39 / 55
9章 黄逸臣(ホァン・イーチェン)技術部長
第2話 第11 番整備倉庫
しおりを挟む
BEVのケータリング・トラックが1台、各整備倉庫が繋がる接続通路からゆっくりやって来た。
( プッ、プッ~ン! )
短く軽くホーンとならすトラック。
中型トラック程のケータリング車両を運転してきた訓練第2大隊長のジェシカ中佐と、訓練教官のローマン大佐。
2人共軽く敬礼をしてニコニコして運転して来た。振り向く整備兵たち。
( あっ!全員~敬礼っ! )
神保が気づき、慌てて号令をかける。横ではきよしが、運転するジェシカに手を振った。ジェシカも笑顔で手を振って返した。
普段と違う雰囲気で緊張する面々。
そして敬礼をする黄部長率いる整備部隊。
ケータリングトラックが、空きスペースに止まった。
その2人の元へ駆け足で駆け寄る整備部隊員たち。
ニコニコしながらトラックから降りる2人。ジェシカが敬礼をして、整備兵全員へ話を始める。
「御舩少将閣下、ウィルソン少将閣下、京子椎葉博士、麗子・オースティン博士、オリエッタ・マズル博士、リーリン・黄博士から皆様へ差し入れです。他の訓練大隊の13番、12番、10番、9番の整備倉庫へは先に配ってきました。今はもうお昼です。お好きなだけお食べください。すぐ、私のテキサスの実家からの差し入れのスープ・ケータリングも来ます。」
(( オーッ! ))
(( イエーィ! ))
この整備倉庫では、他に先駆けてロフテッド試験降下実験を始めていた小林小隊のモービル3機、そして新たに訓練期間だけのジェシカのスミス小隊の3機、ローマン以下2名の教官機の合計10 機の整備倉庫だった。
今回はここの倉庫以外、訓練第1、第2大隊が整備している他の5か所の倉庫にいつも整備してくれている整備兵へ慰安のケータリングを配って来た後なのだ。
そのケータリング・トラックからフードボックス(弁当)を整備部員へ配り始めるジェシカ。それを手伝うローマンと農協のつなぎ姿の、幼な顔のきよし。
女性上級整備兵の若い2人も手伝い始めた。黄部長も、神保達も手伝い始めた。
手渡ししながら1人1人に説明するジェシカ。1人に3つのフードボックスを渡している。お礼をしながら受け取る整備兵たち。
3つのフードボックスを渡されて驚くオバちゃん整備員。
「3つもいいの?そんなに食べられないです。」
「ひとつは、台湾リーリン冷麺弁当です。ふたつ目は椎葉博士スペシャル和風ジンギスカン弁当です。3つ目。私の故郷、テキサス牛のカット済み400グラムテキサス・ステーキ弁当です。3つ共持って行ってください。赤いボタンでホカホカの弁当が5秒で食べれま~す。真空なので常温で2日間、味も変わらず日持ちしますからね。はいっ!どうぞ。」
フードボックス3個を腕で抱えて感心するオバちゃん整備兵たち。
「かなりの量持って来たから、残ったお弁当もったいないから、自宅のご家族や自分達の夕ご飯でもいいので、家で食べてね。うふふっ。」
「あー、疲れてるから助かるわぁ。晩御飯用意しなくていい。凄いわー、大隊長。」
ニコニコしながら整備部員へ弁当を渡すジェシカだった。瞬間立ち止まり、そのジェシカの美しい横顔を見つめるきよし。ジェシカと目が合う。ジェシカは優しく微笑みながらチラッチラッと、きよしを見ながらフードボックスを配る。そのきよしへ手伝いながら黄部長が肩をつついて話す。
「やられたな!きよし~!もう嫁さんだ。ハハハッ!大事にせーよ!はははっ!。」
なんとなく不満な顔な椎葉きよし。
「僕、まだ19歳ですよ!部長!もう。実は明後日、ジェシカが麗子叔母さんたちに言われたとか何とかで、リリアナやジュリア、小隊の2人と僕の家に引っ越すらしくて、引っ越しの手伝いしますし。」
「へ~!金髪トリオが栗山に引越しか!でもな、きよし!連休なんだから、引っ越しもいいけど、ジェシーとたまに遊びに行け!ハハハッ。」
( ヒューヒュー! )
そのやり取りを聞いていた年配の整備兵の冷やかしが入る。
照れるきよし。
