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第10章 ラブラブ・キャンピングワゴン❤️
第2話 危険物検査。
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金髪の3人の背の高い美女達が玄関から手を振りながらやって来た。
( ハ~ィ! )
エレナに挨拶する3人の金髪美女たち。
その3人を見て改めて驚くバルトシュ。
( オー!スミスチーム。オー!)
ジェシカの小隊3名のパイロットだった。
3人は寝間着代わりのTシャツと短パンで長い脚を出したまま、サンダルを履いてあからさまに素足で出て来たのだ。
なんとなく目のやり場に困る第2訓練大隊、大隊長のバルトシュ・カミンスキ中佐。
そんな男達に構わず、双子に夢中な美人3人達。
( キャー!可愛すぎ! )
双子ちゃんに群がる金髪の3人。
「うわぁ、メッチャ可愛い。(日本語)」
「ブロンドのお人形さんみたい。(英語)」
「なんで、こんなに可愛いの?抱っこさせて。(英語)」
子供を驚かさないように、声を落としてしゃべる3人の美女達。
ジュリアとリリアナは子供を優しく抱き上げてあやしている。ジェシカがスマハンドですかさず2人を撮影した。笑顔の双子ちゃんとリリアナ、ジュリア。
安心したエレナはバスに入り、大きな紙袋をシンクにおいて、子供用グッツが入っているリュックサック2つを持ってバスから降りてきた。
京子がエレナの手を取った。
「さぁ、大人はお茶しようか。日本茶、緑茶は大丈夫?(ポーランド語)」
「はい、もちろんです。ポーランドでも、日本大好きっ子です。「和菓子」も大好きですよ。(ポーランド語)」
「あ~そ~!それは良かったわ。和菓子ちょっとあるわよ!(ポーランド語)」
「えっ!絶対食べたいです。うわぁ~嬉しい。(ポーランド語)」
そんな中、男2人は道場の方へ歩いて行った。
「きよしは、何歳からサムライ・ブドウしてたんですか?どのくらいの期間、習ってるんですか?(英語)」
「いつからだろう、小2か?きよしは最初、祖父から習ってたからなぁ、12~13年かな。(英語)」
バルトシュの実姉のヴィクトリア・カミンスカは、今でもポーランドの海軍基地の道場持ちの師範だった。
その弟のバルトッシュは、子供の頃から新格闘にあまり興味がなかった。
ヴィクトリアの父親と、親友のゾフィア・ヴィチックの父親は共にポーランド海軍、特殊部隊JWグロムの親友だった。
そのゾフィアと姉のヴィクトリアは、今では新格闘でヨーロッパを圧巻していたのだ。
そんな環境で育ったのにも関わらず、バルトシュは母親にべったりでゲームと勉強ばかりしていたのだった。何となくそんな姉に、子供の頃からコンプレックスがあったのかも知れない。ところが軍に入り、軍の必須武道だった新格闘を本格的に始めざるを得なかったバルトだった。
姉のヴィクトリアは新格闘を子供の頃から始めて、既に20数余年以上経ち、強力な武道家になっていた。すでに4段の黒帯保持者なのだ。ポーランドと言いうより、ヨーロッパを代表する最強の姉には全く敵わなかった。
新格闘発祥の地、栗山町・椎葉清春の本道場。
バルトッシュが繁と2人で母屋の隣の大きな平屋の道場に入って行った。
その2人の男達を見ながら話すエレナと京子。
「まぁ、未央ちゃんとルオちゃん、ウチのバカ息子3人衆が揃うまで、家で一休みしましょうか。男たちはほっといて。あはははっ(ポーランド語)」
仲良く母屋に入っていく京子とエレナ。
その後を、双子ちゃんをあやしながら歩く3人の金髪美女達だった。
20畳以上はある広い和風の椎葉家の居間。
キョロキョロと興奮しながらリビングのソファーに座るエレナ・カミンスカ。
昨日から1日泊って夕食を椎葉家族と一緒に摂り、椎葉の家に慣れ始めたUSASFのスナイピング・HARMOR乗りのリリアナ・ヒューズと、コマンダー・HARMOR乗りのジュリア・T・ジャクソンの2人の女性パイロット。
