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第14章 アバター南華子登場。
第3話 あの日。僕たちのグランド・ゼロ。
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■ 23年前の6月25日。
その日、早朝から始まったAXISの北海道侵攻作戦。
手始めに始まった陽動作戦としての台湾、金門県への攻撃。
世界の目を台湾へ釘付けにしてからの、敵の本目標、北海道着上陸作戦だった。
敵は、威力偵察で、苫小牧港湾へ貨物船に積んだ機動モービルHARMORと特殊潜入部隊で潜入。
その後、小型潜水艦による巡航ミサイルの飽和攻撃。
当時、海軍史上最強を謳われた日本国軍・自衛隊共同第2機動艦隊が苫小牧沖で消滅してしまったのだ。
その後、苫小牧湾岸に潜入した20隻の超大型潜水母艦と上陸部隊の侵入による苫小牧市への侵略攻撃が始まったのだ。
敵の大規模HARMOR大隊とシーラスのHARMORによるロボット会戦が行われた。
結果、苫小牧市を守るシーラスのHARMOR防衛部隊が全滅してしまった。
苫小牧市を占領したAXISの着上陸軍は、大破や行動不能になった機体を残し、50機近い機動モービルの大群で千歳宙空ステーションに襲い掛かったのだ。
最初に迎え撃ったのは千歳に残った小林、椎葉、黄(ホァン)の小林小隊と、椎葉きよしの恋人だったジェシカ・スミス小隊の合計、たった6機の機動モービル小隊だった。
実戦配備した小林、ルオの2人にとっては初陣だった。
椎葉きよしは前年の対馬防衛戦から2回目の実戦だった。
序盤は人民解放軍の物量の勝利と思われたが、小林たちは距離を大きく保ち、新型モービルの高高度機能を最大限に生かし上空から自由落下狙撃の攻撃をした。短時間で半数の敵モービルを行動不能にした。しかし地上戦に戦いが移ると苦戦を強いられた。
AXISの中でもエース級のパイロットと機体で作戦に臨んでいたのだ。
瞬く間にジェシカ小隊が次々に撃破された。そして、椎葉達を助けるためにジェシカは部下のリリアナと共に自爆した。それも小型熱核兵器で自爆したのだった。
昨年の対馬戦役に続いて世界に衝撃が走った。
しかし、残った3機、椎葉や小林、黄ルオの機動モービルは善戦した。
人民宇宙軍は戦いが不利になると、逃げ遅れた空港職員や一般の空港利用客などが退避していた倉庫に襲い掛かる。
生き残った人民解放宇宙軍の機動モービル対日本軍3機の機動モービル戦。
実はAXIS軍、最後のカードがあった。昇竜モービル小隊が無傷で温存されていたのだった。
とりあえず、ひと安心する小林未央の毘沙門天(バイシュラーヴァナ機)。
弾薬が残り少なくなり、弾数確認の為に仁王立ちした。実戦で、戦場で大きな的となる機動モービルの動きを止める事はご法度だが、シュミレーターで慣れきった小林は各装備の弾数確認で止めてしまった。そんな中、大破した解放軍の機動モービルが息を吹きかえした。
その機動モービルの放った一撃が小林のコクピットを直撃したのだ。大勢が避難した倉庫の前に飛ばされる小林の毘沙門天。
衝撃で、小林が気をうしなった。その様子を見て、再度襲う敵モービル。
きよしのアタッカーモービルは単機で立ち向かった。
ルオも上空からスナイピングしてきよしを助ける。
行動不能状態の小林の自機の毘沙門天。その毘沙門天に昇竜モービル小隊が襲い掛かった。
3機1チームのAXIS軍の機動モービル。
その1機はオンライン・シュミレーションバトルでいつも世界の順位の1、2位を小林と争っていた昇竜マークの機体とそのチーム機だった。
動けない毘沙門天を3機が囲み、殴る、蹴る。
そして、もて遊ぶ。
即座に椎葉のシバの神と、同僚の黄ルオのパールバディ機がカバーに入った。
小林の前に立ちはだかるパールバディ。
しかし、黄ルオのパールバディは既に弾切れの上、そして、至る所が既に被弾していた。
AXISの3機は、弾切れでほぼ無抵抗のパールバディに弾をぶち込んだ。
とうとう、パールバディ機のルオが愛機と共に爆死したのだ。
それも木っ端みじんだった。
