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第14章 アバター南華子登場。

第1話 治験、㈱高崎薬品

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 大阪天神橋商店街を望む 15階建のビル。

 小林が務める㈱高崎薬品。

 主に日本国軍、自衛隊や日本の主要同盟国軍へ、装備医薬品を降ろす最新鋭・最先端の医薬品メーカー。その1階にある広大なロビー。


 そこで幼馴染の親友、いや戦友が会うのだ。

  
「いや~悪ぃ悪ぃ、コバまだいけるべか?」

 
 ロビーに響く声。

 笑いながら、小走りでヨレヨレの背広姿の椎葉が来た。

 
「シー!お前~もう10時やんか!9:30の組は、もぅ治験始まっとるから次は13時からやんか。まぁこっちが頼んだ治験だから、あれだけど。」

 
 小林大佐の背広姿。

 小林大佐と椎葉は中学以来、栗山町の幼なじみだった。
 
 小林は軍族の身を隠す為、民間の高崎薬品で医薬品会社の営業課長で仕事をしていたのだ。
 18年前、シラス加盟国軍の要請で軍に復帰した。

 一方で椎葉は軍の復帰をかたくなに断っていた。

 特に、元上官の御舩たちなどのシーラス、日本国軍や自衛隊の幹部たちが椎葉きよしの復帰を望んでいた。

 しかし、椎葉は強烈に断っていたのだ。
 毎日の食卓でも、母親の京子やシルビア、エルジビエタ、彼女らの実母のオリエッタからの勧めを全て断っている。長年、そんな雰囲気だった。

 しかし、小林だけは軍隊嫌いになった椎葉きよしには内緒で復帰したのだった。
 

「シー、飯ば喰ったべか?時間あるから、そこのラーメンさ行くべか。」

 
 ガラス張りの玄関の先をのけぞって覗くきよし。大阪で有名なラーメンチェーン店の暖簾が見えた。

 
「ラーメン?お前、あそこのラーメン。道産子でよく食えんな!噂では油がネッコリで、はんかくさいべぁ。」
 

「何でもいいべや。オッさん!はははっ。」

 
「いやいやコバ。俺、あそこのラーメン。新大阪にもあるけんども食べた事ないべさ。っあれ?血液検査するんだべ?食べていいの?こってり、油ねっこりで大丈夫だべか?」
 

「健康診断じゃないから、何ともないべや。」

 
「んだか。眠たいべし腹減るべし~。飯食ったら爆睡すんべよ。」
 

「いいから、行くべや~。シー、お前、飯食っても寝るなよ!すぐ寝んべ。治験の説明が、始まったらちょっくら話もあんべし。」

 
 ぐわーっと大あくびしながらの椎葉きよし。

 
「了解。100億%自信ないべ~。くわぁ~寝み~っ。」

 
「あっシー、オメッ!オメッ。臭せっ!」
 
 怪訝な顔をして、鼻をつまむ小林。

 
「あ~前日の姫路出張から3日間着たまま。解るかぃ。会社のお嬢様達にも臭っ!めっちゃ臭っ!って言われてたべさ。解るか!男、苦労の熟成加齢臭!ハハハッー。」
 

 鼻をつまんで、手の平であおぐ小林未央。
 
「くぅっさ!アホ、加齢臭テロで俺の会社潰す気か!ロビー臭くなんべや。早く行くべ。オッサン!」

 
 そんな楽しく話しているデカい男2人の前に、ニコニコしながら近寄って来る、色白美白の超絶美女が来た。

 
「課長、お疲れ様で~す。」
 
「お疲れさん。あー何ですぅ?」

 
 美しい笑顔で椎葉に上品に会釈する色白の背の高い女性部下だった。
 白いシャツの胸の谷間に目が留まる椎葉。

 
「あの課長、当社、被治験者の素泊まりセットをお使い下されば?ハイ、これなんかで宜しければ。」

 
「あ、なるほど。なるほど。おい!シー!着替えんべ。」
 

「面倒くせ~。」
 

「スンゲェ臭せ~から、早く着替えろ。」
 

「こちらで介護用全自動シャワーもあります。私が案内しますわ。うふふ。」
 

「コバ、お前ん所、凄い会社だ。色んな意味で。」
 
 目の覚めるような美白の美人に目が釘付けの椎葉だった。

 
「ったりめーだ、馬鹿タレ。南さんっ宜しく。」
 

「南さんて、言うの?」

 
「ハイ。南です。椎葉様。宜しくお願いします。ウフフッ。」
 
 頭を掻いて照れ笑いの椎葉きよしだった。
 話を続ける南華子。
 

「うふふっ。後ですねー、たった10分で!うふふ。介護用ですが最先端の全自動シャワーと着替えも終わりますわょ。機械が全てやってくれますわ。うふふ。寝ていてくだされば、機械が全て致しますわ。」
 
「10~分っ。早っ!はい!お願いしまっす。」
 
「ウフフッ。」
 
「こぉのー、10分って時間を聞いてゲンキンなやつ。コイツ、マジ~臭い。オヤジ臭っ。」
 
 南に案内されながらトコトコ着いていく椎葉。歩くたびにポヨンポヨンと胸が揺れる南。
 
「小林とお親しいんですね。」
 
「北海道の田舎で、中学からの幼なじみですから。」
 
「えっ、そうなんですか?楽しそう。ウフフッ。」
 
「南さん、えー南……。」
 
「南華子っです。ウフフ。小林がいつも何かあると、シーがシーがと言うから。どんなお方と思って。今日も朝からスマハンドに向かって、シーシーって楽しそうでしたわ。ウフフッ。」
 
「ゲッ!朝、横にいたの?南さん。」
 
 マジに照れる椎葉。
 
「ハイ。もーっ皆さん楽しそう。御社には愉快な方が多いんですねぇ。」
  

「南さん、ウチの会社に来たことあるの?」

 
「うふふっ。取引先ですので。皆さんに直接お会いした事はありませんが、書類の打ち合わせで伊東さんといつもお話していますわよ。いつもマズルさんと、伊東さん、岩崎さん、最近は御社、社長のお嬢様の黄(ホァン)主任と営業試機や営業試料の打ち合わせを良くしています。電子カタログの打ち合わせで。うふふっ。」
 

 ウフフと笑うたびにボヨンボヨンと揺れる南の胸。

 また目が胸元にいく椎葉。

 2人の後ろからイライラするコバが、声を掛ける。
 

「コラコラコラ!うちの大切な社員に余計な事言わない、ちょっかい出さない!南ちゃんも南ちゃんでオッサンの話、聞かない!」

 
 オホホッと、上品に笑う南華子。

 
「コんバ~!悪い~っ。ちょっくら待っててけれ!10分10分~っ!」
 

 会社ロビーに響く椎葉きよしの大声。
 

「声でかい!ここにおるから。」


( アハハハッ。 )

 
 ロビーの受付嬢たちから笑声が聞こえた。
 
 小林が照れる。
 
「アイツの方がうるさいしょ。」


( アハハハッ。 )
 

 胸開き半袖カッターから見える南華子の白い素肌。
 指先と肘がピンク色の柔らかそうな腕を伸ばした。
 

「さっ、椎葉さん。こちらですわ。ウフフッ。」
 
「いや~何から何まで~。いやいやいや。」
 

 ロビー奥の廊下に消える2人。

 
「ふっ。アイツ、シルビアいるのにぃ大丈夫かぁ~?鼻の下伸ばして。エル姫見てたらえらい事になるでぇ。」
 
 ニガ笑いの小林。
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