「部長、そのつもりです。妹のオディアが最近、ジェシーと付き合い始めたからかなぁ、焼き餅がすごくて。僕が帰るとずっと引っ付いて、家で何にも出来ないんです。だから、仲を取り持つようにオディアとジェシーと遊びにいくつもりです。」
「来月かぁ?オディア、生まれ故郷に研修か儀式だかで3週間帰るんだろう?6月だよな。シゲルもいくんだろ?」
「はい、そうです。来月は、父と2人でオディアの生まれ故郷のイギリスのスコットランドに行くみたいです。ウィルソン少将のイギリスの故郷みたいです。だからその前に、ジェシーと仲良くなってもらおうかなぁ、と思って。」
「あー、アルフィーも一緒に、あっ。」
あっ!と失言に驚いて、周りを見る黄部長。
ついつい、アルフレッド・ウィルソン少将を京子たちに合わせてアルフィーとニックネームで言いそうになったのだった。
人前ではウィルソン閣下なのだ。ごまかし咳払いをした。
「ゴホンゴホン、いやいや失礼。ウィルソン閣下も一緒に行くのかな?」
「途中で合流するとかなんとか。道場の練習後の温泉で話してましたけど。良く解りません。」
「はははっ!そうか、そうか。でも5歳の女の子っていっても、やはり女だなっ。焼き餅って。はははっ。モテルなオイ!きよし!」
「いやいやいや、オディアは実の妹だし。モテルも、何も部長ないですよ。」
「はははっ。そうか。でも、この休みはどこに行く?」
「はい!バルトシュ・カミンスキー中佐のご家族とウチの小林小隊と、ジェシカの女小隊の3グループで行こうって、話してましたけど。あした早朝から出ます。夜はなんだか、定山渓の温泉で泊まるって話です。カミンスキー中佐の奥様が本格的な和風温泉に行きたいらしいです。せっかく、日本に来たからって。温泉宿で日本食も食べたいらしくて。」
「あ~ルオもなんか言ってたな。温泉宿かぁ。俺も行きたいなぁ。バーベキューたしか札幌の滝野か!滝野すずらん公園だな。その後に定山渓か。ええな~。あしたは天気良いらしいし。」
「はい。僕も滝野や、定山渓なんかしばらくぶりですから。なんか楽しみです。定山渓は母の友達が居るホテルらしくて。小さいころ何度も行ったらしいですけどぉ。覚えてない。」
「そうか定山渓。はははっ。そういえば、バルトちゃんの家といえば~、たしか~女の双子ちゃん達だろう?もぅ1歳になるのか!」
「すんごい可愛いみたいですよ。せっかくだからオディアも行くし、未央とルオ、ジェシカの女小隊3人も1泊してきます。」
「ほう、若いもん同士で羨ましい!まぁ楽しんで来たらいい。さあて、きよし。俺たちも早く、配り終わって飯食おうか。」
思い思いの場所で、弁当を食べ始める整備兵たち。
またそこへ、護衛の衛兵2人と共に、アルフレッド・ウィルソンRSF少将、千歳シーラスワン統括司令長官の御舩少将と岩井宙空将・千歳シーラスワン副司令官の3名が歩いて来た。
衛兵2人がサッと前に出て、左右横に並び送迎のサイドパイプの笛を鳴らそうとした。
その衛兵の笛をウィルソン少将が手で止めた。
「今はええわい。みんな楽に。楽にしてくれ!」
全員立ち上がり、3人の上級将校に直立で敬礼をした。そこで岩井。
「邪魔してるのは、我々だ。いいから楽にして。楽にして。」
笑いながら椅子に座ったり、道具箱に座って食事を摂り始める整備兵たち。
軽く敬礼をして、笑顔になる御舩少将と岩井宙空将。
御舩がフードボックを渡しているジェシカやきよし達の所に歩いて来た。
「はははっ!きよしも居たか!よしよしっ!皆っ!昼食をスミス大隊長やマズル大佐が運んで来るとは思わなかっただろう。はははっ。黄部長!いつも、いつも苦労を掛けるな。お礼にこの位しか出来ないからな。」
「はっ!とんでもございません閣下。閣下が手配した昼食、これから頂きます。有難うございます。でも、訓練といえパイロットも命を賭けてるのでこの位は苦労じゃありません。ところで閣下、本日はいかなる御用で。」