2人は居間の奥、仏壇がある12畳2間の和室で畳の上で寝そべながら優しく双子ちゃんと遊び始めた。
ジェシカは京子と一緒に、台所に立って和菓子とお茶を用意していた。
お盆にお茶と急須、和菓子を乗せて持ってきたジェシカ。
後ろから和菓子の残りを京子が持って来た。
お淑やかにテーブルにお盆を置くジェシカ。
「エレナさん、どうぞ召し上がって下さい。(日本語)」
そして、キリッと和室の方に振り向き、人差し指を立てた。
「ヘイ!ファニーダディ(リリアナのコール名)!コーンボウラー(ジュリアのコール名)!そこの兵隊、カマン~!(英語)」
と、突然隊長になり、ニコニコしながら2人を呼ぶジェシカ。
そんなジェシカがいてもお構いなしに興奮するエレナママ。
「ありがとうございます~っ。(日本語)オーマイガッ!やっと日本に来られた。と今、思ったわ。北海道の和風の豪邸で和菓子なんて。(英語)O mój Boże!幸せ~。パクっ。モグモグッ。O mój Boże!凄い美味しいです~。ズズズッ。あ~上品で。幸せ~、夢が叶ったわ。あはは。千歳の、軍のアパートではポーランド軍の夫婦寮とほとんど同じなので、日本に来た実感が薄かったの。うふふっ。O mój Boże!あ~幸せ。(ポーランド語)」
ニコニコとエレナをみる京子とジェシカ。
「ローマン大佐からパパが、日本の千歳に来いって言われたとかで、ウジウジ迷ってた時、私が大賛成したんですよ。義姉のヴィクトリアと思いっきり背中押したの!あはははっ。ほんと憧れの日本。パイロットと結婚して良かったと思った瞬間よ!おほほっ。お給料もらいながら日本で住めるのよ。(ポーランド語)」
京子が、ジェシカの肩に手を乗せて、ニコニコとエレナの話を聞いた。
「エレナ、色んな所見られたらいいわね。でも、北海道は本州の京都や奈良の様に、本格的な日本、日本してないわよ。最近はチャイニーズのおかしな文化も入ってるようだし。(ポーランド語)」
「でも、やっぱり日本です。京子さん。どこに行っても皆、親切で。身の危険や子供たちの危険なんか、一度たりとも感じたことないし。あはは。犬のフンとか全く落ちてないし。犬までマナーが良いのね。本当に清潔だし。雪が大量に降る所でこんなに街も清潔で。ゴミ箱がないのに、ゴミも落ちてないし。札幌でも千歳でも綺麗でした。もう驚きだらけ。(ポーランド語)」
時計をチラッと見る京子とジェシカ。
ニッコリして立ち上がるジェシカ。
「あー、もう6時過ぎだわ。京子お母さん、きよちゃんとオディ起こしにいくわ。(日本語)小隊、ムーブ!本目標は2階の迎撃点!(英語)」
ニコニコ顔から、ふざけて真顔になる女性兵士の2人。
リリアナも、ジュリアも双子ちゃんを優しく撫でた。
「大隊長!意見具申。(めっちゃかわいい(日本語)武器は携行してもよろしいか?(英語)」
真顔でジェシカに聞くスナイパー・HARMORパイロットのリリアナ・ヒューズ。
見つめるジェシカとリリアナの2人。
ジュリアとリリアナの膝にはチョンと乗り和菓子を舐めてる、仕草も可愛い双子ちゃん。
そこで、目をつむりながら和菓子を頬張ったままのエレナが目をカッと開いた。
「ゴーシャ!アシャ!カミンスキ家の女らしく派手にやってらっしゃい!(英語)」
敬礼をするジェシカ・L・D・G・スミス第2訓練大隊、大隊長。
「協力に感謝する。(めっちゃかわいい(日本語)武器の携行の許可が下りた。小隊、前へ!ムーブ、ムーブ!(英語)」
手の平を立てて合図するジェシカ。ジュリアとリリィは双子ちゃんを前抱っこしたまま、しゃがんで階段の下に来た。
その3人を、戸口から笑顔で見るエレナ。
腕を組んで呆れる京子。
「小隊~!GO! GO! GO~!」
( スッ、トントントントン! )
ジェシカを先頭に一気に階段を駆け上がる3人の美人兵士。キャッキャと大喜びの双子ちゃん。
階段の下では、京子が呆れている。
「もう、お遊びも~ほどほどに、早くきよしたちば、起こしてね~。今、未央ちゃんも車で来たみたいだし。ハハハッ。」
2階奥の居間から見ると暗い廊下がある。
左脇の階段からゆっくり金髪小顔の美女の顔が浮かんできた。
