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第8章 バトル・オブ・苫小牧。敵、偵察部隊を狙撃せよ。
第1話 オルカ砲撃目標!千歳。
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北海道サーフィンのメッカ、苫小牧浜厚真海岸。道産子サーファーの聖地が戦場と化したのだ。
その戦場の海岸へ、沖から何本もの長い波頭の筋が向かい始めた。
シベリアで発生した低気圧が日本海に入ったのだろうか。
その白波が自走榴弾砲の車体にぶつかり波しぶきを上げる。サーファー的には肩、胸の高さの、程よい乗りごろの波なのだ。
( ザバーン! )
( ザバーン! )
そんな波を無視して、第2弾発射の作業が始まる無人の自走榴弾砲。
( クオーン、ガシャン。)
( クオーン、ガシャン。シューッ!)
海岸の海に浸かりながらオルカ砲撃隊の無人砲撃機が次の目標は遠距離なのだろうか、3本ある内の中間の長さの砲身に切り替えて179ミリ長距離焼夷榴弾と、薬包の装填を開始した。
砲身を最大仰角に上げる自走榴弾砲の一軍。
千歳宙空ステーション。旧政府滑走路のある南端で警戒する、われらがお子ちゃまきよし。
「よしっと。これでひと段落。ふーっ。」
シートに深くすわる椎葉きよし。何かを思い出した。
きよしは、戦闘に関わる作業中は本人が自覚することなくベテラン兵士の様に厳しい表情で集中して作業するのだが、それが一旦終わると、いつものほのぼの薄らボケだった。
「あぁ、んだんだ。ジェシーの作ったジュースあんだべ。ん~、ジュッスー♪ジュッスー♪」
シートから身を乗り出して、簡易冷蔵庫を開けるきよし。
「あった♪あった♪ハイハイー!」
大きな透明なカップを取り出すと、いきなりストローを刺してジェシカが作ったオリジナル・愛情ジュースを取り出して飲み始めた。
「んぐ、んぐっ!うわぁかーっ!なまら旨っ。なまら旨っー!んぐっんぐ。」
チラッとカップの絵を見ると、口紅で書かれた唇の絵とアイラブユーの文字。
「ぐっ、モフッ!」
口に入れたジュースがこぼれそうになって唇を拭く薄らボケ。
ちょっと赤くなったきよしだった。
ジェシカの映っているモニターを見ると、ニッコリしてジュースを飲むきよしを一瞬見たが、コマンダーモービルのコーンボウラーの報告が入って、ニコニコ顔でチェックを始めるジェシカが映っている。
時折、チラッチラッときよしの顔を見ている。
「ん~なまら旨っ、マジに、なまら旨っ!なんか今、飲むの勿体ないべさ。」
カップを上にして、書かれたジェシカの文字や絵を見てニッコリするきよし。また一口、軽く飲んで愛情ジュースを冷蔵庫に仕舞いながら、エイモスに話しかけた。
「んだ、エイモス?あのさ。」
( な~に?きよし君~。)
薄らボケのウキウキきよしの時は、ですます調の会話トーンからタメ口調に変わるのだ。
昨年の対馬から一緒のAIエイモスさんだった。
上手く呼吸があう中尉殿と、人工知能AIだった。
「んーしょっと。はー、いやさ。人の心理としてさ、(はぁ?なんかぁ、わたしのきよしがそんな難しい事言うなんて。きよし、何よ。)えっ?何よってエイモス、バカはバカなりに考えたんだけどぉ、(もう、うふふっ。)と、言うか、なんか、苫小牧守備隊が敵の初動砲撃を防げたんでしょ。(そうよ。サンパチ部隊も、防衛隊も無傷よ。)んー、だったら尚更さ、司令官、敵の司令官とか、なんか効果的っちゅーか、そうだな~、なんかこう、衝撃を与える事なんかば。考えないべか。ってさ。」
( どうでしょうか。)
