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第3章 発見、ゼロ・スターター。
第1話 邪魔者は消せ!
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決して広いとは言えない、重厚な机の正面空間だった。
2人の女性が、立っている。
腕をまっすぐ伸ばして、白衣の女性に銃を向ける軍制服のスカート姿の女。
長い脚を広げて立っている。
白衣の女性は驚いた表情で、両手を前に広げて小刻みに振った。
「 あ、あっ!大佐、どうして。 」
銃を向けられている白衣の女性はジェーン・ゴールドウィン医師だった。
逆に銃を向けている女は、ここテキサス捕虜収容所の責任者のWAC(Women's Army Corps )のボイス大佐だったのだ。
ボイス大佐は、身軽に白衣のジェーンの後ろに回り込み、軍医の口を右手で押さえた。
( ん、ん~! )
45口径銀メッキの記念ガバメントの銃口をグッグッと左脇に突きつけた。
ジェーンは、目を大きくして突き付けられた銃を見てから、両手を上に挙げて目をつむった。
( ん~っ! )
ブラインドーが閉じているか、窓の外に人が居ないか、身体をよじって確認するボイス大佐だった。
「……ミフネの事。ロス軍医以外、誰かに話したか?」
低い声で耳元にささやいた。
「んっんっんっ~。」
と、両手を開き、NO NO NO!と首を小刻みに振るジェーン。
「他言は無用。解るわね。この先、これからもだ。お前の母親が作る祖国ポーランドのピエロギを、これからもずっと食べたいだろう。」
「んっ!んっ!」
と、首を縦に振るジェーン。
口から手を離すボイス大佐。
( ドンッ! )
と、床に尻餅を着くジェーンだった。
ボイス大佐は銃を向けたまま、ジェーンを睨み、ゆっくり椅子に座った。
銃を向けたまま電話の受話器を、顔と肩に挟んで電話を始めた。
「♪トルル、トルル、トルル。私だ。マズル軍医は何処だ。……わかった。お前の所に呼べ。このまま待つ。」
銃を構えたまま、電話の受話器を机の上にゆっくり置いた。
( コトッ。 )
ボイス大佐は、持った銃で、机の前の事務イスに座れ。と指図をした。
突然、豹変した大佐の態度と、向けられた銃でパニックになり、震えが止まらないジェーン。
( ガタガタガタガタ。 )
イスに座るだけでも必死だった。
顔を横に向け、銃口を恐る恐る見つめるジェーンだった。
オーストリアの研究所で勤務中、研究所がナチスに占拠された時、また収容所に送られる時から何度もナチスから銃を向けらる事に慣れてしまっていたハズではあるが、まさか自国で身内の軍人から銃を向けられるとは。
別の恐怖を感じたのだ。
( ……大佐!大佐、ボイス大佐! )
受話器から下士官の、どうやらMPらしい男性の声が聞こえてきた。
机の上の受話器をとり、軍医を睨みながら電話であえて、暗号を暗唱するようにゆっくり話す大佐。
「メアリー・ボイスだ。どうやら・マイケル君は・話・好きらしい。(イエッサー)」
大佐は顎で受話器を取れとジェーンに受話器を差し出した。
軍医は椅子ごと床の上を、机の方にガタンガタンと体を近づけ、震える手で嗚咽を抑えながら受話器を受け取り耳に当てる。
そして、受話器から漏れる銃声の音。
( パンパンッ、パンッ!カラン、カラン。……ドサッ。 )
いきなり発砲音と薬莢が床で跳ねる音、ドサッと人が倒れる音も聞こえた。
ジェーンは目をカッと見開いた。
「ウッ!NO NO NO~ッ!」
と、驚き受話器をパッと離し、イスから転げ落ちた。
2人の女性が、立っている。
腕をまっすぐ伸ばして、白衣の女性に銃を向ける軍制服のスカート姿の女。
長い脚を広げて立っている。
白衣の女性は驚いた表情で、両手を前に広げて小刻みに振った。
「 あ、あっ!大佐、どうして。 」
銃を向けられている白衣の女性はジェーン・ゴールドウィン医師だった。
逆に銃を向けている女は、ここテキサス捕虜収容所の責任者のWAC(Women's Army Corps )のボイス大佐だったのだ。
ボイス大佐は、身軽に白衣のジェーンの後ろに回り込み、軍医の口を右手で押さえた。
( ん、ん~! )
45口径銀メッキの記念ガバメントの銃口をグッグッと左脇に突きつけた。
ジェーンは、目を大きくして突き付けられた銃を見てから、両手を上に挙げて目をつむった。
( ん~っ! )
ブラインドーが閉じているか、窓の外に人が居ないか、身体をよじって確認するボイス大佐だった。
「……ミフネの事。ロス軍医以外、誰かに話したか?」
低い声で耳元にささやいた。
「んっんっんっ~。」
と、両手を開き、NO NO NO!と首を小刻みに振るジェーン。
「他言は無用。解るわね。この先、これからもだ。お前の母親が作る祖国ポーランドのピエロギを、これからもずっと食べたいだろう。」
「んっ!んっ!」
と、首を縦に振るジェーン。
口から手を離すボイス大佐。
( ドンッ! )
と、床に尻餅を着くジェーンだった。
ボイス大佐は銃を向けたまま、ジェーンを睨み、ゆっくり椅子に座った。
銃を向けたまま電話の受話器を、顔と肩に挟んで電話を始めた。
「♪トルル、トルル、トルル。私だ。マズル軍医は何処だ。……わかった。お前の所に呼べ。このまま待つ。」
銃を構えたまま、電話の受話器を机の上にゆっくり置いた。
( コトッ。 )
ボイス大佐は、持った銃で、机の前の事務イスに座れ。と指図をした。
突然、豹変した大佐の態度と、向けられた銃でパニックになり、震えが止まらないジェーン。
( ガタガタガタガタ。 )
イスに座るだけでも必死だった。
顔を横に向け、銃口を恐る恐る見つめるジェーンだった。
オーストリアの研究所で勤務中、研究所がナチスに占拠された時、また収容所に送られる時から何度もナチスから銃を向けらる事に慣れてしまっていたハズではあるが、まさか自国で身内の軍人から銃を向けられるとは。
別の恐怖を感じたのだ。
( ……大佐!大佐、ボイス大佐! )
受話器から下士官の、どうやらMPらしい男性の声が聞こえてきた。
机の上の受話器をとり、軍医を睨みながら電話であえて、暗号を暗唱するようにゆっくり話す大佐。
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大佐は顎で受話器を取れとジェーンに受話器を差し出した。
軍医は椅子ごと床の上を、机の方にガタンガタンと体を近づけ、震える手で嗚咽を抑えながら受話器を受け取り耳に当てる。
そして、受話器から漏れる銃声の音。
( パンパンッ、パンッ!カラン、カラン。……ドサッ。 )
いきなり発砲音と薬莢が床で跳ねる音、ドサッと人が倒れる音も聞こえた。
ジェーンは目をカッと見開いた。
「ウッ!NO NO NO~ッ!」
と、驚き受話器をパッと離し、イスから転げ落ちた。
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