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第7章 義理の妹、エルジビエタ。
第3話 OL、エルジビエタリーム・M・S・マズル係長
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■ 新大阪にある15階建てのオフィスビル。よくあるガラス張りのビル。
㈱関西国際医療のビルだった。その中では朝礼で集合する為、忙しく廊下を歩く社員たち。
そして席を立ち始める国際販売第1営業部、営業3課のある事務室フロア。
足を組んで目をつぶりながら肩を揉むエルジビエタ。
「あ"ぁ~、もう!なんか朝から疲れたっ。ガナぢゃん、メ"イぢゃん朝礼行ご行ご。」
椅子から立ち上がり、エレベーターに向かう3人。
「でも本当にいいんです~?課長ひとりで大変ですよね?うひひ。今更、いちいちカタログ本からピックアップして手入力なんて。少し位、手伝ってもいいけどぉ。うひひひ。」
と、優しいメイリン。そして手を振りながら厳しい顔をするエルジビエタ。
「かまへんがな~。奏も、メイも1日中、自分の仕事あるでしょう。」
エレベーターの前で立ち止まる3人の背の高いOL達。階のボタンを押しながら、伊東奏。
「ねえ姫、こっちのぉ新大阪の自宅でも、未だにィ、課長こうなん?」
と、伊東奏。
「え?こうって?」
「ん~、面倒くさがりっちゅう、甘えるっちゅうか、だらけるっちゅうか。どないやねん。」
と、伊東奏。
「あ~このマンッマ。自宅の札幌でも、いっ緒っ。と思う。」
「へ~昔のアイドルマネージャー時代から変わらんのぉ。」
( ピン♪ )
開いたエレベーター。先に乗り込むウキウキメイリン。既に大勢社員が乗っていた。
無理やり、背中から押し入る伊東とエルジビエタ。
「でも、めっちゃ楽しそう。うひひっ。優柔不断でぇ、甘えん坊でぇ~あきらめ悪くて頼り甲斐なくてぇ。それで、イイ歳こいたオッちゃんでぇ、キモいアニヲタでぇ、」
( あはははっ! )
周りの社員が一斉に笑う。最後のアニヲタの言葉に反応し、大笑いするエレベーターの社員達。
誰の話か一発で解ったらしい。
「……でもメイリンは楽しいお兄ちゃんが欲しかったなぁ。うひひっ。」
メイリンの腕を突く伊東奏。
「メイ、メイ、メイっ!優柔不断の下り要らないから。ここは楽しいオっちゃんだけにしときな。」
と、フォローする奏。
( あはははっ! )
爆笑するエレベーターの中の社員達。
( うひひっ! )
楽しそうなメイリン。
「20年以上ほとんどお兄ちゃん達と一緒に暮らしてたから、楽しいんだか、何だか、良くわかんないなぁ……。」
ボソッとつぶやくエルジビエタだった。
( ピン♪ )
エレベーターが開いて朝礼会場に向かう3人。
既に大会議室では社員が規則正しく朝礼の為の列を作り並んでいた。社員の列の先頭の方へ進むエルジビエタ達。並び終わるとエルジビエタの肩越しに、顎を乗せてしゃべるメイリン。
「うひひっ。新婚の子作り時期でもご一緒だったんですか?」
興味深々のメイリン。
( メイ、シッ! )
と、メイリンの後ろから注意する奏。
「興味深々。うひひひっ。」
椎葉きよしの新大阪の自宅はポーランドから転勤の時、親友の勧めで購入した。
同じ大阪、天神橋商店街の高崎薬品に勤める幼馴染みの小林の勧めだった。良くある少し大きめの3階建、2世帯中古物件。
31歳のきよしが初めて購入した家だった。
引越し当初はシルビアと2歳になったアレクと3人仲良く暮らしていたが、ポーランドから春休みで遊びに来たエルジビエタが気に入ってそのまま住み着き、近くの私立の女子校、通称“西女(西中島国際女子学園)”に通い始めた。
そして、すぐに栗山町から来たきよしの実の妹、オディアも住みつき同じく西女へ通う事に。
彼女たちはこの新大阪の椎葉家を拠点にして美少女ロックバンド・ヴルーシカを立ち上げ世界的なアイドル・グループへと成長したのだ。
しかし時が経ち、エルジビエタ達が高校卒業する頃、きよしの妻、シルビアが丘珠札幌宙空ステーションへ、ポーランド宇宙軍の派遣武官としてシーラス・札幌に転属となった。
軍の都合でシルビアとエルジビエタの実の母、オリエッタも千歳打撃軍の科学技術アドバイザーとして召喚。ポーランドの実家から年に何度かくる為、椎葉家とマズル家用に札幌で新たに分譲二世帯型マンションを購入した。
まぁ簡単に言うと4LDKと隣の2LDKのリビングの壁をぶち破ってドアを付けただけだが。
新大阪の家は平日だけ椎葉とエルジビエタが通勤用に住んでいる。
札幌が今の椎葉夫婦とエルジビエタの自宅となっていた。もちろん椎葉の妹、独身のオディアは自宅は栗山町のままだが、活動拠点として札幌と新大阪の部屋を勝手に使っていた。
「もぅええからメイ!あんたの!メイパパの話始まるよ。」
メイリンの耳元でカナちゃんが注意した。
ズラッと並ぶ社員の前で、メイリンの実父でもある社長の黄(ホァン)がマイクの前に来た。
「おはよう御座います。」
( おはよう御座います! )
社員全員が返答する。
総務担当の佐藤結衣次長が、社訓とラジオ体操係りを指名した。