ルオのパールバティを打ち破り、勝ち誇る昇竜モービル小隊。
その隙をついて、きよしのシバの神は昇竜のチーム機、2機を一撃で撃破した。
しかし、昇竜モービルは倒せなかった。
その後、昇龍マークの機動モービルのHARMORが、まともに戦ってもシバの神にかなわない事を悟ると、倉庫前で防弾シールドの準備をしていた生身の技術武官の黄夫婦(ルオの両親)に狙いをつけた。
シバの神の単機突進に慌てた昇竜は、黄夫妻を撃った。
そして、妻のリーリンが重症を負う事になる。
とっさに黄夫妻の盾となる椎葉きよしのシバの神。
動けない椎葉をいいことに40ミリ速射カノン砲を昇竜マークの敵HARMORが至近距離からシバ神のコクピットに連射した。
ついに撃ち抜かれてコクピットから上半身が吹き飛び、シバの神は大爆発を起こした。
その時の小林の記憶……。
1度目のシバの神が起こした大爆発の振動や音で小林は息を吹き返した。大量出血によって再び気を失いかけた小林は歯を食いしばり、無理やり気合を入れて意識を戻した。
2度目のシバの神の爆発。
明るい光が左モニターから差し込んだ。
左モニターを振り向くと異様な光景が映し出されていた。小林のひび割れたモニターには、左目から血を流し、左半身が血だらけになり、コクピットから右足だけで立って拳銃を向ける椎葉きよしが映った。
「シー、まだ動いていやがる。あんな状態で立ち上がってやがる!シー!」
意識が遠のく中、大破炎上し、その炎の中に立つ生身の椎葉に40ミリカノン砲を近づける敵HARMOR。
「生身の人間に砲口を向けるとは!どこまでも卑怯で腐った野郎だぜ。これはシュミレーターなんかじゃない!現実だ!この野郎っ~!くらえ!」
小林は必死に最後の力を振り絞り、左腕を伸ばし50ミリ速射カノン砲を敵機動モービルのコクピット・シールド・バイザーに向け連射した。
敵のコクピット・シールド・バイザーが吹き飛び、コクピットがむき出しになった。
生身になった敵HARMORの少女パイロット。
目の前に構えた血だらけで銃を構える椎葉きよし。
「キャー!」
と悲鳴を上げ、震え上がり、ヘルメットを押え怯えた。
しかし構わず、きよしが敵兵の気配を頼りに拳銃を連射。
( パンッパンッパンッ!パンッパンッパンッ! )
ここまでが小林の記憶だった。
その後、聞いた話では占冠村から応援に来た女真帝国の機動モービルHARMOR部隊20機と恵庭の自衛隊機動モービルHARMOR20機が残りを掃討したとの事だった。
そんな昔の事も今、それも最近、嫌に思い出す小林だった。
しかも、椎葉をだまし続けている罪悪感が今も小林の心のシコリになっていた。
しかしそれは、椎葉の妻のシルビア、妹のエルジビエタ、オディア。母親の京子は特に今も悩んでいるはずだった。だが、それも明後日25日の非公式ではあるが慰霊式典で全て椎葉に打ち明けるつもりでいる小林だった。
何とも言えない気持ちの小林だった。
( この仕事、ホント!キッツイわぁ~! )
と、天井を見て、心の中で叫ぶ小林だった。
「ん?どったの?」
不意に目が覚めた椎葉だったが、お腹が膨らんでいよいよ瞼が重くなる。へなへなへなっと、手枕に沈み始める椎葉。
「もぅ行くぞ!シー!」
「フニャフニャ、もう食べきれないですー、南さん……。」
無理やり椎葉を立たす小林。
「山ちゃん!ご馳走さん!」
「あいよっ!」
小林は、椎葉の腕をつかんだまま、スマハンドを会計レジ端末に付けた。
( ピッ!3,150円を入金いたしました。テンテンポント31ポイント加算いたしました。ご利用有難うございます。)
と、レジから自動音声が流れた。
椎葉を店の外に押し出す小林。その時、店主の山ちゃんが余計な事言った。
「毎度~!ありがとうな、コバちゃん。また、エルちゃんとおいで!また、2人で飲んだ帰りに来たら、いいやんか!イチャイチャしたらいいがなぁ。あはは。こんどは、友達とさっきの綺麗な女の子と一緒に……。」
と店主の山口。
「あわわ、山ちゃんシーッ!シーッ」
慌てて、唇に人差し指をあてて、手のひらで店主の話をさえぎる小林。口に手の平を当てて慌てる店主。
「あっ、あっ。」
