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第3章 内方エイモスチーム。
第2話 登場!布村愛子臨時少尉。
しおりを挟む情報特務科の襟の淵が薄いグリーンの白いカッターシャツと、スカート姿のちっちゃな女の子が急いで走って来たのだった。
「うわーっ、めっちゃワタツミ広っ!ハァハァー。ハァーハァーッ!ひゃーっ。ハッハッ。」
その女の子は、我らが布村愛子。
この服は実はアンダー・アーマー・スーツが、制服にカスケード変形しているのだ。
その愛子にニッコリとして、敬礼するリーバ中尉と医療チーム。
一旦止まって、あわててビシッと敬礼するシーラス情報特務科、布村愛子・臨・時・少尉殿だった。
愛子は、敬礼をした後、背の高いリーバ中尉の元に歩いていった。
その布村をニコニコ顔で見る、おっとこ前のトラッシュ。
このトラシュ・リーバ中尉。
実は、昨年の対馬攻防戦で布村愛子とは面識があったのだ。
面識というよりその時、愛子は覚えていなかったらしいが、トラッシュが覚えていたのだ。
対馬攻防戦が終わったあと、ちょっとした事故あった。
きよし・布村タンデムモービルが味方の仕掛けた対戦車ミサイルの誤射で撃たれ、よつん這いになり稼働停止してしまったのだ。
その時、6体のWALKER(機動歩兵・パワードスーツ)が救助活動をした。
隊長のヴィクトリアと共に少女達を脱出させた、ポーランドJWPZのWALKER兵だったのだ。
その救出の時、独身のトラッシュは小さくて可愛いい日本人の布村が大好きになった。
一目惚れをしたのだ。
それもそのハズ。
彼は日本アニメが大好きだった。
ポーランドで子供の時から日本のアニメを見て育ったのだ。
独学で正しい日本の歴史を知った彼は、彼女を作るなら古い歴史を持った日本人と心に決めていたらしい。
ワルシャワ大学政治学科時代、司法書士、国際弁護士、一般弁護士の資格も取り、異例の秀才と言われた彼は、政治学科を首席で卒業しその年に、軍隊入りした。
普通、大学を卒業して軍隊に入るなら自動的に士官学校になるのだが、トラッシュは拒否し、ティーンエージャー達と共に特別宇宙軍普通科に入隊した異色の軍人だった。
もちろん第2次ウクライナ侵攻時は、宇宙軍の衛星軌道からのWALKER降下部隊として大活躍し、ヴィクトリアの部下として前線および、後方のロシア軍の補給路を叩いた英雄なのだ。
「ビリー・ザ・キッド」
が、彼の当時のコール名だった。
そんなトラッシュは布村たちを救出したその日から、ヴィクトリアに教わり、猛烈に日本語を再勉強したのだ。
その努力のお陰で、短時間で今では、普通にネイティブの日本人のように話が出来るようになった。
努力家の彼は、漢字検定1級も無事、取得したのだ。
しかし、残念ながら元々書く字が汚い為、訓練している日本語で書道は5級、筆記検定3級は落ちた後だった。
マァー、その努力を買われた、トラッシュ。
呆れたヴィクトリア達の推薦もあって内方チームに合流したと言う事です。
DDCの小さな窓をのぞくトラッシュ。
「ちょっとぉ、トラッシュ~。サッチーは大丈夫?大丈夫なの~。」
愛子を見て、ニッコリ笑った。
「愛ちゃん。まぁサッチーは落ち着いたみたいだよ。」
「だから、どうよ?」
「サッチーは、減圧差で吐いたみたいだけど、今は落ち着いてるよ。」
またトラッシュは窓をのぞいて、両手を開いて「への字」の唇で答えた。
「ふ~ん……。ドレドレっ。」
高い窓に近寄る愛子。
ピョンピョンと飛び上がるが見えない。
「えっ、えっ?あ~トラッシュ~届かないよ。」
そんな行動もトラッシュには可愛くてしかたがなかった。
一足下がって腕を組んでニコニコと、医療ドクターと共にニッコリしながら愛子を見る、おっとこ前のトラッシュ。
「あ~ん!窓が小さくて高い所にあるから見えない。あ~、私の背じゃ、届かないぃ~。」
サッとトラッシュが動き、ニコニコしながら、しゃがんで愛子の胴の太さもある太い両腕を伸ばし、愛子の両脇を持って子供の様に両脇を支えた。
「愛ちゃん、上げるから。いい?」
「ありがとう。トラッシュ、ウフフ。」
トラッシュが子供に外の景色を見せるような感じで、愛子を窓が見える高さまで上げた。
すかさず愛子は、減圧室DDC用のマイクを手を伸ばして持って、小さな窓をのぞいた。
窓をのぞきながら大きな声で、マイクに話しかける愛子。
「ん~あっ。ちょっとサッチー。サッチー?大丈夫?結衣っ、サッチー大丈夫なのっ!ちょっと結衣っ!サッチーは?」
両耳を塞ぎながら、佐藤結衣がドアに近づいて来た。
そして、DDCの出入り口横のマイクを手に持って、小さな小窓の内側から叩いた。
結衣は大きな目で窓からのぞいて、ギロッと愛子を見た。
「あ~愛っ。愛っ!減圧室に声が響くうるさい。サッチ、やっと落ち着いたわ。でもまだ本調子でないみたい。静かにして。……お願い。カチャ。」
減圧室のマイクを立て掛ける結衣。
「あっ。あら?怒られた、私?ゴメン。ありがとう、トラシュ。」
制帽の奥で眉を上げるトラッシュ。
トラッシュの手の甲を優しく手でなでながら、優しくしゃべる愛子。
「あっもういいです。ありがとうトラッシュ。」
トラッシュにニッコリお礼をする愛子。
もう嬉しくて仕方ないトラッシュだった。
そこへ、(タッタッタッ!)と愛子と同じベレー制帽を被った2人の女の子が入ってきた。
なぜか、愛子が床に降りても、トラッシュの手を握ったままだった。
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