「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )

あおっち

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第4章 鹵獲、敵の機動モービル。

第5話 2機目、「李隊長機」を鹵獲!

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 敵HARMORの正面球面モニターに表示される、きよしたちが乗ったタンデム・モービルの姿。
 
 きよしの乗ったモービルに探索用ライトの光が何本も当たっている映像だった。
 
 こちら側に向くきよしモービル。
 右手にはチェーンヒートソードを持っている。
 しかし、味方だと思っているので、敵のパイロットは警戒しなかった。
 
 この飛んで来たパイロットは、自分はきよしの乗ったモービルの上官になるので、自分を守るために敵の白兵戦を警戒しているのだろうと都合よく考え、全く意に介してはいなかったのだ。
 
 敵パイロットは逆にその対応を評価した。
 その上官パイロットの正面球面モニター下部に表示される、きよし・布村タンデムモービルの状況。

「通常通信可能、味方識別正常、第2空挺部隊003バードワン:TWICE SEAT(2人乗りタンデム) 潘少尉、孫一級軍士長」
 
 と、表示されていた。
 ニッコリしてから、通信をするパイロットだった。

( ビー! )

 再び、通信開始のブザーがなるきよし・布村タンデムモービルのコクピット。
 
( 003バードワン、バードワン。後衛は君たちで終わりか。私は第4急襲の李忠義だ。上尉だ。バードワン、ウチの部隊は先に行ったのかな~。行方が解らない。白犬ども(日本人)の対馬の残存戦力ではやられる訳はないしな。でも、ここのキャンプ、酷いやられ方だな。しかし、前線はようやく前進し始めたな。白犬どもようやく折れたか。ハハハッ。(ハングル語) )
 
 正面スクリーンには通信内容のハングル語と翻訳した日本語が、翻訳した字幕映画の様に流れる。
 タンデムモービルは2人乗りの為、この機体の2人のパイロットの通信記録から声や音紋を拾ったのだろう、2人の男性に扮して、ハングルで返信するAIだった。
 違う2人の男性の声で答え始めるAIのエイモス。
 それも黄色い字で表示された。

 ① ( 608、李上尉殿、お久しぶりです。潘です。 )
 
( バードワン?潘?あ~!あ~2人とも去年の大会以来だな。あはははっ。ここが後衛なのかな潘っ? )
 
 ② ( 孫です。ご無沙汰しておりました。 )
 
( 孫?あ~孫1級軍士長か。暫くだな~。 )

 上手く2人のパイロット役をするAIのエイモス。

 ③( 大尉、時間がないんで、直接対馬の美味しい日本酒、お渡しします。コクピットを開けて下さい。時間がない。お毒味してください。お酒にはたしかぁ~、こだわりがありますよね。 )

( 了解!はははっ!バードワン。早速、気が利くな。俺の大隊長、司令には内緒にしてくれよ。はははっ!ピットを開ける。じゃ~早くしてくれ。そっちに行くから 。)

 布村のスーツの色が変化した。
 敵の教官服、品の無いグレーや黄色のライン付のスーツに色が変った。
 形態は変えられないが色は変えられる様だった。
 警戒されないよう、きよしのモービルのコクピットシールドの上下を先に半分くらい開けた。

( ガタン!ガガガガ。 )
 
 急にカバーが開き始めたので、ビビる4人の少女。
 
「うわ、うわ。」
 
「声を出さないで下さい。何があっても。目をつむって顔を下げて。お願いします。僕はあのモービルを奪います。だから、ひと芝居します。エイモス、ゲスト4名の首から上、硬化解除。スーツ色は本人の皮膚のオリジナル色。」
 
( ゲスト佐藤、寺田、鈴木、中村4名の頸部から上方硬化解除終了。色素は4名の皮膚のオリジナル色に変色します。スーツ偏光反射係数計算中。計算終了。色が変わります。 )
 
 首から上の硬化が解けてキョロキョロする4人。
 そして4人のアーマースーツが本人たちの体の色に変わった。

( オーッ! )
 
 スーツを着ているとはいえ、見栄えは完全に全裸の色白少女4人になった。
 それも髪の毛を剃り上げられたスキンヘッドの頭の少女に見える。
 顔を赤くする4人。
 
「えっ?えっ?」

「なになに?」

「麗子も絵里も、静かに、シーッ。」
 
 布村が左右の後ろを振り向いた。
 
「シッ!動かない!みんな、頭下げる!」
 
 慌てて少女たちは、目を閉じてうなだれた。
 きよしが左右を見た。
 
「エイモス、あとは指示通りに。」

( 了解しました。 )
 
 どうやら、きよしは先ほど、コンソールで直接キー入力して戦術、指示を出していたようだった。
 きよしのアーマースーツも硬化が解けた。
 首や、手足を軽く回すきよし。
 拳銃を用意してからきよしが左右の少女の準備を視認して、銃を前に突き出した。
 体をシートに落として隠れるように、正面に拳銃を向けて構えた。

( ウィン、プシューッ……ガタン。 )
 
 完全に下がるきよしたちのコクピットシールド。
 敵のパイロットもシールドを下げた。
 タンデム席の形状が見慣れない形になって、不審な顔になる敵パイロットだったが、コクピットの奥の4人の少女を見て理解した。
 
( なんだ?お前たちのコクピットは?ん~あっ成る程成る程ォ。はははっ! )

 敵パイロットから、タンデムシートの奥、左右に髪を剃り上げた裸の少女4人が、吊り下げられている様子を見ることができた。

( お~南北朝鮮軍本部への献上品か!さすがだな~!上玉じゃないか!酒と女か!はははっ!両方味見させてくれ!そっちに行く!あはははっ。うひょ~!戦場で4人の上玉とやれるかっ!良くやったお前たち。30分位、いや1時間は外に出ていろ!いいか!上官命令だっ!はははっ!白犬の女とやれるのが俺の目標だった!うひょ~! )

 急いで、敵パイロットはボディーガード類を外した。おまけにパイロットスーツの上部防護装も脱いだ。そして、よつん這いで開いたコクピット・シールド・バイザー・カバーの裏まで這って行き、カバーの上でヘッドギアを脱いだのだ。
 
 その瞬間、パイロットの額の中央に小さな赤い点のライトが照らされた。狙撃ロックされたのだった。一瞬、眩しい光で目を細める敵パイロット。
 
 次の瞬間!

( シュパッ! )

 空気を切り裂く音と共に、パイロットのおでこを、9ミリNATO弾が撃ち抜いた。
 
 即死だった。
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