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第一部
第41話:黒田、助けを求める
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「大丈夫か? しっかりしろ!」
自分の手に付着したアルヴィの血を眺めていたら、一人の騎士の男性がやってきた。
そうだ、私がしっかりしないと。まだアルヴィが死ぬと決まったわけじゃない。助けられる可能性だってあるはずよ。
今は後悔している暇なんてない。とにかく時間がないの。
毒の解析をして解毒薬の生成に取り掛かっていたら、間に合わなくなる。今すぐに薬師に連絡して、解毒薬の調合に取り掛かってもらわないと。
本当にアルヴィが死んでしまう。
下手に動かして毒が循環しないように、私はゆっくりとアルヴィを地面に寝かせて起き上がった。
「私は大丈夫です。それより、アルヴィが……」
「ブルネスト家のご子息と……フラスティン家のご令嬢か。ひとまず、人目のない場所へ移ろう」
パッと見ただけで貴族の人間だとわかるのは、この人がそれだけ地位の高い人だからだろう。立派な装備と落ち着いた物腰から推測すると、騎士団でも上位の地位だと推測する。
でも、暗殺者の存在が気になるのか、毒物が使われたことに気づいていない。
「ダメ! 動かしてはいけないわ。毒の回りが早くなってしまう」
私の言葉を聞いた瞬間、騎士の目の色が変わった。
「確かに、刺されただけにしては様子がおかしいな。意識が朦朧としているし、異常に発汗している」
「アルドクバイソンとタイライトボアの毒よ。これだけ傷が深ければ、命を落とす危険があるわ。早く解毒薬を調合してもらいたいの」
「……どうしてわかる?」
「えっ?」
「暗殺者本人に聞いたわけでもなく、毒の解析もしていないのに、どうして二種類の毒が使われていると断言できるんだ?」
大きな瞳で私をまっすぐ見据える騎士の男性は、とても冷静だった。
普通、傷口に付着した毒の成分を採取して、何の毒が使われていたのか解析する。時間がかかる行為ではあるが、違う解毒剤を用いれば、逆効果になる可能性もあるため、毒の解析は必須行為であった。
何度も見てきたイベントだから、何の毒が使われているのかわかる。でも、それぞれの毒がどんな症状を発症するのか知らないし、証拠は何もない。ましてや、二つの毒が混ざっているのであれば、症状だけで判断できるはずもなかった。
間違いなく毒の成分は合っているだけに、もどかしい気持ちでいっぱいになる。
「お願い、信じてほしいの。私はアルヴィを死なせたくないだけよ」
「毒が使われていることは信じよう。だが、毒の成分までは信じられない。仮にも、ブルネスト家のご子息だ。慎重かつ冷静に判断して対処する」
「一つの可能性として動いてくれるだけでもいいわ! 毒の解析と同時進行で解毒薬を生成してくれれば――」
「貴重な薬草には限りがある。無駄な解毒剤を生成するのは避けなければならない。もしも間違っていたとき、本当に助けられなくなるぞ」
感情的な言葉をぶつけるだけの私に対して、的確な判断をする騎士の男性に何も言い返す言葉がなかった。
「俺はトリスタン王国、第二騎士団団長のドレイクだ。悪いが、指示には従ってもらう」
どうしようもできない感情が心の中から湧き出てくるため、下唇を強く噛み締めて、何とか抑え込む。
この人は涙で動かされるような人ではない。もしここで泣いてしまったら、私に非があると認めたことに繋がり、交渉のテーブルに着けない気がする。
かといって、ドレイクさんがこの場に留まり続ける道理もない。私が引き留めているから、毒の解析に向かえないだけであって……。
何も言い返す言葉が見つからない私は、目線を逸らすことしかできなかった。
もう話す必要はないと判断したのか、ドレイクさんは解析に必要な暗殺者のナイフを拾い上げる。
