「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )

あおっち

文字の大きさ
上 下
2 / 96
第1章 ヘッドギア。

第1話 大浴場、浴衣準備よし。

しおりを挟む
 椎葉きよし、ジェシカ、オディアがお泊りする第1みやびホテルの特別迎賓室。
 
 そのホテルのきよしたちの宿泊部屋では、すっかりジェシカたちと打ち解けた、愛子たちの女子高校生グループ5人との談笑が続いていた。
 ジェシカとオディアも、楽しく話している。
 2人のきよしネタで、大笑いする女性軍団。

( あはは! )
 
( うそー!マジーッ、オディアちゃん。あはははっ。 )

( もう、きよちゃんのきよちゃんたる、所以のような話ね! )

( うわ~!めっちゃお腹痛い~っ!あはははっ~! )

 
 その横で、背中を向けて映画でも流そうと思い大型スクリーンのシステムリモコンをいじってチャンネルを変えているきよし。

( パンダ隊長~マジっすか?あはははっ~! )
 
( え~、え~!マジーッ、ぐぁ~はははっ! )
 
 廊下には特別迎賓室から廊下に漏れる楽しい笑いの声。
 その声がする部屋へ、女将と浴衣を持った着物を着たスタッフの2人が上品に歩いていく。
 部屋の入り口で、声を掛ける布村愛子の母。
 母の後ろでは、着物を着た別のスタッフたちが、バルトシュや小林の別部屋をノックして声を掛けていた。

( ……トン、トン。 )

「はーい。」
 
 返事をする愛子。
 部屋のインターホンに話しかける恵子ママ。
 
( お楽しみの所、失礼いたします。椎葉様入ってもよろしいでしょうか? )
 
 椅子のインターホン・ボタンを押して話すきよし。
 
「あ、あっはい。はい、どうぞ、どうぞ。おねがいしますぅ。」
 
 話を止めて振り向くオディアと6人の女性軍団。
 女将の恵子ママと着物姿のスタッフが部屋に入ってきた。
 
「は~い。失礼いたします~。」
 
 オディアがピョンピョン飛びながら入れ口の恵子ママに向かった。
 オディアの頭を優しくなでる恵子ママ。
 
「はい、オディアちゃん。皆さんも~温泉に入りましょうね。今、一般のお客様はお食事が始まったばかりですので、大浴場にゆっくり入れますわよ。愛ちゃんたちも。本日のご宴会とお食事は、今晩7時30分からです。地下1階の大広間でお願いいたします。」
 
 モニターの時計を見る一同。
 
「明日のお朝食はお部屋でご用意出来ますが、椎葉様?明日のお朝食。このお部屋で、他のお部屋の皆さんとご一緒で召し上がりますか?小林様、カミンスキ様と、皆様で朝食をお食べになりますか?個別のお部屋で召し上がりますか?」
 
「あっ、あ、明日の朝食?えー……。」
 
 ジェシカを見るきよし。
 
 和室に小さく人差し指で差しながら、ニコニコしてうなずくジェシカ。
 
「あ、はい!この部屋で、みんなでお願いいたします。」
 
「かしこまりました。では、浴衣ゆかたとタオル類ご用意しました。」
 
 トレーに重ねて運んで来た着替えをスタッフと運ぶ女将。
 
「愛ちゃん、しっかり大浴場とか、入浴後のお好みコンシェ(お部屋カクテルサービス)とか、ご案内してね。」
 
「はい、ママ。了解。」
 
「あ、サっちゃん、大きい浴衣はこっちね。教えてあげてね。椎葉様のは、これ。お願いね。」

「あ、はい。叔母さん、ありがとうございます。じゃ、ジェシカさんこっちこっち。」

 ポカ~ンとしている薄らボケのきよし。
 きよしにはどこか、見覚えや聞き覚えがある布村恵子ママの顔を見てから、天井に目を向けて考えていた。
 そんなきよしを見て微笑む恵子ママと、きよしをほっておいて勝手に答える愛子。
 
