「メジャー・インフラトン」序章2/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節FIRE!FIRE!FIRE! No1. ) 

あおっち

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第10章 ラブラブ・キャンピングワゴン❤️

第3話 ルオとリリアナ。

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 山道から聞こえる車のタイヤの走行音。

( ザザ~、ザザザ~。 )
 
 新緑の山道を、キャンピングバスが国道をのんびり走っている。
 
「もう、リリィ~ったら。もぅ!」
 
 ジンギスカンおにぎりを頬張りながら文句を言う、きよし。
 
「イタズラよ!イタズラっ!きよしは本当に、起きないんだ。アハハ!。訓練中にジェシーがラブラブトークで起こしたの。あれ、奇跡じゃないの。アハハハッ。もう、きよし!こうやってリリィ様がマニキュアとってあげてるんだからね!あっ、あっ!有難うルオ。あ~ん、モグモグッ。」
 
 ルオがリリィの口元にカツサンドを持って行った。
 
「ん~っ!モグモグ、ん~っ!んっ~!」
 
 両目を目一杯広げるリリアナ。
 
「これが京子おばさんの特製カツサンドだわさ。めちゃめちゃ美味しいんだわさ。」
 
「旨い~!「カツサンド」って言うの。すんごい美味しい。旨い~!(英語)」
 
 マメなルオは、除光液を持って両手が塞がっているリリアナに、紙ジュースのミルクティを飲ませた。
 
「ん、ん~、有難うルオォ。」
 
 きよしはキャンピングカーの後部のベットから両足を出し、リリアナ・ヒューズが床に座り、きよしにイタズラした足の指に塗ったマニキュアを除光液で落としていた。そのリリアナの横に大きなルオが窮屈そうに座り、リリィの口にカツサンドを運んでいた。
 
「はいっ!」
 
 また、両手がふさがり、口を開けるリリィ。
 
「はい、ア~ン。」
 
 優しいルオがまたカツサンドを食べさせる。
 
「京子叔母さんは、研究や仕事も天才的だけど、料理も天才だわさ。僕はカツサンドもジンギスおにぎり両方好きだわさ。モグモグ、モグモグ!朝から幸せ一杯だわさぁ!」
 
 ニッコリするリリィとルオ。
 2人は口を動かしながら見つめていた。そんな2人の仕草に普通なら男女のなんらかを感じるハズだが、そこは鈍いお子ちゃまきよし。
 無関心に、景色を見ながらジンギスカンおにぎりを頬張り、ペットボトルのお茶を飲んでいる。
 
 キャンピングカーの中央のテーブルでは、ジェシカとジェリーの2人が膝の上に双子ちゃんを乗せて、京子叔母さん特製お子ちゃま朝弁当を食べさせていた。
 
「ジェシカこれ最高!カツサンドって言うのね!夜のお寿司も美味しかったけど、明日、きよしの家に引っ越ししたら、私も、リリィもこんな美味しい京子ママの手料理食べられるのね~。ワクワクしちゃう。(英語)」
 
「そうよ!私も毎日楽しみにしてるのよ。うふふっ。わたし、日本食って味にパンチが無いって聞いていて、下宿中は我慢しようと思ってたけどぉ。嘘、嘘っ!毎日スンゴイ幸せ。お魚がこんなに美味しいとは思ってもいなかった。お肉も良いけど、お魚物凄くおいしい。「しゃけの西京漬け」って言うのかしら。西京漬け大好き。本当美味しいから。よく、東大にいってる妹のルー……、あっ!こぼした。」
 
 双子の内、アーシャを乗せてお子ちゃまご飯を食べさせてるジェシカ。アーシャの口からタコさんソーセージが太ももの上に落ちた。
 そのタコさんソーセージを拾って食べるジェシカ。
 
「あっ!あっ!これも美味しい。え~っ!甘めに味付けしてる。へ~美味しいんだ。アニメで見たタコさんソーセージ。うわぁ幸せ~。」
 
 その脇に椅子を立て、小林とオディアがジンギスカンおにぎりをニコニコしながら食べている。
 
「大人用タコさんソーセージ、出し巻き卵といっしょに緑色のタッパにいっぱい入ってるべさ。ジェシー、紙袋から出して開けてみ。お子ちゃまきよし用のお子ちゃま風味だべさ。」
 
