38 / 41
レア...
しおりを挟む
「本当に大丈夫か?」
プレストの門を前に、俺の乗る馬の手綱を引くライラに聞いた。
「大丈夫です」
「ええ、私達にお任せ下さい」
全く心配をしている様子を見せないライラとミザリ。
ちなみにハンナは一足先にプレストの街に戻った。
ハンナは門をくぐる事なく、街に潜入出来る。
何でも隠蔽のスキルが有れば街の潜入くらいなら誰にも気づかれないそうだ。
「止まれ!」
検問待ちの長い行列、ようやく俺達の番となった。
厳しい目をした門番が呼び止める。
「なんでしょう?」
「随分殺気だってますね」
呑気な様子でライラとミザリは門番達に尋ねた。
「黙れ!」
「ふん...旅の行商人か、怪しいな」
ライラの出した街への通行書類を不振そうに読み、疑いの目を向ける門番達。
そりゃそうだ、馬に跨がっているのは俺だけで、前も後ろも、みんな徒歩で並んでいたのだから。
「まあ、そうでしょうね」
ミザリはゆっくりと顔を上げる。
これからが本番だ。
「なに?」
「ガシー様フードを!!」
「分かった」
ライラの声にずっと目深に被っていたフードを取る。
この服は先程ハンナが用意してくれていた物だ。
「な...嘘...男が馬に!?」
「だ、騙されるな!男に化けているんだ!
変装に決まっている!」
効果は覿面みたいだ。
俺の顔を見た門番達が口々に叫び出す。
それでは次に取りかかるか。
「これでもか?」
手袋を外し、門番に向けて笑気ガスを噴霧する。
槍を構えていた1人にガスは掛かると、笑顔のまま槍を落とした。
「イヤ!」
隣にいたもう1人にもガスを食らわせると、同じ様に笑顔で固まる。
騒ぎを聞き付けた兵士達が門に集まる、門番の様子に兵士達の混乱が広がった。
「な、まさか...奇妙なガスを使う男だと?」
「そういう事だ」
どうやら俺のスキルを知っている様だ。
素早く1人の兵士を鑑定し、そのまま内容を口にする。
「アリシア・パレス、21歳
職業..ほう剣士か。
レベル15で、なんなら弱点も言おうか?」
「や、止めろ!」
アリシアは握っていた剣を振り回しながら後ずさる。
そりゃ誰だって自分の弱い所をさらけ出されたくは無いだろう。
「止めろとは?」
「...止めて下さい」
ライラが兵士に迫ると弱々しい言葉が返って来た。
誰1人俺の方を...いや見てるな。
どうした事か、みんな真っ赤な顔をしていた。
鑑定を...止めておこう、きっと怒り心頭だろうから。
「通るぞ」
「行きますよ」
「何か言いたい事は?」
「分かった...お通り下さい」
こうして街に入る事が出来た。
なぜか兵士達が後に続く、隙を見せられないな。
「ガシー様行きましょう」
「ああ」
馬に跨がったライラとミザリーに続き駆け出す。
早く行かないと、レアを助けるんだ。
「待て!」
眼前に新たな兵士達が立ち塞がる。
不味い、こんな事をしていては...
「待ちなさい!」
「え?」
後ろいた兵士達が俺達の前に回り、なせが小競り合いが始まる。
これは一体?
「バカ!お前達は何を考えている!」
「バカはそっちよ!
あれは間違いなく勇敢な男よ!」
「そうよ、馬に乗ってるのが見えないの?」
「「「え?」」」
視線が一斉に注がれる。
俺はゆっくりと頷いた。
「どいてくれ」
「「「「「...はい」」」」」
固まっていた兵士達が二つに別れ、その間を俺達三人は通りすぎた。
「ガシー様!」
聞き覚えのある声に振り返る。この声は、
「カリーナ!」
「はい!」
やはりカリーナだ、とすれば、
「アイラは?」
「今広場を制圧してます、ハンナはマニラ・ナーバスの屋敷に」
「分かった!」
どうやらカリーナ達が広場で暴れたお陰で、レアの処刑は始まってない。
間に合ったか!
「レア!」
「ガシー様こちらです!」
一軒の屋敷前で叫ぶ女性、ハンナだ!
「レアは?」
「今屋敷に連れ戻されました、早く!」
「分かった!」
開け放たれた門の中に入る。
中は大混乱だ。
「ここは私達が」
「頼む」
兵士達をライラ達に任せ、1人屋敷内に入る。
中は静かな空間が....
