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第3章 内方エイモスチーム。
第3話 通常通信不能!感応波通信開始セリ。
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(タッタッタッ!)と愛子と同じベレー制帽を被った2人の女の子が入ってきた。
なぜか、愛子が床に降りても、トラッシュの手を握ったままだった。
トラッシュの脇から顔を出して、怒り気味に、遅く到着した2人に言う愛子だった。
「もう、あぁ麗子、絵里も遅い!サッチー、もぅそろそろ出て来るよ。」
膝に両手をついてしゃがみながら、膝で息をする寺田麗子と鈴木絵里だった。
「あ~もう、ハァハァハァ。マジ、きつい。ハァハァ。オエッ。」
「あ~もう、愛っ!愛っ!ちょと待っててくれても、ハァハァ……。走るのぉ~ギガ早いし。わたし、ハァハァ息、切れる~。わたしも、麗子も文系。バカ乳体育会系とは違うし。ワタツミはめっちゃ広いんだから……。ハァハァ、ドレドレ~。」
「ハァハァ、そうよ愛、高校3で進学授業になってから体育の授業が減ってさ、内方さんやトラシュさんの訓練メニュー以外、走る機会ないんだから。もう、プンプン愛子~。もうっハァ、ハァまだ息止まらないしぃ~。私、絶対、酸欠ぅオェ。」
寺田も鈴木といっしょに、減圧室に歩いていく。
歩きながらチラッと寺田が、トラッシュと愛子が握っている2人の手を見た。
アッと愛子が気付き、手を放す。
思わず照れるトラシュと愛子の2人だった。
薄目で、冷たくジロッと横目でみる寺田麗子。
「ふ~ん……こ~んな時、な~にしてるんだかぁ。……愛っ?それでサッチーたちは。」
真っ赤になり、プイと横を向く布村とトラッシュ。
寺田と鈴木がその2人を相手にせず、前をつかつかと歩いて減圧室のドアに近寄り、寺田麗子がちょっと背を伸ばした。
「サッチー……どこ?(麗~、サッチー大丈夫なの?どうよ?)え?サッチー?」
窓をのぞく寺田と、入れ替わってのぞく鈴木絵里。
「どれ、どれ~。あら、あれっ?あれ、サッチーは?どこ?」
廊下の室内モニターを見てから、答える寺田麗子だった。
「それそう、そこだわ。椅子に座ってるっしょ。おーい、サッチー。」
「おーい、サッチー。大丈夫かぁー。」
その時、頭の中に感応波通信が入ってきた。
背伸びした、かかとを床に付けて左手を左側頭部に当てる寺田麗子と鈴木絵里。
寺田麗子のシャツを引っ張る絵里。
「麗子、ピリン、ピリンって、頭の中で。感応波ね。」
「本番の感応派ね。へ~。チャイム、こんな感じで優しく鳴るんだぁ。ふ~ん。頭の中心で鳴ってる感じ。」
周りを見る2人の少女。
その他のエイモス医療チーム全員が頭の左側頭葉側に手を当てた。
現在、内方チーム全員で練習中の、感応波通信が入って来たのだ。
左側頭部に手を当てながら、愛子の目線までしゃがんで愛子と目を合わせるトラッシュ・リーバ中尉。
うなずくトラッシュと愛子。
トラッシュたちの後ろから、新しく担架を運んで来た専任の「ワタツミ」情報特務科医療チーム数名も左側頭部に手を当てながら歩いて来た。
( ピン、ピン、ピン。……ピン、ピン、ピン。 )
感応波通信が、始まるジングル(短い案内)が頭の中で優しく鳴る。
目を合わせる訓練受信者の少女たち。
既に慣れてしまっている減圧室の前にシーラス所属のドクターや看護師達は普通に何の顔の表情もしないでいた。
彼らは日常業務、すなわち両手が空かない状況の打ち合わせ中、主に手術中で使っているため、全く動じなく普通にしていた。
トラッシュが減圧室前の待機ドクターと目があったが、ドクターにもジングルが入ってきているのか、指を頭に当てて軽くうなずいた。