「えっ?これかな~。(ガサガサ)あっ?」
 
 大きめの緑色のタッパをテーブルに置くジェリー。そして開けた。
 
「わぁ~!タコさんいっぱい~っ!」
 
 アルミにくるまれた爪楊枝でソーセージを刺して食べるジュリア。
 
「どれ、どれ~っ。モグモグモグ。ん!ん~!旨い!メッチャ旨い!(日本語)」
 
 ジェシカの口元にも爪楊枝で刺してソーセージを上げるジュリア。
 
「モグモグモグ、……旨い~!早速、明日から京子ママに作り方教えてもらうわ。メッチャ旨いわぁ、ジュリー?もうひとつ頂戴。ハイ、アーン。」
 
 口を開けてまた、ソーセージを口に入れてもらうジェシカ。ひざ抱っこしているアシャもジェシカの口元につられて可愛いお口を開ける。
 
「はーい、アーシャのタコさん。はい。」
 
 アシャにも、お子ちゃま専用タコさんソーセージを優しく食べさせるジェシカだった。
 
「アーシャ、美味しいね~。もう、あ~もう可愛いわ、可愛いい。」
 
 向かいのジュリアが、だし巻き卵を爪楊枝に差して、頬張った。
 
「次は卵に挑戦。モグモグモグん~旨い、旨いわぁ。ジェシー食べてみて。上品で美味しいわぁ。あっこれジンギスおにぎりに合うわぁ。あー幸せ~。」
 
 オディアが小林のももを叩いた。
 
「未央っ、ジュッスー。ジュッスゥ……。」
 
「へぃへぃ。ナポリンか?ガラナ?カツゲン?ナポリンだな。へぃへぃ。」
 
 ニッコリうなずくオディア。そんな2人を見て、ジェシカが小林に話掛ける。
 
「何かさぁ、きよしも、ルオも~、君達3人。オディアと兄弟みたい。アハハッ。(英語)」
 
 オディア用の両握りお子ちゃまカップを出してジュースを注ぎ、オディアの世話をする未央。
 
「まぁ、最近。高校から千歳シーラスワンの今までは、学校と予備役訓練で忙しくてそうでもないけどぉさ。それこそ中学までは、ほぼ毎日きよしの家というか道場通いだったから。きよしとオディアと、僕はずっと一緒だったからなぁ。(英語)」
 
「ルオちゃんは?(日本語)」
 
「えっ?ルオだべか。ルオは、お父さんの黄部長さ、リーリン叔母さんと台湾から追いかけて来てからの付き合いだべさ。僕達ドンパ(同級生)だから高校からの付合いだべさ。(北海道弁)」
「ふ~ん。(日本語)」
 
 何か急に考えが出て来たのか、アシャの世話をしながら、幸せそうな顔をして景色を見るジェシカだった。
 そんなジェシカを、ゴーシャの世話をしながら、ニッコリして見るジュリアナだった。
 
 木目調の豪華な運転席ではポーランド人の夫婦がリラックスしている。
 運転手のバルトシュもニコニコして朝食のカツサンドをアルミ箔をはがしながら食べている。その豪華な助手席の横に座るエレナは、お握りを取り出して食べ始めた。
 
「ん~っ!これは、美味しいわ。ジンギスカンお握り!へ~!京子さん、本当にマメね!(ポーランド語)モグモグ。うわぁ幸せ。美味しい!パパは?」
 
「俺はこっち。これ、本当に旨い。何サンドウィチだったっけ?え~、」
 
「(カツサンド)よ、パパ。」
 
「そう、そう。(カツサンド)!もう絶対忘れない。旨いっ~。レオンが旨いって言うから千歳の売店で売ってるカツサンドを買ったけど。それも結構旨かったけどぉ、この椎葉長官のカツサンド。すんごい旨い。もうひとつある?(ポーランド語)モグモグモグ。」
 
「え?もう食べたの~、うふふっ。ちょっと待って。(ポーランド語)」
 
 アルミ箔で包まれたカツサンドを丁寧に食べやすく剥いて渡すエレナ。
 
「ハイ、……どうぞ。フフッ(ポーランド語)」
 
「ありがとう。モグモグモグッ。旨いっ!旨い!もう朝からいい経験してるほんと。しばらくぶりに良い休暇してるな~って。これ食べ終わたら、次はおにぎり頂戴。(ポーランド語)」
 
「うふふっ。食いしん坊さんのパパ。うふふっ。沢山あるわよ。ウフフッ。(ポーランド語)」
 
 後ろを振り向いて、ひざ抱っこされている娘たちや、奥のベットに座るきよしたちを見るエレナ。
 
 なんとなく腕を伸ばし、夫のバルトシュの肩を持って、幸せな気分に浸たり始めたのだった。

 幸せを満載したキャンピングバスは、国道をゆったり走っていく。
 
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