「それでは、本日の社訓とラジオ体操!第1営業部、営業3課マズル係長!」
「ハイッ」
カツカツカツ!とヒールを鳴らして列の後ろから正面に向かうエルジビエタだった。
㈱関西国際医療のビルだった。その中では朝礼で集合する為、忙しく廊下を歩く社員たち。
そして席を立ち始める国際販売第1営業部、営業3課のある事務室フロア。
足を組んで目をつぶりながら肩を揉むエルジビエタ。
「あ"ぁ~、もう!なんか朝から疲れたっ。ガナぢゃん、メ"イぢゃん朝礼行ご行ご。」
椅子から立ち上がり、エレベーターに向かう3人。
「でも本当にいいんです~?課長ひとりで大変ですよね?うひひ。今更、いちいちカタログ本からピックアップして手入力なんて。少し位、手伝ってもいいけどぉ。うひひひ。」
と、優しいメイリン。そして手を振りながら厳しい顔をするエルジビエタ。
「かまへんがな~。奏も、メイも1日中、自分の仕事あるでしょう。」
エレベーターの前で立ち止まる3人の背の高いOL達。階のボタンを押しながら、伊東奏。
「ねえ姫、こっちのぉ新大阪の自宅でも、未だにィ、課長こうなん?」
と、伊東奏。
「え?こうって?」
「ん~、面倒くさがりっちゅう、甘えるっちゅうか、だらけるっちゅうか。どないやねん。」
と、伊東奏。
「あ~このマンッマ。自宅の札幌でも、いっ緒っ。と思う。」
「へ~昔のアイドルマネージャー時代から変わらんのぉ。」
( ピン♪ )
開いたエレベーター。先に乗り込むウキウキメイリン。既に大勢社員が乗っていた。
無理やり、背中から押し入る伊東とエルジビエタ。
「でも、めっちゃ楽しそう。うひひっ。優柔不断でぇ、甘えん坊でぇ~あきらめ悪くて頼り甲斐なくてぇ。それで、イイ歳こいたオッちゃんでぇ、キモいアニヲタでぇ、」
( あはははっ! )
周りの社員が一斉に笑う。最後のアニヲタの言葉に反応し、大笑いするエレベーターの社員達。
誰の話か一発で解ったらしい。
「……でもメイリンは楽しいお兄ちゃんが欲しかったなぁ。うひひっ。」
メイリンの腕を突く伊東奏。
「メイ、メイ、メイっ!優柔不断の下り要らないから。ここは楽しいオっちゃんだけにしときな。」
と、フォローする奏。
( あはははっ! )
爆笑するエレベーターの中の社員達。
( うひひっ! )
楽しそうなメイリン。
「20年以上ほとんどお兄ちゃん達と一緒に暮らしてたから、楽しいんだか、何だか、良くわかんないなぁ……。」
ボソッとつぶやくエルジビエタだった。
( ピン♪ )
エレベーターが開いて朝礼会場に向かう3人。
既に大会議室では社員が規則正しく朝礼の為の列を作り並んでいた。社員の列の先頭の方へ進むエルジビエタ達。並び終わるとエルジビエタの肩越しに、顎を乗せてしゃべるメイリン。
「うひひっ。新婚の子作り時期でもご一緒だったんですか?」
興味深々のメイリン。
( メイ、シッ! )
と、メイリンの後ろから注意する奏。
「興味深々。うひひひっ。」
椎葉きよしの新大阪の自宅はポーランドから転勤の時、親友の勧めで購入した。
同じ大阪、天神橋商店街の高崎薬品に勤める幼馴染みの小林の勧めだった。良くある少し大きめの3階建、2世帯中古物件。
31歳のきよしが初めて購入した家だった。
引越し当初はシルビアと2歳になったアレクと3人仲良く暮らしていたが、ポーランドから春休みで遊びに来たエルジビエタが気に入ってそのまま住み着き、近くの私立の女子校、通称“西女(西中島国際女子学園)”に通い始めた。
そして、すぐに栗山町から来たきよしの実の妹、オディアも住みつき同じく西女へ通う事に。
彼女たちはこの新大阪の椎葉家を拠点にして美少女ロックバンド・ヴルーシカを立ち上げ世界的なアイドル・グループへと成長したのだ。
しかし時が経ち、エルジビエタ達が高校卒業する頃、きよしの妻、シルビアが丘珠札幌宙空ステーションへ、ポーランド宇宙軍の派遣武官としてシーラス・札幌に転属となった。
軍の都合でシルビアとエルジビエタの実の母、オリエッタも千歳打撃軍の科学技術アドバイザーとして召喚。ポーランドの実家から年に何度かくる為、椎葉家とマズル家用に札幌で新たに分譲二世帯型マンションを購入した。
まぁ簡単に言うと4LDKと隣の2LDKのリビングの壁をぶち破ってドアを付けただけだが。
新大阪の家は平日だけ椎葉とエルジビエタが通勤用に住んでいる。
札幌が今の椎葉夫婦とエルジビエタの自宅となっていた。もちろん椎葉の妹、独身のオディアは自宅は栗山町のままだが、活動拠点として札幌と新大阪の部屋を勝手に使っていた。
「もぅええからメイ!あんたの!メイパパの話始まるよ。」
メイリンの耳元でカナちゃんが注意した。
ズラッと並ぶ社員の前で、メイリンの実父でもある社長の黄(ホァン)がマイクの前に来た。
「おはよう御座います。」
( おはよう御座います! )
社員全員が返答する。
総務担当の佐藤結衣次長が、社訓とラジオ体操係りを指名した。
「それでは、本日の社訓とラジオ体操!第1営業部、営業3課マズル係長!」
「ハイッ」
カツカツカツ!とヒールを鳴らして列の後ろから正面に向かうエルジビエタだった。
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