「どういうんだべか。なんか、こう。なまらコッチが慌てるて事とか、どう言えばいいか。ジェシカならスッと正しい日本語で質問すると思うけどぉ。なんか、こうウチラがビビるって感じかな。どう?意味解る?エイモス、ごめん。俺、頭悪くて。しっかり意味ば、言えんくて。」
( もう。きよし君ったら。いつもの事でしょう。ん~ちょっと待って。あっ、あら。きよし君?「なんだべ。」きよし君?あーたの言う事、大事かも。「え?」可能性を演算中。敵の示威行動、欺瞞行動の可能性の演算中。)
「演算中って。そこまでしなくてもさ。シーラス・マザーも閣下(御舩)も既に予想していると思うし。戦術予想なんて、他の機体のAIも、ジュリアのチャーリーや、コバのエルジビエタも予想してるんじゃないべか。ジェシーのメティスなんか、スンゴイ賢いから、ちゃちゃちゃっと予想してんべさ。」
( いいから。きよし君、ちょっと待って。あら、大変な事になるカモっ!カモよ、きよし君。 )
「いやいや、カモカモってなんでよ。ただの話だべさ。」
( いやいやいや、きよし君。アータの感は大概当たるのよ。ジェシーや両コマンダーにも通達したわ。 )
「えー!いいよ。ジェシーにはジェシーの任務があんべし。コバやジュリーにも戦術・防衛の進捗チェックとかあるべさ。」
( いやいや、だからいいからきよし君。ちょっと待って、黙って演算させて!「あっ、はい。御免なさい。」謝る事はないのよ。あなたは私だけのきよしなんだから。あ、あっ。やはり。 )
「えっ?やはりってなんだべ。まさか、市街地に砲撃とかぁ~しないよね~。そんな、なまらはんかくさい事。未だに国連の理事国だよね~、AXISって。名前だけはPKSFにズーズーしく残ってるから、まさか市民を……。」
きよしの発言を遮るエイモス。
( あっ!出たわよ。きよし君。もう、有難うきよし君。わたしもちょっと、警戒態勢なのに。ノンビリしてたわ。閣下(御舩)に緊急の具申したわ。きよちゃん!(えっ?)ジュリアと未央に対空警戒出したわ。)
「え?え?どういう事?対空警戒って、まさか、やっぱり千歳市や恵庭市を砲撃とか。なんまら、はんかくさいべや。そうだべ~エイモス~っ。」
( はい。椎葉中尉。)
「あ。あっ……中尉って、ゴホンっ、あららマジかぁ。ぇぇぇー……マジだべかぁ~。」
タメ口の口調から、仕事口調に変わるエイモスだった。
正面のモニターや、各種ウインドーが探査・警戒エリアマップから、戦術予測・攻撃・迎撃モニターへ、瞬時に切り替わるコクピットの有様だった。
身を正してコクピット・シートに座り直すきよし。
「よし!それでエイモス、分析結果は。」
( はい、椎葉中尉、ご報告です。)
マジ仕事口調になったエイモスから判るように、きよしの質問から事が重大問題に動き出した。
その千歳シーラスワンのウーラノスCDC。警報が鳴る。
( ウォウォーン、ウォウォーン、ウォウォーン )
( ウォウォーン、ウォウォーン、ウォウォーン )
騒然とし始めるオペレーションルームのスタッフたち。
走って来て、椅子に座る者。
ベランダに振り返って真剣に聞き始める各国の事務武官たち。
ベランダ前の手すりでは、両腕を乗せて大声を出す御舩。
「ウーラノスの各員に告ぐ!緊急事態!第1級通達っ!各員、オペレーション姿勢。全てに優先する。各員、そのまま傾聴っ!敵っ浜厚真海岸上陸部隊、オルカのから市街地への砲撃を警戒。繰り返す。敵っ浜厚真海岸上陸部隊、オルカのから市街地への砲撃を警戒。砲撃に備えろ!千歳守備隊、恵庭守備隊へ連絡。ボーチャンに精細探知波解析および弾頭飛翔ルート解析依頼っ。コーンボウラー、コーンボウラー!」
警報が止み、オペレーション・ルームに響くコーンボウラーのジュリアの声。
