「メジャー・インフラトン」序章4/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節JUMP! JUMP! JUMP! No1)

あおっち

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第10章 敵の陽動作戦、金門県包囲戦。

第2話 大火球!気化爆弾、エアスパーク・ファイブ。

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 シーラスが大金門島の北部制海権を奪取するのは時間の問題に思われた。
 
 完全に北の制海権をシーラスに握られると、島に上陸した敵の大機甲師団は完全に包囲され、孤立するのだ。それは敵国の東区戦区の戦力完全消失を意味した。
 
 いや、それが今回の台湾防衛の柱なのだ。その包囲戦の最終仕上げがローマン率いるロフテッド急襲攻撃部隊なのだ。

 そして、シーラス側が全く手付かずの金門県の北部、AXIS泉州市に集まっている本命の中央軍事委員会直営の大上陸部隊が上陸して来れば、一石二鳥なのだが。
 そこは中央軍事委員会の判断次第なのだ。
 
 昨年のAXIS南北朝鮮軍の対馬侵略戦の失敗。
 
 そして今回の陽動作戦とは言え台湾侵略戦の失敗を世界にアピールすることによって、中華帝国連邦、チャイニーズ・アクシスの周落が世界に喧伝できるのだ。
 
 それが、西側シーラスとオリジナル・ペンタゴンの戦略部門(オピスト:OPPIST)の狙いでもあった。
 
 ウーラノスCDCの巨大モニター画面中央から新たな黄色のラインが現れた。
 
 ローマン率いるロフテッド軌道急襲攻撃部隊、HARMOR・マズル大隊の第1群と第2群の戦術ラインが引かれたのだ。
 衛星軌道から大きく弧を描いた黄色2本のライン。
 
 大金門島上空で、北、西、東への3本の枝分かれをする矢印の表示。
 その黄色いラインが現在進行中の部分は赤色になるのだ。黄色いラインの予定進路が赤く塗りつぶされていく。
 
 御舩のインカムに郭シーラス・台湾司令からの通信が入る。
 
「ハイ、御舩です。マズル大隊の航路に変更なしです。通過予定時間も定刻通りです。航路、降下ポイントに変更はありません。マズル大隊オールグリーン。まもなく第1群陣降下始めです。エアースパーク・マーク2のインジェクション・ポイントとタイミング(着火定刻時間)は予定通り、そちらと現場のローマン大佐で決めて下さい。」
 
 台湾・嘉義県の嘉義空港。
 
 空港ビルのシーラス・台湾のオペレーションルーム。
 ウーラノス型3番艦「アフロダイテイ」偽装艦橋内、アフロダイテイCDC。
 
 クォがオペレーションルーム上段ベランダから腕組をして、インカムで話をしている。
 郭が見ている巨大モニターには、千歳シーラスワンと全く同じ画面が表示されていた。
 
 左は台湾の金門県全域、右は苫小牧沿岸の海域だった。
 
「了解致しました、御舩閣下。では予定通り敵上陸、予想中心ポイントにLACM AIR-SPARK・MARK-2を発射します。あと、厦門郊外に移動中の敵、増援部隊を先ほど、空爆致しました。」
 
 メリッサが厦門郊外の、空爆跡にモリガン映像へ切り替えた。

 数多くの煙や火災が起こっている衛星映像。
 
 まれに爆発が起きているようだった。
 
 その敵、援軍の後方では撤退する部隊の映像が映っている。
 
 御舩がメリッサにうなずきながら郭と話をする。
 
「郭閣下。先程、女真帝国、占冠村幕府の王将軍から、我々にも空爆隊の爆撃完了との報告がありました。ただ、後方部隊に若干残存部隊が存在しているとの報告も合わせてありました。」
 
 郭のアシスタント秘書官の王少佐(王晴美:ワンチュンメイ、シーラス・台湾情報特務少佐)に目で合図をする。
 同じ、空爆跡映像に切り替えた。
 
「そうでしたか。台湾カバー中の、シーラス2ボーチャンのソフノフスカ司令からも重ねてご報告済みと思いますが、AXISの残存部隊への空爆はLACM、エアースパークファイブ(AIR-SPARK-5)で行います。シーラス2ボーチャンによる発射タイミングで既に全弾発射しています。後1分弱で着弾です。」
 
 うなずく御舩。
 
 郭が横へ立つ王少佐に指示を出す。
 
「王少佐、各エアースパークの飛行軌跡表示を。ツーマークポジションで。」
 
「ハイ、閣下。LACM、エアースパークファイブと、マーク2(AIR-SPARK-MARK-2)の飛行ラインを表示します。」
 
 千歳シーラスワンの御舩達のモニターとシーラス・台湾のモニターに2種類の気化爆弾のFAE(Fuel-Air Explosive)長距離巡航ミサイルのラインが表示された。
 
 もうすぐ、大陸内部で敵、増援部隊の残存部隊へ攻撃しようとするエアースパークファイブと、ローマン達のランディングポイントへ先制爆撃をするため、大金門島に向かうマーク2(AIR-SPARK-MARK-2)のラインが表示されたのだ。
 
 王少佐が、郭にすかさず報告する。
 
「司令。エアースパークファイブが着弾、着火します。カウントダウンします。……ご、よん、さん、ふた、ひと、いま。」
 
 14発のエアースパークファイブが道路に沿って次々に核爆発の様に光の玉を膨らませていた。
 
 光の玉から弾ける衝撃波が、山間の高速道路を襲った。ーー
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