小林は今の会話が聞かれたのかと焦って、椎葉きよしが先に出ているのを確認してた。
「ほっ。もう、頼むで~山ちゃん。んもうっ。」
その日、早朝から始まったAXISの北海道侵攻作戦。
手始めに始まった陽動作戦としての台湾、金門県への攻撃。
世界の目を台湾へ釘付けにしてからの、敵の本目標、北海道着上陸作戦だった。
敵は、威力偵察で、苫小牧港湾へ貨物船に積んだ機動モービルHARMORと特殊潜入部隊で潜入。
その後、小型潜水艦による巡航ミサイルの飽和攻撃。
当時、海軍史上最強を謳われた日本国軍・自衛隊共同第2機動艦隊が苫小牧沖で消滅してしまったのだ。
その後、苫小牧湾岸に潜入した20隻の超大型潜水母艦と上陸部隊の侵入による苫小牧市への侵略攻撃が始まったのだ。
敵の大規模HARMOR大隊とシーラスのHARMORによるロボット会戦が行われた。
結果、苫小牧市を守るシーラスのHARMOR防衛部隊が全滅してしまった。
苫小牧市を占領したAXISの着上陸軍は、大破や行動不能になった機体を残し、50機近い機動モービルの大群で千歳宙空ステーションに襲い掛かったのだ。
最初に迎え撃ったのは千歳に残った小林、椎葉、黄(ホァン)の小林小隊と、椎葉きよしの恋人だったジェシカ・スミス小隊の合計、たった6機の機動モービル小隊だった。
実戦配備した小林、ルオの2人にとっては初陣だった。
椎葉きよしは前年の対馬防衛戦から2回目の実戦だった。
序盤は人民解放軍の物量の勝利と思われたが、小林たちは距離を大きく保ち、新型モービルの高高度機能を最大限に生かし上空から自由落下狙撃の攻撃をした。短時間で半数の敵モービルを行動不能にした。しかし地上戦に戦いが移ると苦戦を強いられた。
AXISの中でもエース級のパイロットと機体で作戦に臨んでいたのだ。
瞬く間にジェシカ小隊が次々に撃破された。そして、椎葉達を助けるためにジェシカは部下のリリアナと共に自爆した。それも小型熱核兵器で自爆したのだった。
昨年の対馬戦役に続いて世界に衝撃が走った。
しかし、残った3機、椎葉や小林、黄ルオの機動モービルは善戦した。
人民宇宙軍は戦いが不利になると、逃げ遅れた空港職員や一般の空港利用客などが退避していた倉庫に襲い掛かる。
生き残った人民解放宇宙軍の機動モービル対日本軍3機の機動モービル戦。
実はAXIS軍、最後のカードがあった。昇竜モービル小隊が無傷で温存されていたのだった。
とりあえず、ひと安心する小林未央の毘沙門天(バイシュラーヴァナ機)。
弾薬が残り少なくなり、弾数確認の為に仁王立ちした。実戦で、戦場で大きな的となる機動モービルの動きを止める事はご法度だが、シュミレーターで慣れきった小林は各装備の弾数確認で止めてしまった。そんな中、大破した解放軍の機動モービルが息を吹きかえした。
その機動モービルの放った一撃が小林のコクピットを直撃したのだ。大勢が避難した倉庫の前に飛ばされる小林の毘沙門天。
衝撃で、小林が気をうしなった。その様子を見て、再度襲う敵モービル。
きよしのアタッカーモービルは単機で立ち向かった。
ルオも上空からスナイピングしてきよしを助ける。
行動不能状態の小林の自機の毘沙門天。その毘沙門天に昇竜モービル小隊が襲い掛かった。
3機1チームのAXIS軍の機動モービル。
その1機はオンライン・シュミレーションバトルでいつも世界の順位の1、2位を小林と争っていた昇竜マークの機体とそのチーム機だった。
動けない毘沙門天を3機が囲み、殴る、蹴る。
そして、もて遊ぶ。
即座に椎葉のシバの神と、同僚の黄ルオのパールバディ機がカバーに入った。
小林の前に立ちはだかるパールバディ。
しかし、黄ルオのパールバディは既に弾切れの上、そして、至る所が既に被弾していた。
AXISの3機は、弾切れでほぼ無抵抗のパールバディに弾をぶち込んだ。
とうとう、パールバディ機のルオが愛機と共に爆死したのだ。
それも木っ端みじんだった。
ルオのパールバティを打ち破り、勝ち誇る昇竜モービル小隊。
その隙をついて、きよしのシバの神は昇竜のチーム機、2機を一撃で撃破した。
しかし、昇竜モービルは倒せなかった。