大きなブルーの瞳で状況判断をするジェシカ。
そして、サッと身軽に廊下に飛び上がり、音を立てずにサササッと、きよしの部屋の前でしゃがんで止まった。
後からゆっくり続く女兵士の2人。
潜入訓練もしっかり身に付いている3人の兵士だった。
正面に見える奥の居間には5月の朝の日差しが差し込んで来た。
左の手の平を開いて小隊を制止するジェシカ。
双子を前抱っこしたままの2人がゆっくりしゃがむ。
右手をのばして、襖を少しだけを開いて中を覗くジェシカ。
部屋の中では、大の字になって寝ているきよしに、オディアがきよしの胴に両腕をぴったり抱え込んで寝ていた。ニヤッとするジェシカだった。
後ろの2人にサインをするジェシカ。
上に上げた人差し指と中指を握って見せ、手の平を前に伸ばして、突入のサインをした。
音も無くスルリと部屋に入る3人と双子ちゃん。
音も無く大の字になって寝るきよしの周りに座り込む3人。
( ……フ、ムフフッ。 )
リリィが口を押えて、声を殺して笑い始めた。
つられて目で笑うジェシカとジュリア。
静かにジェシカが、横を向いて寝ているきよしの頭に、双子ちゃんを置いた。
双子ちゃんは、口を開けたままきよしの顔に上で、自分の顔を乗っけてよだれを垂らしたり、耳をひっぱたり鼻をつまんだりした。
それでも全く無反応のきよし。
そんな双子ちゃんの攻撃も束の間、早速、いたずら好きのリリィがきよしの足の指に真っ赤なマニキュアを塗り始めたのだ。
( キャー……ムフフ、ムフフフ。 もう、無理~、ムフフ……。 )
ジェシカも、ジュリアも我慢できなくなり、手で口を押えて笑い始める。
その気配に気が付いたのか寝ぼけ眼を開けて、コロッとうつぶせになり、あくびをするオディア。
ジュリアがオディアをしゃがんだまま、静かに抱っこした。
またオディアは親指を咥えて寝始めたのだが、何気なくジュリアの大きなバストを揉んだ。
一瞬そのバストを見て、いつもと違う感触にジュリアの顔を下から見て、大きな目で驚くオディア。
その驚いた仕草が可愛いかった。
そのオディアに、声を殺して笑う3人。
ジュリアが優しくオディアの頭を、撫でながらあやした。
昨日から椎葉家に泊まっている3人の美女。昨晩はオディアや京子達と、ノンビリと女達で椎葉温泉に浸かったのだった。
だからオディアとも知らない間柄ではなかったが、明らかに京子とは違う感触で寝ぼけ気味のオディアが驚いたのかもしれなかった。
兎に角、驚いた顔がめちゃくちゃ可愛かったのだ。
「ムフフフ……あら~オディちゃん!起きたの~。沢山、沢山寝たね~あ~可愛い、可愛い。(日本語)」
ジュリアが起きたてのオディアの頭を撫でながらあやす。そんな中でも寝続けるきよし。
下の玄関から聞こえる男たちの声。
(( ガラガラ~ッ! ))
( おはようございま~す。 )
( おはようございま~す。おばさん、お邪魔しま~す。 )
と、ルオと小林が到着したのだ。下から小林と京子たちの話し声が聞こえてくる。
目を合わす3人の美女達。
「もう、きよし。襲って起こそうか。」
「襲っちゃえ!」
慌てて、きよしの胸をさするジェシカ。
「え?何、何。ちょっとぉ!きよし~!起きて!起きて!」
そんなジェシカに、双子ちゃんを抱っこさせるリリアナとジュリア。
そして、2人の美女は顔を合わせた。
「せっかくだからキスマークつけちゃお。」
「危険物も確認しちゃお。クククッ。」
突然、蛮行に走る美女2人。
いきなり薄目を開けて寝てるきよしの頬に、勝手キスをした。
「あぁ!コラ~!ジュリーもリリィ!ダメッ~!なんで勝手にキスして~!」
したり顔のジュリアとリリアナ。
完全に戦に勝った兵士の顔だった。手が付けられない。
「ジェシカの物は私のものだぁ~!ブチュ~!」
「あ~、あっ!最低~口はダメー、リリィ~。あっ!ジュリー!パンツはダメ~!何考えてるのっ!パンツに手を入れるな~。生で握るな~!(英語)」
「だって~見事な朝○ちでぇ~。はははっ!あぁ凄っ。えっ!両手でまだ余る。」
「えっ?マジッ!どれどれ。あ、凄っ!」
