「メジャー・インフラトン」序章4/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節JUMP! JUMP! JUMP! No1)

あおっち

文字の大きさ
上 下
27 / 85
第4章 新たな仕事。

第6話 遂に明かされる!レール・ガンの正体。

しおりを挟む
 「J」博士の上品な指先がレールガンの中腹のスイッチをスライドした。


( ピューン……キューン。 )


 レールガンの要所要所に小さなライトが付いた。同時にレールガンを持つ2人の兵士が驚いた。


( おおー! )

( OMG! )


 驚く2人の兵士に意地悪そうに聞く女博士。
 
「どうしたの?2人とも。」
 
「ドクターJ!どうゆうことですか。軽くなった。めちゃめちゃ軽い。えー。」
 
「えっ?なにっ?どれどれ。」
 
 慌てて銃身を持って、2人の兵士から取り上げて上下に振るガイザー。
 
「何、何っ~!」

 ガイザーに集まるチーム・内方。

「そんなバカな、あ、あ、軽い。普通のアサルトライフルより軽いかも。えっ?えっ?」
 
 ガイザーがトラッシュにレールガンを渡した。
 
「OMG!え~なんで。さっきと全然重さが違う。愛ちゃんも持ってみて。」
 
 片手で軽く持つトラッシュから恐る恐る銃を受け取る愛子。
 
「はい、え~、いいんですかぁ。ん~!こんな大きなライフルなのに、こんなに軽いの?おもちゃみたい。はい、結衣っ。」
 
 向かいの佐藤結衣にヒョイと渡す愛子。
 
「どれ、どれ~。ん~、これこれ!そうそう。サッチーと2人で大きいから2人で持ってきましたけどぉ。軽かったので盗んできました。」
 
 感心して結衣を見る内方とガイザー。

 結衣が寺田麗子に渡す。
 
「ふ~ん。力のない私でもなんとか持てる。私にはちょっと重い。はい、絵里。」
 
 両手で構えて慎重に持つ鈴木絵里。
 
「どれどれ~。ホント、私でも、こんな大きいのに、こうやって構えられるわ。」
 
 銃を構える鈴木絵里。

 そして構えを崩して、
 
「アクシスの兵器ってすごいんだ。へ~。」
 
 「J」博士は絵里から銃を取り上げ、片手でトラッシュに渡した。
 
「リーバ中尉持ってみて。スイッチを切るわ。」
 
 ニコニコと銃身だけ持って余裕のトラッシュだった。
 
「はい、ドクターJ。どうぞ。」
 
 
( カチッ。 )
 
 
「ぐわー!やばいやばいやばい~。落ちる落ちる落ちる落ちる。重いー。」
 
 突然、真っ赤な顔をして両手で銃身を力いっぱい持つトラッシュだった。
 
 そして銃の柄を床に置いた。
 
 
( ゴンッ! )
 
 
「ふ~、あっ、あれっ、愛ちゃん。う~!」
 
 突然へっぴり腰になるトラッシュ。

 トラッシュの顔をのぞく布村と佐藤結衣。
 
「な~に!」
 
「トラッシュ、ドした。」
 
 近づいた結衣の肩を持ってまたまた真っ赤な顔になった。
 
「あ、あらら腰っ痛っ!マジ、腰痛っ!」
 
 慌ててトラッシュを支える愛子と結衣。
 
「え~大丈夫~?」
 
 意地悪そうな顔をする「J」博士。
 
 笑いながら、
 
「あははっ!もう、リーバ中尉大丈夫?」
 
 DDCの脇に置いてある椅子に必死に手を伸ばして、結衣達に介抱されながら座るトラッシュ。
 
「ちょっと休みます。ドクター続けて。だ、大丈夫だから。痛たた。」
 
 内方が、柄を床に付けたまま、銃身を持ってしゃがんだ。
 
 その内方と同じくしゃがんで銃を見る「J」博士。

 アゴに指をつけながらトラッシュに振り向いて、
 
「ほんと、腰、大丈夫?リーバ中尉。」
 
「はい、博士。僕はいいです。ちょっと休みます。あ、愛ちゃんも大丈夫だから。」
 
 手の平を「J」博士に振った。

 そういいながら背中をさする愛子の腰に手を回してジッとするトラッシュ。
 
「愛ちゃんも、結衣ちゃんもありがとう。」
 
 ふふふっ、と言いながら、レールガンの各種スイッチを入れる「J」博士。
 
「これなのよ内方少佐。」
 
「初めての兵器のハズなのにぃ、スイッチの場所もわかってましたよね、ドク。」
 
 ゆっくり立ち上がる「J」博士。
 
「ふふふ。さすがウッチー(内方はじめ中佐)。昨年かぁ、ホァン副所長(リーリン)と密かに開発していた超小型核融合、暇な時に2人でコツコツ開発したの。超小型核融合炉が出来て、それを利用したレールガン。」

( OMG ! )

 驚くガイザー。

 内方と一緒にしゃがんで銃身をもってマジマジと見た。

「超小型核融合って!スゲー!J、ハンパないわ!スゲー!リーリン先生と2人とも、天才かよ!OMG!どんなSF映画なんだよ全く。」

 装備品のスペシャリストのガイザーに向かって、ドヤ顔で話を進めるドクター「J」。

「小さくても質量が半端ないから、禁断のAS(月裏のアース・スーリア)技術をちょっと拝借して、慣性コントロールチップも開発したのよ。うふふ。2号機が盗まれたままでやっと戻って来たわね。ちょっと余計な装備もついて。ちょっと余談だけど、今年の後半位からジムニーちゃんも、チーム・ウッチーも全員空飛べるからね~ウッチー(内方中佐)。」
 
 ジムニーちゃんの下りで、目を合わせるチーム・ウッチーの面々。

 呆れて首を振るガイザー。
 
 それから、「J」博士が立ち上がり、銃口に付けられたのだろう、マズルブレーキというか、サプレッサーのような物を握ったり、指先でねじる「J」博士。
 
 そんな博士を見ながら立ち上がり、腰に腕を当てて内方少佐が一瞬困った顔をした。

 周りの仲間もそんな内方が気になった。

 見つめる仲間の視線が気になり笑顔になる内方。
 
 額をポリポリ掻いて、
 
「次の俺たちの仕事が転がりこんできたな。内偵するには時間かかりそう。」
 
 への字にして唇を曲げて、両手を広げる「J」博士。
 
「なんで、この子。戻ってきたものか。どうして中華帝国軍の末端の兵士が私達が開発したレールガンを使用出来たのか。それも発射する7.56ミリ弾が発する特殊な周波数をコントロールする技術をつけて帰って来た。ねっ?そうでしょ、ウッチー。」
 
 2人の顔を左右に見ていた純粋な愛子が聞いた。
 
「これ、J博士達が開発したんですね?それが昨年盗まれたんですね。」
 
「そう、対馬攻防戦の最中、ドサクサで。研究所にいったらこの子だけが無くなってた。」
 
 レールガンを見ながら、指先で撫でる「J」博士だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「メジャー・インフラトン」序章2/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節FIRE!FIRE!FIRE! No1. ) 

あおっち
SF
敵の帝国、AXISがいよいよ日本へ攻めて来たのだ。その島嶼攻撃、すなわち敵の第1次目標は対馬だった。  この序章2/7は主人公、椎葉きよしの少年時代の物語です。女子高校の修学旅行中にAXIS兵士に襲われる女子高生達。かろうじて逃げ出した少女が1人。そこで出会った少年、椎葉きよしと布村愛子、そして少女達との出会い。  パンダ隊長と少女達に名付けられたきよしの活躍はいかに!少女達の運命は!  ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。そして、初めての恋人ジェシカ。札幌、定山渓温泉に集まった対馬島嶼防衛戦で関係を持った家族との絆のストーリー。  彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

「メジャー・インフラトン」序章5/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 JUMP! JUMP! JUMP! No2.

あおっち
SF
 海を埋め尽くすAXISの艦隊。 飽和攻撃が始まる台湾、金門県。  海岸の空を埋め尽くすAXISの巨大なロボ、HARMARの大群。 同時に始まる苫小牧市へ着上陸作戦。 苫小牧市を守るシーラス防衛軍。 そこで、先に上陸した砲撃部隊の砲弾が千歳市を襲った! SF大河小説の前章譚、第5部作。 是非ご覧ください。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

我ら新興文明保護艦隊

ビーデシオン
SF
もしも道行く野良猫が、百戦錬磨の獣戦士だったら? もしも冴えないサラリーマンが、戦争上がりのアンドロイドだったら? これは、実際にそんな空想めいた素性をもって、陰ながら地球を守っているエージェントたちのお話。 ※表紙絵はひのたけきょー(@HinotakeDaYo)様より頂きました!

「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)

あおっち
SF
  脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。  その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。  その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。  そして紛争の火種は地球へ。  その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。  近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。  第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。  ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。  第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。  ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。  彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。  本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )

あおっち
SF
 とうとう、AXIS軍が、椎葉きよしたちの奮闘によって、対馬市へ追い詰められたのだ。  そして、戦いはクライマックスへ。  現舞台の北海道、定山渓温泉で、いよいよ始まった大宴会。昨年あった、対馬島嶼防衛戦の真実を知る人々。あっと、驚く展開。  この序章3/7は主人公の椎葉きよしと、共に闘う女子高生の物語なのです。ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。 いよいよジャンプ血清を守るシンジケート、オリジナル・ペンタゴンと、異星人の関係が少しづつ明らかになるのです。  次の第4部作へ続く大切な、ほのぼのストーリー。  疲れたあなたに贈る、SF物語です。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

平等社会(ユートピア)

ぼっち・ちぇりー
SF
続編

処理中です...