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第14章 アバター南華子登場。
第4話 「伊東かなで」の正体。
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■ 大阪天津橋脇に立つ高崎薬品の本社ビル。
その部屋の中で小林と、治験を受ける椎葉きよしがベットの上で横たわっていた。
「シー、お前ぇ、治験の案内や説明開始からずっと寝とってたべ!注意事項聞いたか?」
ベットに横たわり新薬の点滴を受ける椎葉。
小林は話しかけるが、ピクリとも動かない。
「クソっ!既に爆睡っ。」
椎葉の脳波を確認。他の計器を目視で確認する小林。
「シーラスマザー。」
( イエスキャップ。 )
「データは」
( 全トレース、ハッキング、データ漏洩も今の所、ありません。新薬の投与も問題ありません。 )
「宜しい。」
椎葉の顔を覗き込む小林。
( 小林大佐。部屋の移動を行います。 )
「承認。」
部屋を見渡す小林。
ガタンと音がして微かに振動する室内。その内、振動が止まった。
( すまん。地球、いや太陽系を守る為だ。シー。 )
と、椎葉を見つめる小林。
そして、コンコンとドアをノックする音がした。
( コンコンッ! )
「カミン……。」
と答える小林。
「伊東大尉、入ります。」
ベレー帽を被ったシラス加盟国軍の軍服姿の女性。
伊東奏が入室した。
「大佐、至急電です。」
「宜しい大尉。何だ。」
「大佐、シーラス・英国。ロンドン支部から自衛隊オービターと連絡が取れたと報告が入りました。」
「おーそうか!」
「杉山機長以下9名と救助した1名。そして警備歩兵の4名は無事だそうです。」
「そうか。時間的にそろそろ再突入の時間だな。」
透明なクリスタル端末を見ながら答える伊東奏大尉。
「万が一に備えて、伊勢のバックアップ支部では英国RSFマーシャル・ジョンソン閣下が指揮を執っており、レッドアラートポジションをレベル2に昇格、戦闘態勢でホールドです。」
「何?なぜ連絡が取れているのにレッドアラートなんだ?。逆にイエローアラート1解除だろうに。ポジションも4ポイント上がって。どう言う事だ?何を攻撃する。シーラス、マザー?なぜお前から至急電がなかった?」
( マーシャル・ジョンソンから准将以上に通知とのご命令です。御舩大将閣下より伊東大尉に至急電を託した模様です。ただ、質問についての制限はない為、今、この様に小林大佐に回答しております。 )
「連絡は今とれたのか?」
( はい。ロンドンの宙空管制より連絡が先ほど取れたと報告が入りました。オービターは今、EI(大気圏再突入)中です。 )
端末を伊東大尉に返した。
「向かっているなら良い。私もすぐ橿原に行く。準備したまえ。」
「大佐。」
手で小林を抑える伊東。
「ん?どうした。」
「はい。もしかしたらオービター内で警護している兵に紛れこんで居るかもしれません。大佐、丘珠宙空ステーションを閉鎖しては如何でしょうか。」
「さすが伊東だ。すでに封鎖中だ。」
ニコッとする伊東大尉。
「マザー?」
( 既に私の提案で丘珠宙空ステーションを欺瞞工作で封鎖をしております。また、ロッテルダム、ドバイ、カルカッタ各宙空ステーションに緊急着陸の許可を得ております。 )
目を合わす小林と伊東。
この期に及んでまだ、自分の本拠地ロンドンの懐に招き入れようとするジョンソンのズル賢い発想に呆れたのだ。しかし、裏切り者スパイのジョンソン提督といえ今の小林は、とりあえず彼の部下の身だった。