その後、昇龍マークの機動モービルのHARMORが、まともに戦ってもシバの神にかなわない事を悟ると、倉庫前で防弾シールドの準備をしていた生身の技術武官の黄夫婦(ルオの両親)に狙いをつけた。
シバの神の単機突進に慌てた昇竜は、黄夫妻を撃った。
そして、妻のリーリンが重症を負う事になる。
とっさに黄夫妻の盾となる椎葉きよしのシバの神。
動けない椎葉をいいことに40ミリ速射カノン砲を昇竜マークの敵HARMORが至近距離からシバ神のコクピットに連射した。
ついに撃ち抜かれてコクピットから上半身が吹き飛び、シバの神は大爆発を起こした。
その時の小林の記憶……。
1度目のシバの神が起こした大爆発の振動や音で小林は息を吹き返した。大量出血によって再び気を失いかけた小林は歯を食いしばり、無理やり気合を入れて意識を戻した。
2度目のシバの神の爆発。
明るい光が左モニターから差し込んだ。
左モニターを振り向くと異様な光景が映し出されていた。小林のひび割れたモニターには、左目から血を流し、左半身が血だらけになり、コクピットから右足だけで立って拳銃を向ける椎葉きよしが映った。
「シー、まだ動いていやがる。あんな状態で立ち上がってやがる!シー!」
意識が遠のく中、大破炎上し、その炎の中に立つ生身の椎葉に40ミリカノン砲を近づける敵HARMOR。
「生身の人間に砲口を向けるとは!どこまでも卑怯で腐った野郎だぜ。これはシュミレーターなんかじゃない!現実だ!この野郎っ~!くらえ!」
小林は必死に最後の力を振り絞り、左腕を伸ばし50ミリ速射カノン砲を敵機動モービルのコクピット・シールド・バイザーに向け連射した。
敵のコクピット・シールド・バイザーが吹き飛び、コクピットがむき出しになった。
生身になった敵HARMORの少女パイロット。
目の前に構えた血だらけで銃を構える椎葉きよし。
「キャー!」
と悲鳴を上げ、震え上がり、ヘルメットを押え怯えた。
しかし構わず、きよしが敵兵の気配を頼りに拳銃を連射。
( パンッパンッパンッ!パンッパンッパンッ! )
ここまでが小林の記憶だった。
その後、聞いた話では占冠村から応援に来た女真帝国の機動モービルHARMOR部隊20機と恵庭の自衛隊機動モービルHARMOR20機が残りを掃討したとの事だった。
そんな昔の事も今、それも最近、嫌に思い出す小林だった。
しかも、椎葉をだまし続けている罪悪感が今も小林の心のシコリになっていた。
しかしそれは、椎葉の妻のシルビア、妹のエルジビエタ、オディア。母親の京子は特に今も悩んでいるはずだった。だが、それも明後日25日の非公式ではあるが慰霊式典で全て椎葉に打ち明けるつもりでいる小林だった。
何とも言えない気持ちの小林だった。
( この仕事、ホント!キッツイわぁ~! )
と、天井を見て、心の中で叫ぶ小林だった。
「ん?どったの?」
不意に目が覚めた椎葉だったが、お腹が膨らんでいよいよ瞼が重くなる。へなへなへなっと、手枕に沈み始める椎葉。
「もぅ行くぞ!シー!」
「フニャフニャ、もう食べきれないですー、南さん……。」
無理やり椎葉を立たす小林。
「山ちゃん!ご馳走さん!」
「あいよっ!」
小林は、椎葉の腕をつかんだまま、スマハンドを会計レジ端末に付けた。
( ピッ!3,150円を入金いたしました。テンテンポント31ポイント加算いたしました。ご利用有難うございます。)
と、レジから自動音声が流れた。
椎葉を店の外に押し出す小林。その時、店主の山ちゃんが余計な事言った。
「毎度~!ありがとうな、コバちゃん。また、エルちゃんとおいで!また、2人で飲んだ帰りに来たら、いいやんか!イチャイチャしたらいいがなぁ。あはは。こんどは、友達とさっきの綺麗な女の子と一緒に……。」
と店主の山口。
「あわわ、山ちゃんシーッ!シーッ」
慌てて、唇に人差し指をあてて、手のひらで店主の話をさえぎる小林。口に手の平を当てて慌てる店主。
「あっ、あっ。」
小林は今の会話が聞かれたのかと焦って、椎葉きよしが先に出ているのを確認してた。
「ほっ。もう、頼むで~山ちゃん。んもうっ。」
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