「メジャー・インフラトン」序章4/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節JUMP! JUMP! JUMP! No1)

あおっち

文字の大きさ
上 下
67 / 85
第11章 敵の陽動作戦、残存部隊を殲滅せよ。

第1話 射出!アタッカーHARMOR。

しおりを挟む
(( キィーンッ!シュパーッ! ))
 
(( キィーンッ!シュパ! ))
 

 2機の超大型オービターが依然、急降下を続けている。
 

 ベテランのルフェーブル機長が、AUTOから手動へ切り替えた。
 
 同じく並ぶ僚機の4番機、レイヤー機長もAUTOから手動に切り替えた。
 
 オービター「ビッグマム」の操縦はこの2人のベテラン・パイロットに委ねられるのだ。
 
 その日の気象条件やスタッフたちの進捗状況など加味すると、まだまだ機械を当てに出来なかったのだ。
 
 副機長のオナー大尉に目を合わせてニヒルな笑顔をするルフェーブル機長。
 インカムマイクがある喉元に手を当てた。
 
「ローマン大佐!降下作戦開始します。アタッカー・HARMOR、グループナンバーワン放出します!」
 
「よし!ラフッ!派手に放出してくれ!」
 
 うなずくルフェーブル機長。副機長のオナー大尉が2番機から6番機までの全機の技術者に指示を出した。
 

「全機!カタパルト用意!マグネテック・ガイドウェイ出せー!」

 
 リンダ・アイランド上級准尉が答える。
 
「1番機、カタパルト用意。マグネティック・ガイドウェイ出します。」
 
 2番機から6番機が続けて作業を始めた。
 
 これから高高度上空で3機の機動HARMORを射出する為のカタパルトを出すのだ。

 
 カタパルトは4本のリニア・レール棒で出来た電磁カタパルトなのだ。

 このリニア・レール棒は精密な設計な為、アタッカーの2群を放出した後、重量の違うコマンダーHARMORを放出の為、回収しコマンダー放出様に交換されるのだ。
 
 天井に張り付いたペイロードベイ・射出監視所のリンダが腕を上げた。

 それを見て扉に立つエンジニアリング・パワードスーツを着たアイダ・ブラン准尉が大きなレバーを引いた。

「Aガイドウェイ、セット。ハッ!」
 

( ガガガガッー!ガンッ! )
 
 
 ペイロードベイの床、天井から合計4本のレールバーが後方へ突出した。
 
 突出したと同時に、空気中のチリに反応して、白い稲光が飛ぶ。

 
( ビリビリビリッ、ビリ! )
 
 
 時計を見ながらチラ、チラッとパワードスーツたちを見る寝そべるリンダ。
 そしてニコッとした。
 
 アタッカー・HARMOR用マグネティック・ガイドウェイのセットと、そのガイドウェイにアンカー・リングの固定作業を終えたペイロード内のパワードスーツを着た技術者たち。
 腕を振って扉にいるアイダへ合図する。
 
「カタパルト、リング固定よし!行けます!」
 
 扉の操作コンソールに居るエンジニアリング・パワードスーツを着たアイダが天上のリンダへ腕を上げる。
 
「よし!アタッカーグループ、ナンバーワン、パージ(放出)ッ!」
 
 腕を振り落とすリンダの号令と共に、アタッカー・HARMOR3機の固定されたアンカー・リングが、ガバッと射出されたのだ。

 
((  ビリビリッ!シューシュン! ))
 

 派手な火花と共に、3方に射出されるアタッカーHARMOR。
 
 機体が飛ばされると同時に、目標ラインディングポイントに向かって背面のランドセルバーニアを吹かした。

( ジーン……、ドババババ~ッ! )
 
 まさしく飛んで行ったのだ。
 高速で突入降下する3機のアタッカーHARMOR。

( ドン!シュパン! )

( ドドン!シュシュッ!)
 