「いや~。特に何にもない。私も訓練部隊と同じで5日間の休暇だからな。暇してな!面目ない。ジャマしてすまん。私もケータリングの会社に連絡して、車を手配させて頂いたよ、黄技術部長。みんなと昼食を食べようと思ってな。はははっ。」
御舩の後ろに立って笑いながらうなずく、ウィルソン少将と岩井宙空司令官。
「さぁ、私も頂こうかなジェシカ大隊長。さぁ少将も、岩井も頂こう!」
一緒に来た衛兵2人にも声を掛けて、きよしに頼み、フードボックス3箱づつを渡した。
そこにまた何かの液体タンクを積んだ派手な小型トラックがきた。そのトラックを手招きする御舩。
「おー来た来た、スープと共に美人2人も来たか。」
スープを運んで来たトラックがケータリングトラックに並んで止まった。
そのトラックからジェシカ小隊の2人、ジュリア・T・ジャクソンとリリアナ・ヒューズが白地に金銀レッドの糸で飾られた派手なカーボーイハットを被って出て来た。
ド派手なバナーが入った真っ白のTシャツ、スリムのジーパン。白に金のモールが入ったカーボーイブーツ姿で出て来たのだ。
スタイル抜群の2人の美女に盛り上がる整備兵たち。拍手や口笛で盛り上がる整備倉庫。そのGMの小型トラックのタンクには、美女達と同じバナーが印刷されている。
“G.スミスファーマーズサービス Co.LTD” 。
と、ド派手なバナーが書いてあった。
「さぁ、ジェシカの実家から差し入れのテキサス・コンソメとテキサス・コーンスープよ!召し上がれ!」
カーボーイハットを持って告知するリリィ。
(( みんなー!好きなだけ、たらふく飲んでー!))
(( イエーイ !))
更に盛り上がる整備倉庫。各々にスープを配り始めるジュリアとリリアナの美人パイロットたち。
腕を組み、ニコニコと見る椎葉きよし。そのきよしの頬に突然キスをして、上目使いのジェシカが耳元で意地悪そうにささやく。
「ジュリーやリリィも可愛いでしょう?ダーリンはどっちがお好み?」
「はぁい?どっちって。」
わざと意地悪な質問をするジェシカ。そのジェシカと2人を見比べるきよし。やっぱりジェシカの透き通るような美しさには誰も敵わないと思った。
「ジェシー以外、目に入らないけどぉ……。」
心の中で、よっしゃ!と勝ち誇るジェシカだった。そんなジェシカを弁当を無表情に口に頬張り、正面にはウシの様にモグモグ食べながら、カップルを見つめるオバちゃん整備兵の3人。
その視線に気が付いたきよしとジェシカ。
「あっ、あっ、違う!違う!うふふ。コンソメか、コーンよ!もうダーリンったら。うふふっ。どっちのスープがいいの?」
「えっ?あーもうビックリ。ジェシー意地悪しないで。もぅ。」
ほっぺたを膨らましていじけるきよし。そんな純粋なきよしをわざといじるジェシカ。きよしのほっぺたをツンツンするジェシカ。心の中で、きよしが心底愛おしくなったジェシカだった。
目の前にオバちゃん達が居なければすぐに抱き付きラブラブしたかった。
「あはははっ。可愛いっ!わたしのきよし。もぅ。うふふ。そうだ、ダーリンはコーン人間だよね。コーンスープもらって来るわねっ。あはははっ。チュ。」
また、頬にキスをしてスープを貰いに行くジェシカだった。
きよしはきよしで無表情のオバちゃん達と目が合い、照れながら残ったケータリングを整理した。
きよしとジェシカ、ジュリアやリリアナも、ケータリングで弁当とスープを貰って、整備兵達と共に椅子に座って楽しいひと時を過ごしていた。
いつまでも笑いが絶えない第11番整備倉庫だった。
( プッ、プッ~ン! )
短く軽くホーンとならすトラック。
中型トラック程のケータリング車両を運転してきた訓練第2大隊長のジェシカ中佐と、訓練教官のローマン大佐。
2人共軽く敬礼をしてニコニコして運転して来た。振り向く整備兵たち。
( あっ!全員~敬礼っ! )
神保が気づき、慌てて号令をかける。横ではきよしが、運転するジェシカに手を振った。ジェシカも笑顔で手を振って返した。
普段と違う雰囲気で緊張する面々。
そして敬礼をする黄部長率いる整備部隊。
ケータリングトラックが、空きスペースに止まった。
