「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )

あおっち

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第13章 月からの使者。

第1話 ジョナサン、対馬に降り立つ。

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 ようやく、陽が昇り始める早朝の対馬。
 
 厳原湾の対馬診療所の近く、急遽つくった広場に朝日を受けて続々とポーランド海軍とアメリカ海軍、イギリス海軍、フランス海軍のなどの同盟国のオスプレー2が着陸して来た。
 
 そのアメリカ海兵隊、第2機動艦隊「エイブラハム・リンカーン」所属のオスプレー2の中から、対馬空爆の立役者であり、エースパイロットのムーンラビットワン隊長のジョナサン・M・オースティン大尉が降り立った。

 用があって、対馬防衛本部のテントに向かうため、来島したのだった。
 
 ゆっくり港湾から島の北部を見渡すオースティン大尉。
 
 眩しい朝日を避けて、大尉が手をかざして北部を見ると、核爆発があった爆心地に近い対馬市北部ではまだ森林や建物が広い範囲でくすぶって薄い煙を上げているのが解った。

 時折、金属が焼けるキツイ臭いがジョナサンの鼻を刺した。
 
 グリグリっと鼻を指でこする大尉。
 
 その内、車窓から手を上げてこちらに向かう自衛隊の小型車両が向かって来た。

 迎えに来たのは自衛隊の新型車両1/2トラックのHEVパジェロだった。
 
 早速、オースティン大尉が乗り込む。
 
 港の周りを走ると、ほとんど避難した後なのか、一般市民をほとんど見かけなかった。

 軍や港の関係者、警察、消防の人たちがなんらかの作業や打ち合わせをしていた。
 
 周囲のビル街や商店街では復旧作業準備なのか、様々な自衛隊や日本国軍のトラックや特殊回収車両が並んでいた。

 左手奥の、海に近い荷上げ場では大きな人型の物体が大型クレーンで吊るされ始めているのが見えて来た。
 
「おーやってる、やってるべさ。」
 
 20数名の自衛隊や日本国軍の回収作業班が取り囲んでいる。

 その人型は吉田が乗ったHARMORだった。

 その脇を通るジョナサン搭乗車。
 
 吊り上げ始めたHARMORの背中やアーム部の後ろが、消し炭もみたく真っ黒に焦げていた。

 左脚部も欠損してる。

 ジョナサンは自衛隊ドライバーに止まってもらった。

 驚いて外に出るジョナサン。

 口を開けて感心しながら見始めた。

 キョロキョロと引き揚げ作業を覗いて見る。
 
 周りでは回収班が沢山の部品や、潰れたコンテナを牽引し始めていた。

 邪魔になると思ったのか、腕を組みながら車に戻ってきた。助手席ドアを開けたまま、感心している。
 
「へ~っ!凄いなぁ~。へ~っ。」
 
 関心しながら席に戻って来た。
 
「はぁ~あ。あ、よっこらしょ。(バタンっ。)いやいやいや、真っ黒っ。なっ!よっく我慢して2機分たえてなぁ~。え~!いやいやいや、ちょっとこれ、下になって噴射してたロボットだろ?俺、港の上空を通過する時ぃ、めちゃめちゃ噴射炎だして落っこちて来るロボット見たし。これだよな。下になって、ブワーって吹かしてたロボットは。んだべさ。」
 
 自衛隊の運転手の辰巳たつみ3等陸尉に聞くジョナサン。
 
「そうです、そうです大尉。これです。物凄い音で降下して来ました。古いシャトルのローンチロケットモーター並みの噴射炎でしたよ。夜中でしたから、物凄く眩しくて。アクシス製と言っても元々ロシアのOEMだから、皆が馬力あるなーって言ってましたけどぉ。あはははっ。でもあの爆音は勘弁してほしかったです。スンゴイ音でさっきまで耳鳴りしてました。あはは。まぁ結局、ランディング・ポイント手前で壊れましたけど。あ~やっぱりみたいな。あはははっ。」
 