「こら~!2人とも握っちゃだめ~。なんで両手で握る~。」
てんやわんやのきよしの部屋。
双子ちゃんを抱きながら、2人を脚で制止するジェシカだった。
ドタバタと騒がしくなった2階に上がる小林とルオの大男の2人組。
きよしの部屋から寝ぼけ眼のオディアがパタパタと出て来た。
「あらオディ子だわさ。あら、あら。まだ、お寝むだわさ。」
まだ半分寝ているオディアを抱き上げるルオだった。
優しく頭を押さえながら、そのまま1階に連れて行った。
笑いながら小林が襖を更に開ける。
「おはよ~、シー!迎えに……。あれ?」
小林がきよしの部屋の襖をガラッと開けると、髪が爆発したまま部屋のすみに丸まっているきよしと、腰に手を当てて笑う2人の美女が立っていた。
「アハハハッ!ヘイッ!起きたか~きよし。すぐに起きないとまた襲いにくるからな!(英語)」
そして双子ちゃんを抱っこして、きよしの前にしゃがむ疲れ顔のジェシカがいた。
ジェシカが小林に気が付き、立ち上がり部屋を出ていく。
「おはよう!ジェシ……。」
「もう、最低~。」
双子ちゃんを両腕に抱いて、怒って階段を下りるジェシカだった。
「えっ!朝から、何があったの?えっ。俺なんか、マズいの見た?」
ニコニコとストレスが発散できたのか、汗をかいた2人の金髪美女が部屋から出て来た。
小林の肩をピシっとたたくリリアナ。
「小林大尉、おはよう。さぁバケーションにいくよ!滝野滝野~♪」
次にジュリアも小林の肩をピシっとたたいた。
「ハハハッ。未央っ。おはよう。もう行くよ!滝野滝野~♪」
さっさと階段を下りていく2人。
部屋の隅で体育座りのきよしに近づく小林。
「なんじゃシー!もう行くべや。」
階段の下では双子を抱いたまま、玄関を見て呆れて立っているジェシカ。
その後ろから階段を笑顔で降りて来る2人の女パイロット。
「うふふっ。隊長、羨ましい。ふふっ。私も年下の彼氏作ろっかな~。アハハハッ。」
( パシッ! )
ジェシカのお尻を軽く叩いて居間に入るリリアナ。
そして階段から降りて来たジュリア。
「あ~凄かった。危険物の検査終了。アハハハッ。大変な危険物持ってるわ。もう、きよしを逃しちゃだめよ隊長。あ~羨ましい。でも満足~。って、逆に朝からムラムラ来ちゃったわ。アハハハッ。」
( パシッ!)
またジェシカのお尻を叩いてから、笑いながら居間に入るジュリアだった。
双子をあやしながら、可愛い口の端を噛むジェシカ。
「フフッ。」
と、勝ち誇った様な笑いをして居間に入った。
2階のきよしの10畳間、畳の部屋。
きよしが布団を押し入れに入れていた。
腕を組んできよしの勉強椅子に座る小林。
椅子をクルクル回し、メガネを指で上げる。
押し入れに布団を仕舞いきって、きよしがため息をついた。
「はぁ……。」
「……ドした?なんだべ、シー?はぁ~って、なんだべ。」
「ん?ん~。あ~あ。」
再び、きよしはため息をつき、押し入れをピシっと閉めた。
「何が何だか。」
「なんだ?」
「いや、何ともない。コバぁ!滝野さ行くべや~カァ~!眠いっ!ムニャムニャ。」
あくびをしながら頭を掻くきよし。
そこで、何かに気が付く小林。
「オメ~!プッ!おっ、アハハハッ!足の指とか、自分の手の指さ、見ろ!」
えっ?と足の指や手の指を見るきよし。真っ赤なマニキュアが塗られていた。
「うわ、やられた!誰だ~!もぅ!」
「お前すぐに起きないからだわ。首筋も。鏡で見てみ!ハハハッ。」
「えっ!」
鏡で首をみるきよし。無数の口紅の跡がある。
「あ~もっ。ジェシーか?リリィかぁ?ジュリアか?もう、変な跡いっぱいついてるしぃ。体中、クンクンッ、あ~香水臭いし。もぅ。」
そこへ下から京子の声がする。
「未央ちゃんも、きよし!みんな、いい加減、もう出るよ。きよしも早く着替えろ!」
小林ときよしの目が合う。
急いで下に降りる小林と、急いで下着を脱いで着替えるきよしだった。
( ハ~ィ! )
エレナに挨拶する3人の金髪美女たち。
その3人を見て改めて驚くバルトシュ。
( オー!スミスチーム。オー!)
