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第5章 海上保安庁ヘリ。
第1話 戦闘開始のジングル。
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AXIS、中華帝国連邦の最南端。
美しい海に浮かぶ、海南島。
そこに住む人々は「地上の楽園 全人類の宝」と、自画自賛している。
人々は、現代の汚染されたハワイとはちがう、昔の美しかったハワイの島々のようだと。
それこそカメハメハ王朝時代までのハワイはこの位、海も綺麗だったのではないか。と、想像をかき立たせていた。
この海南島は、綺麗な島々と海なのだ。お世辞では無く本当に美しい島なのだ。
済んだ島の空気が、昇りたての朝日の光を素直に通し、穏やかな海をキラキラと輝かせていた。
優しい朝の陽の光が、ほのかに差し込む海の中。
美しく透き通る、どこまでも続く群青の「青」の海中と、永遠に続くような「白」の砂底。
その青と、白のコントラストの中、神々しい光の柱が描かれていた。
その光の柱を避けるように、優雅に魚の群れを追いかけるイルカたち。
そのイルカたちが、突然、やかましく歌い始めた。
( ピィー、キゥ、ギュワギュワ、ギュッ。)
( ギュッギュッ。キュキュピィー、ピィー。)
その海の奥の方から、黒く大きな壁がゆっくり海中に現れたのだ。
イルカの群れが、慌てて尾ひれを大きく振りながら、全速で逃げていく。
イルカたちがいた海水を押し出す様に、光の柱の中へ向かって来たのだった。
……深さ100メートルもない、波打つ白い砂浜の海底に映る巨大な長方形の影。
それが、ゆるゆると進んで来たのだった。
白い砂浜の、海底の小さな主役たちも大急ぎで砂に体を潜らせる。
( キョロキョロ……シュッ!キョロキョロ。シュッシュッ! )
その巨大な壁の正体は、攻撃型海中移動基地の「海神(ワタツミ)級」の1番艦の「ワタツミ」だ。
全長333メートル、全幅が74メートル。厚さが32メートルの物体。
高さが32メートル、幅が74メートルの巨大な潜水艦基地の壁が迫って来ているのだ。
しかも、音も無く接近しているのだった。
イルカと言えども驚くのは言うまでもない。
その海中移動基地「ワタツミ」の艦内で警報が鳴り続けている。
(( ウォウオーン!ウォウオーン!ウォウオーン! ))
(( ウォウオーン!ウォウオーン!ウォウオーン! ))
「ワタツミ」司令室から艦内放送が始まった。
日本語、英語、フランス語の西側標準語の男性スタッフのアナウンスだった。
( 全シーラスの全員に通告。監視衛星シーラス2ボーチャンより全海域の作戦行動中のエネミーサブマリーンの存在が確認されました。繰り返します、監視衛星シーラス2ボーチャンより全海域で、作戦行動中のエネミーサブマリーンの存在が確認されました。これより全加盟国軍、戦略戦術作戦を開始致します。非常事態態勢レッドアラートがLV2に昇格致しました。各員対応して下さい。繰り返します…… )
( Attention to all members of Sirius. The presence of enemy submarines i…… )
( Attention à tous les membres de Sirius. La présence de sous-marins .…… )
目を合わせるチーム・ウッチーたち。
その時、全ての空間、床、壁がガタンと少し大きく揺れた。加速が始まったのだ。
今度はエイモスの声でアナウンスが始まった。
(( ポンッ。 ))
作戦行動および戦闘開始の合図。
艦内放送の始まる前の「ワタツミ」艦内だけの(ジングル)だった。
天井を見渡す少女たちとトラッシュ。
ガイザーは太い腕の上に顎を乗せて目を閉じて、ニッコリした。ガイザーは眉を上げてリラックスしているようだ。
逆に少女たちやトラッシュはこれから始まる戦闘に緊張、興奮し始めた様だった。
何となく心配になる少女たち。
ガイザーを見ると今度は頭の後ろに指を組んで壁に寄りかかった。何故か満足な顔をしている。
今度は聞き慣れたエイモスの声でアナウンスが始まった。
( これより、ワタツミは作戦地域の対馬沖まで恒星系惑星内、磁気推進海中最大船速で移動致します……。到着はマルイチ、サンヒト時。到着はマルイチ、サンヒト時。カウントダウン表示。各要員は戦闘配置。第3級戦闘準備で待機。各要員は戦闘配置。第3級戦闘準備で待機。ワタツミは対大陸弾道弾および対惑星衛星キラーの準備、フェーズ2に移行します。アレースおよびボーチャンとのリンクプロトコル終了。繰り返します、ワタツミは対大陸弾道弾および対惑星……。 )
( From now on, Watatsumi will move to the Tsushima Strait, the operational area, at the maximum underwater speed of magnetic propulsion within the stellar system planet.…… )
( Désormais, Watatsumi se déplacera vers le détroit de Tsushima, la zone opérationnelle, à la vitesse sous-marine maximale de la propulsion magnétique à l'intérieur de la planète du système stellaire.…… )
段々、キツイ加速が始まるワタツミの艦内。
中国の海南島(海南省)沖合から台湾海峡へ向かって海中を加速するワタツミだった。
海中速度が上がり始めると、後部に接続している5隻の攻撃型潜水艦、「ワタツミ」搭乗員が言う、コバンザメたち(伊号、呂号の潜水艦)に水流を整えるカバーが前面に張り出した。
磁気推進の為、無音で、更に加速していく。