トラッシュが減圧室をのぞくと、5人とも感応波通信は訓練中なので左手をやはり左側頭部に手を当てていた。
窓から覗くトラッシュに気が付く内方中佐。
こめかみを叩いてから、右親指でグットサインをした。
( ピンピンピン。これより「センシティブ・トランジット・プロトコル」を開始します。サイコネクトを開始。ブレインネット完了確認しました。感応波通信を始めます。対象者は頭の中で回答してください。始めます。 )
目を合わせる感応波受信者の初心者たち。
トラッシュが愛子や麗子、絵里へ順番に指を差す。
違います、違います、私じゃないです。と手を横にふる3人だった。
「内方君、聞こえるか?御舩だ。」
トラッシュが、あっ!と口を開いたまま、DDCを指をさした。
声を出さず、笑う鈴木絵里と寺田麗子。
そして布村愛子。
椅子に座っている内方が、目を思いっきり閉じて何かを念じている様だった。
千歳シーラスワン・ウーラノスCDCにも、感応波通信の会話内容の音声が流れる。
( は……い……。閣・下……。 )
( おぉぉ~! )
千歳シーラスワンの広々としたオペレータールームから声にならない歓喜の声が聞こえてきた。
ニッコリと、後ろのメリッサと、席に座る青山へ目で微笑む御舩。
館内に響く御舩の声。
「ワタツミ」では、内方が対象者と解り減圧室の窓をのぞくトラッシュと、減圧室モニターを見る3人の少女。
( 最終目標はつかめたか?内方少佐。 )
内方は、減圧室のメンバーを順番に見て、下唇を噛んでから、目をつむり上を見た。
そして、ゆっくり目を開けた。
( ハッ。ま・だつか・めていません。くり……えしま・す。ま……だ・つ・かめていません。 )
感応波通信を聞いてガッカリするウーラノスCDCの事務武官のスタッフたち。
( オォーノォ~……ムゥゥ~。 )
チラッと、正面モニターの青い文字のカウントダウンを見る御舩だった。
作戦行動の変更可能カウントが、とうとう残り30秒を切った。
なぜか、愛子が床に降りても、トラッシュの手を握ったままだった。
トラッシュの脇から顔を出して、怒り気味に、遅く到着した2人に言う愛子だった。
「もう、あぁ麗子、絵里も遅い!サッチー、もぅそろそろ出て来るよ。」
膝に両手をついてしゃがみながら、膝で息をする寺田麗子と鈴木絵里だった。
「あ~もう、ハァハァハァ。マジ、きつい。ハァハァ。オエッ。」
「あ~もう、愛っ!愛っ!ちょと待っててくれても、ハァハァ……。走るのぉ~ギガ早いし。わたし、ハァハァ息、切れる~。わたしも、麗子も文系。バカ乳体育会系とは違うし。ワタツミはめっちゃ広いんだから……。ハァハァ、ドレドレ~。」
「ハァハァ、そうよ愛、高校3で進学授業になってから体育の授業が減ってさ、内方さんやトラシュさんの訓練メニュー以外、走る機会ないんだから。もう、プンプン愛子~。もうっハァ、ハァまだ息止まらないしぃ~。私、絶対、酸欠ぅオェ。」
寺田も鈴木といっしょに、減圧室に歩いていく。
歩きながらチラッと寺田が、トラッシュと愛子が握っている2人の手を見た。
アッと愛子が気付き、手を放す。
思わず照れるトラシュと愛子の2人だった。
薄目で、冷たくジロッと横目でみる寺田麗子。
「ふ~ん……こ~んな時、な~にしてるんだかぁ。……愛っ?それでサッチーたちは。」
真っ赤になり、プイと横を向く布村とトラッシュ。
寺田と鈴木がその2人を相手にせず、前をつかつかと歩いて減圧室のドアに近寄り、寺田麗子がちょっと背を伸ばした。
「サッチー……どこ?(麗~、サッチー大丈夫なの?どうよ?)え?サッチー?」
窓をのぞく寺田と、入れ替わってのぞく鈴木絵里。
「どれ、どれ~。あら、あれっ?あれ、サッチーは?どこ?」