ジェシカの小隊3名のパイロットだった。
3人は寝間着代わりのTシャツと短パンで長い脚を出したまま、サンダルを履いてあからさまに素足で出て来たのだ。
なんとなく目のやり場に困る第2訓練大隊、大隊長のバルトシュ・カミンスキ中佐。
そんな男達に構わず、双子に夢中な美人3人達。
( キャー!可愛すぎ! )
双子ちゃんに群がる金髪の3人。
「うわぁ、メッチャ可愛い。(日本語)」
「ブロンドのお人形さんみたい。(英語)」
「なんで、こんなに可愛いの?抱っこさせて。(英語)」
子供を驚かさないように、声を落としてしゃべる3人の美女達。
ジュリアとリリアナは子供を優しく抱き上げてあやしている。ジェシカがスマハンドですかさず2人を撮影した。笑顔の双子ちゃんとリリアナ、ジュリア。
安心したエレナはバスに入り、大きな紙袋をシンクにおいて、子供用グッツが入っているリュックサック2つを持ってバスから降りてきた。
京子がエレナの手を取った。
「さぁ、大人はお茶しようか。日本茶、緑茶は大丈夫?(ポーランド語)」
「はい、もちろんです。ポーランドでも、日本大好きっ子です。「和菓子」も大好きですよ。(ポーランド語)」
「あ~そ~!それは良かったわ。和菓子ちょっとあるわよ!(ポーランド語)」
「えっ!絶対食べたいです。うわぁ~嬉しい。(ポーランド語)」
そんな中、男2人は道場の方へ歩いて行った。
「きよしは、何歳からサムライ・ブドウしてたんですか?どのくらいの期間、習ってるんですか?(英語)」
「いつからだろう、小2か?きよしは最初、祖父から習ってたからなぁ、12~13年かな。(英語)」
バルトシュの実姉のヴィクトリア・カミンスカは、今でもポーランドの海軍基地の道場持ちの師範だった。
その弟のバルトッシュは、子供の頃から新格闘にあまり興味がなかった。
ヴィクトリアの父親と、親友のゾフィア・ヴィチックの父親は共にポーランド海軍、特殊部隊JWグロムの親友だった。
そのゾフィアと姉のヴィクトリアは、今では新格闘でヨーロッパを圧巻していたのだ。
そんな環境で育ったのにも関わらず、バルトシュは母親にべったりでゲームと勉強ばかりしていたのだった。何となくそんな姉に、子供の頃からコンプレックスがあったのかも知れない。ところが軍に入り、軍の必須武道だった新格闘を本格的に始めざるを得なかったバルトだった。
姉のヴィクトリアは新格闘を子供の頃から始めて、既に20数余年以上経ち、強力な武道家になっていた。すでに4段の黒帯保持者なのだ。ポーランドと言いうより、ヨーロッパを代表する最強の姉には全く敵わなかった。
新格闘発祥の地、栗山町・椎葉清春の本道場。
バルトッシュが繁と2人で母屋の隣の大きな平屋の道場に入って行った。
その2人の男達を見ながら話すエレナと京子。
「まぁ、未央ちゃんとルオちゃん、ウチのバカ息子3人衆が揃うまで、家で一休みしましょうか。男たちはほっといて。あはははっ(ポーランド語)」
仲良く母屋に入っていく京子とエレナ。
その後を、双子ちゃんをあやしながら歩く3人の金髪美女達だった。
20畳以上はある広い和風の椎葉家の居間。
キョロキョロと興奮しながらリビングのソファーに座るエレナ・カミンスカ。
昨日から1日泊って夕食を椎葉家族と一緒に摂り、椎葉の家に慣れ始めたUSASFのスナイピング・HARMOR乗りのリリアナ・ヒューズと、コマンダー・HARMOR乗りのジュリア・T・ジャクソンの2人の女性パイロット。
2人は居間の奥、仏壇がある12畳2間の和室で畳の上で寝そべながら優しく双子ちゃんと遊び始めた。
ジェシカは京子と一緒に、台所に立って和菓子とお茶を用意していた。
お盆にお茶と急須、和菓子を乗せて持ってきたジェシカ。
後ろから和菓子の残りを京子が持って来た。
お淑やかにテーブルにお盆を置くジェシカ。
「エレナさん、どうぞ召し上がって下さい。(日本語)」
そして、キリッと和室の方に振り向き、人差し指を立てた。
