオウさんを粗末に扱っているわけではない。
戦争を終えたばかりなのに、王都で大きな祭りを開いて、妖精を讃えている。
今だって、何とかホウオウさんに心を開いてもらおうと、必死になっていた。
王様としては、純粋に心配な気持ちはあるものの、ホウオウさんが貢ぎ物を受け取ってくれない理由がわからなくて、どうしていいのかわからないんだろう。
その結果、何だか……見ているこっちがムズムズするような光景だった。
「いい加減に機嫌を直してくれ」
「最初から怒ってなどいない」
イケオジVSイケオジの些細なすれ違いを見せつけられて、いったいどうしろというんだろうか。
なんとなくそれぞれの気持ちがわかるだけに、居ても立っても居られなくなった私は――、
「あのー! いったんお茶にします?」
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