「お姉ちゃんは嘘をつかないよ」
私がへこたれそうな影響か、アルヴィが死にそうな影響なのかはわからないけれど、いつもよりワントーン声が低いルビアの声が聞こえてきた。
その表情はとても真剣で、人見知りのルビアとは思えなかった。
「毒の成分は絶対に合ってる。アルヴィくんを助けられる方法は、もうここにあるんだよ」
「嘘だと決めつけているわけではない。確証がない限り、治療はできないと言っているんだ」
「お姉ちゃんには確証できる何かがあるんだよ。でも、きっと他の人には言っても伝わらないことで――」
「それで君たちは納得するのかもしれない。だが、ブルネスト家の人は納得するのか?」
ダメだ……。やっぱりこの人の言い分は正しい。貴族の死が与える影響の大きさを理解している。
「これほどの症状が出るなら、猛毒なのは間違いない。君たちの相手よりも、まずは毒の解析をするべきだ。それが最短の治療法だと理解してくれ」
ドレイクさんが歩き去っていく光景を見て、僅かな希望が遠ざかっていく気がした。
まだ諦めたくはない。けれど、自分の無力さを表すように涙がこぼれてきてしまう。
私のせいだ。私がストーリーを改変しようとしたから、こんなことになったんだ。オリジナルルートを通れば、予想できないことが起こる可能性があるとわかっていたはずなのに。
聖魔法が使えたって、肝心な人を助けられなければ、何の意味もないじゃない。
いまの私は、手に付着した僅かな毒で魔力が乱され、苦しむアルヴィの痛みすら取ってあげることができない。
「ごめんね、アルヴィ……。私が変なことをしたから。ごめんね……」
言葉にしたくないことを口にしたとき、私にはもう、何もしてあげられることはないと悟った。
ドレイクさんを中心に騎士団員が集まってくるけれど、市民たちの安全を守るために警戒を強めるだけにすぎない。
今から解毒剤を調合しないと間に合わない以上、そこに希望は存在しない。奇跡なんて起こるはずがない、そう思っていたときだった。
「お前ら! 何を言っているのかわかっているのか!」
突然、冷静だったドレイクさんが声を荒げて、仲間の騎士たちを怒り始めた。
「お願いします。自分たちに解毒剤の素材を集めさせてください」
大勢の騎士が頭を下げる姿を見て、聖魔法に意味がなかったわけではないと気づかされる。
名前も知らない騎士たちだけれど、ろくに会話もしたことがない人たちばかりだけれど、何度も顔を合わせていた。
「人の命を守り続ける彼女が、嘘をつくとは思えません。一刻の猶予を争うなら、今すぐに動き始めるべきです」
「貴族の命に関わることだぞ。そこまでして、命令違反をする価値があるのか?」
「救える命があるのなら、手助けするのが騎士団の役目だと思います。少なくとも、俺たちは彼女に命を救ってもらっています」
大勢の騎士が甲冑の音を鳴らして、私の元へやって来る。
「必要な素材はわかりますか?」
「……わからないわ。毒の種類しか知らないの。お願い。もう間に合うか間に合わないかの瀬戸際で、私には何もできないの。アルヴィを、助けて……」
「よし、まずは手分けして薬師の元へ行くぞ。素材集めと調合できる人間を探すんだ」
テキパキと動き始める騎士たちの姿を見ていると、ドレイクさんが大きなため息を吐いた。
「おい、バカタレ共。少しは頭を使え。ブルネスト家の長男はサウルだ、先に知らせて協力要請した方が早いだろ」
なんだかんだで協力してくれるのか、私の元へと近づいてくる。
「いいか。どれだけ正しいことであったとしても、責任は取れん。止むを得ん場合を除き、解毒剤を使わず、毒の解析を待て。急いで掛け合ってくる」
「……お願いします。私には、何もできないから」
「しょうもないことを言うな。バカタレ共の心を動かす人間が、何もできないことはないだろう。声でもかけて、命を引き留めてやれ」
手分けして動き始める騎士たちとは裏腹に、ルビアが私の肩にそっと手を乗せてくれた。
