「メジャー・インフラトン」序章6/7(僕のグランドゼロ〜少年兵の季節、終焉〜Knockin' On Heaven's Door.

あおっち

文字の大きさ
上 下
13 / 111
第2章 発見!潜入少女隊。

第6話 楊(ヤン)司令への秘匿通信。(敵視点ver)

しおりを挟む
 苫小牧市の海岸。
 

( ザザザザーッ! )
 

 再びビーチング(海岸上陸)してきたシルバーと金のモールを付けたAXIS特殊潜航艇。

 舳先がふたつに分かれると、砂浜へ固定準備を始めるWALKERと武装兵士たち。
 
 敵AXISにも自国の参謀本部(中央軍事委員会)に対し、良く思っていない者もいるのだ。

 それは、苫小牧市にいるヤン司令だった。
 
 ビーチングが終わったキモサブ・シシャモの小型特殊潜航艇内の特別司令本部の様子。
 
「閣下。着岸作業終わりました。いつでもお外へお出になられます。」

 敬礼をして下がる優雅なパワード・スーツWALKER姿の女性士官。

 本部兼コントロールルーム中央には足を組んで、肘をテーブルにつけて頬杖をついているヤン司令がいた。

 目だけが中央軍事委員会情報が表示される、奥のモニターを見ていた。

( ピピンッ♪ )
 
 その時、反応するモニター。

 通信が入ってきたのだ。
 中央軍事委員会へ潜入させた私設スパイからの通信だった。
 

( “Swan launch imminent. Evacuate now.” (スワン「ICBMの暗号」が発射された。安全な所に避難して下さい。) )
 

「ふん。全く……。」

 ヤンの元に流れてきた情報だった。

「Evacuate ってどこに避難する。ふっ。まぁよい。地球側のICBM程度はヒロシちゃんたちが全弾落とすだろうがな……。老害たちめ、また無駄な事を。」

 気にせず立ち上がり、裾を伸ばしたヤン司令だった。

 楊は楊で、手だれの私設スパイを中央軍事委員会に潜入させていたのだ。
 
 中央軍事委員会は、北海道へ大陸弾道ミサイルの新型、ICBMを発射して敵のシーラスと、小うるさく邪魔なヤン司令と戦場にいる敵味方一緒に、丸ごと抹殺しようとしたのだ。
 
 実はこの中央委員会の姿勢が将来のAXISの運命を大きく変える事になるのだが。

 その時、再び秘匿通信が奥のモニターに入って来た。


 ( ピピンッ♪ )

 
 こんどは見たことも無い色使いの画面になった。

 そして、ヤン司令しかわからない暗号の数列が流れてきた。

 ( #010100 [ O ] 011011 [ P ] 001001 [ I ] 010010 [ S ] 001100 [ S ] 001001 [ T ] 010…… )
 
 息を飲む楊司令。
 思わず声を口に出した。

「OPISST(オピスト)だとぉ……。」
 
 同時に、楊司令のスマハンドがバイブレーションをした。
 
 ……手の甲に浮かぶ人影。

 目を大きく見開く楊司令だった。

 
 このAXISのミサイル発射の行動は実は千歳シーラスワンにも大きく影響した。

 これが、決め手となって日本の天皇陛下がお乗りになる御召艦おめしかん供奉艦行動ぐぶかんこうどう【お華の解説②】の要請がネイジェア星域帝国、ジン・シュウ宮内庁より来たのだ。

 トット宮内庁・庁官より、御舩の元へ直接打診して来たのだった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「メジャー・インフラトン」序章4/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節JUMP! JUMP! JUMP! No1)

あおっち
SF
 港に立ち上がる敵AXISの巨大ロボHARMOR。遂に、AXIS本隊が北海道に攻めて来たのだ。その第1次上陸先が苫小牧市だった。  これは、現実なのだ!  その発見者の苫小牧市民たちは、戦渦から脱出できるのか。  それを助ける千歳シーラスワンの御舩たち。  同時進行で圧力をかけるAXISの陽動作戦。  台湾金門県の侵略に対し、真向から立ち向かうシーラス・台湾、そしてきよしの師範のゾフィアとヴィクトリアの機動艦隊。  新たに戦いに加わった衛星シーラス2ボーチャン。  目の離せない戦略・戦術ストーリーなのだ。  昨年、椎葉きよしと共に戦かった女子高生グループ「エイモス5」からも目が離せない。  そして、遂に最強の敵「エキドナ」が目を覚ましたのだ……。  SF大河小説の前章譚、第4部作。  是非ご覧ください。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)

あおっち
SF
 脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。  その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。  その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。  そして紛争の火種は地球へ。  その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。  近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。  第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。  ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。  第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。  ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。  彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。  本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )

あおっち
SF
 とうとう、AXIS軍が、椎葉きよしたちの奮闘によって、対馬市へ追い詰められたのだ。  そして、戦いはクライマックスへ。  現舞台の北海道、定山渓温泉で、いよいよ始まった大宴会。昨年あった、対馬島嶼防衛戦の真実を知る人々。あっと、驚く展開。  この序章3/7は主人公の椎葉きよしと、共に闘う女子高生の物語なのです。ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。  いよいよジャンプ血清を守るシンジケート、オリジナル・ペンタゴンと、異星人の関係が少しづつ明らかになるのです。  次の第4部作へ続く大切な、ほのぼのストーリー。  疲れたあなたに贈る、SF物語です。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

「メジャー・インフラトン」序章2/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節FIRE!FIRE!FIRE! No1. ) 

あおっち
SF
 敵の帝国、AXISがいよいよ日本へ攻めて来たのだ。その島嶼攻撃、すなわち敵の第1次目標は対馬だった。  この序章2/7は主人公、椎葉きよしの少年時代の物語です。女子高校の修学旅行中にAXIS兵士に襲われる女子高生達。かろうじて逃げ出した少女が1人。そこで出会った少年、椎葉きよしと布村愛子、そして少女達との出会い。  パンダ隊長と少女達に名付けられたきよしの活躍はいかに!少女達の運命は!  ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。そして、初めての恋人ジェシカ。札幌、定山渓温泉に集まった対馬島嶼防衛戦で関係を持った家族との絆のストーリー。  彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

「メジャー・インフラトン」序章5/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 JUMP! JUMP! JUMP! No2.

あおっち
SF
 海を埋め尽くすAXISの艦隊。 飽和攻撃が始まる台湾、金門県。  海岸の空を埋め尽くすAXISの巨大なロボ、HARMARの大群。 同時に始まる苫小牧市へ着上陸作戦。  そこで、先に上陸した砲撃部隊の砲弾が千歳市を襲った!  シーラス防衛軍は苫小牧市を侵略者の手から守ることができるのか!  SF大河小説の前章譚、第5部作。  是非ご覧ください。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

戦争と平和

澤村 通雄
SF
世界が戦争に。 私はたちの日本もズルズルと巻き込まれていく。 あってはならない未来。 平和とは何か。 戦争は。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

処理中です...