「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )

あおっち

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第15章 ゾフィアとヴィクトリア。

第5話 ヨーロッパ・サムライ新格闘の巨頭、動く。

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 姉妹ゲンカの一戦が始まる雰囲気に、息を飲む2次会メンバー。

 そんな時、落ち着き払って片膝を上げパンツを見せたままビールのお酌をしてもらっているゾフィアと、正座しながら人差し指で、メガネを上げる小林。


 小林のメガネが一瞬光る。


 昭和の親分子分の様でもあった。

そこで親分が、フフンと笑いながら、歴戦錬磨のゾフィアが、ボソッとつぶやいた。
 
「まぁ~なんというか、」
 
 ココココッ。と、ビールがゾフィアのコップに注がれる。

 また光る小林のメガネ。

 一瞬止まる2次会の空気。

 そこで、ゾフィアが言い放つ。
 
「お嬢ちゃん方。きよしの筆降ろしをしたの、」

( えっ? )

( えっ? )

( 何!何っ! )

 お互いに胸襟をつかみ合った姉妹が、一瞬止まった。

 そして焦って、ゾフィアを見る。


「きよしの筆降ろししたの、フッ。私だからな。なぁきよし!オイ。あはははっ!(パシーン!)」
 

 きよしの背中を思いっきり叩くゾフィア師範。


( うそっ! )
( マジッ! )

 
(( えっ~~! ))
 

 何事も無くビールを飲むバルトッシュ。

 カクテルを気ままに、鼻歌まじりで作るヴィクトリア。

 相変わらず、氷下魚を食べるきよし。

 相変わらず、ゾフィアに、ココココッ。と、ビールを注ぐ正座したままの小林。

 汚れた小皿をマメに取り換えるニコニコ顔のままのルオ。

 この5名以外、固まる二次会の面々。


「うそでしょ……。」

 
 持ったコップを落とすルーシーとジェシカ。
 

( ドン!ドン!ジュワー。 )
 

 いつも、栗山でも酒が入ると言う下ネタ、ゾフィア達のいつものブラックジョークの1つだったが、真に受ける新参者たち。
 

 静まり返る現場……。

 
 何故か自分の座椅子に戻るメンバーたち。少女たちは疲れ切って席に座った。

 立ちすくむルーシーとジェシカ姉妹。

 先ほどの喧騒はどこへやら。
 
 静寂が支配する特別迎賓室12畳2間つづきの和室だった。
 
 何気に涙ぐむジェシカとルーシーと5人の少女たち。

 彼女達は氷下魚を黙って食べるきよしとビールを飲むゾフィアを見た。

 すると、
 プププッと、どこからか笑いを押さえた声が聞こえてきた。

 涙目で笑いを押さえてゾフィアを見るヴィクトリア。笑いを押さえるゾフィア。

 しかし、周りを見て笑いを堪えきれず、ついに噴き出した。

 
「グ~ッ!あははーっ!あー可笑しい。あーしんどぉ!んな訳あるかい!あはははっ。」

 
 なにが起きたかわからず、キョロキョロするジェシカ姉妹と少女たち。

 氷下魚を頬張りながらきよしが困った顔で、ボソボソと言った。
 
「もぅ、最初に言ったのはアイラ姉ちゃんだけどぉ。ここで言うかなぁ。」
 
 きよしの首根っこを持ちながら笑って言うゾフィア。
 
「カカカッ!おかげで静かになったではないか。なぁ!みんな!あはははっ。スミス中佐、まぁ、安心しな。あはははっ。まぁルーシーさんも座って座って。どうだ、未央っ!」
 
「はい、師範。さすがです。皆、落ち着きました。」
 
 
(( えぇぇ~っ! ))

 
(( な~んだぁ~! ))
 

 一気にポカァーンと白けて、力が抜ける2次会のメンバーだった。
 
「あはははっ!きよしに手出したら、シゲル師範に破門されるがなぁ。あははっ!」
 
「あ~びっくり、びっくりしましたぁ~。もう。」
 
 ゾフィアの腕を持つ布村。
 

(( あははっ~! )) 


 笑いが起きて、落ち着く2次会の場。ホッとして、胸を押さえるジェシカ。

 呆れるルーシー。

 2人の姉妹はタオルでビールをこぼした畳を拭き始めた。

 体を小さくして手伝い始めるルオとリリアナ。

 ルオが畳の上を拭きながら、ゾフィアの後ろで笑っている。
 
「はははっ。ヴィチック師範の下ネタはたまには役立つんだわさ。うししし。はははっ!」
 
 笑いながら今度は乾いたタオルで丁寧に畳を叩いて拭くルオだった。
 
「それだけ、きよしは女性に愛されてるんだなぁーって。なぁきよしよ。お子ちゃまきよしとは、良く言ったもんだ。あはははっ。あっ、これもらうよ。モグモグモグ。上手い!ビールに合う!いつもながらきよしの剥く氷下魚は上手い。モグモグ!」
 
 きよしの剥いた氷下魚を口に頬張るゾフィア。

 腕を伸ばして、氷下魚に一味マヨネーズを付けて頬張るヴィクトリアと弟のバルトッシュ。

 5人の少女の内、無類のおつまみ好きの寺田麗子がきよしの横に座り、ビニール袋から氷下魚を取り出し、バキッと2つに折って一緒に剥き始めた。

 ゾフィアが、きよしの弱点、耳たぶを指でつまんだ。
 
「痛タタ。」
 
「でも、最近アイラ見ないなぁきよし。アイラ、遊びに来てるか?」
 
 今度はきよしの首筋を手で揉みながら、話を聞くゾフィア。

 親子のような、親戚のような雰囲気を醸し出す2人。
 
「ん~なんか今日はイギリスで、海の行事でなんだか漁とか……。良く解んないです。さっき、温泉でアルフレッド叔父さんと話してましたけど、本当は一緒に来たかったみたいですよ。でも、僕たちのハワイ演習の前の週かなぁ。栗山に来てたみたいです。アルフレッド叔父さんとジャック叔父さんの兄弟とアイラ姉ちゃんの3人でさ。オディ子に用事があるとか、なんとかで。」
 
「そうか、もう来てたんだ。アイラが今日居たら、もう、いじり倒されてるなぁきよし。」
 
 下からきよしの顔をのぞいて、頭をぐるぐる撫でるゾフィア。

 ジェシカが、そのアイラが誰か、気になって聞いた。
 
「アイラさんって、どなたですか?きよちゃん、アイラお姉ちゃんって親戚っ?ヴィチック司令(ゾフィア)?」
 
「あ~、まぁきよしの遠縁のお姉ちゃんになるな。今日、宴会に来ていたシーラスのアルフレッド少将の姪っ子っていうか、オディアのハトコになるお姉さんだな。きよし。」
 
「んです。あ~アイラお姉ちゃんいたらもっと大変な事になってたべさ。はははっ。」
 
「ものごっつー美人さ!スンゴイ金髪美人だけどぉ、下ネタの女王だ!アイラは!あはははっ。日本酒入ると、ほ~んとぉやばいやばい。アイツは。あはははっ。」
 
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