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第7章 バトル・オブ・苫小牧。敵本隊上陸。
第7話 緊急退避!出現、オルカ無人砲撃部隊。
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シルバーの女性型WALKER4体の中心に、足を組んで、大き目な風よけフードの付いたテーブルチェアーに、上品に座るAXISの女性司令官。
女性士官の座る後ろから、2台の女性WALKERが背の高い内側が赤い布地の天幕を立てながら運んで来ている。
男性事務武官がティーセットを乗せたお盆を持って来た。
「楊司令。紅茶でございます。」
少し、迷惑そうにチラッと男性事務武官を見る司令官。書類をパンとしめてから頷いた。スマハンドの時間を見た。
「そうか、有難う。上陸後の一時か。ふふふ。」
暖かい上質の紅茶が、ティーカップに注がれる。
ニッコリ微笑む女性司令官。
上品にティーカップに口をつける。
その時、砂を巻き上げないように気をつけながら、横から女性の事務武官が歩いてきた。
ニコニコしながら察した司令官。
敬礼をする女性事務武官に聞いた。
「全機、準備は出来たか。」
「はっ!オルカ、通信不可が8機。恐らく撃破されたと。しかし、32機は万全です。」
報告して、背筋を伸ばして指示を待つ事務
武官。
司令官はニコニコしているが、目は笑っていなかった。
女性事務武官は、焦って目を正面に向けた。
「わかった。攻撃点。火点は私が直接、指示をする。」
「はっ!」
「オルカ発進!」
「はっ!オルカ発進します。」
「水深2メートルの深さで停止。」
「はっ!発進後、水深2メートルで停止します。」
浜厚真の海岸。
深度20メートル付近の海底に沈む、マッコウクジラの様な潜水艦。コール名「オルカ」の残骸。
対潜哨戒機、P-1Jの対潜攻撃や船舶の対潜攻撃を受け撃沈され、ボロボロになって沈んでいた。が、その残骸が動き始めたのだ。
その中からキャタピラーで、海底を蹴り3本の砲身を肩に掛けた戦闘車両が、出てきたのだ。
マッコウクジラの様なズングリむっくりの潜水艦の船体は、ただのフロートだったのだ。
それも動力付きのフロートだった。
キャタピラ付きの本体2機がワンセットで潜っていたのだ。
海底で浮かんだり沈んだりなど、複雑な機械がない、ただの長中距離砲搭載の戦車なのだ。
それも無人車両だった。
人間を保護するシステムもない、ただ海底からやって来て、砲撃できれば良いのだ。
「司令?司令!これは?」
目を細めて鈴木2等宙左の3Dモニターを見るソフノフスカ。
指先で拡大する。
それには浜厚真沖の衛星探索画像。
面長の潰れた黒い物体がよけられて、3本の砲身が付いた四角い何かが海面を動き始めた。
詳細解析をする鈴木。
その衛星ボーチャンのソフノフスカの拡大した画像がリアルタイムで、千歳シーラスワンのオペレーションルーム、ウラノス司令室に表示された。
横の画面ではバルトッシュ中隊、先頭機体からの照準映像と後ろで走るバルトッシュ司令官からのガンカメラ映像が映っていた。全機、猛ダッシュしている様子が解る。
◇
海底から、無人砲撃部隊が浜厚真の海岸から姿を現し始めた。
この付近、石油備蓄基地前の自衛隊、日本国陸軍の防衛本隊は既に、民間防衛に移り洞爺湖、支笏湖の避難場所へ移動していた。
その支援に回った本隊を、追いかける為やってきていた日本国陸軍・恵庭第82師団普通科、南原伍長が率いるの10人。
その10人が、海から現れたオルカを発見し、静かにしゃがんだ。