 
 瞬時に音速を越えるローマンたちアタッカーHARMOR。ベイパーコーンが3機のローマンたちの機体を包んだ。
 
 減速するオービターとは逆に、地表に向かってロケット・バーニアを吹かして、更に加速するアタッカーHARMOR。
 
 彼らはコマンダーHARMORのランディングポイントへ先に急行して、地上で準備・護衛をするのだ。
 
 船内に回収されず折り畳まれ、後部船舷の外に出たままのHARMOR固定用のアンカーリング。
 
 エンジニア・パワードスーツを着たアイダが固定されたリングを確認して、リンダに合図する。
 
「よし!射出使用済みアンカーリング、機体外セット完了。」
 
 また腕を上げるリンダ。
 
「さぁ次いくよ!アタッカーグループ、ナンバーツー、パージ!」

((  シューシュン! ))
 
 第2群のアタッカーHARMOR3機が放出された。
 
 これでアタッカーHARMOR6機全てが放出されたのだ。
 
 次は、オービターの「ビッグマム」が更に高度を下げて、高度1万5千メートル付近でブレイク(急反転)後上昇する。そのブレイク中に第3群と第4群のコマンダーHARMORを放出するのだ。
 
「第1群、第2群射出済みアンカーリング回収始め!回収後、使用済みマグネティック・ガイドウェイの回収を急げ!」
 
 エンジニアリング・パワードスーツのアイダが腕を上げて壁の端末を操作し始めた。
 向かいの扉にいる、相方のパワードスーツが報告する。相方は収納されるアンカーリングの具合を確認するのだ。

( アンカーリング回収始め! )
 
(( ガラガラガラ、ガラガラガラ。 ))
 
 アンカーリングが折り畳まれたまま、ペイロードベイ内に回収されていく。
 
 そのペイロードベイ内では次のコマンダーHARMORの射出準備で、アンカーリングがゆっくり回りセットされていた。
 

          ◇


 射出されたローマンたち、6機のアタッカーHARMOR。
 
 目標ランディングポイントにむかって更に加速する。
 

(( ゴーッ!シュン、シュシュン! ))
 
(( ゴーッ!シュンシュ!シュン! ))

 
 ミサイルの様に降下するアタッカーHARMOR。

 時折、空力の悪い部分にベイパーコーンの薄い雲が現れる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「メジャー・インフラトン」序章2/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節FIRE!FIRE!FIRE! No1. ) 

あおっち
SF
敵の帝国、AXISがいよいよ日本へ攻めて来たのだ。その島嶼攻撃、すなわち敵の第1次目標は対馬だった。  この序章2/7は主人公、椎葉きよしの少年時代の物語です。女子高校の修学旅行中にAXIS兵士に襲われる女子高生達。かろうじて逃げ出した少女が1人。そこで出会った少年、椎葉きよしと布村愛子、そして少女達との出会い。  パンダ隊長と少女達に名付けられたきよしの活躍はいかに!少女達の運命は!  ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。そして、初めての恋人ジェシカ。札幌、定山渓温泉に集まった対馬島嶼防衛戦で関係を持った家族との絆のストーリー。  彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

「メジャー・インフラトン」序章5/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 JUMP! JUMP! JUMP! No2.

あおっち
SF
 海を埋め尽くすAXISの艦隊。 飽和攻撃が始まる台湾、金門県。  海岸の空を埋め尽くすAXISの巨大なロボ、HARMARの大群。 同時に始まる苫小牧市へ着上陸作戦。 苫小牧市を守るシーラス防衛軍。 そこで、先に上陸した砲撃部隊の砲弾が千歳市を襲った! SF大河小説の前章譚、第5部作。 是非ご覧ください。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

我ら新興文明保護艦隊

ビーデシオン
SF
もしも道行く野良猫が、百戦錬磨の獣戦士だったら? もしも冴えないサラリーマンが、戦争上がりのアンドロイドだったら? これは、実際にそんな空想めいた素性をもって、陰ながら地球を守っているエージェントたちのお話。 ※表紙絵はひのたけきょー(@HinotakeDaYo)様より頂きました!

「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)

あおっち
SF
  脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。  その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。  その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。  そして紛争の火種は地球へ。  その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。  近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。  第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。  ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。  第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。  ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。  彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。  本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )

あおっち
SF
 とうとう、AXIS軍が、椎葉きよしたちの奮闘によって、対馬市へ追い詰められたのだ。  そして、戦いはクライマックスへ。  現舞台の北海道、定山渓温泉で、いよいよ始まった大宴会。昨年あった、対馬島嶼防衛戦の真実を知る人々。あっと、驚く展開。  この序章3/7は主人公の椎葉きよしと、共に闘う女子高生の物語なのです。ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。 いよいよジャンプ血清を守るシンジケート、オリジナル・ペンタゴンと、異星人の関係が少しづつ明らかになるのです。  次の第4部作へ続く大切な、ほのぼのストーリー。  疲れたあなたに贈る、SF物語です。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

ARIA(アリア)

残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

処理中です...