「ガシー様」
「レア!」
後ろ手に縛られたレアが姿を現す。
急いで馬から降りて近づく、目立つ怪我は無いようだ。
「死ね!」
「な...」
縛られたいた筈のレアが突然切りかかる、一瞬の出来事に何も反応が出来ず、脇腹を深く切り裂かれてしまった。
「何故だ...」
「あんたと過ごした時間は楽しかったよ、でもマニラ様には敵わなかったけどね」
嫌な笑い顔を浮かべるレア、そんな....
「か...鑑定を」
これは偽物だ、力を振り絞り鑑定スキルを...
「...ダメか」
脇腹の出血が激しく、スキルが発動しない。
ミザリが居てくれたなら...
「アバヨ」
女が剣を振り上げる、あれはレアじゃない!
「させないです!!」
「グワ!!」
突然現れた1人の女性が繰り出す火玉、間違いない、間違えるものか...
「...レア」
「ガシー様....申し訳ございませんです、なかなか逃げられなくて」
ボロボロの衣服は血にまみれ、全身痣だらけのレア。
よく見れば、片目が失われていた。
プレストの門を前に、俺の乗る馬の手綱を引くライラに聞いた。
「大丈夫です」
「ええ、私達にお任せ下さい」
全く心配をしている様子を見せないライラとミザリ。
ちなみにハンナは一足先にプレストの街に戻った。
ハンナは門をくぐる事なく、街に潜入出来る。
何でも隠蔽のスキルが有れば街の潜入くらいなら誰にも気づかれないそうだ。
「止まれ!」
検問待ちの長い行列、ようやく俺達の番となった。
厳しい目をした門番が呼び止める。
「なんでしょう?」
「随分殺気だってますね」
呑気な様子でライラとミザリは門番達に尋ねた。
「黙れ!」
「ふん...旅の行商人か、怪しいな」
ライラの出した街への通行書類を不振そうに読み、疑いの目を向ける門番達。
そりゃそうだ、馬に跨がっているのは俺だけで、前も後ろも、みんな徒歩で並んでいたのだから。
「まあ、そうでしょうね」
ミザリはゆっくりと顔を上げる。
これからが本番だ。
「なに?」
「ガシー様フードを!!」
「分かった」
ライラの声にずっと目深に被っていたフードを取る。
この服は先程ハンナが用意してくれていた物だ。
「な...嘘...男が馬に!?」
「だ、騙されるな!男に化けているんだ!
変装に決まっている!」
効果は覿面みたいだ。
俺の顔を見た門番達が口々に叫び出す。
それでは次に取りかかるか。
「これでもか?」
手袋を外し、門番に向けて笑気ガスを噴霧する。
槍を構えていた1人にガスは掛かると、笑顔のまま槍を落とした。
「イヤ!」
隣にいたもう1人にもガスを食らわせると、同じ様に笑顔で固まる。
騒ぎを聞き付けた兵士達が門に集まる、門番の様子に兵士達の混乱が広がった。
「な、まさか...奇妙なガスを使う男だと?」
「そういう事だ」
どうやら俺のスキルを知っている様だ。
素早く1人の兵士を鑑定し、そのまま内容を口にする。
「アリシア・パレス、21歳
職業..ほう剣士か。
レベル15で、なんなら弱点も言おうか?」
「や、止めろ!」
アリシアは握っていた剣を振り回しながら後ずさる。
そりゃ誰だって自分の弱い所をさらけ出されたくは無いだろう。
「止めろとは?」
「...止めて下さい」
ライラが兵士に迫ると弱々しい言葉が返って来た。
誰1人俺の方を...いや見てるな。
どうした事か、みんな真っ赤な顔をしていた。
鑑定を...止めておこう、きっと怒り心頭だろうから。
「通るぞ」
「行きますよ」
「何か言いたい事は?」
「分かった...お通り下さい」
こうして街に入る事が出来た。
なぜか兵士達が後に続く、隙を見せられないな。
「ガシー様行きましょう」
「ああ」
馬に跨がったライラとミザリーに続き駆け出す。
早く行かないと、レアを助けるんだ。
「待て!」
眼前に新たな兵士達が立ち塞がる。
不味い、こんな事をしていては...
「待ちなさい!」
「え?」
後ろいた兵士達が俺達の前に回り、なせが小競り合いが始まる。
これは一体?