その小隊の後ろから佐々木が操る装甲支援車、タイヤの音だけの静音走行で、ゆっくり隊の背後に止まった。
音も立てずに乗り込む南原伍長の小隊兵士たち。
装甲支援車の中、元の姿に戻った磐田が、佐々木に指示を出した。
「ササ!ステルス最大。さぁ、現場を離脱する。送れ。」
「了解、音響及びホーミング波吸収ダンパー最大。吸音ジェル、漏斗開始します。直ちに現場を離脱します。」
浜厚真海岸の海中から頭を出したオルカ砲撃隊。
砲身を空に向けて大きく上げ始める。
そんな海岸の手前で、8輪タイヤの前に透明な吸音ジェルを垂らしてタイヤの音も消して走り始める装甲支援車。
そそくさと離脱を始めた。
◇
ボーチャンから送られてくる浜厚真海岸のリアルタイム映像。
オルカ砲撃隊の衛星画像が出た瞬間に反応する御舩長官。
「何っ!補給中止!サンパチをひっこめろ!岡島君!直ちに混成・共同に一斉通信。砲爆が来る!下がれ!兵士、隊員総員退避、いや、いや、ちょっと待てっ!サンパチが混乱する。訂正っー!HARMOR部隊っ!直ちにサンパチをカスケード・シールドで守れ!地上兵、地上隊員は総員退避っ!退避後、カスケードシールド布で身を守れーっ。HARMOR部隊は出来る限りサンパチにカスケードシールド布を展開。展開後カスケード最大硬化っ!急げー!砲撃が来る!」
「こちらウォーニホームCDC、敵、砲撃が来ます。直ちに退避して下さい!こちらウォーニホームCDC、敵、砲撃が来ます。直ちに退避して下さい。地上兵士、隊員は退避後、カスケード防護。HARMOR部隊はカスケード・シールド展開。展開後、カスケード最大硬化等級でサンパチトレーラーを保護。繰り返します……。」
慌てて、岡島と桐生の2人が緊急通信。各国のオペレーター事務武官も苫小牧現地参加部隊に通信をした。
実は何故、敵の空からの空爆支援がないのかずっと疑問に思っていた御舩。
その疑問が晴れた瞬間だった。
わざわざ顔を上に上げ、衛星画像へ自信有り気に微笑む銀髪の敵司令官だった。
女性士官の座る後ろから、2台の女性WALKERが背の高い内側が赤い布地の天幕を立てながら運んで来ている。
男性事務武官がティーセットを乗せたお盆を持って来た。
「楊司令。紅茶でございます。」
少し、迷惑そうにチラッと男性事務武官を見る司令官。書類をパンとしめてから頷いた。スマハンドの時間を見た。
「そうか、有難う。上陸後の一時か。ふふふ。」
暖かい上質の紅茶が、ティーカップに注がれる。
ニッコリ微笑む女性司令官。
上品にティーカップに口をつける。
その時、砂を巻き上げないように気をつけながら、横から女性の事務武官が歩いてきた。
ニコニコしながら察した司令官。
敬礼をする女性事務武官に聞いた。
「全機、準備は出来たか。」
「はっ!オルカ、通信不可が8機。恐らく撃破されたと。しかし、32機は万全です。」
報告して、背筋を伸ばして指示を待つ事務
武官。
司令官はニコニコしているが、目は笑っていなかった。
女性事務武官は、焦って目を正面に向けた。
「わかった。攻撃点。火点は私が直接、指示をする。」
「はっ!」
「オルカ発進!」
「はっ!オルカ発進します。」
「水深2メートルの深さで停止。」
「はっ!発進後、水深2メートルで停止します。」
浜厚真の海岸。
深度20メートル付近の海底に沈む、マッコウクジラの様な潜水艦。コール名「オルカ」の残骸。
対潜哨戒機、P-1Jの対潜攻撃や船舶の対潜攻撃を受け撃沈され、ボロボロになって沈んでいた。が、その残骸が動き始めたのだ。
その中からキャタピラーで、海底を蹴り3本の砲身を肩に掛けた戦闘車両が、出てきたのだ。