その2人の元へ駆け足で駆け寄る整備部隊員たち。
ニコニコしながらトラックから降りる2人。ジェシカが敬礼をして、整備兵全員へ話を始める。
「御舩少将閣下、ウィルソン少将閣下、京子椎葉博士、麗子・オースティン博士、オリエッタ・マズル博士、リーリン・黄博士から皆様へ差し入れです。他の訓練大隊の13番、12番、10番、9番の整備倉庫へは先に配ってきました。今はもうお昼です。お好きなだけお食べください。すぐ、私のテキサスの実家からの差し入れのスープ・ケータリングも来ます。」
(( オーッ! ))
(( イエーィ! ))
この整備倉庫では、他に先駆けてロフテッド試験降下実験を始めていた小林小隊のモービル3機、そして新たに訓練期間だけのジェシカのスミス小隊の3機、ローマン以下2名の教官機の合計10 機の整備倉庫だった。
今回はここの倉庫以外、訓練第1、第2大隊が整備している他の5か所の倉庫にいつも整備してくれている整備兵へ慰安のケータリングを配って来た後なのだ。
そのケータリング・トラックからフードボックス(弁当)を整備部員へ配り始めるジェシカ。それを手伝うローマンと農協のつなぎ姿の、幼な顔のきよし。
女性上級整備兵の若い2人も手伝い始めた。黄部長も、神保達も手伝い始めた。
手渡ししながら1人1人に説明するジェシカ。1人に3つのフードボックスを渡している。お礼をしながら受け取る整備兵たち。
3つのフードボックスを渡されて驚くオバちゃん整備員。
「3つもいいの?そんなに食べられないです。」
「ひとつは、台湾リーリン冷麺弁当です。ふたつ目は椎葉博士スペシャル和風ジンギスカン弁当です。3つ目。私の故郷、テキサス牛のカット済み400グラムテキサス・ステーキ弁当です。3つ共持って行ってください。赤いボタンでホカホカの弁当が5秒で食べれま~す。真空なので常温で2日間、味も変わらず日持ちしますからね。はいっ!どうぞ。」
フードボックス3個を腕で抱えて感心するオバちゃん整備兵たち。
「かなりの量持って来たから、残ったお弁当もったいないから、自宅のご家族や自分達の夕ご飯でもいいので、家で食べてね。うふふっ。」
「あー、疲れてるから助かるわぁ。晩御飯用意しなくていい。凄いわー、大隊長。」
ニコニコしながら整備部員へ弁当を渡すジェシカだった。瞬間立ち止まり、そのジェシカの美しい横顔を見つめるきよし。ジェシカと目が合う。ジェシカは優しく微笑みながらチラッチラッと、きよしを見ながらフードボックスを配る。そのきよしへ手伝いながら黄部長が肩をつついて話す。
「やられたな!きよし~!もう嫁さんだ。ハハハッ!大事にせーよ!はははっ!。」
なんとなく不満な顔な椎葉きよし。
「僕、まだ19歳ですよ!部長!もう。実は明後日、ジェシカが麗子叔母さんたちに言われたとか何とかで、リリアナやジュリア、小隊の2人と僕の家に引っ越すらしくて、引っ越しの手伝いしますし。」
「へ~!金髪トリオが栗山に引越しか!でもな、きよし!連休なんだから、引っ越しもいいけど、ジェシーとたまに遊びに行け!ハハハッ。」
( ヒューヒュー! )
そのやり取りを聞いていた年配の整備兵の冷やかしが入る。
照れるきよし。
「部長、そのつもりです。妹のオディアが最近、ジェシーと付き合い始めたからかなぁ、焼き餅がすごくて。僕が帰るとずっと引っ付いて、家で何にも出来ないんです。だから、仲を取り持つようにオディアとジェシーと遊びにいくつもりです。」
「来月かぁ?オディア、生まれ故郷に研修か儀式だかで3週間帰るんだろう?6月だよな。シゲルもいくんだろ?」
「はい、そうです。来月は、父と2人でオディアの生まれ故郷のイギリスのスコットランドに行くみたいです。ウィルソン少将のイギリスの故郷みたいです。だからその前に、ジェシーと仲良くなってもらおうかなぁ、と思って。」
「あー、アルフィーも一緒に、あっ。」
あっ!と失言に驚いて、周りを見る黄部長。
ついつい、アルフレッド・ウィルソン少将を京子たちに合わせてアルフィーとニックネームで言いそうになったのだった。
