6 / 96
第1章 ヘッドギア。
第5話 絶対!許さない。
しおりを挟む
吉田の生存を報告しようとした時、布村の悲鳴が聞こえてきた。
( キャー!! )
目を合わせる2人。お互い腰の拳銃を両手で持って、即座構えの姿勢で、小走りに民家へ近づき、2人は大きな玄関の両脇に分かれて張り付いた。
( キャー!イヤー! )
ヘルメットをかぶったままの布村が家の玄関から飛び出した。
その布村の腕を美紀が即座に持って、自分の背中に誘導した。
足元には、大型車両の後に続く大勢の足跡と中から続く大量の血糊の跡。
女性の後ろで両腕をさすり震える布村。目を合わせるきよしと美紀。
顔を揺らして3カウントするきよし。
( 3、2、1,今っ! )
2人は一気に漁師の家、広い玄関に突入した。両腕を真っすぐ伸ばし、アイソセレススタンスで銃を構える2人。
玄関からゆっくり侵入した。居間の襖から裸足の女性の両足が足首から出ていた。
廊下は血だらけだった。
静かに止まる2人。
きよしが両指で目を押さえて、右手の手の平で自分が先に行くと合図する。一瞬、廊下に出た足を見る2人。
更にゆっくり進み、襖の脇で止まるきよし。
大量の血の跡がこの部屋から出ていた。
きよしは、後ろに居る美紀を見てから、一気に居間に突入した。
そして銃を構えた。
……そこには、この世の物とは思えない光景があった。約10人以上の若い女性の首のない遺体が、それも、全て両足を広げて倒れていた。思わず天井を見るきよし……。
( うわっ!う、う。 )
続けて美紀も入って来た。
「なっ!」
同じく、すぐ天井を見る美紀。
( な、なんて事なの~!なんて……な、なんて事なの~!なんて事なの~! )
天井を見て叫ぶ美紀だった。
そんな美紀を見てから、勇気を出して居間を見るきよし。
全身から汗が噴き出した。
台所の方を見ると、女性の生首が多数テーブルに乗せられていた。
目を開けて絶命しているもの。苦しみの表情で目を閉じている者、
様々だった。ほぼ10代から20代の若い女性だった。
美紀がきよしの腕をつかんだ。
目から大粒の涙がこぼれている。
きよしの腕を掴んだまま、一気に外に出た。
( バタン……。 )
ドアの淵につまずいて、よつん這いになる美紀。
( うぅぅっ、……くやしい。 )
口と胸を押えて泣き崩れる美紀。
布村は、ヘッドギアを被ったまま地面にペタッと座っていた。
真っ赤に目が腫れ上がる美紀。
やがて、のっそり立ち上がり、フラフラと玄関前の車の跡から、泥のタイヤの後をつけて国道を歩いていく。
やはり、先ほど交戦した敵のトラックの跡だった。
彼らが少女達を凌辱し、殺害したのだ。
美紀の後ろから、暗い顔をしたきよしが歩いてきた。
振り向いた美紀の顔は赤い目で涙を流し、鬼の形相だった。
( コノヤロー! )
突然、美紀が敵兵の機関銃を持って、死んだ敵兵を撃ち始めたのだ。
( ズバババババ~! )
「ちきしょー!〇チガイども~!ちーきしょー!」
( バババババ~! )
慌てて美紀の銃を奪って遠くへ投げ捨てるきよし。
「なぜ止めるのー!なぜ止めるのー!」
きよしの分厚い胸を叩く美紀。
美紀の両手首を持って、止めるきよし。
「離してーっ、離してよーっ!もう。」
落ち着いて話すきよし。
「美紀さん!美紀さん!家を燃やして供養しましょう。まだ、ご遺体があるかもしれない。美紀さん。美紀さん。」
顔上げて、きよしを睨んで一瞬黙る美紀。
そして、力なくアスファルトに崩れた。
「わぁ~ん!なんでなの~!あんな若い子たちがぁ~!なんで~っ。わぁ~ん!」
泣く美紀の姿を、立ち尽くして見ていたきよし。
そこにフラ~フラ~と脱力したままの布村が歩いて来た。
きよしを見つめたままヘッドギアを脱いだ。
( カランッカランッ。 )
ヘッドギアを道路に落として、布村もきよしを睨んだ。
みるみる内に顔が真っ赤になり、泣き顔になっていく。
布村も耐え切れなくなり、きよしに抱き着いて号泣し始めたのだ。
( なんでなのー!きゃー!もう、なんでなのー!わぁ~ん! )
崩れる3人。
( く、くっ……。 )
きよしも耐え切れなくなり、悔し涙を流した。
( キャー!! )
目を合わせる2人。お互い腰の拳銃を両手で持って、即座構えの姿勢で、小走りに民家へ近づき、2人は大きな玄関の両脇に分かれて張り付いた。
( キャー!イヤー! )
ヘルメットをかぶったままの布村が家の玄関から飛び出した。
その布村の腕を美紀が即座に持って、自分の背中に誘導した。
足元には、大型車両の後に続く大勢の足跡と中から続く大量の血糊の跡。
女性の後ろで両腕をさすり震える布村。目を合わせるきよしと美紀。
顔を揺らして3カウントするきよし。
( 3、2、1,今っ! )
2人は一気に漁師の家、広い玄関に突入した。両腕を真っすぐ伸ばし、アイソセレススタンスで銃を構える2人。
玄関からゆっくり侵入した。居間の襖から裸足の女性の両足が足首から出ていた。
廊下は血だらけだった。
静かに止まる2人。
きよしが両指で目を押さえて、右手の手の平で自分が先に行くと合図する。一瞬、廊下に出た足を見る2人。
更にゆっくり進み、襖の脇で止まるきよし。
大量の血の跡がこの部屋から出ていた。
きよしは、後ろに居る美紀を見てから、一気に居間に突入した。
そして銃を構えた。
……そこには、この世の物とは思えない光景があった。約10人以上の若い女性の首のない遺体が、それも、全て両足を広げて倒れていた。思わず天井を見るきよし……。
( うわっ!う、う。 )
続けて美紀も入って来た。
「なっ!」
同じく、すぐ天井を見る美紀。
( な、なんて事なの~!なんて……な、なんて事なの~!なんて事なの~! )
天井を見て叫ぶ美紀だった。
そんな美紀を見てから、勇気を出して居間を見るきよし。
全身から汗が噴き出した。
台所の方を見ると、女性の生首が多数テーブルに乗せられていた。
目を開けて絶命しているもの。苦しみの表情で目を閉じている者、
様々だった。ほぼ10代から20代の若い女性だった。
美紀がきよしの腕をつかんだ。
目から大粒の涙がこぼれている。
きよしの腕を掴んだまま、一気に外に出た。
( バタン……。 )
ドアの淵につまずいて、よつん這いになる美紀。
( うぅぅっ、……くやしい。 )
口と胸を押えて泣き崩れる美紀。
布村は、ヘッドギアを被ったまま地面にペタッと座っていた。
真っ赤に目が腫れ上がる美紀。
やがて、のっそり立ち上がり、フラフラと玄関前の車の跡から、泥のタイヤの後をつけて国道を歩いていく。
やはり、先ほど交戦した敵のトラックの跡だった。
彼らが少女達を凌辱し、殺害したのだ。
美紀の後ろから、暗い顔をしたきよしが歩いてきた。
振り向いた美紀の顔は赤い目で涙を流し、鬼の形相だった。
( コノヤロー! )
突然、美紀が敵兵の機関銃を持って、死んだ敵兵を撃ち始めたのだ。
( ズバババババ~! )
「ちきしょー!〇チガイども~!ちーきしょー!」
( バババババ~! )
慌てて美紀の銃を奪って遠くへ投げ捨てるきよし。
「なぜ止めるのー!なぜ止めるのー!」
きよしの分厚い胸を叩く美紀。
美紀の両手首を持って、止めるきよし。
「離してーっ、離してよーっ!もう。」
落ち着いて話すきよし。
「美紀さん!美紀さん!家を燃やして供養しましょう。まだ、ご遺体があるかもしれない。美紀さん。美紀さん。」
顔上げて、きよしを睨んで一瞬黙る美紀。
そして、力なくアスファルトに崩れた。
「わぁ~ん!なんでなの~!あんな若い子たちがぁ~!なんで~っ。わぁ~ん!」
泣く美紀の姿を、立ち尽くして見ていたきよし。
そこにフラ~フラ~と脱力したままの布村が歩いて来た。
きよしを見つめたままヘッドギアを脱いだ。
( カランッカランッ。 )
ヘッドギアを道路に落として、布村もきよしを睨んだ。
みるみる内に顔が真っ赤になり、泣き顔になっていく。
布村も耐え切れなくなり、きよしに抱き着いて号泣し始めたのだ。
( なんでなのー!きゃー!もう、なんでなのー!わぁ~ん! )
崩れる3人。
( く、くっ……。 )
きよしも耐え切れなくなり、悔し涙を流した。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
「メジャー・インフラトン」序章2/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節FIRE!FIRE!FIRE! No1. )
あおっち
SF
敵の帝国、AXISがいよいよ日本へ攻めて来たのだ。その島嶼攻撃、すなわち敵の第1次目標は対馬だった。
この序章2/7は主人公、椎葉きよしの少年時代の物語です。女子高校の修学旅行中にAXIS兵士に襲われる女子高生達。かろうじて逃げ出した少女が1人。そこで出会った少年、椎葉きよしと布村愛子、そして少女達との出会い。
パンダ隊長と少女達に名付けられたきよしの活躍はいかに!少女達の運命は!
ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。そして、初めての恋人ジェシカ。札幌、定山渓温泉に集まった対馬島嶼防衛戦で関係を持った家族との絆のストーリー。
彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。
是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)
あおっち
SF
脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。
その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。
その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。
そして紛争の火種は地球へ。
その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。
近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。
第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。
ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。
第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。
ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。
彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。
本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。
是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
「メジャー・インフラトン」序章4/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節JUMP! JUMP! JUMP! No1)
あおっち
SF
港に立ち上がる敵AXISの巨大ロボHARMOR。
遂に、AXIS本隊が北海道に攻めて来たのだ。
その第1次上陸先が苫小牧市だった。
これは、現実なのだ!
その発見者の苫小牧市民たちは、戦渦から脱出できるのか。
それを助ける千歳シーラスワンの御舩たち。
同時進行で圧力をかけるAXISの陽動作戦。
台湾金門県の侵略に対し、真向から立ち向かうシーラス・台湾、そしてきよしの師範のゾフィアとヴィクトリアの機動艦隊。
新たに戦いに加わった衛星シーラス2ボーチャン。
目の離せない戦略・戦術ストーリーなのだ。
昨年、椎葉きよしと共に戦かった女子高生グループ「エイモス5」からも目が離せない。
そして、遂に最強の敵「エキドナ」が目を覚ましたのだ……。
SF大河小説の前章譚、第4部作。
是非ご覧ください。
※加筆や修正が予告なしにあります。
「メジャー・インフラトン」序章5/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 JUMP! JUMP! JUMP! No2.
あおっち
SF
海を埋め尽くすAXISの艦隊。
飽和攻撃が始まる台湾、金門県。
海岸の空を埋め尽くすAXISの巨大なロボ、HARMARの大群。
同時に始まる苫小牧市へ着上陸作戦。
苫小牧市を守るシーラス防衛軍。
そこで、先に上陸した砲撃部隊の砲弾が千歳市を襲った!
SF大河小説の前章譚、第5部作。
是非ご覧ください。
※加筆や修正が予告なしにあります。
Another Japan Online(アナザージャパンオンライン) ~もう一つの日本~
むねじゅ
SF
この物語は、20XX年 AI技術が発達し、失業率90%を超えた時代の日本が舞台である。
日本政府は、この緊急事態を脱する提案を行う。
「もし生活に困窮している方がいるならば、暮らしに何も不自由が無い仮想現実の世界で生活しましょう」と…
働かなくて良いと言う甘い誘いに国民達は、次々に仮想現実の世界へ行く事を受け入れるのであった。
主人公は、真面目に働いていたブラック会社を解雇されてしまう。
更に追い打ちをかけるようにある出来事が起こる。
それをきっかけに「仮想現実の世界」に行く事を決意するのであった。
【完結】バグった俺と、依存的な引きこもり少女。 ~幼馴染は俺以外のセカイを知りたがらない~
山須ぶじん
SF
異性に関心はありながらも初恋がまだという高校二年生の少年、赤土正人(あかつちまさと)。
彼は毎日放課後に、一つ年下の引きこもりな幼馴染、伊武翠華(いぶすいか)という名の少女の家に通っていた。毎日訪れた正人のニオイを、密着し顔を埋めてくんくん嗅ぐという変わったクセのある女の子である。
そんな彼女は中学時代イジメを受けて引きこもりになり、さらには両親にも見捨てられて、今や正人だけが世界のすべて。彼に見捨てられないためなら、「なんでもする」と言ってしまうほどだった。
ある日、正人は来栖(くるす)という名のクラスメイトの女子に、愛の告白をされる。しかし告白するだけして彼女は逃げるように去ってしまい、正人は仕方なく返事を明日にしようと思うのだった。
だが翌日――。来栖は姿を消してしまう。しかも誰も彼女のことを覚えていないのだ。
それはまるで、最初から存在しなかったかのように――。
※第18回講談社ラノベ文庫新人賞の第2次選考通過、最終選考落選作品。
※『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しています。
我ら新興文明保護艦隊
ビーデシオン
SF
もしも道行く野良猫が、百戦錬磨の獣戦士だったら?
もしも冴えないサラリーマンが、戦争上がりのアンドロイドだったら?
これは、実際にそんな空想めいた素性をもって、陰ながら地球を守っているエージェントたちのお話。
※表紙絵はひのたけきょー(@HinotakeDaYo)様より頂きました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる