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第12章 出会い。対馬防衛戦。

第3話 巨人の名は「お子ちゃまきよし」

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 ひとりで逃げて来た布村。

 何となく同郷で安心し始めた。

 同時にきよしの色白美少年顔に興味を持ち始めたのだった。
 
「了解しました。若い軍人さん。でも~突然ごめんなさい。判らずに顔傷つけて。右目、見えてますか?」
 
 真っ赤に腫れた右目をゆっくり開けて、左目を隠して周りを見るきよし。そして上を見た。
 
「目~開けたら痛いけど、なんか綺麗……、あっなんか、可愛いいです。」
 
 カッと赤くなり横をみる少女。
 右目、左目で交代に少女の顔を下から見るきよし。
 
「……あの~、ほ、本当に可愛いと思います。右目しっかり見えてますし……。」
 
 奥手なきよしにしては思い切った事を言ったつもりだった。
 少し恥ずかしくなり、両手を膝の上について下を見るきよし。
 
「あの~?若い軍人さん?」
 
「あっ!はい!」
 
 呼ばれてきよしがまた、左目を隠して上を見ると、少女の汚れたスクールシャツの裾がブアッ!と風で広がった。大きな両胸が見えてしまった。
 
「あっ!」
 
 突然、顔が赤くなるきよし。
 
「どうされましたか。」
 
 膝に両手を付いたまま、正面を向いて、照れながら話すきよし。両目をつむりながら少女を振り向いた。
 
「ごめんなさい。下からおっ、おっぱ、お、大きなおっぱいも両方見えてました。……右目、大丈夫ですぅ。」

「あっ!」

 胸を隠す少女。
 謝るきよし。
 
「ごめんなさい~っ!」
 
「あっ!もう。」
 頬を膨らまして、汚れたシャツでHカップの胸を隠す少女。
 少女はきよしの真面目な言葉や、行動を見て、この若いパイロットは悪い人ではなく、純粋で真面目な人だな~と思った。
 そして、安心した。少女は笑いながら、きよしに話した。
 
「ふぅ……。うふふっ。でも、ほんと良かった。」
 
 両手を膝に付けて動かないきよし。
 
「右目しっかり見えてますね。ふふっ!私もしっかり手伝います。下に降ります。軍人さん!」
 
 きよしが上を見ると、可愛い笑顔で敬礼をしてから地面に降りる少女。そして、少女がいなくなった空をニッコリして見た。
 
( 軍人さん~!下に降りました~!いつでもど~ぞ~! )
 
 フフフッと、なんだか楽しくなったきよし。再び空を見ながらニッコリした。
 
「了解でーす。!お願いしま~す。それでは行きま~す!」
 
 横倒しのモービルの上腕部に座る少女。
 ヒョイ~っとリュックサックがまず飛んで砂地に落ちた。
 
 処女はすかさず走って行って、リュックを指が広がったモービルの左、手の平(マニュピレーター)に置いた。また、ヒョイ~とふたつ目のリュックサックが飛んできた。
 そして、次にヒョイ~と四角い箱が飛んできた赤十字のマークの箱。
 ふたつのリュックの近くに素早く置いた。
 それから10回位、ヒョイヒョイと、いろんな物が飛んできた。
 その度、HARMORの手の平に置く少女だった。
 右目に青タンを付けたきよしがコクピットから上半身を出した。
 
「すみません~。お土産これで終わりで~す。僕も降りま~す。さぁて、よっこいしょ。」
 
 身軽に3メートル程の高さから飛び降りて、着地するきよし。

( ドサッ。 )
 
「うわ~イでで。」
 
 左の太ももを押さえて左側によろけるきよし。
 少女がニコニコしながらきよしに駆け寄る。
 砂場にひざま着いていたきよしが、左太ももをさすりながらゆっくり立ち上がる。
 195センチの大男が立ち上がった。
 下から上を見上げて驚く少女。
 
 「えっ!」
 
 巨大なきよしを見上げながら、少女は砂浜に尻もちをついた。
 笑顔が消えた少女は下から上へ、再びきよし見直した。
 そんな少女をきよしが左の太ももをさすりながらニコニコしている。

「あれっ?どうしましたか。」
 
 尻もちついた少女に手を差し伸べて、少女を立たせた。
 
「若い軍人さん、あなた、こんなに大男だなんて。優しいお顔の雰囲気から、小顔だしぃ背丈が私位のイメージだったから。びっくしたー。もう、何センチあるの~。びっくしたぁ、ハハハッ。」
 
「ハハハッ。お子ちゃまきよしって、みんなに言われてます。ハハハッ。」

「ん?」
 
 きよしは頭を掻きながら砂場をビッコを引きながら、のっそり歩いて、マニュピレーターに腰掛けた。
 そして、降ろした荷物を整理し始めた。
 その後ろで少女は空を見ながら、人差し指をアゴに付けて思い出し始めた。
 
「ん?なんか聞いた事ある。結衣が良く言ってたような。結衣。よくお子ちゃまきよし。お子ちゃっ、あっ、きよし!あっ!えー!うそっ。あなたがあの!お子ちゃまきよし!えっマジっ!えっ!千歳のなんちゃらワンとか!ちょっと本当にご本人様ですか!えー!」
 
 街角で芸能人にでも会ったような反応をする少女に、立ち上がり、振り向いて手をパタパタするパンダきよし。
 
「はい……マァマァ、マァマァ。」
 
「その右目の青たん!私っ何とかします!」
 
「ははっ~。マァマァ、いいです。いいんです。非常事態ですから。このままで。青タンになってます?」
 
「えーっ、良くない!良くない!日本中の、いや、世界中のミリオタ女子高生の敵になりたくない!そのパンダ青タンなんとかする。救急箱救急箱!えーと、えーと……あった。」
 
「いやいや、もったいない。あなたがもし怪我した時に使うから。僕にはいいですよ。」
 
「良くない!ちょっと待ってて。」
 
「んー、……。」
 
 救急箱の中の湿布を見つけて、袋を破ろうとする少女。
 しゃがんでその手を、両手で優しく止めるきよし。
 
「有難うございますぅ。でもこれから生き残るために、色んな所に潜入する。湿布の白は目立つし。ごめんなさい。言う事聞いて。お願いだから。お願い……。」
 
 しゃがんで、優しく少女の両手をさらに、包み込むきよしの大きな手。
 
「……解った。私こそごめんなさい。代わりに。」
 
「あっ!」
 
 身を乗り出し、しゃがんだままのきよしの左目の上に、優しくキスをする少女。
 固まるきよしだった。
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