デジタルお兄さん

fit2300get

文字の大きさ
上 下
2 / 7
デジタルお兄さんとの運命の出会い

今日子 危機一髪

しおりを挟む
警察官が、スマートウォッチに紙が、はさんであるのに、気がついた。

 それをみた警官は、「ちょっと出かけてくる」と相棒に言って、今日子を追いかけた。

 「今日子ちゃん」警官が、呼び止めた。
 「なんですか?」今日子は、なぜ、呼ばれたか、わからない。
 「今日子ちゃん、これ、あなたの大切なものじゃないか?」警官が諭すように、言った。
 今日子は、知らないおじさんにもらったというと、面倒くさくなると思って、
 「私のものじゃ、ありません」と答えた。
 「じゃあ、この紙に書かれたものは、嘘か?」
 「紙?」そう言って、紙を取った。
 「今日子へ 兄より」それだけだった。
 「私の兄は、一年前に亡くなりました。」それだけ言うのが、精一杯だった。
 「おじさんも、わからんが、君が持っておくべきだ。取っときなさい」
 「はい」と答え、今日子は、コミュニケーターを受け取った。

 警官と別れて、機械に話しかけて見た。が、なにも喋らない。
 「何よ、このへんちくりん。」手に持ってぐるぐる回した。

「あっけに取られた顔してんな!」たけしが、居眠りから、起きた。正確に言うとスリープから目覚めた。

 「たけし、なんか私に隠してない?」と今日子は尋ねた。
 「知らねー」とたけしが答えた。
 2回目のしらねーに今日子の怒りが爆発した。
 「海に投げ捨ててやる」

「お兄さんのことは、いいのかよ?」とたけしは、尋ねた。

「お兄さん」と一言言うと、今日子は、嗚咽(おえつ)した。その場に、座り込んでしまった。

「どうして、死んじゃったの、お兄さん」と気持ちが、膨らんできた。

そこに、高校生ぐらいの3人の若者が、絡んできた。
 「お嬢ちゃん、そのスマートウォッチ、俺にくれないか?」

 今日子は、周りを見回したが、誰もいない。
 「はい」と言って、高校生に渡した。
 「ついでに、お金もくれよ?」要求がエスカレートした。
 「お金は、持ってません」と今日子は返答した。
 「嘘つくんじゃねえ、こんな高級なスマートウォッチ持ってるじゃないか」と言って、時計をぐるぐる回した。
 「こいつをくらえ」とたけしが言って、スタンガンのような電流が高校生に流れた。高校生は、意識を失って倒れた。それをみた二人は、怖くなって逃げた。

 「今日子、早くこの場から、離れるぞ!」とたけしが言った。
 今日子は、スマートウォッチを取り戻して、その場を急いで、立ち去った。

 「頼りがい、あるんだ、たけし」と今日子が言った。するとスマートウォッチは、なにも言わない。感が鋭い今日子は、スマートウォッチをぐるぐる回した。
 「昼寝中に、起こすんじゃない。」とたけしが不満そうに言った。

 「これでも、俺を捨てるか?」とたけしが尋ねた。
 「そうね、しばらくの間、つきあってあげる」と今日子は、自慢げに言った。

 こうして、謎は、明かされぬまま、終わった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

意識転送装置2

廣瀬純一
SF
ワイヤレスイヤホン型の意識を遠隔地に転送できる装置の話

体内内蔵スマホ

廣瀬純一
SF
体に内蔵されたスマホのチップのバグで男女の体が入れ替わる話

5分前のパラレルワールド

ゐがらし雅人
SF
ある日の話だ。俺の不思議な体験はここから始まった。 俺はセンター受験を経て地元から離れて大学へ通っていた。もちろん一人暮らしは初めての経験ばかりで、洗濯、皿洗い、掃除、食事など、ありとあらゆる仕事が次々にのしかかってくる。 そんな中、4ヶ月経ってようやく自分の暮らしが板についてきた頃、俺は大学の創立記念日に1人の友人とアパートの周りの散策に出かけた... そこで起こったある現象に、主人公である俺は次々と扇動されていく!

性転換タイムマシーン

廣瀬純一
SF
バグで性転換してしまうタイムマシーンの話

現実的理想彼女

kuro-yo
SF
恋人が欲しい男の話。 ※オチはありません。

精霊学校ユグドラシル

奇妙な海老
SF
今から何百年も未来の話。 世界は精霊に支配され、人間は彼等の奴隷となった。 しかし人間は諦めてはいなかった。 何百年もの月日を重ね、創り出した人間の切り札。 これは、世界樹という監獄の中で人間が起こす反撃の物語。

性転換ウイルス

廣瀬純一
SF
感染すると性転換するウイルスの話

ロードの箱庭

はが
SF
   旧バルケント王国は数千年前まで支配王の深い瘴気に覆われていたとされ、今は支配王に産み出された不死の亡者や使徒達がその地をさまよい続けているという。  その世界には瘴気の舞う退廃した大地が延々と続いていた。  遙か昔支配王たちが国々を滅し、人々の生きる場所を殆ど奪ってしまった為だった。    やがて支配王が築き上げた世界初の支配帝国はその力を受け継いだとされる紋手者たちによって統治された。  そして北方領土のある酒場の街で少年は紋手者として剣を生成した。  剣は自らを『スタイバル』と名乗る。それは意思を持ち言葉を放つ二つの刃が連なる黒剣だった。  その持主エイコンは白髪に赤眼の男の子。いやでも目立ってしまう風貌の少年と彼だけに言葉を話す不思議な黒剣。 一人と一本はこれから終わりのない旅を始めることとなる。  少年は傭兵としていつか団長となる為、剣はいつか野望のため深淵へと少年をいざなうから。

処理中です...