「ヘイ!ファニーダディ(リリアナのコール名)!コーンボウラー(ジュリアのコール名)!そこの兵隊、カマン~!(英語)」
と、突然隊長になり、ニコニコしながら2人を呼ぶジェシカ。
そんなジェシカがいてもお構いなしに興奮するエレナママ。
「ありがとうございます~っ。(日本語)オーマイガッ!やっと日本に来られた。と今、思ったわ。北海道の和風の豪邸で和菓子なんて。(英語)O mój Boże!幸せ~。パクっ。モグモグッ。O mój Boże!凄い美味しいです~。ズズズッ。あ~上品で。幸せ~、夢が叶ったわ。あはは。千歳の、軍のアパートではポーランド軍の夫婦寮とほとんど同じなので、日本に来た実感が薄かったの。うふふっ。O mój Boże!あ~幸せ。(ポーランド語)」
ニコニコとエレナをみる京子とジェシカ。
「ローマン大佐からパパが、日本の千歳に来いって言われたとかで、ウジウジ迷ってた時、私が大賛成したんですよ。義姉のヴィクトリアと思いっきり背中押したの!あはははっ。ほんと憧れの日本。パイロットと結婚して良かったと思った瞬間よ!おほほっ。お給料もらいながら日本で住めるのよ。(ポーランド語)」
京子が、ジェシカの肩に手を乗せて、ニコニコとエレナの話を聞いた。
「エレナ、色んな所見られたらいいわね。でも、北海道は本州の京都や奈良の様に、本格的な日本、日本してないわよ。最近はチャイニーズのおかしな文化も入ってるようだし。(ポーランド語)」
「でも、やっぱり日本です。京子さん。どこに行っても皆、親切で。身の危険や子供たちの危険なんか、一度たりとも感じたことないし。あはは。犬のフンとか全く落ちてないし。犬までマナーが良いのね。本当に清潔だし。雪が大量に降る所でこんなに街も清潔で。ゴミ箱がないのに、ゴミも落ちてないし。札幌でも千歳でも綺麗でした。もう驚きだらけ。(ポーランド語)」
時計をチラッと見る京子とジェシカ。
ニッコリして立ち上がるジェシカ。
「あー、もう6時過ぎだわ。京子お母さん、きよちゃんとオディ起こしにいくわ。(日本語)小隊、ムーブ!本目標は2階の迎撃点!(英語)」
ニコニコ顔から、ふざけて真顔になる女性兵士の2人。
リリアナも、ジュリアも双子ちゃんを優しく撫でた。
「大隊長!意見具申。(めっちゃかわいい(日本語)武器は携行してもよろしいか?(英語)」
真顔でジェシカに聞くスナイパー・HARMORパイロットのリリアナ・ヒューズ。
見つめるジェシカとリリアナの2人。
ジュリアとリリアナの膝にはチョンと乗り和菓子を舐めてる、仕草も可愛い双子ちゃん。
そこで、目をつむりながら和菓子を頬張ったままのエレナが目をカッと開いた。
「ゴーシャ!アシャ!カミンスキ家の女らしく派手にやってらっしゃい!(英語)」
敬礼をするジェシカ・L・D・G・スミス第2訓練大隊、大隊長。
「協力に感謝する。(めっちゃかわいい(日本語)武器の携行の許可が下りた。小隊、前へ!ムーブ、ムーブ!(英語)」
手の平を立てて合図するジェシカ。ジュリアとリリィは双子ちゃんを前抱っこしたまま、しゃがんで階段の下に来た。
その3人を、戸口から笑顔で見るエレナ。
腕を組んで呆れる京子。
「小隊~!GO! GO! GO~!」
( スッ、トントントントン! )
ジェシカを先頭に一気に階段を駆け上がる3人の美人兵士。キャッキャと大喜びの双子ちゃん。
階段の下では、京子が呆れている。
「もう、お遊びも~ほどほどに、早くきよしたちば、起こしてね~。今、未央ちゃんも車で来たみたいだし。ハハハッ。」
2階奥の居間から見ると暗い廊下がある。
左脇の階段からゆっくり金髪小顔の美女の顔が浮かんできた。
大きなブルーの瞳で状況判断をするジェシカ。
そして、サッと身軽に廊下に飛び上がり、音を立てずにサササッと、きよしの部屋の前でしゃがんで止まった。
後からゆっくり続く女兵士の2人。
