「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )

あおっち

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第10章 激突!

第2話 発射!きよし・布村タンデムモービル。

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 一瞬、厚い雲が晴れて、満月の光が市街地に佇むHARMORを映していた。

4階建てのビルの裏で、ゆっくり立ち上がっている。

( ギー。ウィーン……ガラガラガラッ。ガラガラガラッ。 )

 きよし・布村タンデムモービルがビルの横で、カエルしゃがみからゆっくり立ち上がる。

 そのコクピットの中でウトウトし始めた布村パイロットと美少女軍団。
 
「さぁ!休憩終わ~り!中村さん市街地の部隊は?」
 
 あくびをしながら答える中村・スーザン・幸子。
 
「ふぁーっ。あっごめんなさい。さっき、市街地の部隊、4機の電源切れたみたいですけどぉ。えっ、え?」
 
「何ーっサッチ?あーぁ……ムニャムニャ。」
 
 半分寝ぼけて、ボーっとしながら質問する布村。
 
「これー1機、今、空に飛びましたよ、ね。隊長?絵里?この点々ってそうだよね。」

 中村の報告を聞いて焦り始めるきよし。
 
「ん?エイモス!戦術モニター。皆、カスケード硬化するからまた定位置で踏ん張て。早くっ!」
 
「早く!早く!」
 
 4人をせかす布村。
 
「了解!」
 
 布村が左右の後ろを確認した。
 
「準備完了!パンダ隊長、全員、踏ん張りOK!」
 
 キリッと目が覚めて準備をする乙女達。
 
 正面モニターでは市街地に孤立した敵部隊の内、1機が避難中の港へ向かって飛び上がる映像が映った。
 
「チェッ!うかつだった。エイモス、4名カスケード、バトルモードで硬化!バーニア緊急始動っ!バーニア最大噴射用意。」
 
( 4名のアーマースーツ。バトルモードで4名のカスケード硬化完了、バーニア始動。バーニア圧力最大まで20秒。椎葉少尉、ヘッドギアを! )
 
 棚が自動に開く。その棚の中のヘッドギアを取り、被りながら指示を出すきよし。
 
「エイモス、グラン・アンカー!」
 
 タンデムHARMORの全ての背面バーニアに再び火が入った。発射圧力を高める為のアンカーが地面を噛む。人で言う、くるぶしから出た鋼鉄の棒が地面に突き刺さる。

( ガシャドンッ!ガシャドンッ! )

 背中のバーニアから噴き出し始めるオレンジ色の炎。最大噴射を始めるバーニア。

( ヒュキィィー……!ゴゴゴォォ!)

 4階建てのビルのガラスが破れ、中の机やら家具が吹き飛び、ビルの壁の表面の塗装が焼け広がる。そして、コンクリートの壁が真っ赤に光った。ビルの中でバーニアの熱で火災が起きた。火災を感知して火災報知器が鳴った。

( ゴゴゴゴーッ、ババババババッー! )

 いよいよバーニアの噴射が増してくる。その熱で火災報知機もアッと言う間に焼かれて鳴らなくなった。

 足元のアンカー爪が少しづつバーニアの噴射圧力に負けて地面を擦り進みはじめた。

 HARMORやビルの何倍もの噴煙や地煙が夜の市街地に沸き起こる。

 まるで火山の爆発のような、濃い煙が昇り始めたのだ。


(( ズバババゴオォォーガガガガガー!))


 物凄い爆音が鳴り響き始める。
 
( バーニア圧力限界まで5,4,3,2,バーニア圧力最大。 )
 
「よし!エイモスっ!飛べー!」
 
( アンカー、パージします。 )
 

(( ドバー!バシーンッ! ))
 

 初速800キロで砲弾の様に吹き上がるきよし・布村タンデムモービル。
 

( ズバババゴオォォー! )
 
 
 地面より飛び上がった瞬間からHARMORの頭上や肩にはベイパーコーンの雲が全身を包んだ。

 市街地上空を飛ぶきよし・布村タンデムモービル。
 

( キィィーン、ドン!シュキィィーン、ズババババー!)
 
 
 瞬間音速に近づいたのか、(ドンッ!)と、無人の商店街に衝撃波が伝わった。
 
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