人前ではウィルソン閣下なのだ。ごまかし咳払いをした。
「ゴホンゴホン、いやいや失礼。ウィルソン閣下も一緒に行くのかな?」
「途中で合流するとかなんとか。道場の練習後の温泉で話してましたけど。良く解りません。」
「はははっ!そうか、そうか。でも5歳の女の子っていっても、やはり女だなっ。焼き餅って。はははっ。モテルなオイ!きよし!」
「いやいやいや、オディアは実の妹だし。モテルも、何も部長ないですよ。」
「はははっ。そうか。でも、この休みはどこに行く?」
「はい!バルトシュ・カミンスキー中佐のご家族とウチの小林小隊と、ジェシカの女小隊の3グループで行こうって、話してましたけど。あした早朝から出ます。夜はなんだか、定山渓の温泉で泊まるって話です。カミンスキー中佐の奥様が本格的な和風温泉に行きたいらしいです。せっかく、日本に来たからって。温泉宿で日本食も食べたいらしくて。」
「あ~ルオもなんか言ってたな。温泉宿かぁ。俺も行きたいなぁ。バーベキューたしか札幌の滝野か!滝野すずらん公園だな。その後に定山渓か。ええな~。あしたは天気良いらしいし。」
「はい。僕も滝野や、定山渓なんかしばらくぶりですから。なんか楽しみです。定山渓は母の友達が居るホテルらしくて。小さいころ何度も行ったらしいですけどぉ。覚えてない。」
「そうか定山渓。はははっ。そういえば、バルトちゃんの家といえば~、たしか~女の双子ちゃん達だろう?もぅ1歳になるのか!」
「すんごい可愛いみたいですよ。せっかくだからオディアも行くし、未央とルオ、ジェシカの女小隊3人も1泊してきます。」
「ほう、若いもん同士で羨ましい!まぁ楽しんで来たらいい。さあて、きよし。俺たちも早く、配り終わって飯食おうか。」
思い思いの場所で、弁当を食べ始める整備兵たち。
またそこへ、護衛の衛兵2人と共に、アルフレッド・ウィルソンRSF少将、千歳シーラスワン統括司令長官の御舩少将と岩井宙空将・千歳シーラスワン副司令官の3名が歩いて来た。
衛兵2人がサッと前に出て、左右横に並び送迎のサイドパイプの笛を鳴らそうとした。
その衛兵の笛をウィルソン少将が手で止めた。
「今はええわい。みんな楽に。楽にしてくれ!」
全員立ち上がり、3人の上級将校に直立で敬礼をした。そこで岩井。
「邪魔してるのは、我々だ。いいから楽にして。楽にして。」
笑いながら椅子に座ったり、道具箱に座って食事を摂り始める整備兵たち。
軽く敬礼をして、笑顔になる御舩少将と岩井宙空将。
御舩がフードボックを渡しているジェシカやきよし達の所に歩いて来た。
「はははっ!きよしも居たか!よしよしっ!皆っ!昼食をスミス大隊長やマズル大佐が運んで来るとは思わなかっただろう。はははっ。黄部長!いつも、いつも苦労を掛けるな。お礼にこの位しか出来ないからな。」
「はっ!とんでもございません閣下。閣下が手配した昼食、これから頂きます。有難うございます。でも、訓練といえパイロットも命を賭けてるのでこの位は苦労じゃありません。ところで閣下、本日はいかなる御用で。」
「いや~。特に何にもない。私も訓練部隊と同じで5日間の休暇だからな。暇してな!面目ない。ジャマしてすまん。私もケータリングの会社に連絡して、車を手配させて頂いたよ、黄技術部長。みんなと昼食を食べようと思ってな。はははっ。」
御舩の後ろに立って笑いながらうなずく、ウィルソン少将と岩井宙空司令官。
「さぁ、私も頂こうかなジェシカ大隊長。さぁ少将も、岩井も頂こう!」
一緒に来た衛兵2人にも声を掛けて、きよしに頼み、フードボックス3箱づつを渡した。
そこにまた何かの液体タンクを積んだ派手な小型トラックがきた。そのトラックを手招きする御舩。
「おー来た来た、スープと共に美人2人も来たか。」
スープを運んで来たトラックがケータリングトラックに並んで止まった。
そのトラックからジェシカ小隊の2人、ジュリア・T・ジャクソンとリリアナ・ヒューズが白地に金銀レッドの糸で飾られた派手なカーボーイハットを被って出て来た。