廊下の室内モニターを見てから、答える寺田麗子だった。
「それそう、そこだわ。椅子に座ってるっしょ。おーい、サッチー。」
「おーい、サッチー。大丈夫かぁー。」
その時、頭の中に感応波通信が入ってきた。
背伸びした、かかとを床に付けて左手を左側頭部に当てる寺田麗子と鈴木絵里。
寺田麗子のシャツを引っ張る絵里。
「麗子、ピリン、ピリンって、頭の中で。感応波ね。」
「本番の感応派ね。へ~。チャイム、こんな感じで優しく鳴るんだぁ。ふ~ん。頭の中心で鳴ってる感じ。」
周りを見る2人の少女。
その他のエイモス医療チーム全員が頭の左側頭葉側に手を当てた。
現在、内方チーム全員で練習中の、感応波通信が入って来たのだ。
左側頭部に手を当てながら、愛子の目線までしゃがんで愛子と目を合わせるトラッシュ・リーバ中尉。
うなずくトラッシュと愛子。
トラッシュたちの後ろから、新しく担架を運んで来た専任の「ワタツミ」情報特務科医療チーム数名も左側頭部に手を当てながら歩いて来た。
( ピン、ピン、ピン。……ピン、ピン、ピン。 )
感応波通信が、始まるジングル(短い案内)が頭の中で優しく鳴る。
目を合わせる訓練受信者の少女たち。
既に慣れてしまっている減圧室の前にシーラス所属のドクターや看護師達は普通に何の顔の表情もしないでいた。
彼らは日常業務、すなわち両手が空かない状況の打ち合わせ中、主に手術中で使っているため、全く動じなく普通にしていた。
トラッシュが減圧室前の待機ドクターと目があったが、ドクターにもジングルが入ってきているのか、指を頭に当てて軽くうなずいた。
トラッシュが減圧室をのぞくと、5人とも感応波通信は訓練中なので左手をやはり左側頭部に手を当てていた。
窓から覗くトラッシュに気が付く内方中佐。
こめかみを叩いてから、右親指でグットサインをした。
( ピンピンピン。これより「センシティブ・トランジット・プロトコル」を開始します。サイコネクトを開始。ブレインネット完了確認しました。感応波通信を始めます。対象者は頭の中で回答してください。始めます。 )
目を合わせる感応波受信者の初心者たち。
トラッシュが愛子や麗子、絵里へ順番に指を差す。
違います、違います、私じゃないです。と手を横にふる3人だった。
「内方君、聞こえるか?御舩だ。」
トラッシュが、あっ!と口を開いたまま、DDCを指をさした。
声を出さず、笑う鈴木絵里と寺田麗子。
そして布村愛子。
椅子に座っている内方が、目を思いっきり閉じて何かを念じている様だった。
千歳シーラスワン・ウーラノスCDCにも、感応波通信の会話内容の音声が流れる。
( は……い……。閣・下……。 )
( おぉぉ~! )
千歳シーラスワンの広々としたオペレータールームから声にならない歓喜の声が聞こえてきた。
ニッコリと、後ろのメリッサと、席に座る青山へ目で微笑む御舩。
館内に響く御舩の声。
「ワタツミ」では、内方が対象者と解り減圧室の窓をのぞくトラッシュと、減圧室モニターを見る3人の少女。
( 最終目標はつかめたか?内方少佐。 )
内方は、減圧室のメンバーを順番に見て、下唇を噛んでから、目をつむり上を見た。
そして、ゆっくり目を開けた。
( ハッ。ま・だつか・めていません。くり……えしま・す。ま……だ・つ・かめていません。 )
感応波通信を聞いてガッカリするウーラノスCDCの事務武官のスタッフたち。
( オォーノォ~……ムゥゥ~。 )
チラッと、正面モニターの青い文字のカウントダウンを見る御舩だった。
作戦行動の変更可能カウントが、とうとう残り30秒を切った。
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