「こちらコーンボウラー。既に、コマンダー2機、エイモスの敵、戦術予測を受領済みです。」
「よし。ヴァイシュラーヴァナ(毘沙門天:小林機)は?」
正面モニターに、コマンダーHARMORに乗る小林と、ジュリアのパイロットの正面画像が左右に出た。
注目するウーラノスCDCの事務武官たち。
「こちらヴァイシュラーヴァナ。すでにコーンボウラーAIチャーリーとバイポーラ接続(2機同時演算)で予想弾道計算中。」
「よし。」
そして、ジュリアの通信。
「こちら、コーンボウラー。エイジャックス・オートマ、対空迎撃警戒開始。CIWS-3(30ミリ迎撃ファランクス・オートマ)全数配置および迎撃準備完了。推定、砲弾飛翔ルート詳細予測、計算終了。あ、今、ボーチャンより弾頭飛翔ルート予測値を受信。データ統合終了。いつでも迎撃行けます。」
通常の戦略画面にもどる正面モニターだった。
「よし!千歳・恵庭方面守備隊は?」
下の段のオペレーションエリアの女性事務武官の岡島3等陸佐にむかって話す御舩。それに答える岡島。
「はい、閣下!えっ!何っ?遅いっ。閣下!恵庭第9の対空部隊、まだ対応出来ていません。」
「なに~?遅いっ!札幌方面の西から、千歳の東南に向きを変えるだけだ。何をしてる?岡島君!通信。」
「はっ。こちら千歳シーラスワン。ウォーニホームCDC司令室。恵庭第9師団、第17対空防衛中隊聞こえるか!第17対空防衛中隊!シーラス・千歳北海道参謀司令本部の直接の戦術指示である。何?……責任者は誰か!……。」
少しイライラ気味に、画面を見る御舩だった。
そのイライラしたまま、即座に桐生上級曹長へ指示を下した。
「桐生君。浜厚真敵、上陸部隊監視強化。動きが有れば、即時報告。ボーチャンに連絡。」
「はっ、閣下。」
ようやく恵庭の防衛部隊の指揮者につながったのか、再び御舩を見上げて報告する岡島。
「閣下、恵庭、迎撃準備開始しました。」
「よし!岡島君、敵の砲弾は52ミリから205ミリまでの焼夷徹甲榴弾を想定。恵庭に伝えろっ!」
「はっ。こちらシーラスワン恵庭第9師団、第17対空防衛中隊。敵、予想データを送信する。カピー?(アイカピーザッ、……。)」
直ちに迎撃隊に連絡をする岡島3等陸佐だった。
ウーラノスCDCのオペレーションルームが再び喧騒に包まれるのだった。
そんなオペレーションルームの同志達を見ながら御舩の脳裏に一瞬想像が走った。
目を閉じる御舩。
打ち上がる、オルカから出た砲撃部隊の砲弾。
千歳宙空空港の南端から上空を通る。迎撃する小林とジェシカ小隊のエイジャックスの迎撃ミサイル。それでも対空攻撃からうまく、かわした数本もの榴弾砲弾が千歳市内に着弾する。
標的は避難場所の小学校、中学校、市民体育館。戦争を甘く見てはいけない。わざわざ、避難先の学校や避難所を襲うのだ。
これは戦争なのだ。
可愛い盛りの2~3歳の乳飲み子や、幼い可愛い子供達が吹き飛ぶ。これから沢山の人生を経験しなければいけない可愛い子供達が母と、兄弟と友達と共に吹き飛ぶ。
( うぎゃー! )
( ギャー! )
宙に舞う子供の頭や、手足。無残に爆殺されるシーン。
100年前のアメリカ軍、B‐29の東京、大阪空爆の再現だった。
その戦場の海岸へ、沖から何本もの長い波頭の筋が向かい始めた。
シベリアで発生した低気圧が日本海に入ったのだろうか。
その白波が自走榴弾砲の車体にぶつかり波しぶきを上げる。サーファー的には肩、胸の高さの、程よい乗りごろの波なのだ。
( ザバーン! )
( ザバーン! )
そんな波を無視して、第2弾発射の作業が始まる無人の自走榴弾砲。
( クオーン、ガシャン。)
( クオーン、ガシャン。シューッ!)