「ママ、了解。」
 
「叔母さん、いろいろすみません。」
 
 中村・スーザン・幸子と愛子が立ち上がり、スタッフから浴衣を預かった。
 
「結衣ちゃん。麗ちゃん、絵里ちゃんもゆっくりしてね。それでは失礼いたします。」
 
(( はい、叔母さん。ありがとうございます。 ))
 
 上品に挨拶してから、部屋を出る恵子ママとスタッフだった。
 
( バタン。 )

「じゃ、じゃー浴衣に着替えましょうか?」
 
 腕組をして、何かを思い出そうとするきよしを、チロッと見る7人の女性軍団。
 これから女性達が浴衣に着替えをするのを、気が付かないきよしだった。

「思い出せない。どこかで聞いた覚えあるおばさんなんだよなぁ。」
 
 きよしは引き続きリモコンなどオーディオをいじろうとしていた。
 再び布村が目をつむって大きな声を出す。
 
「ゴホンッ!え~じゃぁー、浴衣に女の子。全員着替えますわぁー。ジー!」
 
 声を合わせて言う女性軍団とオディア。

(( ジーッ! ))
 
(  キャハハ、ジー、ジー!バカ兄ちゃん、ジー、ジー、キャハハ。 )
 
 全女子の目線に気が付くきよし。
 
「ゲッ!」
 
 後ろを見て慌ててキョロキョロした。
 直ぐ反応する愛子とジェシカ。
 
「ゲッて何よ、ゲッって!パンダ隊長~っ。」
 
「そうよ、ゲッて何よ、ゲッて。きよちゃん。アハハ!」

( こりゃ、いかん。タッタッタッター、バタンッ! )
 
 大きな背中を丸めて、浴衣を持って奥の寝室に逃げたきよし。

( アハハハッ! )

( こりゃ、いかんって表現古くなぃ?あはははっ~! )

 笑う女軍団。
 笑いもひと段落すると、ジェシカが、オディアの着替えを始めた。
 
「さぁ着替えましょう!うわ~、ちびっ子サイズの浴衣!めっちゃ可愛いぃ。あはは!はい、オディちゃん。キャハ。可愛いいわ。はい、お着替えしょうね。ちびっ子用の浴衣って可愛い。凄い凄い。」
 
 大喜びのジェシカだった。
 みんなで楽しく浴衣に着替え始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「メジャー・インフラトン」序章2/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節FIRE!FIRE!FIRE! No1. ) 

あおっち
SF
敵の帝国、AXISがいよいよ日本へ攻めて来たのだ。その島嶼攻撃、すなわち敵の第1次目標は対馬だった。  この序章2/7は主人公、椎葉きよしの少年時代の物語です。女子高校の修学旅行中にAXIS兵士に襲われる女子高生達。かろうじて逃げ出した少女が1人。そこで出会った少年、椎葉きよしと布村愛子、そして少女達との出会い。  パンダ隊長と少女達に名付けられたきよしの活躍はいかに!少女達の運命は!  ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。そして、初めての恋人ジェシカ。札幌、定山渓温泉に集まった対馬島嶼防衛戦で関係を持った家族との絆のストーリー。  彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

静寂の星

naomikoryo
SF
【★★★全7話+エピローグですので軽くお読みいただけます(^^)★★★】 深宇宙探査船《プロメテウス》は、未知の惑星へと不時着した。 そこは、異常なほど静寂に包まれた世界── 風もなく、虫の羽音すら聞こえない、完璧な沈黙の星 だった。 漂流した5人の宇宙飛行士たちは、救助を待ちながら惑星を探索する。 だが、次第に彼らは 「見えない何か」に監視されている という不気味な感覚に襲われる。 そしてある日、クルーのひとりが 跡形もなく消えた。 足跡も争った形跡もない。 ただ静かに、まるで 存在そのものが消されたかのように──。 「この星は“沈黙を守る”ために、我々を排除しているのか?」 音を発する者が次々と消えていく中、残されたクルーたちは 沈黙の星の正体 に迫る。 この惑星の静寂は、ただの自然現象ではなかった。 それは、惑星そのものの意志 だったのだ。 音を立てれば、存在を奪われる。 完全な沈黙の中で、彼らは生き延びることができるのか? そして、最後に待ち受けるのは── 沈黙を破るか、沈黙に飲まれるかの選択 だった。 極限の静寂と恐怖が支配するSFサスペンス、開幕。

