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第4章 新たな仕事。
第7話 今回の潜入作戦がもたらしたもの。
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2人の顔を左右に見ていた純粋な愛子が聞いた。
「これ、J博士達が開発したんですね?それが昨年盗まれたんですね。」
「そう、対馬攻防戦の最中、ドサクサで。研究所にいったらこの子だけが無くなってた。」
レールガンを見ながら、指先で撫でる「J」博士だった。
そんな中、DDCの奥から浮遊医療ベットで運ばれた中村・スーザン・幸子が点滴を受けたまま減圧室からドクターたちと出て来た。
女性ドクターがツカツカと「J」博士のところに早々と来て、「J」博士に耳打ちした。
( J、やはり赤血球の細胞核、活性化してました。試料も確保しました。彼女は加圧水槽で休ませます。 )
「うっ?うん……。そっかぁ仕方ないわね。了解、お願いします。」
「サッチー、どうかしたんですか?」
「えっ?普通の減圧症だけど、万が一の為に検査したいって。一日、入院ね。どうもないわ。」
ウソをつくドクター「J」だった。
中村・スーザン・幸子。
彼女の細部は珍しい突然変異を起こしていたのだ。
通常、人間などの霊長類、哺乳類全般に言える事ではあるが、酸素を運ぶ赤血球には細胞核がない。
唯一、あるのが「魚類」だけなのだ。
中村・スーザン・幸子の赤血球細胞に、人間にはあるはずがない細胞核が見つかったのだ。
急きょ、「ANT-GATE」の依頼で、中村をサポートする佐藤結衣と共に、チーム内方の作戦に参加したのだ。
軍隊行動のズブの素人でまともな軍事訓練を受けていない、しかも女性が潜入工作の最前線のチームに編入する訳がないのだ。
DDCに入った途端、気分を悪くした中村の症状は減圧症なのではなく、真逆の症状だった。
水圧の掛からない、水がない減圧室の空気中に入ったため、呼吸困難になり窒息状態の酸素欠乏症だったのだ。
大至急、海底並みの圧力の掛かる水槽に入れなければならないのだ。
----- 話は戻る。
「あ~良かったサッチー。」
皆の前を通る担架に運ばれてきた中村・スーザン・幸子。
「ちょっとー、ひと休みするわ。愛子。ごめん。弱くて。」
「了解。弱いなんて。サッチー、ご苦労様でした。」
担架で運ばれる中村・スーザン・幸子が仲間に手を上げながら運ばれて行った。
次に、DDCからうるさい笑い声が聞こえて来た。
ベクターの担架が出て来たのだ。
「さぁ!みんなどきなぁ!どきな!ベクター様が通るよ~。はははっ。」
「このビッチ!何サボってるんだ。横になるんなんざぁ、ホント死ぬ時にしろ。」
ニコニコと、何故かホッとしながらベクターに毒舌でいじるガイザー。
「はは~。面倒な検査終わったら速攻、徳さんのカレー食べに行くかんね!ガイザー!解ってる?つき合いなさいよ、ちょっとドク「F」もっ!いい?2人共っ!」
「はぁい?バーカ、今日から戦闘食だ。作戦が開始されただろうに。徳さんのカレーは良くて来週の金曜日だっちゅーの!もし戦闘が長引けば再来週だベクター。現状認識不足。お前やっぱり大量出血で脳みそ死んだな。」
「えっマジっ?マジッ?来週か再来週なの?さっきDDCの中でなんでさぁガイザー!なんで教えないのぉ~。もう、ねっ、ねっ、ドクっマジ?」
男性ドクターの袖足を引っ張るベクター。
「あはははっ。日本では金曜カレーって良く言うじゃないか。あははっ。ガイザーの言う通りだよ、マリアンヌ。カレーは金曜日だよ。あははっ。」
「ええ~!今日じゃないの~ォ~!今日はたしか、金曜日だよ~。」
「はい、残念。」