海岸の海に浸かりながらオルカ砲撃隊の無人砲撃機が次の目標は遠距離なのだろうか、3本ある内の中間の長さの砲身に切り替えて179ミリ長距離焼夷榴弾と、薬包の装填を開始した。
砲身を最大仰角に上げる自走榴弾砲の一軍。
千歳宙空ステーション。旧政府滑走路のある南端で警戒する、われらがお子ちゃまきよし。
「よしっと。これでひと段落。ふーっ。」
シートに深くすわる椎葉きよし。何かを思い出した。
きよしは、戦闘に関わる作業中は本人が自覚することなくベテラン兵士の様に厳しい表情で集中して作業するのだが、それが一旦終わると、いつものほのぼの薄らボケだった。
「あぁ、んだんだ。ジェシーの作ったジュースあんだべ。ん~、ジュッスー♪ジュッスー♪」
シートから身を乗り出して、簡易冷蔵庫を開けるきよし。
「あった♪あった♪ハイハイー!」
大きな透明なカップを取り出すと、いきなりストローを刺してジェシカが作ったオリジナル・愛情ジュースを取り出して飲み始めた。
「んぐ、んぐっ!うわぁかーっ!なまら旨っ。なまら旨っー!んぐっんぐ。」
チラッとカップの絵を見ると、口紅で書かれた唇の絵とアイラブユーの文字。
「ぐっ、モフッ!」
口に入れたジュースがこぼれそうになって唇を拭く薄らボケ。
ちょっと赤くなったきよしだった。
ジェシカの映っているモニターを見ると、ニッコリしてジュースを飲むきよしを一瞬見たが、コマンダーモービルのコーンボウラーの報告が入って、ニコニコ顔でチェックを始めるジェシカが映っている。
時折、チラッチラッときよしの顔を見ている。
「ん~なまら旨っ、マジに、なまら旨っ!なんか今、飲むの勿体ないべさ。」
カップを上にして、書かれたジェシカの文字や絵を見てニッコリするきよし。また一口、軽く飲んで愛情ジュースを冷蔵庫に仕舞いながら、エイモスに話しかけた。
「んだ、エイモス?あのさ。」
( な~に?きよし君~。)
薄らボケのウキウキきよしの時は、ですます調の会話トーンからタメ口調に変わるのだ。
昨年の対馬から一緒のAIエイモスさんだった。
上手く呼吸があう中尉殿と、人工知能AIだった。
「んーしょっと。はー、いやさ。人の心理としてさ、(はぁ?なんかぁ、わたしのきよしがそんな難しい事言うなんて。きよし、何よ。)えっ?何よってエイモス、バカはバカなりに考えたんだけどぉ、(もう、うふふっ。)と、言うか、なんか、苫小牧守備隊が敵の初動砲撃を防げたんでしょ。(そうよ。サンパチ部隊も、防衛隊も無傷よ。)んー、だったら尚更さ、司令官、敵の司令官とか、なんか効果的っちゅーか、そうだな~、なんかこう、衝撃を与える事なんかば。考えないべか。ってさ。」
( どうでしょうか。)
「どういうんだべか。なんか、こう。なまらコッチが慌てるて事とか、どう言えばいいか。ジェシカならスッと正しい日本語で質問すると思うけどぉ。なんか、こうウチラがビビるって感じかな。どう?意味解る?エイモス、ごめん。俺、頭悪くて。しっかり意味ば、言えんくて。」
( もう。きよし君ったら。いつもの事でしょう。ん~ちょっと待って。あっ、あら。きよし君?「なんだべ。」きよし君?あーたの言う事、大事かも。「え?」可能性を演算中。敵の示威行動、欺瞞行動の可能性の演算中。)
