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第7章 バトル・オブ・苫小牧。敵本隊上陸。

第5話 ビーチング!「小型突撃潜航艇」。

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 自国の観覧式でもあるかのよう国道を一列に射撃姿勢のまま並ぶAXIS突撃人型装甲機、新型の壊撃-3型V-2。

 その巨大ロボット群の後ろの海岸には、巡航ミサイルを撃った小型突撃潜航艇、いわゆるシシャモが次々に砂浜の海岸へビーチングし上陸を始めた。

 沿岸より50メートル付近で突然、水流のジェット噴射を行い、勢いをつけてちからワザで無理矢理ビーチングを開始したのだ。

 苫小牧市の浜辺一帯へ、一斉にビーチングする小型突撃潜航艇の群れ。 

 
( ザザザー! )
( ザザザー!)
 
 砂浜に乗り上げ、停止と同時に、シシャモの膨れたハラワタを猛烈な振動発生させて船体を固定した。


( ブブブー!ジジャジャー! )

( ジジャジャー! )
 
 船底の左右から2~3メートルの高さまで弾け上がる砂。

 徐々にシシャモの船体が、ビーチの砂に沈んで固定される。

 そんな海岸での光景を40隻分見る事ができた。

 その振動が収まり、船体が固定されると縦に2本の魚雷発射管が収まった、長い舳先が左右に分かれて玉砂利に落ちた。

 船体の奥から3メートル近い機動歩兵、AXISのパワード・スーツのWALKERが隊列を作って5体歩いて来た。

 そんなシシャモの群れの間に、船体上部は黒の探査波吸収加工され他のシシャモと同じ黒い塗装だが、それ以外は金色の船体で上品なシルバーの装飾のされたシシャモ1隻がビーチングして来た。

 他のシシャモと違い、2門の魚雷発射管がない、誰が見てもスペシャルな小型突撃潜水艦だった。

 ただ、膨らんだ腹わたは他のシシャモと同じだった。

 派手にバイブレーションする金メッキの置物の様に加工された上級士官の乗ったシシャモ。


 その舳先へさきの左右には、先にビーチングした軽武装の事務武官とWALKER部隊、総勢約200名近くがビーチに並んだ。

 少し、砂浜から浮いた舳先が左右2つに分かれて開き始めた。

 すぐさまWALKERの4台がその開いた舳先を開いて、固定した。

 奥から来るであろう上級将校の為に開いた舳先の中央を開いて、緩やかな角度のスロープを砂浜に落とした。

 同時に、中央奥の狭い廊下から、シルバーの本体にゴールドの上品な装飾をまとった4体のWALKERが歩いてきた。

 スタイルの良い、女性のそれとわかる体形の、スラッとしたWALKERだ。

 その4体が上品に砂浜に降りると、すぐに左右に分かれ、敬礼をしてから止まった。


( ザザッ! )

 
 総勢約200名の、軽武装の事務武官や、後ろに続くWALKERが直立姿勢になった。

 船体の奥から、白髪でやせた、かなり高齢の女性の司令官。

 制帽に長靴を履いた制服の女性上級司令が、白手袋で腕を後ろに組みムチを自分の背中でパンパンッと鳴らしながら歩いて来た。

 1体の女性タイプのWALKERの、鼻から顎までのカバーが下がる。

 美しいあごのラインと、ピンクの口紅の塗られた綺麗な口元があらわれた。

 そして、ツンと上を向いて敬礼をした。
 そして、号令。


(( トゥー、ジョン!(頭中!)))


 ビーチに響く、女性士官の甲高い声。ビーチ全体に緊張が走る。

 並んだ全兵士、WALKERが直立不動のまま一斉に顔を上げた。


((  ハッ! ))


 更に号令が続く。

 
(( ケイレイ!(敬礼!)))

 
(( ザザッ! ))
 
 シルバー・ゴールドの小型潜水艦を中心に集まった部隊がバシッと敬礼をした。

 その女性司令官の痩せた老女が、周りに目をやりながら満足そうに返礼の敬礼をし、砂浜の海岸に降り立った。
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