潜入訓練もしっかり身に付いている3人の兵士だった。
正面に見える奥の居間には5月の朝の日差しが差し込んで来た。
左の手の平を開いて小隊を制止するジェシカ。
双子を前抱っこしたままの2人がゆっくりしゃがむ。
右手をのばして、襖を少しだけを開いて中を覗くジェシカ。
部屋の中では、大の字になって寝ているきよしに、オディアがきよしの胴に両腕をぴったり抱え込んで寝ていた。ニヤッとするジェシカだった。
後ろの2人にサインをするジェシカ。
上に上げた人差し指と中指を握って見せ、手の平を前に伸ばして、突入のサインをした。
音も無くスルリと部屋に入る3人と双子ちゃん。
音も無く大の字になって寝るきよしの周りに座り込む3人。
( ……フ、ムフフッ。 )
リリィが口を押えて、声を殺して笑い始めた。
つられて目で笑うジェシカとジュリア。
静かにジェシカが、横を向いて寝ているきよしの頭に、双子ちゃんを置いた。
双子ちゃんは、口を開けたままきよしの顔に上で、自分の顔を乗っけてよだれを垂らしたり、耳をひっぱたり鼻をつまんだりした。
それでも全く無反応のきよし。
そんな双子ちゃんの攻撃も束の間、早速、いたずら好きのリリィがきよしの足の指に真っ赤なマニキュアを塗り始めたのだ。
( キャー……ムフフ、ムフフフ。 もう、無理~、ムフフ……。 )
ジェシカも、ジュリアも我慢できなくなり、手で口を押えて笑い始める。
その気配に気が付いたのか寝ぼけ眼を開けて、コロッとうつぶせになり、あくびをするオディア。
ジュリアがオディアをしゃがんだまま、静かに抱っこした。
またオディアは親指を咥えて寝始めたのだが、何気なくジュリアの大きなバストを揉んだ。
一瞬そのバストを見て、いつもと違う感触にジュリアの顔を下から見て、大きな目で驚くオディア。
その驚いた仕草が可愛いかった。
そのオディアに、声を殺して笑う3人。
ジュリアが優しくオディアの頭を、撫でながらあやした。
昨日から椎葉家に泊まっている3人の美女。昨晩はオディアや京子達と、ノンビリと女達で椎葉温泉に浸かったのだった。
だからオディアとも知らない間柄ではなかったが、明らかに京子とは違う感触で寝ぼけ気味のオディアが驚いたのかもしれなかった。
兎に角、驚いた顔がめちゃくちゃ可愛かったのだ。
「ムフフフ……あら~オディちゃん!起きたの~。沢山、沢山寝たね~あ~可愛い、可愛い。(日本語)」
ジュリアが起きたてのオディアの頭を撫でながらあやす。そんな中でも寝続けるきよし。
下の玄関から聞こえる男たちの声。
(( ガラガラ~ッ! ))
( おはようございま~す。 )
( おはようございま~す。おばさん、お邪魔しま~す。 )
と、ルオと小林が到着したのだ。下から小林と京子たちの話し声が聞こえてくる。
目を合わす3人の美女達。
「もう、きよし。襲って起こそうか。」
「襲っちゃえ!」
慌てて、きよしの胸をさするジェシカ。
「え?何、何。ちょっとぉ!きよし~!起きて!起きて!」
そんなジェシカに、双子ちゃんを抱っこさせるリリアナとジュリア。
そして、2人の美女は顔を合わせた。
「せっかくだからキスマークつけちゃお。」
「危険物も確認しちゃお。クククッ。」
突然、蛮行に走る美女2人。
いきなり薄目を開けて寝てるきよしの頬に、勝手キスをした。
「あぁ!コラ~!ジュリーもリリィ!ダメッ~!なんで勝手にキスして~!」
したり顔のジュリアとリリアナ。
完全に戦に勝った兵士の顔だった。手が付けられない。
「ジェシカの物は私のものだぁ~!ブチュ~!」
「あ~、あっ!最低~口はダメー、リリィ~。あっ!ジュリー!パンツはダメ~!何考えてるのっ!パンツに手を入れるな~。生で握るな~!(英語)」
「だって~見事な朝○ちでぇ~。はははっ!あぁ凄っ。えっ!両手でまだ余る。」
「えっ?マジッ!どれどれ。あ、凄っ!」
「こら~!2人とも握っちゃだめ~。なんで両手で握る~。」
てんやわんやのきよしの部屋。