「……ジョンソン元帥閣下、船坂大将閣下の両閣下へ、私の情報取得を報告。」
( イエスキャッ。 )
「枢軸軍の追跡はありません。」
端末を見ながら伊東大尉が答える。
「判った。とにかく橿原に向かう。そこでだ、伊東大尉。命令!」
「はっ!」
直立不動で敬礼をする伊東奏。
「大尉、椎葉きよしおよび家族の保護および警護。まず丘珠札幌宙空ステーションで椎葉オディアを確保。そして栗山町まで警護。そこから椎葉ファミリーの警護開始。期間は作戦上、追って通達する。よろしいか?君に一任する。彼の行動スケジュールは既に知っているな。」
「はっ大佐。スケジュールは把握しております。私は民間人、椎葉きよしと共に移動し、ファミリーを警護致します。」
「宜しい。」
「小林大佐。それでは栗山町、椎葉実家に行きます。椎葉ファミリーとポーランド経由でパラオ本部に向かうよう橿原本部のフランソワ上級軍医からも指示を受けました。格闘装備アルファ(α)で準備いたします。」
「宜しい。しかし、医療装備タンゴ(T)で頼む。」
( 小林大佐?医療装備タンゴとは登録されていませんが。 )
シーラスマザーが小林に質問する。
天井を見てから腕組みをする小林大佐。
「伊東大尉の装備について、マザーには追って報告する。伊東大尉、医療装備タンゴで準備するように。格闘S徽章付きの君が付き添いなら安心だが、何があるか解らん。気をつけろよ。」
「はっ、大佐!」
医療装備タンゴとは、既にウシハクルやAXISのスパイの手に落ちているシーラスマザーに対する欺瞞コード報告だった。
正確には、コード医療は対人、コード装備Tは特殊チタニュウム合金に対応する接近戦武装装備の事であった。すなわち対機動歩兵や対機動モービル・HARMARへのゼロ距離攻撃武装装備の事である。
伊東は脳波に一切乱れが無いように訓練を受けている。その訓練を積んだ伊東だからこそ、御舩は至急電を伊東に任せたのだった。
伊東は伊東で、瞬間にオービターの内に居る、チタニウム合金の塊の警備用機動歩兵がターゲットである事を理解した。
だから白兵戦に特化した自分が、この作戦に選ばれた事に納得したのだ。
命令を受けた後の敬礼をする伊東大尉。振り向いて行こうと、帰り掛けの伊東大尉の腕を引いた。
「えっ?大佐何か。」
「教え子への情ではないが……。今の椎葉には十分気を付けろよ。」
「えっ?」
チロッと右下を見る小林。
鼻ちょうちん、イビキ、ヨダレを垂らしながら爆睡する椎葉をアゴで指した。
伊東が椎葉を見ると、女子高時代エルジビエタの家に遊びへ行くといつも居間のソファーで寝てる、エルジビエタの兄ちゃんのままだった。
「はぁい?」
ぷ、ぷ、と笑いを堪えて涙目の伊東大尉。
「教官……あっ失礼致しました小林大佐!この男は、なんというか実は婦人に対して何かをするストーカーとかでしょうか?私にとっては友人の義兄。旧知の仲で、今は会社の上司です。気をつけろと言われても~、」
「違う、違う。そう言う事ではない。ただ、任務に、もし支障がでることであれば、無理せず交代も構わんと……。」
小林は感応波で現状情報を椎葉の脳に直接送り込んでいる為、精神的に破綻をきたすとか、暴れるとか、万が一のつもりで言ったはずだったが、伊東には違うイメージで伝わってしまった。
「大佐!何を示唆されているか解りませんが任務を完全に遂行いたします。絶対に任務からはずさないでください!教官、いやいや呼び方を、何度もすみません大佐!失礼いたします!」
敬礼し、バタンッと強くドアを閉めて退出する伊東大尉。
「あらぁ?なんで怒ってるんだべ?マザーわかるべか?」
( 私も理解出来ません……。もう、本社ビルに上がりましょう。大佐。 )
