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第一章:異世界にピクニックへ!
第11話:妖精さん2
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「よーしっ、決~めた。時間もないみたいだし、今回は特別だよ?」
それだけ言うと、金色の羽をパタパタと動かした妖精さんは、私の顔の方に飛んでくる。
そして、なぜかわからないが、おでこにチュッと、キスをされてしまった。
これは何のイベントなんだろう……と思っているのも束の間、体がフワッと浮くような感覚と共に、体の奥から温かいものが湧き上がってくる。
「うわっ、なんか変な感じがする」
「そのうちに慣れるよ。嫌なものじゃないでしょ?」
「うん。なんだか温かい感じがして、心が安らぐかも」
「ふっふーん。なんといっても、ボクの特別な魔力を分けてあげたからね」
……魔力? いま、魔力って言った?
「じゃあ、この力を使えば、私も魔法使いになれちゃうってコト!?」
「まあ、そうとも言えるね」
「えええええっ! ありがとう、大事にするね!」
異世界にやってきて、早くも魔法使いにジョブチェンジした私は、感無量だった。
やっぱり漫画やアニメ好きとしては、魔法に憧れを抱いてしまう。
ドラゴンや魔物を倒すような魔法じゃなくても、日常生活を豊かにするような魔法でもいいから使ってみたい。
もちろん、弱い魔物を倒すくらいなら、攻撃魔法を覚えてみてもいいけどね。えへへへっ。
「で~も、ボクの魔力が体に馴染むまでは、使っちゃダメだよ?」
「うん。妖精さんの許可が下りるまでは、大人しくしてるね」
どのみち仕事が始まれば、魔法のない日本で生活しなくてはならない。
あくまで異世界には旅行に来ることがメインなので、ついでに少しずつ魔法が使えたら嬉しいなーと思う程度だった。
でも、どうしてわざわざ魔力を分けてくれたんだろう、と思っていると、妖精さんが私の肩に乗った。
「君は異界の人なんじゃない?」
「えっ! ど、どうして私がこの世界の人間じゃないってわかったの?」
「だって、魔力中毒になりかけてたからね」
また新しい単語が出てきたため、エマの方を向いて確認してみる。
しかし、彼女は妖精さんの言葉を否定するように、首を横に振っていた。
「魔力の濃い場所に滞在し続けない限り、魔力中毒は起こらないはず」
「それはこの世界で生まれた人、もしくは、正規のルートで異界から来た人だけさ」
創造主の使い魔である妖精さんに不穏なことを言われ、私はこの世界の招かざる客だと察した。
思い付きで異世界に来てしまったけど、本当は安易に来てはならなかったんだろう。
「正規のルートがあるってことは……。空間魔法でこっちの世界に来てはいけなかった、っていうことだよね?」
「そうだよ。女神の定めた召喚方法で呼び出すか、女神に認められた人でなければ、この世界には滞在できないんだ。許可なく異界の人を連れてくるのは、褒められた行為じゃない。そもそも、空間魔法で異界の道を作れるほどの腕前を身につけるのは、困難を極めるはず……なんだけどね」
妖精さんの言葉により、エマがとんでもないほどの魔法の才を持った女の子だったと発覚した。
エマは満更でもなさそうな顔をして、恥ずかしそうに照れているが。
その一方で、妖精さんは険しい表情を浮かべていた。
「どうして異界の道を作っちゃダメなのかって言うとね。君みたいに魔力を処理する能力を持たない異界の人は、体がどんどんと蝕まれて死んじゃうんだー」
「えっ!」
急に創造主の使い魔という大層な身分の妖精さんから、死の宣告をされてしまい、私は大きく取り乱してしまう。
「ど、ど、どうしよう。じゃあ、すぐに帰った方がいい?」
「慌てなくてもいいよ。今回は特別だって言ったでしょ?」
妖精さんが唇を手で押さえる姿を見る限り、さっきのおでこのキスで、魔力を処理する能力を付与してくれたみたいだ。
特別な魔力を分けてくれた、とも言っていたし、もう体に悪影響を及ぼすことはないのかもしれない。
「じゃあ、私は妖精さんに命を助けてもらってたんだね。ありがとう」
「ボクも助けてもらったから、そのお礼だね。ボクの名前はシルフ。女神に認められた風の妖精さ」
「私は胡桃。天宮胡桃だよ。この子が義妹のエマね」
「……よろしく、お願いします」
なんだかんだでエマは、妖精という存在を敬っているんだろう。彼女が敬語を使うところを、初めて見たかもしれない。