「演算中って。そこまでしなくてもさ。シーラス・マザーも閣下(御舩)も既に予想していると思うし。戦術予想なんて、他の機体のAIも、ジュリアのチャーリーや、コバのエルジビエタも予想してるんじゃないべか。ジェシーのメティスなんか、スンゴイ賢いから、ちゃちゃちゃっと予想してんべさ。」
( いいから。きよし君、ちょっと待って。あら、大変な事になるカモっ!カモよ、きよし君。 )
「いやいや、カモカモってなんでよ。ただの話だべさ。」
( いやいやいや、きよし君。アータの感は大概当たるのよ。ジェシーや両コマンダーにも通達したわ。 )
「えー!いいよ。ジェシーにはジェシーの任務があんべし。コバやジュリーにも戦術・防衛の進捗チェックとかあるべさ。」
( いやいや、だからいいからきよし君。ちょっと待って、黙って演算させて!「あっ、はい。御免なさい。」謝る事はないのよ。あなたは私だけのきよしなんだから。あ、あっ。やはり。 )
「えっ?やはりってなんだべ。まさか、市街地に砲撃とかぁ~しないよね~。そんな、なまらはんかくさい事。未だに国連の理事国だよね~、AXISって。名前だけはPKSFにズーズーしく残ってるから、まさか市民を……。」
きよしの発言を遮るエイモス。
( あっ!出たわよ。きよし君。もう、有難うきよし君。わたしもちょっと、警戒態勢なのに。ノンビリしてたわ。閣下(御舩)に緊急の具申したわ。きよちゃん!(えっ?)ジュリアと未央に対空警戒出したわ。)
「え?え?どういう事?対空警戒って、まさか、やっぱり千歳市や恵庭市を砲撃とか。なんまら、はんかくさいべや。そうだべ~エイモス~っ。」
( はい。椎葉中尉。)
「あ。あっ……中尉って、ゴホンっ、あららマジかぁ。ぇぇぇー……マジだべかぁ~。」
タメ口の口調から、仕事口調に変わるエイモスだった。
正面のモニターや、各種ウインドーが探査・警戒エリアマップから、戦術予測・攻撃・迎撃モニターへ、瞬時に切り替わるコクピットの有様だった。
身を正してコクピット・シートに座り直すきよし。
「よし!それでエイモス、分析結果は。」
( はい、椎葉中尉、ご報告です。)
マジ仕事口調になったエイモスから判るように、きよしの質問から事が重大問題に動き出した。
その千歳シーラスワンのウーラノスCDC。警報が鳴る。
( ウォウォーン、ウォウォーン、ウォウォーン )
( ウォウォーン、ウォウォーン、ウォウォーン )
騒然とし始めるオペレーションルームのスタッフたち。
走って来て、椅子に座る者。
ベランダに振り返って真剣に聞き始める各国の事務武官たち。
ベランダ前の手すりでは、両腕を乗せて大声を出す御舩。
「ウーラノスの各員に告ぐ!緊急事態!第1級通達っ!各員、オペレーション姿勢。全てに優先する。各員、そのまま傾聴っ!敵っ浜厚真海岸上陸部隊、オルカのから市街地への砲撃を警戒。繰り返す。敵っ浜厚真海岸上陸部隊、オルカのから市街地への砲撃を警戒。砲撃に備えろ!千歳守備隊、恵庭守備隊へ連絡。ボーチャンに精細探知波解析および弾頭飛翔ルート解析依頼っ。コーンボウラー、コーンボウラー!」
警報が止み、オペレーション・ルームに響くコーンボウラーのジュリアの声。
