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90年後の世界

ある貴族の視点

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「おい……どういう事なんだ?」

 そう疑問を口に出した貴族の考えてる事も分かる。

ほんとにどういう事?


 90年以上も生きていると言われているあの、陛下、冷徹の双子騎士、無慈悲の公爵令嬢、伝説の冒険者……そして、神秘のメイド……

 この国の最重要人物達は、ある共通点があり他の貴族や王族からの誘いに乗らなかった。

その共通点とは

伝説の冒険者や、神秘のメイドの言う『ご主人様』『旦那様』

冷徹の双子騎士が言う『姉様』『姉ね』

無慈悲の公爵令嬢が言う『親友』という立場

90年以上も生きてきた王族達の『女神様』『護衛』


 この言っている人物達は2人組で100程眠っているっと言う設定で、面倒な貴族達の誘いを断っている偽りに過ぎないと誰もが思っていた。


だけど、今。


「あ~ナナの膝枕は気持ちいいわ~」

「くっ……今日だけだからな……」

「いいな~リア。私も姉ねの膝枕やってほしーい!」

「こら、ルルー。順番ですよ。2番目の姉である私が……」


「……私もさせて欲しいが……」「やらせるわけねぇだろ?」

「……そうだよね~」


何?どういう事なの?

 え?目の前にいる人達は誰にもなびかないお金にも権力にも異性にもなびかないあの、伝説の人達なの??


「良いですね~……私達も使用人と言う立場じゃなかったらやらせて貰えたのですかね~?」

「ん……使用人になったのは間違いだったかも?」


「こら、何言ってるの?別に今じゃなくても家に帰ってからならやってあげるから。」

「えぇ?本当ですか?やった~!」

「ん……前言撤回。」


「良いですね~……私達は男ですのでもしやってしまったら旦那様に殺されてしまいますね……」

「ほんとに……進化する時に女性に変えられないか聞いてみるか……」

「あ、良いですね。それ。」

「……無理だと思いますよ?」

「「……残念。」」


これが本当に伝説の8人と王族なのかっ?

 そして、あのご主人様や、ナナと呼ばれる女性と旦那様と呼ばれる男性。

この世のものとは思えない程の美人だった。

 特に先程のダンスは、今までに見た事ないほどの美しく、息のあった華やかなダンスだった。

 まるで、神達が戯れているかのような激しいダンスなのに息切れもせず汗も出ず。


もしかして、あの物語は本当だったのか?

 神になるために勇者の1人とその旦那が100年の眠りにつき、目覚め仲間達を迎えにやって来るだろうとの祖父祖母の言葉は本当だったのでは無いか?

 勇者の方は2つの姿を持ち、1つは白の姿もう1つは黒の姿……

あぁ……本当だったのか……


この場にいる者は全員が理解をした。


 ただ、どうにか仲良くなれないか、お近ずきになれないかを考えるがいい方法が思いつかない。

そもそも、あの雰囲気で行けない。

あぁ、誰か勇気のあるものは居ないのか……


「ルーデリア様、この度は誕生日をお祝い申し上げます。」


居たー!!!!

 もう、勇者と言っていいほどの存在に君はなったよ!

「えぇ?えーと……貴方は……」

「セブミール領のカルレット・バ・セブミールですね。爵位は侯爵に当たります。」

「あぁ、そうだった。良いしょっと。んんっ……失礼しました。ありがとうございます、セブミール侯。」

「いえいえ、お楽しみ中申し訳ございません。聞きたいことがあるのですが……」

「いえ?何でしょう?簡潔に言ってください。」

「そうですね……では簡潔にお聞きします。その方達お二人の事を教えていただきたいです。」

「「うぇ?!」」


勇者ーーーー!!!!

よく聞いた!

「そうね……それは私じゃなくて2人に聞きなさい。私は、また横になっているから。」


 そう言ってまた無慈悲の公爵令嬢は、ソファに横になり膝枕をしてもらう状態になっていた。

「初めまして、私は、カルレット・バ・セブミールと申します。お二人のお名前を聞いても?」

「……ナナとお呼びください。」

「カイルと呼べ。」

「いえ、様をつけなさい。」


 お2人がきっと本名ではなく、仮の名前なのだろう……その言い方だった。

そして、神秘のメイドが付け足しをする。

「お2人はどういう関係で?」

「「夫婦です(だ)。」」

「……なるほど。……余り質問し過ぎるのもあれですので、聞きます。私達人間と仲良くする気はありますか?」


おぉぉぉーーーーーー!!!

良くやった!

「……そうね……ここに居る人達は私達の事知っているようなので言いますが、私達は余りこの世界に長く居ないので仲良くしようが、しないが余り関係ないのです。」

「そうだな。ちなみに俺らが帰る場合はシリウス……王族達以外は連れていく。王族は、もう普通の人間より少し頑丈になった程度だから寿命であとは数十年で死ぬだろう。」

「なんと……」


 この国は、大丈夫なのか……あの人たちが無しで保ってられるのだろうか……

「質問はそれだけ?」

「あ、いえ、では最後の質問です。」

「何?」

「あなた方2人は何の神なのでしょうか?」

「……そうね…………まぁ、分かってるんだし、良いか。終始の神ナバルトーシャ。終わりと始まりを告げる夫婦神よ。」

「死の神アルカイト。死を告げ、生に導き管理する夫婦神だ。もう良いだろ?さっさと戻れ。」

「ありがとうございます……お願いがあります。ナバルトーシャ様。私達に黒の姿をお見せしてはございませんか?」

「え?黒の姿?……あ~……この姿の方が偽りなのよ?変装よ変装。元の姿がこれ。」

 ナバルトーシャ様は指をパチンと鳴らし、ブワッと光が出る。

 光が収まり、見ると黒髪黒目、黒のドレスに身を包んだ人間などと一緒にしてはいけない程の美貌で、逆に怖さもあった。

「これで、満足ですか?」

「はい。ありがとうございました。」

そう言って侯爵は下がった。

 ナバルトーシャ様は元の……ではなくまた白の姿に戻り楽しくお喋りをしていらっしゃる。






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