「……そだね。」
腕を組んで悩む小林を乗せたまま、静かに上昇する医務室。
この会社の地下にはシーラス加盟国軍、各国の対地上および地対空実行部隊や自衛隊、日本国軍の防衛部隊の拠点があるのだ。
人混みに紛れた私服の米国、英国、台湾、ポーランド、女真帝国の機動歩兵兵士やモービルパイロットが続々と集結していた。
橿原と伊勢同様に3分で各所移動できる真空チューブに繋がっていた。
表示板の明かりが赤から青に変わる。伊東奏は部屋が完全に上がったのを確認した。
「ふんっ!」
と肩を怒らせながら歩き始める伊東大尉。
「オタク親父を守るのはいいけどぉ、エルやシルビアさんに悪いけどォ~、なんか腹立つ!小林大佐も大佐だわ。なんであんなへなちょこを警戒しろって。もう私の実力なめすぎ!」
一般市民レベルを遥かに超える白兵戦の達人の伊東。
小林の椎葉きよしを警戒せよに腹を立てた奏だった。
地下の廊下では、沢山の各国の男女の兵士が歩いているのに、全く構わずベレー帽を取り、歩きながらスカーフを外し軍服を脱ぎ始める伊東大尉。
更衣室の前で、スカートのチャックに手を伸ばすと、人の目線に立ち止まる。
「何見てんのよ!張り倒すよ!」
ヒッ、ヒィ~と逃げる白人男性兵士たち。
バタンッ!と更衣室に入る。
もう一度、ブラジャーとパンツ姿のまま、更衣室の戸を開き、左右を見る。
「フンっ!」
( バタン! )
と着替え室に入る伊東大尉だった。
⬜︎ 特殊チタン製の真空チューブの中を進むゴンドラカプセル。
「AXISの●チガイ共め。」
大阪梅田天満橋から奈良橿原に向かう真空チューブ。
スマハンドに受信た情報を見て、高速移動するゴンドラカプセルで、憤慨する小林大佐だった。
「βシーラス。」
( はい。小林大佐。まずは、早速ですが、オービターの中のオディアが、そろそろ自宅上空でダイブするわ。うふふっ。 )
「成る程な。ダイブして帰省か。相変わらず凄いなオディア!はははっ。そうだ、ベータ。ネイジェア星域皇国に対して亜空間通信をした痕跡はあるか?」
( ハイ、お見事!小林大佐っ。うふふっ。亜空間データ通信それも緊急通信の形跡がありますわよ。空間座標32.46202276、136.72573151。マイナス8121mです。伊勢バックアップ本部から出ていますわ。 )
「具体的には?」
( 英国の新造艦「デューク・オブ・ヨーク」です。 )
「あ。あははっ。なめてんのか!ジョンソン!ほ~んまに。笑うわ。」
( デューク・オブ・ヨークから日本時間05:08に亜空間通信。ウシハクル皇国星へ向けて発信していますわ。オービターとオディア搭乗の短艇のランデブーした時間と一致。本件はネイジェア星域のシーラス皇国衛星都市ラグス・ラムダ経由で受信しました。地球に向かうシーラスムーンのキャシー拓殖大尉からの一報で判明したの。あっ今、解析の終わった重要データがありますわ。大佐。)
「えっ?何だ。」
( 微弱な暗黒物質の放出が、かなりの数が確認されました。 )
「何かを沢山ジャンプさせた?」
( 人と、もしくは人より少し大きい何かです。大佐。ジャンプ先は……。 )
「何処だ?」
( 一部探知不能ですわ。非常に遠くの場所としか。ネイジェア星域より遥かに遠い銀河、未知の領域ですわ。この古いジャンプ塔を操作出来るのは……。 )
「やはりオディアが片づけたか。」
( そういう事ね。うふふっ。私のからだの本体がある、ノーラ・システムの制御室に来た時はなんにも言わなかったのに。わたしの顔を見に来ただけって。うふふっ。ほんとに可愛いわ。 )
「オディアが救出前に操作した、その古代ジャンプアンテナ塔は無事か?」