唯一、海水を高速で進むため後部の水流の渦に発生するバブル音が聞こえる位だった。
( シューン!……ゴボゴボゴボ~シュワー……。 )
美しい海に浮かぶ、海南島。
そこに住む人々は「地上の楽園 全人類の宝」と、自画自賛している。
人々は、現代の汚染されたハワイとはちがう、昔の美しかったハワイの島々のようだと。
それこそカメハメハ王朝時代までのハワイはこの位、海も綺麗だったのではないか。と、想像をかき立たせていた。
この海南島は、綺麗な島々と海なのだ。お世辞では無く本当に美しい島なのだ。
済んだ島の空気が、昇りたての朝日の光を素直に通し、穏やかな海をキラキラと輝かせていた。
優しい朝の陽の光が、ほのかに差し込む海の中。
美しく透き通る、どこまでも続く群青の「青」の海中と、永遠に続くような「白」の砂底。
その青と、白のコントラストの中、神々しい光の柱が描かれていた。
その光の柱を避けるように、優雅に魚の群れを追いかけるイルカたち。
そのイルカたちが、突然、やかましく歌い始めた。
( ピィー、キゥ、ギュワギュワ、ギュッ。)
( ギュッギュッ。キュキュピィー、ピィー。)
その海の奥の方から、黒く大きな壁がゆっくり海中に現れたのだ。
イルカの群れが、慌てて尾ひれを大きく振りながら、全速で逃げていく。
イルカたちがいた海水を押し出す様に、光の柱の中へ向かって来たのだった。
……深さ100メートルもない、波打つ白い砂浜の海底に映る巨大な長方形の影。
それが、ゆるゆると進んで来たのだった。
白い砂浜の、海底の小さな主役たちも大急ぎで砂に体を潜らせる。
( キョロキョロ……シュッ!キョロキョロ。シュッシュッ! )
その巨大な壁の正体は、攻撃型海中移動基地の「海神(ワタツミ)級」の1番艦の「ワタツミ」だ。
全長333メートル、全幅が74メートル。厚さが32メートルの物体。
高さが32メートル、幅が74メートルの巨大な潜水艦基地の壁が迫って来ているのだ。
しかも、音も無く接近しているのだった。
イルカと言えども驚くのは言うまでもない。
その海中移動基地「ワタツミ」の艦内で警報が鳴り続けている。
(( ウォウオーン!ウォウオーン!ウォウオーン! ))
(( ウォウオーン!ウォウオーン!ウォウオーン! ))
「ワタツミ」司令室から艦内放送が始まった。
日本語、英語、フランス語の西側標準語の男性スタッフのアナウンスだった。
( 全シーラスの全員に通告。監視衛星シーラス2ボーチャンより全海域の作戦行動中のエネミーサブマリーンの存在が確認されました。繰り返します、監視衛星シーラス2ボーチャンより全海域で、作戦行動中のエネミーサブマリーンの存在が確認されました。これより全加盟国軍、戦略戦術作戦を開始致します。非常事態態勢レッドアラートがLV2に昇格致しました。各員対応して下さい。繰り返します…… )
( Attention to all members of Sirius. The presence of enemy submarines i…… )
( Attention à tous les membres de Sirius. La présence de sous-marins .…… )
目を合わせるチーム・ウッチーたち。
その時、全ての空間、床、壁がガタンと少し大きく揺れた。加速が始まったのだ。
今度はエイモスの声でアナウンスが始まった。
(( ポンッ。 ))
作戦行動および戦闘開始の合図。
艦内放送の始まる前の「ワタツミ」艦内だけの(ジングル)だった。
天井を見渡す少女たちとトラッシュ。
ガイザーは太い腕の上に顎を乗せて目を閉じて、ニッコリした。ガイザーは眉を上げてリラックスしているようだ。
逆に少女たちやトラッシュはこれから始まる戦闘に緊張、興奮し始めた様だった。
何となく心配になる少女たち。
ガイザーを見ると今度は頭の後ろに指を組んで壁に寄りかかった。何故か満足な顔をしている。
今度は聞き慣れたエイモスの声でアナウンスが始まった。
( これより、ワタツミは作戦地域の対馬沖まで恒星系惑星内、磁気推進海中最大船速で移動致します……。到着はマルイチ、サンヒト時。到着はマルイチ、サンヒト時。カウントダウン表示。各要員は戦闘配置。第3級戦闘準備で待機。各要員は戦闘配置。第3級戦闘準備で待機。ワタツミは対大陸弾道弾および対惑星衛星キラーの準備、フェーズ2に移行します。アレースおよびボーチャンとのリンクプロトコル終了。繰り返します、ワタツミは対大陸弾道弾および対惑星……。 )
( From now on, Watatsumi will move to the Tsushima Strait, the operational area, at the maximum underwater speed of magnetic propulsion within the stellar system planet.…… )
( Désormais, Watatsumi se déplacera vers le détroit de Tsushima, la zone opérationnelle, à la vitesse sous-marine maximale de la propulsion magnétique à l'intérieur de la planète du système stellaire.…… )
段々、キツイ加速が始まるワタツミの艦内。
中国の海南島(海南省)沖合から台湾海峡へ向かって海中を加速するワタツミだった。
海中速度が上がり始めると、後部に接続している5隻の攻撃型潜水艦、「ワタツミ」搭乗員が言う、コバンザメたち(伊号、呂号の潜水艦)に水流を整えるカバーが前面に張り出した。
磁気推進の為、無音で、更に加速していく。
唯一、海水を高速で進むため後部の水流の渦に発生するバブル音が聞こえる位だった。
( シューン!……ゴボゴボゴボ~シュワー……。 )
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