「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )

あおっち

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第5章 町会議員、小林未来(みらい)。

第7話 恐怖の都市伝説。

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 正座で、三つ指をついてお辞儀する第1雅ホテルの宴会スタッフの女性達。
 
 サッと立ち上がり、各々がテキパキと来賓に乾杯用の飲み物を注いで回る。

 上機嫌な叔父様たちや、叔母様たち。
 
 ジェシカ達も初めての体験にノリノリだった。

 バルトシュ夫妻も1人づつ双子ちゃんを膝の上に置いて、乾杯のビールや日本酒を注いでもらう。

 ピッシィとした和服姿で乾杯の日本酒を注ぐ布村恵子ママ。

 エレナの憧れだった日本、そして宴会。喜びでどうして良いか解らない位、真っ赤になって歓喜している。
 

「オーマガッ!オー、有難うございま~す。」
 

 そんなエレナを優しく見る夫のバルトッシュ。

 家族で日本に来て良かったと思った瞬間だった。満足して、何気に、何度かうなずいた。

 幸せのまま目をつむり、いつものようにグラスに口をつけようとしたその時。

 
「NO!NO NO NO NO!バルトNO!」

 
 ビールグラスを手で止められて、妻のエレナに怒られるバルトッシュだった。
 
「乾杯!カ・ン・パ・イよパパ!皆でするのよ!今、飲んだらダメ!(ポーランド語)」
 
 頭を掻いて笑ってごまかすバルトッシュだった。
 ルオとリリアナの席。
 
「オーマッガッ!もぅ、死んでもいい。もう嬉しすぎ~!」
 
 リリアナも憧れの日本の宴会で、ハイテンションになっていた。
 
「絶対ルオと結婚して、日本に住む。絶対住む!」
 
 横で照れ笑いのルオ。
 そのルオをジーっとみる黄夫妻。そして、ニッコリする妻のリーリン。
 
「ねぇパパ。家族は沢山いた方がいいわよね。お家も広いんだし。」
 
 ニッコリする黄技術部長。
 
「……ルオ、まだぁ19歳かぁ。日本で言うヤンキーだと思えばいいか。はははっ。若年結婚。」
 
「ヤンキーに失礼よパパ。私は10代の時は、こう見えて台北のヤンキーでリーダーだったのよ!」
 
「はぁい?初めて聞いたリーリン。ホント?」
 
「えっ?言わなかったっけ?」
 
「えぇぇ~!うそ!」
 
「日本で言う、スクーターヤンキーだけどねっ!あはははっ。」
 
「出た。スクーターかい。」
 
 横を向いて笑うオリエッタと京子。
 そんな皆を笑顔でみるきよしとジェシカだった。乾杯のジュースを注いでもらいながら、きよしがジェシカに顔を近づける。
 
「ジェシー?」
 
「な~に?私のきよし~。うふふっ。……。」
 
 うっとりした、なまめかしい目できよしの顔の上下を見るジェシカ。きよしに顔を近づける。
 また繰り返すジェシカ。
 
「どうしたの~。わたしの、き、よ、し。ふふっ。」

( ピクッ! )

 そのジェシカの(私のきよし……)の下りの言葉に反応する向かいの布村愛子。

(ピクッ!)(ピクッ!)(ピクッ!)(ピクッ!)(ピクッ!)

 続いて、反応する佐藤結衣、中村・スーザン・幸子、鈴木絵里、寺田麗子の5人。

( ピクッ! )

 席の奥では吉田美紀が、薄目を開けて反応した。

 あら?なんか、どうしたの?
 と、珍しく場の空気を読むきよし。
 周りを流して見ると、違う事に気が付いた。
 後ろを振り向くとオリエッタの横の空いた席が3席と、正面の佐藤結衣のパパとママの横の3席が空いている。
 今度は、座椅子の空席が何となく気になってきた、お子ちゃまきよし。
 
「あの~。まだ、誰がくるのかなぁ。ジェシー。」
 
 ジェシカも気が付いた。
 
「ん?何か、嫌な予感がする、の?」

( ゲッ! )

「何っ?ゲッ!て。何よ、ゲッって。」

「うわぁぁ……後ろの3席は恐らく、ジョナサン叔父さんと、麗子叔母さん。そしてマーシャ(真理亜)。わわ~。ぼ、ぼ、僕の母ちゃん、オリエッタ叔母さん、リーリン叔母さん、れ、れ、麗子叔母さん。うわわわ。4人揃うと悪魔の4人だ。うわぁぁ。この間の誕生日。最後に麗子叔母さんが乱入してきて、徹底的にボクがいじられてオワタ。う……。ジェシーの送ってくれたケーキネタから思いっきりボコボコに撃破された。うっ。」
 
 涙目の大男だった。
 
「クククッ!うふふっ。」
 
 きよしの襟足を引っ張って意地悪そうに、目をオタマジャクシにして話すジェシカ。
 
「きよちゃん、なんか、千歳シーラスワンの売店、山下のおばちゃんから聞いた事ある。4人揃うと、と~んでもない事が起きると。誰かが犠牲、と言うより邪悪な神の捧げものになる。とういう都市伝説!」
 
 わざと意地悪に言うジェシカ。オタマジャクシの目が不気味に笑っている。

( ゴクッ。 )

 真に受けたきよし。左右を見る。乾杯のグラスと置いた。
 
「あっ!思い出した。おお、俺帰っていいかなぁ……畑の用事、思い出した。あっそうだそうだ。いかん、いかん。あれがあったかぁ。」
 
 グラスを置いてよつん這いで、そ~っと逃げようとするきよし。
 その帯を持って座らせるジェシカ。
 
「いいから、座って!もぅ。うふふっ。何にも起きないわよ。お子ちゃまなんだから。」
 
 と、目線を感じるジェシカときよし。後ろを振り向くと母の京子とオリエッタの目が光る。

「ヒッ!」
 
「ヒッ!」

 更に横を見るとリーリンの目が光っている。
 座椅子の上でお尻ごと飛び上がる2人。

「ヒッ!」
「ヒッ!」

 目を合わせる、世界最強のアタッカー・HARMORパイロットカップル。

( うわわわわっ。 )

 と、その時。
 
「はい、皆様、お揃いです。どうぞ!」
 
 襖を開けて、三つ指を付き、上品に腕を伸ばして誰かを案内する女将。
 ドタバタと大男が入ってきた。制帽を押さえながら、背中を丸めて入って来た。
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