ド派手なバナーが入った真っ白のTシャツ、スリムのジーパン。白に金のモールが入ったカーボーイブーツ姿で出て来たのだ。
スタイル抜群の2人の美女に盛り上がる整備兵たち。拍手や口笛で盛り上がる整備倉庫。そのGMの小型トラックのタンクには、美女達と同じバナーが印刷されている。
“G.スミスファーマーズサービス Co.LTD” 。
と、ド派手なバナーが書いてあった。
「さぁ、ジェシカの実家から差し入れのテキサス・コンソメとテキサス・コーンスープよ!召し上がれ!」
カーボーイハットを持って告知するリリィ。
(( みんなー!好きなだけ、たらふく飲んでー!))
(( イエーイ !))
更に盛り上がる整備倉庫。各々にスープを配り始めるジュリアとリリアナの美人パイロットたち。
腕を組み、ニコニコと見る椎葉きよし。そのきよしの頬に突然キスをして、上目使いのジェシカが耳元で意地悪そうにささやく。
「ジュリーやリリィも可愛いでしょう?ダーリンはどっちがお好み?」
「はぁい?どっちって。」
わざと意地悪な質問をするジェシカ。そのジェシカと2人を見比べるきよし。やっぱりジェシカの透き通るような美しさには誰も敵わないと思った。
「ジェシー以外、目に入らないけどぉ……。」
心の中で、よっしゃ!と勝ち誇るジェシカだった。そんなジェシカを弁当を無表情に口に頬張り、正面にはウシの様にモグモグ食べながら、カップルを見つめるオバちゃん整備兵の3人。
その視線に気が付いたきよしとジェシカ。
「あっ、あっ、違う!違う!うふふ。コンソメか、コーンよ!もうダーリンったら。うふふっ。どっちのスープがいいの?」
「えっ?あーもうビックリ。ジェシー意地悪しないで。もぅ。」
ほっぺたを膨らましていじけるきよし。そんな純粋なきよしをわざといじるジェシカ。きよしのほっぺたをツンツンするジェシカ。心の中で、きよしが心底愛おしくなったジェシカだった。
目の前にオバちゃん達が居なければすぐに抱き付きラブラブしたかった。
「あはははっ。可愛いっ!わたしのきよし。もぅ。うふふ。そうだ、ダーリンはコーン人間だよね。コーンスープもらって来るわねっ。あはははっ。チュ。」
また、頬にキスをしてスープを貰いに行くジェシカだった。
きよしはきよしで無表情のオバちゃん達と目が合い、照れながら残ったケータリングを整理した。
きよしとジェシカ、ジュリアやリリアナも、ケータリングで弁当とスープを貰って、整備兵達と共に椅子に座って楽しいひと時を過ごしていた。
いつまでも笑いが絶えない第11番整備倉庫だった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )
あおっち
SF
とうとう、AXIS軍が、椎葉きよしたちの奮闘によって、対馬市へ追い詰められたのだ。
そして、戦いはクライマックスへ。
現舞台の北海道、定山渓温泉で、いよいよ始まった大宴会。昨年あった、対馬島嶼防衛戦の真実を知る人々。あっと、驚く展開。
この序章3/7は主人公の椎葉きよしと、共に闘う女子高生の物語なのです。ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。
いよいよジャンプ血清を守るシンジケート、オリジナル・ペンタゴンと、異星人の関係が少しづつ明らかになるのです。
次の第4部作へ続く大切な、ほのぼのストーリー。
疲れたあなたに贈る、SF物語です。
是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
「メジャー・インフラトン」序章4/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節JUMP! JUMP! JUMP! No1)
あおっち
SF
港に立ち上がる敵AXISの巨大ロボHARMOR。遂に、AXIS本隊が北海道に攻めて来たのだ。その第1次上陸先が苫小牧市だった。
これは、現実なのだ!
