「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )

あおっち

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第1章 ヘッドギア。

第2話 きよし、愛子、出立。

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対馬大浦海岸、深夜3時。
 
 横たわる36式の訓練試作機モービルの腹部前に置かれた、シルバーの緊急小型テント。
 
 ザクザクザクと足音が近づいて来る。
 
「布村さんっ。布村さん起きて。」
 
「はい……。あっ、はいっ。起きましたパンダのきよしさん。くわぁ~か~っ……むにゃむにゃ。はい。今、テントから出ます。ん~!かぁ~っ。ネムネム……。」
 
 真っ暗闇のテントからよつん這いで、出て来てテントから顔だけ出す布村。
 きよしがしゃがむ。
 
「布村さん、後片付けも終わりました。これから対馬市に向かって南下します。リュック背負って下さい。」
 
「はい。解りました。」
 
「洗った制服とか、リュックに入れて下さいね。テントも廃棄します。もうテントから出て下さい。処分します。」
 
 布村の前にリュックを置くきよし。
 
「ハイハイ、パンダさん。よっこいしょっと。」
 
 立ち上がる布村。
 そのまま、テントの上に掛けている制服や下着を立ったまま折りたたんでリュックに入れ始める。
 
「結構、乾いてますよ。ん~匂いは、悪くない。頭も、体も海水で洗えて服も洗えるボディソープって。コンビニとかで売り出したらいいのに~。ねぇ。うふふふっ。」
 
 暗闇の中で、楽しい雰囲気で、たたんだ服をリックに入れながら、楽しく話す布村だった。
 
「終わりましたか。」
 
「はい!パンダ隊長。フフフッ。」
 
 敬礼をする布村。
 
「このカスケードテント、また何回か使うかもしれないので処分の仕方、教えます。」
 
「処分するの?え~勿体ない。」
 
「あと9個残ってますから。いいですか?」
 
 テントの端の赤いプラスチックのボタンを手に持つきよし。
 
「テント作るときはこのプラスチックの赤いボタン押しましたよね?」
 
「そう、押したらシュ~ゴ~って空気が入りはじめてこのテントになった。ほんと。びっくらこいたのだった。」
 
「実はもう一度押すと、燃焼のカスケードが起きて無くなるんですよ。押してみて下さい。」
 
 一緒にしゃがんで赤いボタンを持つ布村。
 
「えっ?これ?」
 
 うなずくきよし。
 
「じゃっ、押しますよ。はい、ポチッ!」
 
 一瞬小さく火花が起きると、見る、見る内にテントの端から順番に可愛らしい火が着いて、あっという間にテントの端にから全体に、一瞬で燃え広がりテントが消えた。

( シュ……ポン。 )
 
「あっ、えー!もうテントがない。ゴリゴリ硬いテントがないっ!凄い!凄い!何かの手品みたい。あははっ。トランプが、バッと燃えて消える様な。」
 
 暗闇でその布村をニコニコと見ているきよしだった。
 
「さぁ、作戦を考えながら行きましょうか。」
 
「了解!パンダ隊長っ!」
 
 胸を張ってわざとらしく敬礼する愛子。
 
 2人は、岩肌の海岸線をゆっくり歩いて行った。
 
 海岸線から、山肌を登り始める2人。
 そして、ようやく小さな漁港を見渡せる所まで来た。
 力尽きて、フラフラになった愛子が、倒れてる丸太に腰を掛けた。
 
「ハァハァ。ちょっとパンダ隊長~ぉ。待って。ハァハァ。足の長さが違うから、私は大変。ハァハァ。」
 
「はい、布村さん、お水。じゃぁちょと休憩するね。」
 
「はい、有難う。……ゴクゴクッ。はぁー!ゴクゴク。やっぱり超純水って、すんごく美味しいんだけど。ふぅ~。水も冷たいし、なんで冷たいの?ふ~しぎ~。でも美味しい。ゴクゴクゴク。めっちゃ生き返るぅ。」
 
 その、2人が休んでる、見渡しの良い丘の林へ、銃撃戦の様な音が聞こえてきた。

 
( タンタンタンッ、パパパパ!パパパパパ! )

 
( タンタンッ!パパパッ! )

 
 一瞬、銃声で身を縮めてきよしの腕をもつ布村だった。
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