「わ~!マジかよ。うわぁ。」
「今まで、たまったま、仕事の終わったのが、通常日の金曜日に帰っただけだ、ベクター!あはは!」
担架の上で額に手を付けてガッカリするベクター。
大笑いするチーム・ウッチー。
(( あはははっ。 ))
「さっマリアンヌ、行くよ。いい?」
優しい目で、ベクターに合図するDr.テオ・フライシュマン。
J博士にも挨拶して歩き始める。
「内方博士(J博士)、では。」
内方……の言葉に気が付く佐藤結衣。
目をパチパチ、不思議な顔をして愛子を見たが、愛子達は気が付かずニコニコしている。
内方を見ても、自分と目があっても普通にしている。
ちょっと眉を寄せて目を右上にする佐藤結衣。
麗子にヒソヒソと言った。
「ねぇJ博士じゃなく、内方博士って言ってなかった?」
「えっ結衣、何っ何。解んない。」
まぁいいか。の顔をする佐藤結衣だった。
2指で救急医療チームに敬礼をする「J」博士。
両手を顔につけて頭をベットに落とすベクター。
「(バタンっ。)……私の楽しみがぁ。今日から戦闘食なんて。」
皆に目で挨拶して廊下を歩き始めるメデックたち。
ガイザーと内方が笑い顔で腕を組みながら見送って立っている。
エレベーターの前でメディクたちが止まった。
またある事に気が付いて、慌てるベクターだった。
「じぁー特製プディングもダメじゃんっ!ダメダメじゃん!何でなのー!今日の楽しみも来週まで待てない!マジーッ!もう、やだー!私のプディングっ!もう、ダメダメじゃん!」
( マリアンヌ、いいから静かにして。 )
ガイザーが腕組を解いて、手を叩いて大笑いする。
「どこの駄々っ子だよ~!ガハハハ!あ~腹痛て~、ククククッ。あったま悪りぃ~!ガハハハッ。」
(( じゃかしー!ガイザー! ))
( だから、マリー静かに……。)
ベクターの怒る声が廊下をこだまする。
やって来たエレベーターの中で、まだ文句を言うベクター。
その内、エレベーターのドアが閉まり、声が止んだ。
静かになるDDCルームの周辺だった。
「これ、J博士達が開発したんですね?それが昨年盗まれたんですね。」
「そう、対馬攻防戦の最中、ドサクサで。研究所にいったらこの子だけが無くなってた。」
レールガンを見ながら、指先で撫でる「J」博士だった。
そんな中、DDCの奥から浮遊医療ベットで運ばれた中村・スーザン・幸子が点滴を受けたまま減圧室からドクターたちと出て来た。
女性ドクターがツカツカと「J」博士のところに早々と来て、「J」博士に耳打ちした。
( J、やはり赤血球の細胞核、活性化してました。試料も確保しました。彼女は加圧水槽で休ませます。 )
「うっ?うん……。そっかぁ仕方ないわね。了解、お願いします。」
「サッチー、どうかしたんですか?」
「えっ?普通の減圧症だけど、万が一の為に検査したいって。一日、入院ね。どうもないわ。」
ウソをつくドクター「J」だった。
中村・スーザン・幸子。
彼女の細部は珍しい突然変異を起こしていたのだ。
通常、人間などの霊長類、哺乳類全般に言える事ではあるが、酸素を運ぶ赤血球には細胞核がない。
唯一、あるのが「魚類」だけなのだ。
中村・スーザン・幸子の赤血球細胞に、人間にはあるはずがない細胞核が見つかったのだ。
急きょ、「ANT-GATE」の依頼で、中村をサポートする佐藤結衣と共に、チーム内方の作戦に参加したのだ。
軍隊行動のズブの素人でまともな軍事訓練を受けていない、しかも女性が潜入工作の最前線のチームに編入する訳がないのだ。
DDCに入った途端、気分を悪くした中村の症状は減圧症なのではなく、真逆の症状だった。
水圧の掛からない、水がない減圧室の空気中に入ったため、呼吸困難になり窒息状態の酸素欠乏症だったのだ。
大至急、海底並みの圧力の掛かる水槽に入れなければならないのだ。
----- 話は戻る。
「あ~良かったサッチー。」
皆の前を通る担架に運ばれてきた中村・スーザン・幸子。
「ちょっとー、ひと休みするわ。愛子。ごめん。弱くて。」
「了解。弱いなんて。サッチー、ご苦労様でした。」
担架で運ばれる中村・スーザン・幸子が仲間に手を上げながら運ばれて行った。
次に、DDCからうるさい笑い声が聞こえて来た。
ベクターの担架が出て来たのだ。
「さぁ!みんなどきなぁ!どきな!ベクター様が通るよ~。はははっ。」
「このビッチ!何サボってるんだ。横になるんなんざぁ、ホント死ぬ時にしろ。」
ニコニコと、何故かホッとしながらベクターに毒舌でいじるガイザー。
「はは~。面倒な検査終わったら速攻、徳さんのカレー食べに行くかんね!ガイザー!解ってる?つき合いなさいよ、ちょっとドク「F」もっ!いい?2人共っ!」
「はぁい?バーカ、今日から戦闘食だ。作戦が開始されただろうに。徳さんのカレーは良くて来週の金曜日だっちゅーの!もし戦闘が長引けば再来週だベクター。現状認識不足。お前やっぱり大量出血で脳みそ死んだな。」
「えっマジっ?マジッ?来週か再来週なの?さっきDDCの中でなんでさぁガイザー!なんで教えないのぉ~。もう、ねっ、ねっ、ドクっマジ?」
男性ドクターの袖足を引っ張るベクター。
「あはははっ。日本では金曜カレーって良く言うじゃないか。あははっ。ガイザーの言う通りだよ、マリアンヌ。カレーは金曜日だよ。あははっ。」
「ええ~!今日じゃないの~ォ~!今日はたしか、金曜日だよ~。」
「はい、残念。」
「わ~!マジかよ。うわぁ。」
「今まで、たまったま、仕事の終わったのが、通常日の金曜日に帰っただけだ、ベクター!あはは!」
担架の上で額に手を付けてガッカリするベクター。
大笑いするチーム・ウッチー。
(( あはははっ。 ))
「さっマリアンヌ、行くよ。いい?」
優しい目で、ベクターに合図するDr.テオ・フライシュマン。
J博士にも挨拶して歩き始める。
「内方博士(J博士)、では。」
内方……の言葉に気が付く佐藤結衣。
目をパチパチ、不思議な顔をして愛子を見たが、愛子達は気が付かずニコニコしている。
内方を見ても、自分と目があっても普通にしている。
ちょっと眉を寄せて目を右上にする佐藤結衣。
麗子にヒソヒソと言った。
「ねぇJ博士じゃなく、内方博士って言ってなかった?」
「えっ結衣、何っ何。解んない。」
まぁいいか。の顔をする佐藤結衣だった。
2指で救急医療チームに敬礼をする「J」博士。
両手を顔につけて頭をベットに落とすベクター。
「(バタンっ。)……私の楽しみがぁ。今日から戦闘食なんて。」
皆に目で挨拶して廊下を歩き始めるメデックたち。
ガイザーと内方が笑い顔で腕を組みながら見送って立っている。
エレベーターの前でメディクたちが止まった。
またある事に気が付いて、慌てるベクターだった。
「じぁー特製プディングもダメじゃんっ!ダメダメじゃん!何でなのー!今日の楽しみも来週まで待てない!マジーッ!もう、やだー!私のプディングっ!もう、ダメダメじゃん!」
( マリアンヌ、いいから静かにして。 )
ガイザーが腕組を解いて、手を叩いて大笑いする。
「どこの駄々っ子だよ~!ガハハハ!あ~腹痛て~、ククククッ。あったま悪りぃ~!ガハハハッ。」
(( じゃかしー!ガイザー! ))
( だから、マリー静かに……。)
ベクターの怒る声が廊下をこだまする。
やって来たエレベーターの中で、まだ文句を言うベクター。
その内、エレベーターのドアが閉まり、声が止んだ。
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