「はぁーんだか。だけど。辰巳さんも、皆も焦ったんべ。2回の核爆発の後だべし。」
 
「はい。みんな本部テントの前で、かなり焦りましたよ。なにせ小型の核原子炉積んでますからね。臨界とかマジ、やべーっと思ってました。実は少し、被爆も覚悟したんですよ。あはははっ。もしかしたら種無しに、なるかもって。無用の心配でしたが。はははっ。」
 
「へぇー、やっぱ原子炉積んでたんだ。やばい、やばい、やばいべさー。今、俺たちぃ、こうノンビリ見ていいんだべか。被爆しねーべか?作業してる人もさ。ありゃ?ありゃりゃ皆、防護服着てないべさ。いやいやいや。」
 
「あはは。もう1時間前ですか?小型原子炉は撤去いたしました。いの一番にシーラスの技術者と回収の潜水艦が一緒に来てましたよ。大尉。」
 
「ん~!んだか!」
 
 んなの、知ってるべさ。とか、言えないジョナサンだった。

 だまって辰巳3等陸尉の話を聞いたのだ。
 
 この機会に一般兵士がシーラスをどの様に見ているかも、直に知りたかったのだ。
 
「私達、関心して見てましたよ。もうアッと言う間でしたから。すぐその埠頭の先に、凄かったですよ、カタカナで「ロ」って書いた潜水艦がいつの間にか浮かんできて、ガバァーって頭からカバみたく口開いて。本当ですよ大尉。見たことがないパワードスーツ着た、あれはなんか、エンジニアリング・ロボ・スーツとか岸田2等陸尉がぁ何か、そんな事言ってたなぁ。技術者用の重装備なパワード・スーツが来て小型原子炉ガシャガシャ外して、カバの口の中にぶち込んだんですよ大尉。10分も掛からなかったんです。それから、そのカバ潜がまた音も無くヌメーって、ほんとヌメーって沈んで、小型原子炉電池を持っていきました。もう、ビックリです。あれは最初に来たドクターマリーンなのかなぁ。カタカナで同じく「ロ」って書いてあったけど、ゲートの開き方が違ってたけど。あははっ、まぁ良く解りません。でも、本当にビックリしました。」
 
「ヘ~ッ!うそだべあ、ほんとだべか?」
 
「いやいやいや、大尉。本当ですってば。なんせ、埠頭の端っこに立ってたのボクなんすから。なんか気配感じて、後ろみたら、もうビックリ!いつの間にか、直ぐ僕の後ろにあのデカい潜水艦がいたんですよ。もう驚いて心臓、しっかり止まりました。イヤ、心臓が海に落ちて港の底に沈んで行く位ぃビ~ックリしました。本当です。」
 
「あ~そっ!んだかぁ。ビックリたまげたか!あははっ。よし、よし!よし、よし!じゃ辰巳さん、そんでは、次行ってみようー!」
 
「あっハイ!了解です。あははっ。大尉、お忙しい中、僕の話聞いてくれて有難うございます。」
 
「いやいやいや、なんともない。なんともない。んでもさタッツゥ?(その場で勝手につけた辰巳のアダ名)そのヌメーってなんだべ、ヌメ~って。タッツゥよ。オイ!」
 
「いや~僕も解りません。ほんとにヌメ~でした。ヌメ~です大尉。あはは。」
 
 運転手の辰巳3等陸尉の肩を、ペシペシ叩いて、正面に指さすジョナサンだった。

 HEVパジェロが更にゆっくり進むと、今度は右手に人だかりがあった。顎を上げて除くと、その奥には、よつん這いになった敵HARMORが見えた。また車を止めてもらうジョナサン。

 首を上げて見ると、ポーランド機動歩兵WALKERと防護服を着た自衛隊が作業をしていた。
 
「大尉、HARMORまだ、在りますか?」
 
「おー!タッツウ、まだ在る、在る、在る。在るべさあ。まぁ見るの、後でいいか。今見たら時間無いから、あずましくないべ。よし。ん~タッツゥ!先に本部テントさ、行くべ。」
 
 そのまま車両は正面のテントに向かった。
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