その発見者の苫小牧市民たちは、戦渦から脱出できるのか。
それを助ける千歳シーラスワンの御舩たち。
同時進行で圧力をかけるAXISの陽動作戦。
台湾金門県の侵略に対し、真向から立ち向かうシーラス・台湾、そしてきよしの師範のゾフィアとヴィクトリアの機動艦隊。
新たに戦いに加わった衛星シーラス2ボーチャン。
目の離せない戦略・戦術ストーリーなのだ。
昨年、椎葉きよしと共に戦かった女子高生グループ「エイモス5」からも目が離せない。
そして、遂に最強の敵「エキドナ」が目を覚ましたのだ……。
SF大河小説の前章譚、第4部作。
是非ご覧ください。
※加筆や修正が予告なしにあります。
「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)
あおっち
SF
脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。
その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。
その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。
そして紛争の火種は地球へ。
その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。
近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。
第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。
ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。
第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。
ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。
彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。
本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。
是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
「メジャー・インフラトン」序章5/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 JUMP! JUMP! JUMP! No2.
あおっち
SF
海を埋め尽くすAXISの艦隊。
飽和攻撃が始まる台湾、金門県。
海岸の空を埋め尽くすAXISの巨大なロボ、HARMARの大群。
同時に始まる苫小牧市へ着上陸作戦。
そこで、先に上陸した砲撃部隊の砲弾が千歳市を襲った!
シーラス防衛軍は苫小牧市を侵略者の手から守ることができるのか!
SF大河小説の前章譚、第5部作。
是非ご覧ください。
※加筆や修正が予告なしにあります。

海道一の弓取り~昨日なし明日またしらぬ、人はただ今日のうちこそ命なりけれ~
海野 入鹿
SF
高校2年生の相場源太は暴走した車によって突如として人生に終止符を打たれた、はずだった。
再び目覚めた時、源太はあの桶狭間の戦いで有名な今川義元に転生していた―
これは現代っ子の高校生が突き進む戦国物語。
史実に沿って進みますが、作者の創作なので架空の人物や設定が入っております。
不定期更新です。
SFとなっていますが、歴史物です。
小説家になろうでも掲載しています。

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】
・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー!
十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。
そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。
その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。
さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。
柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。
しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。
人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。
そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。
Millennium226 【軍神マルスの娘と呼ばれた女 6】 ― 皇帝のいない如月 ―
kei
歴史・時代
周囲の外敵をことごとく鎮定し、向かうところ敵なし! 盤石に見えた帝国の政(まつりごと)。
しかし、その政体を覆す計画が密かに進行していた。
帝国の生きた守り神「軍神マルスの娘」に厳命が下る。
帝都を襲うクーデター計画を粉砕せよ!
怪獣特殊処理班ミナモト
kamin0
SF
隕石の飛来とともに突如として現れた敵性巨大生物、『怪獣』の脅威と、加速する砂漠化によって、大きく生活圏が縮小された近未来の地球。日本では、地球防衛省を設立するなどして怪獣の駆除に尽力していた。そんな中、元自衛官の源王城(みなもとおうじ)はその才能を買われて、怪獣の事後処理を専門とする衛生環境省処理科、特殊処理班に配属される。なんとそこは、怪獣の力の源であるコアの除去だけを専門とした特殊部隊だった。源は特殊処理班の癖のある班員達と交流しながら、怪獣の正体とその本質、そして自分の過去と向き合っていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる