「メジャー・インフラトン」序章4/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節JUMP! JUMP! JUMP! No1)

あおっち

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第5章 海上保安庁ヘリ。

第3時 お疲れ様です。情報特務科の休暇。

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 時速120キロに達しても、さらに更に加速するワタツミ。通過した後の海上では大きな波が立つのだ。
 
 そのワタツミの艦内。

 少女たちは揺れる艦内で、壁に手の平を付けた。

 少女たちの前を武装した格闘兵や技術兵が何も無い様に廊下を走り抜けていく。
 
 エイモスのアナウンスが続く。

( 装備品保護の為、慣性制御を行います。慣性制御開始。 )

( For the protection of the equipment, we will perform inertial control. Inertial control start. )

( Pour la protection de l'équipement, nous effectuerons un contrôle inertiel. Début du contrôle inertiel. )


(( ガタンッ! ))


 加速していた空間が、急に何も感じない空間に変わった。
 
 慣性制御により、人工重力が発生してたのだ。また、ちょっとした異変に敏感に反応してざわつく少女たち。
 
 片目を開けるガイザー。

 そして笑顔になった。
 
「はははっー!無理ないか!はははっ。」
 
 キョトンとするトラッシュと少女たち。
 
 素直な愛子がガイザーに聞く。
 
「ガイザーさん、私たち、戦争が始まりそうで不安なんですけど、だけどぉ逆にぃガイザーさん。なんか幸せそうな表情なんですけどぉ。私、戦争が凄い怖いんですけどぉ。」
 
「わたしもぉ。ガイザーさんがノンビリしてるのふしぎなんですけどぉ。」
 
「めっちゃ不安。なんか、なんか対馬思い出して来た。もう!明後日の朝まで、部屋で一人で休んでらんない。もう、悪い意味で今、ドキドキして来た。無理っ!」
 
「なんか、ジッとしてられない。怖いです。」
 
 不安がる少女を、ドヤ顔で見るトラシュ。

 アゴをあげて得意げに話した。
 
「ふ~んそうかぁ……。あはは!俺なんか、戦場に行けるかもと思ったらドキドキして来た。やっぱり愛ちゃんたちは女だな。ワクワクして来た。はははっ~、前線に行けっ!って声、掛かんないかぁ。あはははっ!」
 
 握りこぶしを両手で作り、ワクワクしてるトラッシュ。

 各ヨーロッパ戦線、それも前線をヴィクトリアたちと渡り歩いて来た歴戦錬磨のトラッシュ・リーバ。
 
 ところがそのトラッシュの握りこぶしをポンポンと叩き、拳を下にひっこめるガイザーだった。
 
 はぁい?とガイザーに不満顔のトラッシュ。
 
「解ってないなぁ。よいっしょっと。」
 
 椅子から立ち上がり、椅子を元に戻すガイザー。そして、全員を見渡した。
 
「トラッシュ、え~ビリー?ビリー・ザ・キッド。」
 
「はい。」
 
「お前のコードネームはビリーだったな。」
 
「はい、そうだけど。」
 
「ビリー・ザ・キッドは忘れろ。少なくとも、俺たちのチームに居る時はな。いいな。」
 
「はぁい?どうゆう事です。ガイザー、俺はビリー・ザ・キッドの名でヨーロッパの数々の激戦地を……」
 
 話を遮るガイザー。
 
「はい、はい。いいから、まぁ聞け。皆も。」
 
 目を見合わせるトラッシュたち。

 そして腕を組んでガイザーを、面白くない顔で見るトラッシュ。
 
 そんなトラッシュを下から不安そうにみる愛子。
 
「ふっ。ま、いいか。さっきポンッと館内放送のいわゆる作戦行動開始のサイン、ポンッって音。これから本格的な戦闘が始まる。俺はそれを聞くと疲れがド~と抜けて、やっと仕事が終わったと思うんだ。このチーム・内方全員が。なっ。」
 
 結衣や麗子に、楽しそうにウインクするガイザー。

 賢い結衣と麗子は、合点が利いて、アッ!と言って思いっきり笑顔でうなずいた。
 
 しまいには佐藤結衣と寺田麗子は手と手をとって、ウフフフッ!と2人がだらしなく喜び始めた。

 結衣と麗子が肩を組んだ。
 
 挙句に肩を組んだままお互いの手と手を上下にパチンパチンと打って喜び始めたのだ。
 
 トラッシュは、そんな2人をジロッと軽く見て人差し指でおでこを掻いた。
 
 イヤな顔をして結衣と麗子を見る、布村愛子と鈴木絵里だった。
 
 トラッシュ、と愛子、そして絵里。
 この3人には全く理解出来なかった。
 
 理解出来て喜ぶ組みと、全く解らない組みに別れた2組を見て爆笑寸前のガイザーだった。
 
 結衣と麗子の2人を身を乗り出してジーっと見るトラッシュ。

 仕方ない顔をして、トラッシュの目線を手の平でストップをかけた。
 
「オイオイオイっ!まだ解らないかなぁ。トラッシュ?俺たちの仕事は何だい。」
 
「はい、あ~、え~まぁスパイです。」
 
「まぁ、近からず遠からず。かな。愛ちゃん、絵里ちゃん、俺たちの配属名は?」
 
「情報特務科ですっよ。情報……。あ~。あ~、絵里、」
 
「情報、情報、あ~。あ~。情報特務科ですから、ねっ。解った愛っ。」
 
 その2人を嫌な顔をしてみていたトラッシュ。でも元々秀才の彼にも直ぐに理解できた。
 
 急に両眉が上がり、目が大きくなるトラッシュだった。
 
「あ~!ガイザー!解った!ポンッって作戦行動開始のアナウンス。はははっ。やっと僕たちの仕事がオワタ。やっとオワタ。って事かぁ。あはははっ。ごめん、ごめん。俺、あたっま悪りわ。ホント、あはははっ。情報特務科はあくまでも情報を集めて戦略戦術予測の解析情報を集めるのが仕事ですから。作戦行動開始は僕たちの仕事が完遂した証。正しい情報を集めた証かぁ。は~っ!やっと、ひと仕事終わったんですね。なるほどぉ。あはははっ!」
 
 皆の前をまた、一組の武装事務武官が走って来た。
 
 そんな、6人の前を走って行く彼らをガイザーが、あごで指した。
 
「アイツらが暇な時、情報特務科が忙しいのさ。アイツらが忙しくなると俺たちゃ暇になるのさ。まぁ時には対馬の様にリアルで両方忙しい時もあるけどな。あはははっ。でも大きな作戦の時ほど、めっちゃ暇になるわ。だいたいな。」
 
 腕を組んで、うなずきながら話す愛子。
 
「へ~なるほどぉ。だからボスが奥さんとイチャイチャ始めたんですね。」
 
「もぅ愛っ、イチャイチャってイヤらしい。あははっ!」
 
 ホットした布村愛子がニコニコし始めた。そして、お辞儀をした。
 
「それでは~皆さん、お疲れさまでした。あはははっ。」
 
 内股にしてオネー言葉で、愛子たちに合わせるように内股でデカい体を縮めるてお辞儀をするガイザーとトラシュ。


(( はい!お疲れ様でぇ~す! ))


( いやだぁー、ガイザーさん。あはは~! )
 
( トラッシュさんも、あははー! )

 日本式のお疲れさま~っ挨拶に合わせるデカブツの男2人と少女たち。
 
 笑いながら廊下を歩いて行った。
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