「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )

あおっち

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第3章 ジェシカ・スミス中佐と佐藤結衣。

第4 話 裸の人質を助けろ!パンダ隊長。

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 少女たちの声か、周囲を警戒していた南北朝鮮軍の地上部隊兵士の2人の歩哨にも聞こえてきた。

 目を合わせるAXISの歩哨。
ゆっくり銃を構えて山谷を見ながら歩いていく。

 1人の歩哨がインカムに指を充てて、前線司令部に報告しようとした瞬間だった。

( ゴンッ! )

 そして再び。

( ゴンッ! )

 倒れる2人の歩哨。
 きよしのゲンコツで、絶命した。
 
( 布村さん!声が大きい。見つかる。シッ! みんなを静かにさせて。)
 
 手を取り合って喜んでいる5人。布村が4人に人差し指でシィーっと静かにするように促した。口を押える4人の少女。
 
「早く、水で体洗って。ハイ、殺菌のボディーソープ。ハイ、ハイ。私はきよしさんの指示を待っている。気にせず、そこで洗って。終わったらアーマースーツ渡す。すぐ着て。時間がない!急いで。」
 
 各々の少女が大きなペットボトル2本持って、離れて体を洗い始めた。
 
( ジャバジャバ、ジャバジャバ……。 )
 
( う、ううっ……。 )
 
( う、う、ううっ。 )
 
 かすかな泣き声に気が付く布村。
 一瞬振り向くと、4人がそれぞれ声を殺して泣きながら股間を洗っていたのだった。
 直視出来ない布村。
 悔し涙があふれてきた。
 知らない振りをするしかなかった。
 
( 後、32分です。 )
 
 鳴き声が薄っすらと聞こえる丘。
 愛子にはエイモスのカウントダウンの声が唯一の気晴らしだった。その愛子の肩をトントンと叩く佐藤結衣。
 
「愛っ、愛!服頂戴。」
 
「ズルズルっ。あっゴメン。この箱みて、これに上下スーツが入っている。大きく広がるから。それと、広がるタオル。はいっ。」
 
 全員に箱を3つ、づつ手渡しする布村。
 
 服の性能を簡単に説明した。
 そして2種類のソックスと手袋も渡し、履いてもらった。
 
 グレー1色の4人の少女隊が出来上がった。
 布村は一人一人の首元から丁寧に布を出して頭と顔を覆ってあげた。
 
「よし!わたしとパンダきよしは敵モービル鹵獲ろかくに行く。ちょっと結衣っ!結衣!」
 
 5人で唯一のミリオタ。

 よく学校で冬休みや春休みの間、ハワイの射撃場で色んな銃を撃った様子を、結衣が自分のブログにUPしていた事を思い出した。
 
「結衣?あんた、これ使える?」
 
 リュックから軽機関銃とマガジン2個を結衣に渡した。
 マガジンの弾を月明かりにかざす結衣。
 
「5.56×45ミリの……新NATO弾か。フンッ!差し詰め~、新しいホーワのサンキュウさんかな。ここは7.65×51ミリ、欲しかった。」
 
 手に取った瞬間、弾の種類が解る佐藤結衣。
 そして、驚く布村と他の3人。軽機関銃にマガジンを差して、後部の円筒のボルトバーを引いて、装填する。

( カシャ、カシャンッ! )

( おぉぉぉ~! )

 感激する4人。
 
「サンキュウホーワね。39年式ホーワ工業アサルトライフル。の、ショートバージョン。有効射程400か。新しいけどぉ物足りないわぁ、でもOKよ。89式のお孫さん。まぁ、バーストモード復活でいいか……。」
 
 親指を立てる佐藤結衣。

( おぉぉぉ~! )

 再び関心する4人。
 
「これも、必要なの?良く解んない。」
 
 縦長の箱を渡す布村。その箱を開いてみる佐藤結衣。
 
「フン。なるほどぉ。ありがたい。」
 
 そして、アッとゆう間にスコープ、サイレンサー、レーダー照準を装着した。

( おぉぉぉ~! )

 ワンパターンに驚く4人。
 
「結衣!あなた、女子高2年生なのに、軍人みたい。」
 
 怪しい目で、マガジン2つを片手で持ちながら、フフフっと鼻で笑う。
 
「弾は全部で60発。この銃だけで、ここは防ぎきれない。絶対助けに来てよ。愛っ。」
 
 うなずく布村愛子だった。
 そして愛子がしゃがんでうつ伏せになり、ほふく前進して所定の場所に着いた。
 それに佐藤結衣も続いた。
 他の3人もうつ伏せになって、布村のところまで、見様見真似でほふく前進した。
 布村の横に来た佐藤結衣達。
 結衣にきよしが使っていた双眼鏡スコープを渡した。
 のぞく結衣。
 
 結衣のスコープに映る、何やら黄色い矢印が何かを追跡している画像。
 矢印の方をスコープを合わせると、物凄い勢いで走り抜けてるきよしが居た。
 真っ黒の全身で裸眼では見えづらいのだろう、自動的にきよしの外側の線に黄色いラインをして知らせるスコープだった。
 そして、きよしがしゃがんで止まった
 。目をスコープから話して、生で距離を見る結衣。
 布村たちから直線で200メートル位の距離だった。
 ほぼ対馬市の北部、前線に居たのだ。
 またスコープをのぞくと、裸で立たされた女性たちが映っている。
 きよしはその数珠繋ぎの女性たちの近くまで体ひとつで来ていたのだった。
 
 女性全員が、疲労も頂点になり、幽霊のようにフラフラ、フラフラ揺れている。
 スコープを外し、きつい目をする佐藤結衣だった。
 
( 残り、25分です。 )
 
 エイモスがヘッドギアで告知する。結衣が見るスコープ映像も一緒に見ていた布村だった。
 きよしが、軽く振り向いて光通信。
 
「布村さん、スミス中佐に連絡。予定15分後、敵タンデムモービルに乗り込む。パスコード分析はシーラスでも行ってと。僕は、女の人たちを助ける!今から10分後、女性たちの脱出を助けるため、敵の目を逸らせる。陽動の爆破をする。それから5分以内で黒と黄色のタンデムモービルに搭乗する。エイモス!お前が布村さんを誘導して。以上送れ。」
 
 布村と佐藤が目を合わせる。
 佐藤が横の3人と目を合わせる。
 うなずく3人。
 そして、スコープをのぞく佐藤結衣。
 横では、布村がスミス中佐と連絡を取り合っていた。
 結衣がきよしの居る場所にスコープを合わせると、青龍刀を持っていた居眠りをしている男の背後にいた。
 
 きよしは静かに立ち上がり、首をねじった。
 その男の頸椎をねじ切り即死させた。きよしはそのまま、即死した男をそのまま椅子に座らせた。
 
 何事も無いように、きよしは流れるように、土手の上に立たされた200人の女性の足元に消えた。
 また、布村を見る佐藤。
 布村も気が付き小刻みにうなずく。
 
 フラフラしている女性達が、急に動きが止まったのだ
 左右に何か、小声で話をしているように映っている。
 彼女たちの手首から何か落ち始めた。
 
 佐藤がズームアップすると、手首のロープが順番に切られて落ちているのだった。
 まれに、きよしのシルエットを表す黄色いラインが現れる。
 きよしのアーマー・スーツは光を吸収する素材になっているため、白い素肌の日本女性の裏に回られると、敵の方角からなかなか視認出来なかった。
 きよしの炭素素材は対人レーダー波も吸収するのだ。
 
「やったー!さすがパンダ隊長!」
 
 握りこぶしを上げる布村の腕を押さえて、小声で話す結衣。
 
「コラコラッ、愛っ!後4分の3、残ってる。気が付かれたら全員殺される。しっかり周囲の情報取ってよ、愛っ!」
 
「あーっ……。解ったわよ結衣~。」
 
 主導権を取る結衣に少し、イラッとする布村。
 膨れ気味に、静かになって正面を見る布村だった。

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