( 1ミリの傷もありませんわ。うふふっ。 )
「そうか。結局、月裏のスーリアリゾートには全く被害がなかったんだな。」
( 10ブロック離れたアース・スーリアのリゾート、新ジャンプ基地、宿泊施設は普段と変わらぬ模様よ。楽しそうですわよ。貴族院のちびっ子ちゃんも、サイオン皇帝陛下に招待された兵士のご家族も大勢いて。ネイジェア星は夏休みなのかしら。うふふ。 )
「そうか。ベータ?キャシー柘植大尉達はオディアと別れた後、シーラスムーンで無事に地球に向かって来ているな。」
( はい。第1群から第4群までの全員がシーラスムーンで地球に帰りますわ。現在、サイオン皇帝陛下と全員が会議中との事です。うふふっ。 )
「サイオン皇帝陛下の誘拐劇か。首謀のウシハクルのゴンロッソ侯爵。」
( サイオン皇帝陛下は、今まで見たことが無い位、ご立腹だったらしいわよ。 )
「もうネイジェア本星の宙域では、戦闘は収まっているのか?」
( はい。ご報告通り、すでに完全収束ですわ。後、予測通り一部の逃亡した連中がいるみたいよ。未練たっぷり変態侯爵のおバカ達が。うふふっ。 )
「どの世界にもやっかいな奴らがいるもんだ。」
( その謹慎中のウシハクル皇国。地球に潜むシーラス内の、おバカな地球のスパイが、お伊勢さんから亜空間データを送ったものだから、いま、皇国の亜空間警察隊がデータ受信先に警備艦隊を送っている最中。うふふっ。おバカ!本当におバカ!オディアもオービターで言っていたけど、バカにスパイは務まんないわ。うふふふっ。マーシャがウシハクルからの情報を遮断していたお陰で、パトロンのウシハクルが謹慎中とも知らずに。ウシハクル本星の反政府組織の隠れ家が特定されて。うふふっ。地球内のおバカスパイはいい働きしてくれるわ。 )
「なははっ!マーシャが情報遮断してくれたおかげで、ウシハクルの誘拐劇が大失敗したのを知らずにな!マーシャは本当に凄いな。有り難い!ほんとうに、ジョンソン。1次情報も知らずに。はははっ。」
( もう1つ、至急電。これは軍じゃなく、自衛隊の至急電よ。 )
「何っ?」
( オービターが出発した自衛隊の月衛星軌道のシーラス・PKFS共同第1衛星基地で日本国軍と自衛隊の警備機動歩兵WALKERの男女4名の遺体が発見されました。御舩閣下へ衛星基地司令からご報告が入ったわよ。 )
「何っ!そうか。やはりオービターにスパイが乗り込んだか。了解した。」
( オービターの機長は杉山1等宙佐。シーラス、特にオリジナル・ペンタゴンでは、すでにショート亜空間通信で自衛隊員9名の無事とオディアの無事を確認していました。接続はウクライナのイージス・アショア基地にいるマーシャ、真理亜・オースティン。シーラス技術院少佐がやってくれていましたわ。さっそくマーシャからチャイニーズアクシスの魂胆を杉山機長に伝えたらしいわよ。うふふっ。 )
「有り難い。よっしゃ。ドクター椎葉京子に協力要請。丘珠着陸後の作戦は北海道で待機中の黄メイリン伍長を通し伊東大尉へ連絡。現在までの正確な情報も超長波で伊東大尉へ通信。通信連絡時間はリニアが都市圏の敵傍受を警戒して東京、首都圏通過後に。ベータアバターは岩見沢で実体化。ピーターアバターは、ピーターの任意判断で実体化。ベータは椎葉きよし警護を目的で、椎葉きよしと栗山に向かうように。」
( はい。了解致しました。時間ですわ、大佐。シーラス・マザーに探知されます。 )
「了解。私はそら(宇宙)に上がって閣下と酒盛りだ。」
( うふふっ。明日、椎葉の実家でお会いしましょう大佐。引き継ぎオディアと行動いたします。うふふ。 )