私たちは一人じゃない、そう強く思えた気がする。もちろん、アルヴィも一人にさせてはならない。
「お願い、アルヴィ。生きてほしいの。また、笑った顔を見せて」
自分の手に付着したアルヴィの血を眺めていたら、一人の騎士の男性がやってきた。
そうだ、私がしっかりしないと。まだアルヴィが死ぬと決まったわけじゃない。助けられる可能性だってあるはずよ。
今は後悔している暇なんてない。とにかく時間がないの。
毒の解析をして解毒薬の生成に取り掛かっていたら、間に合わなくなる。今すぐに薬師に連絡して、解毒薬の調合に取り掛かってもらわないと。
本当にアルヴィが死んでしまう。
下手に動かして毒が循環しないように、私はゆっくりとアルヴィを地面に寝かせて起き上がった。
「私は大丈夫です。それより、アルヴィが……」
「ブルネスト家のご子息と……フラスティン家のご令嬢か。ひとまず、人目のない場所へ移ろう」
パッと見ただけで貴族の人間だとわかるのは、この人がそれだけ地位の高い人だからだろう。立派な装備と落ち着いた物腰から推測すると、騎士団でも上位の地位だと推測する。
でも、暗殺者の存在が気になるのか、毒物が使われたことに気づいていない。
「ダメ! 動かしてはいけないわ。毒の回りが早くなってしまう」
私の言葉を聞いた瞬間、騎士の目の色が変わった。
「確かに、刺されただけにしては様子がおかしいな。意識が朦朧としているし、異常に発汗している」
「アルドクバイソンとタイライトボアの毒よ。これだけ傷が深ければ、命を落とす危険があるわ。早く解毒薬を調合してもらいたいの」
「……どうしてわかる?」
「えっ?」
「暗殺者本人に聞いたわけでもなく、毒の解析もしていないのに、どうして二種類の毒が使われていると断言できるんだ?」
大きな瞳で私をまっすぐ見据える騎士の男性は、とても冷静だった。
普通、傷口に付着した毒の成分を採取して、何の毒が使われていたのか解析する。時間がかかる行為ではあるが、違う解毒剤を用いれば、逆効果になる可能性もあるため、毒の解析は必須行為であった。
何度も見てきたイベントだから、何の毒が使われているのかわかる。でも、それぞれの毒がどんな症状を発症するのか知らないし、証拠は何もない。ましてや、二つの毒が混ざっているのであれば、症状だけで判断できるはずもなかった。
間違いなく毒の成分は合っているだけに、もどかしい気持ちでいっぱいになる。
「お願い、信じてほしいの。私はアルヴィを死なせたくないだけよ」
「毒が使われていることは信じよう。だが、毒の成分までは信じられない。仮にも、ブルネスト家のご子息だ。慎重かつ冷静に判断して対処する」
「一つの可能性として動いてくれるだけでもいいわ! 毒の解析と同時進行で解毒薬を生成してくれれば――」
「貴重な薬草には限りがある。無駄な解毒剤を生成するのは避けなければならない。もしも間違っていたとき、本当に助けられなくなるぞ」
感情的な言葉をぶつけるだけの私に対して、的確な判断をする騎士の男性に何も言い返す言葉がなかった。
「俺はトリスタン王国、第二騎士団団長のドレイクだ。悪いが、指示には従ってもらう」
どうしようもできない感情が心の中から湧き出てくるため、下唇を強く噛み締めて、何とか抑え込む。
この人は涙で動かされるような人ではない。もしここで泣いてしまったら、私に非があると認めたことに繋がり、交渉のテーブルに着けない気がする。
かといって、ドレイクさんがこの場に留まり続ける道理もない。私が引き留めているから、毒の解析に向かえないだけであって……。
何も言い返す言葉が見つからない私は、目線を逸らすことしかできなかった。
もう話す必要はないと判断したのか、ドレイクさんは解析に必要な暗殺者のナイフを拾い上げる。
「お姉ちゃんは嘘をつかないよ」
私がへこたれそうな影響か、アルヴィが死にそうな影響なのかはわからないけれど、いつもよりワントーン声が低いルビアの声が聞こえてきた。