「バカ!お前達は何を考えている!」
「バカはそっちよ!
あれは間違いなく勇敢な男よ!」
「そうよ、馬に乗ってるのが見えないの?」
「「「え?」」」
視線が一斉に注がれる。
俺はゆっくりと頷いた。
「どいてくれ」
「「「「「...はい」」」」」
固まっていた兵士達が二つに別れ、その間を俺達三人は通りすぎた。
「ガシー様!」
聞き覚えのある声に振り返る。この声は、
「カリーナ!」
「はい!」
やはりカリーナだ、とすれば、
「アイラは?」
「今広場を制圧してます、ハンナはマニラ・ナーバスの屋敷に」
「分かった!」
どうやらカリーナ達が広場で暴れたお陰で、レアの処刑は始まってない。
間に合ったか!
「レア!」
「ガシー様こちらです!」
一軒の屋敷前で叫ぶ女性、ハンナだ!
「レアは?」
「今屋敷に連れ戻されました、早く!」
「分かった!」
開け放たれた門の中に入る。
中は大混乱だ。
「ここは私達が」
「頼む」
兵士達をライラ達に任せ、1人屋敷内に入る。
中は静かな空間が....
「ガシー様」
「レア!」
後ろ手に縛られたレアが姿を現す。
急いで馬から降りて近づく、目立つ怪我は無いようだ。
「死ね!」
「な...」
縛られたいた筈のレアが突然切りかかる、一瞬の出来事に何も反応が出来ず、脇腹を深く切り裂かれてしまった。
「何故だ...」
「あんたと過ごした時間は楽しかったよ、でもマニラ様には敵わなかったけどね」
嫌な笑い顔を浮かべるレア、そんな....
「か...鑑定を」
これは偽物だ、力を振り絞り鑑定スキルを...
「...ダメか」
脇腹の出血が激しく、スキルが発動しない。
ミザリが居てくれたなら...
「アバヨ」
女が剣を振り上げる、あれはレアじゃない!
「させないです!!」
「グワ!!」
突然現れた1人の女性が繰り出す火玉、間違いない、間違えるものか...
「...レア」
「ガシー様....申し訳ございませんです、なかなか逃げられなくて」
ボロボロの衣服は血にまみれ、全身痣だらけのレア。
よく見れば、片目が失われていた。
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
忠犬ポチは、異世界でもお手伝いを頑張ります!
藤なごみ
ファンタジー
私はポチ。前世は豆柴の女の子。
前世でご主人様のりっちゃんを悪い大きな犬から守ったんだけど、その時に犬に噛まれて死んじゃったんだ。
でもとってもいい事をしたって言うから、神様が新しい世界で生まれ変わらせてくれるんだって。
新しい世界では、ポチは犬人間になっちゃって孤児院って所でみんなと一緒に暮らすんだけど、孤児院は将来の為にみんな色々なお手伝いをするんだって。
ポチ、色々な人のお手伝いをするのが大好きだから、頑張ってお手伝いをしてみんなの役に立つんだ。
りっちゃんに会えないのは寂しいけど、頑張って新しい世界でご主人様を見つけるよ。
……でも、いつかはりっちゃんに会いたいなあ。
※カクヨム様、アルファポリス様にも投稿しています
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!
殺し屋令嬢の伯爵家乗っ取り計画~殺し屋は令嬢に転生するも言葉遣いがわからない~
雪野湯
ファンタジー
異世界の少女からの復讐依頼。
報酬は死にかけている殺し屋へ自分の肉体を捧げ、新たな人生を渡すこと。
少女は亡霊のように現れ、報酬だけを置いて復讐内容を告げずに消えてしまう。
少女となった殺し屋は異世界での自分の立場を知る。
少女は伯爵の令嬢でありながら、家族から虐待を受けていた。
そこから殺し屋は復讐相手を家族だと断定し、伯爵家を乗っ取り、家族を破滅させつつ財を奪うことを画策する。
だが、その画策を横から奪われ、思わぬ惨劇へと発展してしまう。
この騒動によって、伯爵家には奇妙な謎があることを知り、さらに少女の復讐が本当に家族に向けたものなのかという疑問が浮かび上がる。
少女が目指す復讐とは? 誰に対する復讐なのか? 伯爵家の謎とは?
殺し屋は復讐相手を探し求め、謎に立ち向かう。
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる