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第1章 シーラス・マザーを更迭(こうてつ)せよ。

第6話 やーるぅ!ノーラのスパイ逮捕撃。

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 麗子とオリエッタの正面のメインモニターには、ウインドーに表示される各種の棒グラフ。

 徐々にシーラス・マザーの制御度合いを締めるパーセンテージ棒が無くなって行く。
 
 支配率を表すモニター画面横の、大きなカウンター数字が97パーセントを通過した。

 「97.**」の少数点、下2桁の数字が、カウント・アップしていく。

 ニコニコ顔で、なおかつキツメのドヤ顔でモニターを見る京子。
 
「よし、よ~しっ。行っけー!ノーラ・システム~!」

 腕を組んで新ノーラ・システムをドヤ顔で見つめる麗子とオリエッタ。

 いよいよカウンター数字が「99.**」の99パーセントを通過した。


( 行っけ~っ!ノーラ・システムっ! )


 ついに、カウンター数字が「00.00」になった。
 
 シーラス・メイン・フレームの全システムが完全に「ノーラ・システム」へ移行した。

 新システムの「シーラス・ベータ」に切り替わったのだ。

 同時に、京子の後ろに座るノーラ・アバターが両手を前に伸ばした。

「私の支配を受けなさい!地球人のメインフレームよ!私がシーラス・ベータよ!ギャーアハハハ!」
 
 そして、ついに新ノーラ・システムの「シーラス・ベータ」が、100パーセント支配を始めたのだ。


*後ろで、ノーラへ注意する京子。
 
「コラッ。な~に言ってんのノーラ、漫画の読みすぎじゃないの。支配ってウシハクル帝国じゃあるまいし。また、シーラスマザー。メンテしてオーバーホールしたら交代するんでしょ?」
「あ。……でも1回やってみたかったのォ。ごめんなさい。」
「ぷっ。どこのお子ちゃまじゃ。」
「……。」
 
          ◇        ◇

 リセットされ、瞬間に電源が入るシーラスの全世界システム。

 
(( シャーン!キュオーンキュオーンキュオーン!キュンキュンキュン! ))

(( シャーン!キュオーンキュオーンキュオーン!キュンキュンキュン! ))
 

 リセットと共にいきなり警報が鳴った。
 
 昨年の対馬防衛戦での核爆発の警報以来の最上級の警報が鳴ったのだ。

 寝ている者、起きている者に限らず廊下へ飛び出す、全世界・全宙域の兵士たち。

 一斉に第1種非常態勢、レッドアラートはLV.1となった。
 
 戦闘艦橋の全モニター、廊下、個人の部屋、会議室、警備室、トイレ、シャワールーム、戦略ルーム、戦闘機、爆撃機、戦車、装甲車、WALKER、HARMORのモニター、衛星制御室etc……。

 とにかくシーラスのありとあらゆる全ての大小モニターの全てに赤色画面で、緊急警句のメッセージが飛び出して来た。

============================
|                                      |                             
|     **WARNING: DEFCON 1 ALERT**         
|      HOSTILE INDIVIDUAL DETECTED        
|   INITIATE IMMEDIATE CONTAINMENT    
|                                      |                             
============================

 **警告:防衛準備状況 1 の警戒態勢**
  「敵対的な個人が検出されました」
 「直ちに封じ込めを開始してください」

 の、メッセージが表示されたのだ。
 全世界のシーラスに緊張が走った。

(( シャーン!キュオーンキュオーンキュオーン!キュンキュンキュン! )) 

(( シャーン!キュオーンキュオーンキュオーン!キュンキュンキュン! ))

 驚くシーラスの全世界の関係者たち。 

 戦艦のCICルーム、航空母艦の艦橋やCDC、宙空戦艦の艦橋、本部司令ルーム、など上官たちが居ても関係なく、その上を警備・警察ドローンの「MP・ミルバス」が、あるだけの数が飛び回ったのだ。
 
 いきなりの警報だった。
 
 さすが新ノーラ・システム。

 天才シーラス皇女頭脳と、銀河系で最先端人工知能システムが融合した「ハイブリッド・AI」なのだ。 

 そして、茶目っ気たっぷりのノーラの気質。
 みんなを驚かす天才なのだ。
 
 警告音はそのままに、「スパイ」や「侵入者」を派手な文字や、そっくりさんアニメーションの飾り付けをしてアップしたのだ。

 侵入したスパイを各セクションのモニターに映し始める。

 AXISやウシハクルの息の掛かったスパイたちが、次々にお縄になり始めるのだった。
 
 アフロダイテイでも、ブーイー1世、カサブランカ、別海シムトックでも次々に潜入スパイがお縄になったのだ。

 千歳シーラスワンのウーラノスCDCのオペレーションルームに、モーター音を立てて浮上するだけの「MP・ミルバス」。

 さすがに1番艦ウーラノスにはスパイや、怪しい侵入者などは居なかった。

 そんな浮上したままの「MP・ミルバス」を見て、笑顔になる事務武官たち。
 
( ……ふ~っ。アハハハッ。 )
 
 オペレーションルームにスパイがいなくて安心した様子だった。
 
 段上の御舩が苦笑いして、大げさな新ノーラ・システムのスパイ確保騒動に呆れた。

 メリッサと目が合うと、口を可愛くまげて両手を広げて同じく呆れるメリッサ。
 
 日本では、奈良の橿原神宮の地下の、シーラス日本参謀本部や東京防衛省、自衛隊・日本国軍の各基地に潜入したスパイのドアップ映像。
 
 月の衛星軌道上の第3共同衛星基地内では、遠藤司令や椎葉繁とウィルソンたちに捕まって頭をこづかれる自衛隊員に化けたAXISスパイの映像が、千歳シーラスワンにも流れて来た。
 
 アメリカではホワイトハウスの事務次官として潜入したチャイニーズ系のアメリカ人や各基地、そして空母打撃群のCDCルームで活動していたAXISスパイ。
 
 ポーランドではトルン宇宙軍基地で基地の調理師になって潜入したスパイやポーランド・グディニャ海軍司令本部でも、参謀職の買収されスパイになった者たちのドアップ映像。
 
 武装監視母衛星の「シーラス1アレース」のアメリカ側の潜入したスパイのドアップ映像などが楽しく、カードゲームのカードの紹介のように正面モニターに名前付きで紹介される。
 
 思いもしない人がスパイで、驚きもするが大笑いする各国の将官や、政府要人たちだった。

 AXISに買収された金額も表示されて、スパイ買収額ランキングまで楽しく映し出される始末。

 バラエティ番組を見るかのように大笑いする人々だった。

 どの加盟国や、衛星基地でも1人の漏れもなく、お縄になったようだった。

 あっと言う間の「ノーラ・システム」によるスパイ逮捕劇だった。
 
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