その表情はとても真剣で、人見知りのルビアとは思えなかった。
「毒の成分は絶対に合ってる。アルヴィくんを助けられる方法は、もうここにあるんだよ」
「嘘だと決めつけているわけではない。確証がない限り、治療はできないと言っているんだ」
「お姉ちゃんには確証できる何かがあるんだよ。でも、きっと他の人には言っても伝わらないことで――」
「それで君たちは納得するのかもしれない。だが、ブルネスト家の人は納得するのか?」
ダメだ……。やっぱりこの人の言い分は正しい。貴族の死が与える影響の大きさを理解している。
「これほどの症状が出るなら、猛毒なのは間違いない。君たちの相手よりも、まずは毒の解析をするべきだ。それが最短の治療法だと理解してくれ」
ドレイクさんが歩き去っていく光景を見て、僅かな希望が遠ざかっていく気がした。
まだ諦めたくはない。けれど、自分の無力さを表すように涙がこぼれてきてしまう。
私のせいだ。私がストーリーを改変しようとしたから、こんなことになったんだ。オリジナルルートを通れば、予想できないことが起こる可能性があるとわかっていたはずなのに。
聖魔法が使えたって、肝心な人を助けられなければ、何の意味もないじゃない。
いまの私は、手に付着した僅かな毒で魔力が乱され、苦しむアルヴィの痛みすら取ってあげることができない。
「ごめんね、アルヴィ……。私が変なことをしたから。ごめんね……」
言葉にしたくないことを口にしたとき、私にはもう、何もしてあげられることはないと悟った。
ドレイクさんを中心に騎士団員が集まってくるけれど、市民たちの安全を守るために警戒を強めるだけにすぎない。
今から解毒剤を調合しないと間に合わない以上、そこに希望は存在しない。奇跡なんて起こるはずがない、そう思っていたときだった。
「お前ら! 何を言っているのかわかっているのか!」
突然、冷静だったドレイクさんが声を荒げて、仲間の騎士たちを怒り始めた。
「お願いします。自分たちに解毒剤の素材を集めさせてください」
大勢の騎士が頭を下げる姿を見て、聖魔法に意味がなかったわけではないと気づかされる。
名前も知らない騎士たちだけれど、ろくに会話もしたことがない人たちばかりだけれど、何度も顔を合わせていた。
「人の命を守り続ける彼女が、嘘をつくとは思えません。一刻の猶予を争うなら、今すぐに動き始めるべきです」
「貴族の命に関わることだぞ。そこまでして、命令違反をする価値があるのか?」
「救える命があるのなら、手助けするのが騎士団の役目だと思います。少なくとも、俺たちは彼女に命を救ってもらっています」
大勢の騎士が甲冑の音を鳴らして、私の元へやって来る。
「必要な素材はわかりますか?」
「……わからないわ。毒の種類しか知らないの。お願い。もう間に合うか間に合わないかの瀬戸際で、私には何もできないの。アルヴィを、助けて……」
「よし、まずは手分けして薬師の元へ行くぞ。素材集めと調合できる人間を探すんだ」
テキパキと動き始める騎士たちの姿を見ていると、ドレイクさんが大きなため息を吐いた。
「おい、バカタレ共。少しは頭を使え。ブルネスト家の長男はサウルだ、先に知らせて協力要請した方が早いだろ」
なんだかんだで協力してくれるのか、私の元へと近づいてくる。
「いいか。どれだけ正しいことであったとしても、責任は取れん。止むを得ん場合を除き、解毒剤を使わず、毒の解析を待て。急いで掛け合ってくる」
「……お願いします。私には、何もできないから」
「しょうもないことを言うな。バカタレ共の心を動かす人間が、何もできないことはないだろう。声でもかけて、命を引き留めてやれ」
手分けして動き始める騎士たちとは裏腹に、ルビアが私の肩にそっと手を乗せてくれた。
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