「たのむ。」
無音のままチューブゴンドラが橿原・シーラス参謀司令本部ビル中心部に到着した。
その部屋の中で小林と、治験を受ける椎葉きよしがベットの上で横たわっていた。
「シー、お前ぇ、治験の案内や説明開始からずっと寝とってたべ!注意事項聞いたか?」
ベットに横たわり新薬の点滴を受ける椎葉。
小林は話しかけるが、ピクリとも動かない。
「クソっ!既に爆睡っ。」
椎葉の脳波を確認。他の計器を目視で確認する小林。
「シーラスマザー。」
( イエスキャップ。 )
「データは」
( 全トレース、ハッキング、データ漏洩も今の所、ありません。新薬の投与も問題ありません。 )
「宜しい。」
椎葉の顔を覗き込む小林。
( 小林大佐。部屋の移動を行います。 )
「承認。」
部屋を見渡す小林。
ガタンと音がして微かに振動する室内。その内、振動が止まった。
( すまん。地球、いや太陽系を守る為だ。シー。 )
と、椎葉を見つめる小林。
そして、コンコンとドアをノックする音がした。
( コンコンッ! )
「カミン……。」
と答える小林。
「伊東大尉、入ります。」
ベレー帽を被ったシラス加盟国軍の軍服姿の女性。
伊東奏が入室した。
「大佐、至急電です。」
「宜しい大尉。何だ。」
「大佐、シーラス・英国。ロンドン支部から自衛隊オービターと連絡が取れたと報告が入りました。」
「おーそうか!」
「杉山機長以下9名と救助した1名。そして警備歩兵の4名は無事だそうです。」
「そうか。時間的にそろそろ再突入の時間だな。」
透明なクリスタル端末を見ながら答える伊東奏大尉。
「万が一に備えて、伊勢のバックアップ支部では英国RSFマーシャル・ジョンソン閣下が指揮を執っており、レッドアラートポジションをレベル2に昇格、戦闘態勢でホールドです。」
「何?なぜ連絡が取れているのにレッドアラートなんだ?。逆にイエローアラート1解除だろうに。ポジションも4ポイント上がって。どう言う事だ?何を攻撃する。シーラス、マザー?なぜお前から至急電がなかった?」
( マーシャル・ジョンソンから准将以上に通知とのご命令です。御舩大将閣下より伊東大尉に至急電を託した模様です。ただ、質問についての制限はない為、今、この様に小林大佐に回答しております。 )
「連絡は今とれたのか?」
( はい。ロンドンの宙空管制より連絡が先ほど取れたと報告が入りました。オービターは今、EI(大気圏再突入)中です。 )
端末を伊東大尉に返した。
「向かっているなら良い。私もすぐ橿原に行く。準備したまえ。」
「大佐。」
手で小林を抑える伊東。
「ん?どうした。」
「はい。もしかしたらオービター内で警護している兵に紛れこんで居るかもしれません。大佐、丘珠宙空ステーションを閉鎖しては如何でしょうか。」
「さすが伊東だ。すでに封鎖中だ。」
ニコッとする伊東大尉。
「マザー?」
( 既に私の提案で丘珠宙空ステーションを欺瞞工作で封鎖をしております。また、ロッテルダム、ドバイ、カルカッタ各宙空ステーションに緊急着陸の許可を得ております。 )
目を合わす小林と伊東。
この期に及んでまだ、自分の本拠地ロンドンの懐に招き入れようとするジョンソンのズル賢い発想に呆れたのだ。しかし、裏切り者スパイのジョンソン提督といえ今の小林は、とりあえず彼の部下の身だった。
「……ジョンソン元帥閣下、船坂大将閣下の両閣下へ、私の情報取得を報告。」
( イエスキャッ。 )
「枢軸軍の追跡はありません。」
端末を見ながら伊東大尉が答える。
「判った。とにかく橿原に向かう。そこでだ、伊東大尉。命令!」
「はっ!」
