上 下
76 / 111
アガネスト帝国王立魔法学園

20,カイルが加わったいつもの日常

しおりを挟む
……うん、聞かなかったことにしよう。

「は~……でも、ここはゲームの世界じゃなくて、普通の世界だって事で安心したわ~……」

リアがそういう。

うん。私もそう思う。

 リリーやルルー、シンやトリス、ネルト、ハルミ、そしてカイル……この世界の住人がただのキャラクターだったら寂しいもんね。

「で、私の事だけど……簡単に言っちゃ、さっき言った悪役令嬢に転生しちゃったのよね……いや、悪役令嬢と言われてる女の子に。」

「そう、そう。ヒロインや攻略対象達のせいで死ぬ運命だってある訳だしね……」

「いや~流石に2回も死ぬなんて無理だわ……」

「当たり前よ~、ただの人間が耐えられるわけないでしょう?精神も強いわけじゃないんだし……」

お姉ちゃん……普通の人には、凄い言い方するよね……


「さて、じゃあ今日の所は寝ちゃいましょ~う!あ、奈々葉ちゃんの仕事の事は安心して♪私達が何とかしといたから☆」

「何とか……って」

……聞かない方がいいことかな。

「うん、分かった。ありがとね。」

「いや、分かったのかよ。」

「カイル、もうここの雰囲気に馴染んだよね~早くない?」

ルルーが聞いた。確かにもう馴染んじゃっている。

「あ~……仕事上、任務の場所に慣れないといけないからな……」

「へ~凄いんだね~!」

慣れ……か。

 ちょっと前の私にはその言葉は自分を守るための言葉だったけど、今の私は全然違う。

やっぱりこの世界へ来て良かったと思う。

「そろそろ寝ましょうか。リリーやネルトはもう寝ちゃったみたいだし。」

「「「「「はーい」」」」」

私達は布団をかぶり寝た。


勇者御一行が来るまで残り3日





 私はいつも通りに起きると、お姉ちゃんとモナとカイルに見られていた事に気が付いた。

「……?何で、見てるの……?」

「そりゃあ、奈々葉ちゃんの寝顔が可愛すぎて2人と見とれてたに決まっているでしょ?アルバが幸福にそそがなかったものが見た目に反映してるんだもの。」

「あぁ、奈々葉の寝顔を見れるなんてな~」

「いつも通り、お可愛くございましたよ。」

「……?ん……とりあえず、おはようございます。」

「おはよう」
 
「おはよう、なのよ~♪」

「おはようございます。」

 私はのそのそ布団を畳み始めると3人も布団を畳み始めた。

「じゃぁ私はもう行くけど、2人に説明しておくとこの後、着替えて、食堂でちょっと待っててね。朝ごはんを作るから。そして、食べ終わったら大浴場の脱衣所に洗面台があるからそこは他の人に教えて貰いながら歯を磨いたり髪をとかしたり、なんなりして。」

「へ~……そんな事するのか~」

「分かったなのよ。」

「私はいつも通り、お手伝いをさせていただきます。」

「ありがとう。じゃぁ私は行くね。」


 私は食堂に行って、空間魔法で出した制服を瞬時に着替えて、エプロンをつけて手を洗い、ご飯を作り始める。


 しばらくすると、パジャマからいつもの服に着替えたお姉ちゃんや、制服に着替えた皆が集まってきた。

 私はいつも通り、テレビに『ニュースになりそうな事を移して』っと念じると、王都の端の家が少し火事になったみたい。


 それを見たカイルは「うぉ?!」って驚いていたのを面白がった事は内緒だ。


それから少しして私達は、寮の自分の部屋に戻った。

「あ、やべ。どうやってここから出よう……」

 カイルの言葉にクスクスと私達(私、リリー、ルルー、お姉ちゃん)が笑う。

「私に任せて。堂々としてくれればいいよ。あ、無言でお願いするけど。」

「?……どういう事だ?」

「えーと、覚えていないかな?初めて会った時。急に私達が出てきてびっくりしたんじゃない?」

「……あ~……いきなり変な奴が現れたのは印象に凄い残ってたからな……」

「姉ねの力だよ~」

「……姉様、とりあえず行きませんか?少し遅れてしまいますよ?」

「そうだね……お姉ちゃん、行ってきます。」

「いってらしゃいなのよ~私も皆のところに戻るから……また私達の誰かが遊びに来ると思うけど、よろしくね~」

「分かった。」

私達は、お姉ちゃんを残して部屋を出る。

 私は全員に隠密をかけ、外に出た所で自分に変化をかけてナナになる。

「もう大丈夫ですよ?カイル、私は今ナナだからね?そこ間違えないようにお願い。」

「あぁ。だけど残念だな……本当の姿の方が綺麗で可愛かったのに……」

ボッ!


な、何を言っているのかな?!/////

「……そ、そうですか……」

「あ~姉ねがイチャイチャしてる~」

「ルルー、やめなさい。姉様が付き合った方なのです。兄となるかもしれない人にいじるのはやめておくべきです。」

あ、兄……/////


 私は直ぐに切り替えでちゃんとした貴族の娘になる。


「では、ご主人様。私どもはここで。授業の用意などやってきます。」

そう言ったのは、シン達。

「うん、ありがとう。」

 私達は、ルルーのカードで殿下の位置が分かるので殿下の方へ向かう。

「いや~死ぬ心配が無いから、心が軽いわ。」

「リア……今外ですよ?」

「……だって~思い出してからすっごい心配だったのにもう大丈夫だー!って思っていたら軽くなってしまったわ。ごめんなさい。」

しゅんとしたリアが謝ってくれる。

「反省したのならよし。」

歩きながら話していると、殿下が気付き声をかけてくれた。

「やぁ、昨日は面白い話を聞けて楽しかったよ。」

「ごきげんよう、殿下。私達の事を知ったからにはこの3年間は無事に過ごせるのでご安心くださいね。」

「……って言うか、もう表に出しちゃわねぇか?俺らは殿下の友人兼護衛だってよ。 」

「うーん……今度あいつら連れて行くときに聞いてみるね。」

「……ほんとに昨日のは夢では無かったんだな。」

「そういう事です。」



 それからは、リアも殿下に気軽に話せて陛下にも相談した所『任せる』との事なので、表に出す事になった。

 カイルと殿下の友情も最初はギクシャクしていたが、少ししたらいつの間にかより仲良くなっていた。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」 成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。 「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」 ********************************************        ATTENTION ******************************************** *世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。 *いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。 *R-15は保険です。

3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた

ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。 俺が変わったのか…… 地元が変わったのか…… 主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。 ※他Web小説サイトで連載していた作品です

何を間違った?【完結済】

maruko
恋愛
私は長年の婚約者に婚約破棄を言い渡す。 彼女とは1年前から連絡が途絶えてしまっていた。 今真実を聞いて⋯⋯。 愚かな私の後悔の話 ※作者の妄想の産物です 他サイトでも投稿しております

断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません

天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。 私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。 処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。 魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

亡くなった王太子妃

沙耶
恋愛
王妃の茶会で毒を盛られてしまった王太子妃。 侍女の証言、王太子妃の親友、溺愛していた妹。 王太子妃を愛していた王太子が、全てを気付いた時にはもう遅かった。 なぜなら彼女は死んでしまったのだから。

処理中です...