「メジャー・インフラトン」序章5/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 JUMP! JUMP! JUMP! No2.

あおっち
SF
 海を埋め尽くすAXISの艦隊。 飽和攻撃が始まる台湾、金門県。  海岸の空を埋め尽くすAXISの巨大なロボ、HARMARの大群。 同時に始まる苫小牧市へ着上陸作戦。 苫小牧市を守るシーラス防衛軍。 そこで、先に上陸した砲撃部隊の砲弾が千歳市を襲った! SF大河小説の前章譚、第5部作。 是非ご覧ください。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)

あおっち
SF
  脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。  その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。  その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。  そして紛争の火種は地球へ。  その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。  近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。  第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。  ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。  第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。  ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。  彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。  本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

「メジャー・インフラトン」序章4/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節JUMP! JUMP! JUMP! No1)

あおっち
SF
 港に立ち上がる敵AXISの巨大ロボHARMOR。  遂に、AXIS本隊が北海道に攻めて来たのだ。  その第1次上陸先が苫小牧市だった。  これは、現実なのだ!  その発見者の苫小牧市民たちは、戦渦から脱出できるのか。  それを助ける千歳シーラスワンの御舩たち。  同時進行で圧力をかけるAXISの陽動作戦。  台湾金門県の侵略に対し、真向から立ち向かうシーラス・台湾、そしてきよしの師範のゾフィアとヴィクトリアの機動艦隊。  新たに戦いに加わった衛星シーラス2ボーチャン。  目の離せない戦略・戦術ストーリーなのだ。  昨年、椎葉きよしと共に戦かった女子高生グループ「エイモス5」からも目が離せない。  そして、遂に最強の敵「エキドナ」が目を覚ましたのだ……。  SF大河小説の前章譚、第4部作。  是非ご覧ください。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

【完結】バグった俺と、依存的な引きこもり少女。 ~幼馴染は俺以外のセカイを知りたがらない~

山須ぶじん
SF
 異性に関心はありながらも初恋がまだという高校二年生の少年、赤土正人(あかつちまさと)。  彼は毎日放課後に、一つ年下の引きこもりな幼馴染、伊武翠華(いぶすいか)という名の少女の家に通っていた。毎日訪れた正人のニオイを、密着し顔を埋めてくんくん嗅ぐという変わったクセのある女の子である。  そんな彼女は中学時代イジメを受けて引きこもりになり、さらには両親にも見捨てられて、今や正人だけが世界のすべて。彼に見捨てられないためなら、「なんでもする」と言ってしまうほどだった。  ある日、正人は来栖(くるす)という名のクラスメイトの女子に、愛の告白をされる。しかし告白するだけして彼女は逃げるように去ってしまい、正人は仕方なく返事を明日にしようと思うのだった。  だが翌日――。来栖は姿を消してしまう。しかも誰も彼女のことを覚えていないのだ。  それはまるで、最初から存在しなかったかのように――。 ※第18回講談社ラノベ文庫新人賞の第2次選考通過、最終選考落選作品。 ※『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しています。

我ら新興文明保護艦隊

ビーデシオン
SF
もしも道行く野良猫が、百戦錬磨の獣戦士だったら? もしも冴えないサラリーマンが、戦争上がりのアンドロイドだったら? これは、実際にそんな空想めいた素性をもって、陰ながら地球を守っているエージェントたちのお話。 ※表紙絵はひのたけきょー(@HinotakeDaYo)様より頂きました!

処理中です...