直立不動で敬礼をする伊東奏。
「大尉、椎葉きよしおよび家族の保護および警護。まず丘珠札幌宙空ステーションで椎葉オディアを確保。そして栗山町まで警護。そこから椎葉ファミリーの警護開始。期間は作戦上、追って通達する。よろしいか?君に一任する。彼の行動スケジュールは既に知っているな。」
「はっ大佐。スケジュールは把握しております。私は民間人、椎葉きよしと共に移動し、ファミリーを警護致します。」
「宜しい。」
「小林大佐。それでは栗山町、椎葉実家に行きます。椎葉ファミリーとポーランド経由でパラオ本部に向かうよう橿原本部のフランソワ上級軍医からも指示を受けました。格闘装備アルファ(α)で準備いたします。」
「宜しい。しかし、医療装備タンゴ(T)で頼む。」
( 小林大佐?医療装備タンゴとは登録されていませんが。 )
シーラスマザーが小林に質問する。
天井を見てから腕組みをする小林大佐。
「伊東大尉の装備について、マザーには追って報告する。伊東大尉、医療装備タンゴで準備するように。格闘S徽章付きの君が付き添いなら安心だが、何があるか解らん。気をつけろよ。」
「はっ、大佐!」
医療装備タンゴとは、既にウシハクルやAXISのスパイの手に落ちているシーラスマザーに対する欺瞞コード報告だった。
正確には、コード医療は対人、コード装備Tは特殊チタニュウム合金に対応する接近戦武装装備の事であった。すなわち対機動歩兵や対機動モービル・HARMARへのゼロ距離攻撃武装装備の事である。
伊東は脳波に一切乱れが無いように訓練を受けている。その訓練を積んだ伊東だからこそ、御舩は至急電を伊東に任せたのだった。
伊東は伊東で、瞬間にオービターの内に居る、チタニウム合金の塊の警備用機動歩兵がターゲットである事を理解した。
だから白兵戦に特化した自分が、この作戦に選ばれた事に納得したのだ。
命令を受けた後の敬礼をする伊東大尉。振り向いて行こうと、帰り掛けの伊東大尉の腕を引いた。
「えっ?大佐何か。」
「教え子への情ではないが……。今の椎葉には十分気を付けろよ。」
「えっ?」
チロッと右下を見る小林。
鼻ちょうちん、イビキ、ヨダレを垂らしながら爆睡する椎葉をアゴで指した。
伊東が椎葉を見ると、女子高時代エルジビエタの家に遊びへ行くといつも居間のソファーで寝てる、エルジビエタの兄ちゃんのままだった。
「はぁい?」
ぷ、ぷ、と笑いを堪えて涙目の伊東大尉。
「教官……あっ失礼致しました小林大佐!この男は、なんというか実は婦人に対して何かをするストーカーとかでしょうか?私にとっては友人の義兄。旧知の仲で、今は会社の上司です。気をつけろと言われても~、」
「違う、違う。そう言う事ではない。ただ、任務に、もし支障がでることであれば、無理せず交代も構わんと……。」
小林は感応波で現状情報を椎葉の脳に直接送り込んでいる為、精神的に破綻をきたすとか、暴れるとか、万が一のつもりで言ったはずだったが、伊東には違うイメージで伝わってしまった。
「大佐!何を示唆されているか解りませんが任務を完全に遂行いたします。絶対に任務からはずさないでください!教官、いやいや呼び方を、何度もすみません大佐!失礼いたします!」
敬礼し、バタンッと強くドアを閉めて退出する伊東大尉。
「あらぁ?なんで怒ってるんだべ?マザーわかるべか?」
( 私も理解出来ません……。もう、本社ビルに上がりましょう。大佐。 )
「……そだね。」
腕を組んで悩む小林を乗せたまま、静かに上昇する医務室。
この会社の地下にはシーラス加盟国軍、各国の対地上および地対空実行部隊や自衛隊、日本国軍の防衛部隊の拠点があるのだ。
人混みに紛れた私服の米国、英国、台湾、ポーランド、女真帝国の機動歩兵兵士やモービルパイロットが続々と集結していた。
橿原と伊勢同様に3分で各所移動できる真空チューブに繋がっていた。
表示板の明かりが赤から青に変わる。伊東奏は部屋が完全に上がったのを確認した。
「ふんっ!」
と肩を怒らせながら歩き始める伊東大尉。
「オタク親父を守るのはいいけどぉ、エルやシルビアさんに悪いけどォ~、なんか腹立つ!小林大佐も大佐だわ。なんであんなへなちょこを警戒しろって。もう私の実力なめすぎ!」
一般市民レベルを遥かに超える白兵戦の達人の伊東。
小林の椎葉きよしを警戒せよに腹を立てた奏だった。
地下の廊下では、沢山の各国の男女の兵士が歩いているのに、全く構わずベレー帽を取り、歩きながらスカーフを外し軍服を脱ぎ始める伊東大尉。
更衣室の前で、スカートのチャックに手を伸ばすと、人の目線に立ち止まる。
「何見てんのよ!張り倒すよ!」
ヒッ、ヒィ~と逃げる白人男性兵士たち。
バタンッ!と更衣室に入る。
もう一度、ブラジャーとパンツ姿のまま、更衣室の戸を開き、左右を見る。
「フンっ!」
( バタン! )
と着替え室に入る伊東大尉だった。
⬜︎ 特殊チタン製の真空チューブの中を進むゴンドラカプセル。
「AXISの●チガイ共め。」
大阪梅田天満橋から奈良橿原に向かう真空チューブ。
スマハンドに受信た情報を見て、高速移動するゴンドラカプセルで、憤慨する小林大佐だった。
「βシーラス。」
( はい。小林大佐。まずは、早速ですが、オービターの中のオディアが、そろそろ自宅上空でダイブするわ。うふふっ。 )
「成る程な。ダイブして帰省か。相変わらず凄いなオディア!はははっ。そうだ、ベータ。ネイジェア星域皇国に対して亜空間通信をした痕跡はあるか?」
( ハイ、お見事!小林大佐っ。うふふっ。亜空間データ通信それも緊急通信の形跡がありますわよ。空間座標32.46202276、136.72573151。マイナス8121mです。伊勢バックアップ本部から出ていますわ。 )
「具体的には?」
( 英国の新造艦「デューク・オブ・ヨーク」です。 )
「あ。あははっ。なめてんのか!ジョンソン!ほ~んまに。笑うわ。」
( デューク・オブ・ヨークから日本時間05:08に亜空間通信。ウシハクル皇国星へ向けて発信していますわ。オービターとオディア搭乗の短艇のランデブーした時間と一致。本件はネイジェア星域のシーラス皇国衛星都市ラグス・ラムダ経由で受信しました。地球に向かうシーラスムーンのキャシー拓殖大尉からの一報で判明したの。あっ今、解析の終わった重要データがありますわ。大佐。)
「えっ?何だ。」
( 微弱な暗黒物質の放出が、かなりの数が確認されました。 )
「何かを沢山ジャンプさせた?」
( 人と、もしくは人より少し大きい何かです。大佐。ジャンプ先は……。 )
「何処だ?」
( 一部探知不能ですわ。非常に遠くの場所としか。ネイジェア星域より遥かに遠い銀河、未知の領域ですわ。この古いジャンプ塔を操作出来るのは……。 )
「やはりオディアが片づけたか。」
( そういう事ね。うふふっ。私のからだの本体がある、ノーラ・システムの制御室に来た時はなんにも言わなかったのに。わたしの顔を見に来ただけって。うふふっ。ほんとに可愛いわ。 )
「オディアが救出前に操作した、その古代ジャンプアンテナ塔は無事か?」
( 1ミリの傷もありませんわ。うふふっ。 )
「そうか。結局、月裏のスーリアリゾートには全く被害がなかったんだな。」