「こちらコーンボウラー。既に、コマンダー2機、エイモスの敵、戦術予測を受領済みです。」
「よし。ヴァイシュラーヴァナ(毘沙門天:小林機)は?」
正面モニターに、コマンダーHARMORに乗る小林と、ジュリアのパイロットの正面画像が左右に出た。
注目するウーラノスCDCの事務武官たち。
「こちらヴァイシュラーヴァナ。すでにコーンボウラーAIチャーリーとバイポーラ接続(2機同時演算)で予想弾道計算中。」
「よし。」
そして、ジュリアの通信。
「こちら、コーンボウラー。エイジャックス・オートマ、対空迎撃警戒開始。CIWS-3(30ミリ迎撃ファランクス・オートマ)全数配置および迎撃準備完了。推定、砲弾飛翔ルート詳細予測、計算終了。あ、今、ボーチャンより弾頭飛翔ルート予測値を受信。データ統合終了。いつでも迎撃行けます。」
通常の戦略画面にもどる正面モニターだった。
「よし!千歳・恵庭方面守備隊は?」
下の段のオペレーションエリアの女性事務武官の岡島3等陸佐にむかって話す御舩。それに答える岡島。
「はい、閣下!えっ!何っ?遅いっ。閣下!恵庭第9の対空部隊、まだ対応出来ていません。」
「なに~?遅いっ!札幌方面の西から、千歳の東南に向きを変えるだけだ。何をしてる?岡島君!通信。」
「はっ。こちら千歳シーラスワン。ウォーニホームCDC司令室。恵庭第9師団、第17対空防衛中隊聞こえるか!第17対空防衛中隊!シーラス・千歳北海道参謀司令本部の直接の戦術指示である。何?……責任者は誰か!……。」
少しイライラ気味に、画面を見る御舩だった。
そのイライラしたまま、即座に桐生上級曹長へ指示を下した。
「桐生君。浜厚真敵、上陸部隊監視強化。動きが有れば、即時報告。ボーチャンに連絡。」
「はっ、閣下。」
ようやく恵庭の防衛部隊の指揮者につながったのか、再び御舩を見上げて報告する岡島。
「閣下、恵庭、迎撃準備開始しました。」
「よし!岡島君、敵の砲弾は52ミリから205ミリまでの焼夷徹甲榴弾を想定。恵庭に伝えろっ!」
「はっ。こちらシーラスワン恵庭第9師団、第17対空防衛中隊。敵、予想データを送信する。カピー?(アイカピーザッ、……。)」
直ちに迎撃隊に連絡をする岡島3等陸佐だった。
ウーラノスCDCのオペレーションルームが再び喧騒に包まれるのだった。
そんなオペレーションルームの同志達を見ながら御舩の脳裏に一瞬想像が走った。
目を閉じる御舩。
打ち上がる、オルカから出た砲撃部隊の砲弾。
千歳宙空空港の南端から上空を通る。迎撃する小林とジェシカ小隊のエイジャックスの迎撃ミサイル。それでも対空攻撃からうまく、かわした数本もの榴弾砲弾が千歳市内に着弾する。
標的は避難場所の小学校、中学校、市民体育館。戦争を甘く見てはいけない。わざわざ、避難先の学校や避難所を襲うのだ。
これは戦争なのだ。
可愛い盛りの2~3歳の乳飲み子や、幼い可愛い子供達が吹き飛ぶ。これから沢山の人生を経験しなければいけない可愛い子供達が母と、兄弟と友達と共に吹き飛ぶ。
( うぎゃー! )
( ギャー! )
宙に舞う子供の頭や、手足。無残に爆殺されるシーン。
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