エルフにとって、それだけ妖精は特別な存在なんだと思う。
シルフくんも偉い自覚があるのか、エマに向けて説教を始めてしまった。
「他に空間魔法で異界の人を連れ込んでくるのは禁止だよ。こんなことは滅多にならないから、仕方ないことだとは思うけどね」
「はい……。すみませんでした」
他人事みたいで申し訳ないが、可愛らしい妖精にエルフの女の子が怒られる姿は、とても絵になる光景だった。
悠長にそんなことを言っている場合じゃないけど。
「シルフくんに聞きたいんだけど、この世界の食材を別の世界の人が食べたら、魔力中毒になっちゃうの?」
異世界の農家を取引先の候補にして、菓子店に新商品を作り出そうとしている身としては、気になる問題である。
「ドラゴンみたいに強い魔物の肉を食べない限り、問題はないよ。食べ物に含まれるくらいの魔力量だったら、体に害をなすこともなく、無事に排泄するね」
ふぅ、なんとかセーフみたいだ。異世界産の野菜や果物で商品を作っても、害を受ける人はいないらしい。
あとは……、マナーやモラルの問題になるのかな。
「ちなみに、シルフくん的にはさ、さっき飲んだジュースみたいな異界のものを持ち込んだりするのって、どう思う?」
「うーん、あまり褒められた行為ではないんだけど……。やっぱりおいしいものくらいは食べたいよね。文明を破壊しない程度だったら、好きにしてもいいんじゃないかなー」
ケタケタと笑っているため、冗談でもなく、普通に認めてもらえたみたいだ。
よしっ! これで思う存分、新商品の開発に専念できる。
エマに買ってもらったデカ小豆が無駄にならなくてよかったよ。
ただ、シルフくんの話を聞いていた私は、僅かな違和感を覚えている。
「さっきのシルフくんの言い分だとさ、女神様に認められない限り、私はこの世界に存在してはならないはずだよね。じゃあ、シルフくんって……」
「一応言っておくけど、ボクは女神じゃないよ。彼女に認められた風の妖精、いわゆる使徒みたいなものだね。ボクと契約した胡桃も、女神の使徒扱いになるから、今後はもっと伸び伸びと過ごすといいよ」
契約……おでこにキスされたことで、私はシルフくんと契約した扱いになっているのか。
一国に祀られるほどの存在であり、エルフ族には神と同等扱いの妖精と契約することになるとは、いったい誰が予測できるだろう。
それも、スポーツドリンクとカツサンドのお礼で、である。
この状況にエマも混乱しているらしく、私から目を逸らしていた。
「胡桃お義姉様、遠い存在になられましたね」
「グルルルル……」
「お願いだから普通に接してもらってもいいかな。アルくんも戸惑わなくていいから」
なぜか落ち込み始める二人をなだめていると、シルフくんが大きな欠伸をした。
「ふわぁ~……。魔力の使いすぎで眠たいから、ボクは胡桃の中で休ませてもらうね」
「私の中で? ……妖精の宿主になった、みたいな感じなのかな」
「害はないから、気にしなくてもいいよ。あと、女神の使徒になったからといって、大きな役割を担う必要もないかな。もしこの世界に興味があるなら、いろいろな場所に足を運んでみてもいいと思うけどね。女神に選ばれた者しか入れない聖域とかもあるから」
「えっ! そんな神聖な場所に足を踏み入れてもいいの!? こっちの世界には旅行に来ただけだから、軽い気持ちで行けるなら、すごい嬉しいんだけど」
「じゃあ、それで決まりだね。でも、魔力が体に馴染むまでは無理しちゃダメだよ。まずは王都の東の森、ヤルバリル大森林がオススメかな」
そう言ったシルフくんは、光の粒子になって、私の胸の中に消えていった。
もしかしたら、シルフくんは女神様の使い魔として、異界から来た私の様子を見に来てくれたのかもしれない。
聞こえるのかわからないけど、改めてシルフくんにありがとうって伝えたいと思った。
それだけ言うと、金色の羽をパタパタと動かした妖精さんは、私の顔の方に飛んでくる。
そして、なぜかわからないが、おでこにチュッと、キスをされてしまった。
これは何のイベントなんだろう……と思っているのも束の間、体がフワッと浮くような感覚と共に、体の奥から温かいものが湧き上がってくる。
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「そのうちに慣れるよ。嫌なものじゃないでしょ?」
「うん。なんだか温かい感じがして、心が安らぐかも」
「ふっふーん。なんといっても、ボクの特別な魔力を分けてあげたからね」
……魔力? いま、魔力って言った?