( 10ブロック離れたアース・スーリアのリゾート、新ジャンプ基地、宿泊施設は普段と変わらぬ模様よ。楽しそうですわよ。貴族院のちびっ子ちゃんも、サイオン皇帝陛下に招待された兵士のご家族も大勢いて。ネイジェア星は夏休みなのかしら。うふふ。 )
「そうか。ベータ?キャシー柘植大尉達はオディアと別れた後、シーラスムーンで無事に地球に向かって来ているな。」
( はい。第1群から第4群までの全員がシーラスムーンで地球に帰りますわ。現在、サイオン皇帝陛下と全員が会議中との事です。うふふっ。 )
「サイオン皇帝陛下の誘拐劇か。首謀のウシハクルのゴンロッソ侯爵。」
( サイオン皇帝陛下は、今まで見たことが無い位、ご立腹だったらしいわよ。 )
「もうネイジェア本星の宙域では、戦闘は収まっているのか?」
( はい。ご報告通り、すでに完全収束ですわ。後、予測通り一部の逃亡した連中がいるみたいよ。未練たっぷり変態侯爵のおバカ達が。うふふっ。 )
「どの世界にもやっかいな奴らがいるもんだ。」
( その謹慎中のウシハクル皇国。地球に潜むシーラス内の、おバカな地球のスパイが、お伊勢さんから亜空間データを送ったものだから、いま、皇国の亜空間警察隊がデータ受信先に警備艦隊を送っている最中。うふふっ。おバカ!本当におバカ!オディアもオービターで言っていたけど、バカにスパイは務まんないわ。うふふふっ。マーシャがウシハクルからの情報を遮断していたお陰で、パトロンのウシハクルが謹慎中とも知らずに。ウシハクル本星の反政府組織の隠れ家が特定されて。うふふっ。地球内のおバカスパイはいい働きしてくれるわ。 )
「なははっ!マーシャが情報遮断してくれたおかげで、ウシハクルの誘拐劇が大失敗したのを知らずにな!マーシャは本当に凄いな。有り難い!ほんとうに、ジョンソン。1次情報も知らずに。はははっ。」
( もう1つ、至急電。これは軍じゃなく、自衛隊の至急電よ。 )
「何っ?」
( オービターが出発した自衛隊の月衛星軌道のシーラス・PKFS共同第1衛星基地で日本国軍と自衛隊の警備機動歩兵WALKERの男女4名の遺体が発見されました。御舩閣下へ衛星基地司令からご報告が入ったわよ。 )
「何っ!そうか。やはりオービターにスパイが乗り込んだか。了解した。」
( オービターの機長は杉山1等宙佐。シーラス、特にオリジナル・ペンタゴンでは、すでにショート亜空間通信で自衛隊員9名の無事とオディアの無事を確認していました。接続はウクライナのイージス・アショア基地にいるマーシャ、真理亜・オースティン。シーラス技術院少佐がやってくれていましたわ。さっそくマーシャからチャイニーズアクシスの魂胆を杉山機長に伝えたらしいわよ。うふふっ。 )
「有り難い。よっしゃ。ドクター椎葉京子に協力要請。丘珠着陸後の作戦は北海道で待機中の黄メイリン伍長を通し伊東大尉へ連絡。現在までの正確な情報も超長波で伊東大尉へ通信。通信連絡時間はリニアが都市圏の敵傍受を警戒して東京、首都圏通過後に。ベータアバターは岩見沢で実体化。ピーターアバターは、ピーターの任意判断で実体化。ベータは椎葉きよし警護を目的で、椎葉きよしと栗山に向かうように。」
( はい。了解致しました。時間ですわ、大佐。シーラス・マザーに探知されます。 )
「了解。私はそら(宇宙)に上がって閣下と酒盛りだ。」
( うふふっ。明日、椎葉の実家でお会いしましょう大佐。引き継ぎオディアと行動いたします。うふふ。 )
「たのむ。」
無音のままチューブゴンドラが橿原・シーラス参謀司令本部ビル中心部に到着した。
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