双子ちゃんを抱きながら、2人を脚で制止するジェシカだった。
ドタバタと騒がしくなった2階に上がる小林とルオの大男の2人組。
きよしの部屋から寝ぼけ眼のオディアがパタパタと出て来た。
「あらオディ子だわさ。あら、あら。まだ、お寝むだわさ。」
まだ半分寝ているオディアを抱き上げるルオだった。
優しく頭を押さえながら、そのまま1階に連れて行った。
笑いながら小林が襖を更に開ける。
「おはよ~、シー!迎えに……。あれ?」
小林がきよしの部屋の襖をガラッと開けると、髪が爆発したまま部屋のすみに丸まっているきよしと、腰に手を当てて笑う2人の美女が立っていた。
「アハハハッ!ヘイッ!起きたか~きよし。すぐに起きないとまた襲いにくるからな!(英語)」
そして双子ちゃんを抱っこして、きよしの前にしゃがむ疲れ顔のジェシカがいた。
ジェシカが小林に気が付き、立ち上がり部屋を出ていく。
「おはよう!ジェシ……。」
「もう、最低~。」
双子ちゃんを両腕に抱いて、怒って階段を下りるジェシカだった。
「えっ!朝から、何があったの?えっ。俺なんか、マズいの見た?」
ニコニコとストレスが発散できたのか、汗をかいた2人の金髪美女が部屋から出て来た。
小林の肩をピシっとたたくリリアナ。
「小林大尉、おはよう。さぁバケーションにいくよ!滝野滝野~♪」
次にジュリアも小林の肩をピシっとたたいた。
「ハハハッ。未央っ。おはよう。もう行くよ!滝野滝野~♪」
さっさと階段を下りていく2人。
部屋の隅で体育座りのきよしに近づく小林。
「なんじゃシー!もう行くべや。」
階段の下では双子を抱いたまま、玄関を見て呆れて立っているジェシカ。
その後ろから階段を笑顔で降りて来る2人の女パイロット。
「うふふっ。隊長、羨ましい。ふふっ。私も年下の彼氏作ろっかな~。アハハハッ。」
( パシッ! )
ジェシカのお尻を軽く叩いて居間に入るリリアナ。
そして階段から降りて来たジュリア。
「あ~凄かった。危険物の検査終了。アハハハッ。大変な危険物持ってるわ。もう、きよしを逃しちゃだめよ隊長。あ~羨ましい。でも満足~。って、逆に朝からムラムラ来ちゃったわ。アハハハッ。」
( パシッ!)
またジェシカのお尻を叩いてから、笑いながら居間に入るジュリアだった。
双子をあやしながら、可愛い口の端を噛むジェシカ。
「フフッ。」
と、勝ち誇った様な笑いをして居間に入った。
2階のきよしの10畳間、畳の部屋。
きよしが布団を押し入れに入れていた。
腕を組んできよしの勉強椅子に座る小林。
椅子をクルクル回し、メガネを指で上げる。
押し入れに布団を仕舞いきって、きよしがため息をついた。
「はぁ……。」
「……ドした?なんだべ、シー?はぁ~って、なんだべ。」
「ん?ん~。あ~あ。」
再び、きよしはため息をつき、押し入れをピシっと閉めた。
「何が何だか。」
「なんだ?」
「いや、何ともない。コバぁ!滝野さ行くべや~カァ~!眠いっ!ムニャムニャ。」
あくびをしながら頭を掻くきよし。
そこで、何かに気が付く小林。
「オメ~!プッ!おっ、アハハハッ!足の指とか、自分の手の指さ、見ろ!」
えっ?と足の指や手の指を見るきよし。真っ赤なマニキュアが塗られていた。
「うわ、やられた!誰だ~!もぅ!」
「お前すぐに起きないからだわ。首筋も。鏡で見てみ!ハハハッ。」
「えっ!」
鏡で首をみるきよし。無数の口紅の跡がある。
「あ~もっ。ジェシーか?リリィかぁ?ジュリアか?もう、変な跡いっぱいついてるしぃ。体中、クンクンッ、あ~香水臭いし。もぅ。」
そこへ下から京子の声がする。
「未央ちゃんも、きよし!みんな、いい加減、もう出るよ。きよしも早く着替えろ!」
小林ときよしの目が合う。
急いで下に降りる小林と、急いで下着を脱いで着替えるきよしだった。
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