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第5章 バトル・オブ・苫小牧。千歳、侵入。

第2話 敵ロスト!第1級厳戒体制。飛べ!スナイパー。

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 監視軍事衛星「すみれ」を制御するボーチャンの鈴木、木村の事務武官から御舩に報告が入った。

「何っ?そうか。「昇竜」機をロストしたか。メリー?」

「はい、閣下。最低でも地上でロストした「昇竜」機の探索を至急行います。」

「……そうしてくれ。潜水艦隊の追跡はボーチャンに引き継ぐ。」
 
 目でメリッサに合図する御舩。

 メリッサはすぐにジェシカ小隊、小林小隊に連絡をした。
 
「こちらウォーニフォームCDC。チームズールー、チームヤンキー、オーバー。第1級厳戒体制、敵アルファ、ロスト。カピー?」

 直ぐに反応するジュリアと小林だった。

「アイカピーザッ!チームズールー、ロジャー。直ちにファニー・ダディー出します。ウィルコ。」

「了解。チームヤンキー、ロジャー。こちらもパールバディ・ワン、ローンチします。高高度警戒を開始します。ウィルコ。」
 
 リリアナ、ルオの2機の背中ランドセルのバカデカいバーニアに火が入った。
 
 通信を聞いたジェシカは、今いる北部湿地帯からきよしの居る空港南部の地域へ。
 司令を受けたスナイパーの2機は高高度上空にジャンプする準備を始めたのだ。
 
 ジェシカのメティスのバーニアが唸りはじめる。

 ジェシカが放った偵察ドローンのミルバスもメティスに順次戻ってきて、機体に格納され始めた。

 メティスAIがドローン機全回収と、ジャンプ準備完了の報告をする。


( ジェシー。偵察用ミルバス、全機回収しました。ジャンプ、いつでも行けますわ。 )


「ミーティス、シバの神は?」

( 最南端の第8ブロック警戒中です。 )

「了解。シバの神と合流するわ。ミーティス、ジャンプ。」


( イエス、マム。 )


( ヒュィーン、ドン!ドバババババーッ! )
 
 真っ白い炎を噴射して飛び立つメティス。

「ミーティス、ミルバス対M(対人)武装転換。」

「イエス、マム。」

          ◇

 きよしのシバの神がいる旧政府専用倉庫付近。

 迎撃配置準備の終わったエイジャックスが、アレー・レーダーを忙しく動かしながら警戒を始めた。

 きよしも警戒ドローンのミルバスをさらに高度を上げ、広範囲に展開させて迎撃臨戦体制に入った。

 きよしの歩く後方の空の彼方から近付いてくるジェシカ搭乗のメティス。

 そのメティスのコクピットの中のジェシカはニコニコしながらきよしに話しかける。

 もちろんセンシティブ通話が出来る医療回線だ。

 受信をつたえるAIのエイモス。


( きよちゃん。ジェシーから医療通信よ。 )

 
「お。エイモス、回線開いて。」


( うふふ。なんかジェシー、リラックスしてるわよ。いい傾向ね。 )

「ふ~ん、そうなの?」

 ジェシカの通信が入って来た。

「きよちゃん、エイジャックス。迎撃コマンドにするわよ。」

「あっ、ジェシー。了解!エイモス、警戒から迎撃コマンドに変更。」
 
( 了解致しました。担当オートマ(無人エイジャックス)、迎撃コマンド発令。以後、オートマへのコマンドはコーンボウラーに変更。 )
 
「うし!」

 きよしの「シバの神」の横に、ジェシカのメティスがランディングして来た。


(( ドバババーッ、ゴンッ。シュー、ドシン。 ))
 
 仲良く並んでから、散開する2機のアタッカーHARMOR。

 コマンダーの小林、ジュリア機がビルの屋上で、射撃姿勢のまま待機した。

 その2機のコマンダーの元に上昇準備が出来たスナイパー・HARMORと無人機エイジャックスから配置完了メッセージが届く。

 各ビルに張り付けたアレー・レーダーとの相対マッチングが確認された。

「コーンボウラー、こちらヴァイシュラーヴァナ。配置完了確認。」

「うふふ。ヴァイシュラーヴァナ、こちらコーンボウラー。こちらも確認済み。いよいよね。」
 
 小林のモニターにウインクするジュリア。

 ニッコリうなずく小林。
 小林がAIに司令する。

「エルジビエタ。敵不明、アルファーHARMOR小隊の出現予想を提案せよ。」
 
( 了解、未央。 )
 
 小林に続いてAIに司令するジュリア。

「チャーリー。チャーリーは敵不明、アルファーHARMOR小隊の出現予想を提案せよ。」
 
( 了解、マム。 )
 
 小林の3Dモニターには敵小隊の予想進路を示す赤いライン。ジュリアの3Dモニターには青いラインで予想進路が表示された。 

 ジュリアが統合を指示した。

「チャーリー!未央のエルジビエタ予想と合わせて。」

( 了解、マム。 )

 小林とジュリアの目の前に、2人のAIの予想進路の赤いラインと青いラインが合わさり表示された。

 各ライン5本の中にほぼ一致した2本のラインがあった。

 ウーラノスの偽装艦橋の背部と、きよし達が居る南部から来るラインだった。

 同じ画面を見て、ニッコリするきよしとジェシカだった。

「なるほど。きよちゃん。ここからなら第2案の侵入路もカバー出来るわね。」

「ジェシー。了解。敵が来たら、僕は殲滅するよ。必ず。うん、必ず。」

 リリアナ、ルオのスナイパー組も準備完了のタブが点灯する。

 コマンダーのジュリアが指揮をする。

「ファニーダディ、パールバディ!18000でエアロ展開。降下スピード、30マイルのスリーエス(Super slow speed)。さて、2人共頼むわよ!フルバースト。」


(( 了解! ))

 腕をはって敬礼をするルオとリリアナだった。

 物凄い轟音と、噴射炎と、地面から爆炎をあげて一気に打ち上がるパールバディ・ワンと、ファニー・ダディーのスナイパーHARMOR。


(( キィィーン、ドン!ドババババー、ゴゴゴー! ))


(( キィィーン、ドン!ドババババー、ゴゴゴー!) )

 真っ白い巨大な噴射炎を出しながら、仲良く高高度に向かって行くルオとリリアナが搭乗したスナイパー・HARMORの2機。

 まるで小型のシャトル・オービターが打ち上がる様な景色だった。

------しかし、その機体をロックして追跡する魔物が居た。
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