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アリスじゃないけどティーパーティー

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 お漬物を食べるなんて、何年ぶりかな。
こういうものを食べる習慣がない私は、松里さんと三重子さんの見よう見まねで、御茶を飲む合間にポリポリときゅうりの糠漬けをかじる。
ううん、いい塩加減。

 一口目が、そんなに美味しいって感激するほどじゃないのに、すごく後を引くというか。
気付くと、あっという間にお漬物のお皿が空になってしまった。

「お……おつけもの、美味しい……。無限に食べられそう。あと、白いご飯が欲しくなります」

「たくさん持ってきたの冷蔵庫に入れといたから。後でまた、お食べ」

 三重子さんはにこにこしながら言う。
松里さんは、それを聞いてにやりと笑った。

「だけど食べすぎには注意よ。三重子さんのおつけもの美味しくて、本当に止まらなくなっちゃうから。塩分過多、待ったなし」

 それは怖い。
でも、たぶん御漬物だけでゴハン三杯くらい行けちゃいそう。

 しばらくして目を覚ました汐が、のそりと立つ。
三重子さんを見つけて彼女の方へ行くと、その膝の上で丸くなった。

「汐ちゃんも、きとったの」

 目を細めて言うと、三重子さんは黒猫の身体をやわくなぜる。
汐は、またうとうととしているようだった。

「汐ちゃん撫でると、一日、身体の調子がいいんじゃ」

「そうなんですか?」

「このあたりのお年寄り、みんなそういうのよね。さしずめ、この村のセラピーキャットってとこかしら」

 セラピーキャット。
ドッグはわりと聞くけど、キャットもいるのかな。
でも、さっき私も汐に慰めてもらった。
そう思うと、あながち外れてもいないことなのかも。

 私は別のお皿に盛られた、おもちのようなものに手を伸ばした。
これはなんだろう、御団子みたいに柔らかいものに、あんこが混ぜてあるみたい。
一口かじると、ほんのりとした甘さと香ばしさが広がる。

「あ、くるみがはいってるんですね」

「そうそう。くるみの歯触りがいい感じでしょ」

「美味しい。すっごく、御茶にあいます」

 生クリーム大好きな私だけど、この癒される感覚はたまらない。
温かい御茶を含むと、自然に吐息がこぼれる。
じんわり温かくなる感じ。

 そうやって私が御茶を堪能していると、松里さんが声をかけてきた。

「ね、里ちゃん」

「はい……?」

 なんでしょう。今なら私は何言われても、はい、しか返事できないのんびり具合になってますけど。

「良かったらなんだけど。ここにいる間、アルバイトしてみない?」

「……は、い?」

「この近くの神社で。人手が足りないらしいのよ。巫女さんのバイト。どう?」

「はい……えっ?」

「あらぁ、いいねえ。里ちゃんの巫女姿、見てみたいねえ」

 えええええええ!?

「にあぁぁ!?」

 あ、寝てたんじゃないの、汐。
というか、あなたがビックリするの。
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