マッコウクジラの様なズングリむっくりの潜水艦の船体は、ただのフロートだったのだ。
それも動力付きのフロートだった。
キャタピラ付きの本体2機がワンセットで潜っていたのだ。
海底で浮かんだり沈んだりなど、複雑な機械がない、ただの長中距離砲搭載の戦車なのだ。
それも無人車両だった。
人間を保護するシステムもない、ただ海底からやって来て、砲撃できれば良いのだ。
「司令?司令!これは?」
目を細めて鈴木2等宙左の3Dモニターを見るソフノフスカ。
指先で拡大する。
それには浜厚真沖の衛星探索画像。
面長の潰れた黒い物体がよけられて、3本の砲身が付いた四角い何かが海面を動き始めた。
詳細解析をする鈴木。
その衛星ボーチャンのソフノフスカの拡大した画像がリアルタイムで、千歳シーラスワンのオペレーションルーム、ウラノス司令室に表示された。
横の画面ではバルトッシュ中隊、先頭機体からの照準映像と後ろで走るバルトッシュ司令官からのガンカメラ映像が映っていた。全機、猛ダッシュしている様子が解る。
◇
海底から、無人砲撃部隊が浜厚真の海岸から姿を現し始めた。
この付近、石油備蓄基地前の自衛隊、日本国陸軍の防衛本隊は既に、民間防衛に移り洞爺湖、支笏湖の避難場所へ移動していた。
その支援に回った本隊を、追いかける為やってきていた日本国陸軍・恵庭第82師団普通科、南原伍長が率いるの10人。
その10人が、海から現れたオルカを発見し、静かにしゃがんだ。
その小隊の後ろから佐々木が操る装甲支援車、タイヤの音だけの静音走行で、ゆっくり隊の背後に止まった。
音も立てずに乗り込む南原伍長の小隊兵士たち。
装甲支援車の中、元の姿に戻った磐田が、佐々木に指示を出した。
「ササ!ステルス最大。さぁ、現場を離脱する。送れ。」
「了解、音響及びホーミング波吸収ダンパー最大。吸音ジェル、漏斗開始します。直ちに現場を離脱します。」
浜厚真海岸の海中から頭を出したオルカ砲撃隊。
砲身を空に向けて大きく上げ始める。
そんな海岸の手前で、8輪タイヤの前に透明な吸音ジェルを垂らしてタイヤの音も消して走り始める装甲支援車。
そそくさと離脱を始めた。
◇
ボーチャンから送られてくる浜厚真海岸のリアルタイム映像。
オルカ砲撃隊の衛星画像が出た瞬間に反応する御舩長官。
「何っ!補給中止!サンパチをひっこめろ!岡島君!直ちに混成・共同に一斉通信。砲爆が来る!下がれ!兵士、隊員総員退避、いや、いや、ちょっと待てっ!サンパチが混乱する。訂正っー!HARMOR部隊っ!直ちにサンパチをカスケード・シールドで守れ!地上兵、地上隊員は総員退避っ!退避後、カスケードシールド布で身を守れーっ。HARMOR部隊は出来る限りサンパチにカスケードシールド布を展開。展開後カスケード最大硬化っ!急げー!砲撃が来る!」
「こちらウォーニホームCDC、敵、砲撃が来ます。直ちに退避して下さい!こちらウォーニホームCDC、敵、砲撃が来ます。直ちに退避して下さい。地上兵士、隊員は退避後、カスケード防護。HARMOR部隊はカスケード・シールド展開。展開後、カスケード最大硬化等級でサンパチトレーラーを保護。繰り返します……。」
慌てて、岡島と桐生の2人が緊急通信。各国のオペレーター事務武官も苫小牧現地参加部隊に通信をした。
実は何故、敵の空からの空爆支援がないのかずっと疑問に思っていた御舩。
その疑問が晴れた瞬間だった。
わざわざ顔を上に上げ、衛星画像へ自信有り気に微笑む銀髪の敵司令官だった。
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