「じゃあ、この力を使えば、私も魔法使いになれちゃうってコト!?」
「まあ、そうとも言えるね」
「えええええっ! ありがとう、大事にするね!」
異世界にやってきて、早くも魔法使いにジョブチェンジした私は、感無量だった。
やっぱり漫画やアニメ好きとしては、魔法に憧れを抱いてしまう。
ドラゴンや魔物を倒すような魔法じゃなくても、日常生活を豊かにするような魔法でもいいから使ってみたい。
もちろん、弱い魔物を倒すくらいなら、攻撃魔法を覚えてみてもいいけどね。えへへへっ。
「で~も、ボクの魔力が体に馴染むまでは、使っちゃダメだよ?」
「うん。妖精さんの許可が下りるまでは、大人しくしてるね」
どのみち仕事が始まれば、魔法のない日本で生活しなくてはならない。
あくまで異世界には旅行に来ることがメインなので、ついでに少しずつ魔法が使えたら嬉しいなーと思う程度だった。
でも、どうしてわざわざ魔力を分けてくれたんだろう、と思っていると、妖精さんが私の肩に乗った。
「君は異界の人なんじゃない?」
「えっ! ど、どうして私がこの世界の人間じゃないってわかったの?」
「だって、魔力中毒になりかけてたからね」
また新しい単語が出てきたため、エマの方を向いて確認してみる。
しかし、彼女は妖精さんの言葉を否定するように、首を横に振っていた。
「魔力の濃い場所に滞在し続けない限り、魔力中毒は起こらないはず」
「それはこの世界で生まれた人、もしくは、正規のルートで異界から来た人だけさ」
創造主の使い魔である妖精さんに不穏なことを言われ、私はこの世界の招かざる客だと察した。
思い付きで異世界に来てしまったけど、本当は安易に来てはならなかったんだろう。
「正規のルートがあるってことは……。空間魔法でこっちの世界に来てはいけなかった、っていうことだよね?」
「そうだよ。女神の定めた召喚方法で呼び出すか、女神に認められた人でなければ、この世界には滞在できないんだ。許可なく異界の人を連れてくるのは、褒められた行為じゃない。そもそも、空間魔法で異界の道を作れるほどの腕前を身につけるのは、困難を極めるはず……なんだけどね」
妖精さんの言葉により、エマがとんでもないほどの魔法の才を持った女の子だったと発覚した。
エマは満更でもなさそうな顔をして、恥ずかしそうに照れているが。
その一方で、妖精さんは険しい表情を浮かべていた。
「どうして異界の道を作っちゃダメなのかって言うとね。君みたいに魔力を処理する能力を持たない異界の人は、体がどんどんと蝕まれて死んじゃうんだー」
「えっ!」
急に創造主の使い魔という大層な身分の妖精さんから、死の宣告をされてしまい、私は大きく取り乱してしまう。
「ど、ど、どうしよう。じゃあ、すぐに帰った方がいい?」
「慌てなくてもいいよ。今回は特別だって言ったでしょ?」
妖精さんが唇を手で押さえる姿を見る限り、さっきのおでこのキスで、魔力を処理する能力を付与してくれたみたいだ。
特別な魔力を分けてくれた、とも言っていたし、もう体に悪影響を及ぼすことはないのかもしれない。
「じゃあ、私は妖精さんに命を助けてもらってたんだね。ありがとう」
「ボクも助けてもらったから、そのお礼だね。ボクの名前はシルフ。女神に認められた風の妖精さ」
「私は胡桃。天宮胡桃だよ。この子が義妹のエマね」
「……よろしく、お願いします」
なんだかんだでエマは、妖精という存在を敬っているんだろう。彼女が敬語を使うところを、初めて見たかもしれない。
エルフにとって、それだけ妖精は特別な存在なんだと思う。
