「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )

あおっち

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第11章 オペレーション「ハリケーン」。

第1話 ネオファントム。

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  千歳シーラスワンの戦闘指揮ルームでは御舩が後ろで手を組み、下に広がるオペレーションルーム・ウーラノスCDCを眺めていた。
 
 落下中のきよし達も気になってはいるが、今は中国大陸上空を飛ぶAXISの熱核弾頭搭載の爆撃機と、名目中立国のロシア、ドイツなどの核弾頭ミサイル発射サイロの方が気になっていた。
 
 「E I」大気圏再突入)から離脱後、ムーンリバーワンは2つの中隊に枝分かれをしたムーンラビットワンとツーだった。
 
 その枝分かれしたオースティン大尉の部下、シモンズ准尉の指揮をするムーンラビットツーが、AXIS自慢のステルス爆撃機の迎撃に向かっていた。
 
 御舩の正面に表示される巨大なモニター。
 
 ムーンラビットツーの薄いブルーのアイコンが敵爆撃機を示す黒いアイコンに接近している。

 凝視する御舩やオペレーション室の面々。

 空気の薄い超高高度3万メートルを飛行するF-39Bネオファントム。

 ほぼマッハ5で接近するため、E I離脱のインドネシア上空からは、アッという間に中国上空に着いたのだ。

 そのアイコンを見つめるウーラノス・オペレーションルームの事務武官たち。
 
 シモンズ隊を示す薄いブルーのアイコンが赤に変わり、素早く点滅した。

 いよいよ戦闘モードになったのだ。

 一斉に母国へ報告する事務武官たち。
 
 深夜の高度2万メートルの高高度を飛ぶ、20機の「轟21型ステルス爆撃機」。

 滑らかな三角形のステルス形状の機体は、敵AXISの最新鋭重爆撃機だった。
 
 その飛行する機体の奥に映る水平線。

 夜の地球でも空気の層が白く光り、美しいラインが広がっていた。
 
 ステルス爆撃機の下から上空を見ると、小さな12個の光の点が、爆撃機の真上に集まってきた。
 
 シモンズ准尉のF-39Bネオファントムが急襲・急降下迎撃ラインに入ったのだった。

 AXIS爆撃機の遥か上空高度3万メートルで飛行するF-39Bネオファントム。

 成層圏で飛行する美しい流線型の機体。

 それが大気圏内の戦闘モードに入ったのだった。

 この機体のステレス性能は、現在の地球上のレーダー網の技術では感知出来ないのだ。
 
 AXISの爆撃機編隊の技術力程度では探知する事は到底出来なかった。もし、認識できるとすればロックオンされた時のみなのだ。しかし、その時はすでに遅い……。

 そう、開発当初から言われていたが、それを証明する時が来たのだった。
 
 ムーンラビットツー12機の装備兵装は全てが千歳シーラスワンとリンクされていた。

 今回は残念ながら空対空ミサイルが搭載されていないが、対HARMORミサイルと対地ミサイルのプログラム変更をして、爆撃機20機の目標をセットしたのだ。
 
 とにかく、ミサイルが標的に直接ヒットするか、至近距離で爆発すればよいのだ。

 プログラム変更から爆撃機目標セットまで千歳シーラスワンのオペレーションルームに座るUSASFの2人の女性事務武官が行っていた。
 
 プログラム・セットが終了し、ひと息つく2人のUSASFの女性事務武官。

 お互いの手の甲を合わせてタッチした。
 
 オペレーション画面に表示される「###オールコンプリート###」の文字。
 
 シモンズ准尉のコンソールにも同じく表示されるオールコンプリート(全ての準備完了)の表示。
 いよいよ急襲・急降下攻撃が始まるのだ。

( ウィーン、シュカチャ。 )
 
 12機全機が、収まっていた大気圏飛行用の逆ガルウイングの翼を引き出し、翼をセットした。

 左右に機体を揺らすシモンズ准尉。
 そして180度機体を背面にひっくり返し、そのまま急降下を始めた。

(( ヒュィーンゴゴゴゴゴーッ! ))

 暗闇の地球に突っ込んでいくシモンズ中隊の12機。

(( シュッ!……シュシュシュシュッ! ))
 
 ネオファントムの急降下、急襲攻撃が始まったのだ。
 
 千歳シーラスワンの大型モニターに点滅するムーンラビットツーの赤いアイコン。

 敵爆撃機の黒いアイコンと重なった。

 息をのんで巨大な正面モニターを見る、ウーラノスCDCの事務武官たちだった。
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