シルフくんも偉い自覚があるのか、エマに向けて説教を始めてしまった。
「他に空間魔法で異界の人を連れ込んでくるのは禁止だよ。こんなことは滅多にならないから、仕方ないことだとは思うけどね」
「はい……。すみませんでした」
他人事みたいで申し訳ないが、可愛らしい妖精にエルフの女の子が怒られる姿は、とても絵になる光景だった。
悠長にそんなことを言っている場合じゃないけど。
「シルフくんに聞きたいんだけど、この世界の食材を別の世界の人が食べたら、魔力中毒になっちゃうの?」
異世界の農家を取引先の候補にして、菓子店に新商品を作り出そうとしている身としては、気になる問題である。
「ドラゴンみたいに強い魔物の肉を食べない限り、問題はないよ。食べ物に含まれるくらいの魔力量だったら、体に害をなすこともなく、無事に排泄するね」
ふぅ、なんとかセーフみたいだ。異世界産の野菜や果物で商品を作っても、害を受ける人はいないらしい。
あとは……、マナーやモラルの問題になるのかな。
「ちなみに、シルフくん的にはさ、さっき飲んだジュースみたいな異界のものを持ち込んだりするのって、どう思う?」
「うーん、あまり褒められた行為ではないんだけど……。やっぱりおいしいものくらいは食べたいよね。文明を破壊しない程度だったら、好きにしてもいいんじゃないかなー」
ケタケタと笑っているため、冗談でもなく、普通に認めてもらえたみたいだ。
よしっ! これで思う存分、新商品の開発に専念できる。
エマに買ってもらったデカ小豆が無駄にならなくてよかったよ。
ただ、シルフくんの話を聞いていた私は、僅かな違和感を覚えている。
「さっきのシルフくんの言い分だとさ、女神様に認められない限り、私はこの世界に存在してはならないはずだよね。じゃあ、シルフくんって……」
「一応言っておくけど、ボクは女神じゃないよ。彼女に認められた風の妖精、いわゆる使徒みたいなものだね。ボクと契約した胡桃も、女神の使徒扱いになるから、今後はもっと伸び伸びと過ごすといいよ」
契約……おでこにキスされたことで、私はシルフくんと契約した扱いになっているのか。
一国に祀られるほどの存在であり、エルフ族には神と同等扱いの妖精と契約することになるとは、いったい誰が予測できるだろう。
それも、スポーツドリンクとカツサンドのお礼で、である。
この状況にエマも混乱しているらしく、私から目を逸らしていた。
「胡桃お義姉様、遠い存在になられましたね」
「グルルルル……」
「お願いだから普通に接してもらってもいいかな。アルくんも戸惑わなくていいから」
なぜか落ち込み始める二人をなだめていると、シルフくんが大きな欠伸をした。
「ふわぁ~……。魔力の使いすぎで眠たいから、ボクは胡桃の中で休ませてもらうね」
「私の中で? ……妖精の宿主になった、みたいな感じなのかな」
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「えっ! そんな神聖な場所に足を踏み入れてもいいの!? こっちの世界には旅行に来ただけだから、軽い気持ちで行けるなら、すごい嬉しいんだけど」
「じゃあ、それで決まりだね。でも、魔力が体に馴染むまでは無理しちゃダメだよ。まずは王都の東の森、ヤルバリル大森林がオススメかな」
そう言ったシルフくんは、光の粒子になって、私の胸の中に消えていった。
もしかしたら、シルフくんは女神様の使い魔として、異界から来た私の様子を見に来てくれたのかもしれない。
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