「メジャー・インフラトン」序章2/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節FIRE!FIRE!FIRE! No1. ) 

あおっち

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第6章 千歳シーラスワン配属式。

第2話 フラッシュモブでプロポーズ!

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 黄は照れながら、あえて話題を息子に振った。
 
「だけど、ルオ。結局どんな日本の高校生活で、どんな予備役生の3年間だった?」
 
 リーリンに注がれたビールを飲み始める黄。ルオは酢豚を頬ばって。
 
「やっぱり、きよちゃんや、未央ちゃんのキモ~いオタク達と会えて良かったんだわさ。(キモーいって、何~。あははっ。)そうだわさ、マァマ。父さんと当時、付き合ってたリーリンマァマと台湾から追いかけて千歳に来て良かったんだわさ。高校も栗山で正解!だわさ。朝起きるの大変だったけど。3人でそれなりに楽しかったんだわさ。はははっ!妹も出来たし!産まれる妹と早く会いたいんだわさ~。な~んか幸せなんだわさ。はははっ!」
 
(( はははっ~!))

 幸せそうにリーリンが、みんなの取り皿にリーリンスペシャルを盛り付けながら話した。
 
「わたしは、HARMORの細かい装備品や当時ね、台湾の技研で開発中の50ミリ速射カノンと、新型HARMORとのマッチング状況を調べにたまたま千歳、試験にきただけよ。ふふん。」
 
 ふふんっと、上品な鼻を上げて、黄を見るリーリン。黄はこめかみを掻いて照れ始める。そのリーリンに、意地悪な目をしてリーリンに話す京子。
 
「でも台湾の家財道具や、なんやら全部片づけて、たまたまは、ないでしょう。ねっ、ルオちゃん!」
 
 オリエッタも意地悪な目をして話す。
 
「でも、来て1年でいきなり結婚式を挙げるなんて。はははっ!説得力無いわねリーリン。ねぇ、うふふっ。」
 
 白麺の台湾坦々麺を頬張るオリエッタ。
 美味しそうに食べるオリエッタや、きよしたちを見てルオが笑いながら父のホァンを見た。
 
「僕たちの作戦勝ちだわさ。なっ!きよし、未央っ。はははっ!」
 
 照れ笑いしながら天井を見るホァン
 
「もう1年半経つのか。まいったまいった。この年で再婚するとは思わなかったな。いい息子とその友達を持ったものだな。はははっ。」
 
 その時、間髪入れず黄の方に振り向き、ホァンの耳を引っ張るリーリン。
 
「イテテッ!」
 
「結婚しない方がよかったの!コラッ!黄パパ、コラコラコラッー!」
 
「イテテ、ごめんなさい、ごめんなさい。大変幸せです~。」

(( あはははっ! ))

 盛り上がるテーブル。
 京子が半分思いだし笑いをしながら、リーリンを見た。
 
「ほんと、我ながら良い子供たちをこさえたわ。プップップゥー!アーハハッー!ごめんなさい、ごめんなさい。あれっ、思い出した。アーハハッ!」
 
「あっ!コラッ!京子っコラッ!その頭の中の映像止めて。もう。ちょと、京子。」
 
 京子の目の前を手を広げて、京子の頭の中の映像を止めるリーリン。
 
「あぁ、ごめん。だけどぉ……。プププッ、消さない無理無理ー!アハハハッ!」
 
「もう、京子ったら。もう……うふふっ。」
 
 手と手を合わせる京子とリーリン。幸せそうな顔で2人を見るホァン
 
「まぁ、ルオもそうだけど。きよしや未央が1番喜んでくれたからな。君たちのお陰で勇気出してプロポーズ出来た。はははっ!」
 
 うれしそうに話すホァン
 リーリンも思い出したのか、照れながら笑い始めた。
 
「おほほっ!私も、心の底ではパパからのプロポーズ、期待してはいたけど。まさかっ、まさか、千歳宙空ステーション、シーラスの軍滑走路の青空の下でぇ、プロポーズを受けるなんて。もう~、想像してなかったわ。おほほほっ。ほんと、モービルからプロポーズ受けるなんてビックリしたわ。モービルに付けた大きなパパの顔写真、おほほっ今でも笑えるわ。おほほっ!あの時、皆がグルで!本当に驚いたわ。私の為にフラッシュモブしてくれるなんて!モービルの整備倉庫で事故が起きて技術部長が瀕死の重傷負ったと聞いて、もうステーションで夕ご飯のお買い物してるときよね?館内放送でさ、(シーラス第13整備倉庫で事故発生。一名、重傷者が出ています。日本軍関係者、自衛隊関係者、PKSF関係者、シーラス職員は直ちに第2種装備で集合してください。)って。」
 
 ニタニタしながら聞く悪ガキの3人。ルオの首筋を持ったまま続けて話すリーリン。
 
「その時はえっ!と思って信じたわ。ふふふっ(重傷者はホァン技術部長の様です。救急医療関係者も直ちに急行してください。)と、個人名まで出して、今、思えばあやしい。個人名出して、絶対ありえない館内放送だったけどぉ。その時は、あっ!やっぱり!と思って必死に買い物袋もって走って行ったのよ~!も~シーラスの13倉庫は遠い。本当に遠いから泣きながら走ったのよ!も~。おほほっ。走ったらヒールが折れそうだったからすぐ脱いで、買い物袋とヒール持ちながら滑走路を2キロは走ったわよ。学生以来、走った事なんかないのに、それで素足でよ、ルオ!裸足で走るなんて生まれて初めて。あはははっ。」
 
 チロッとリーリンを見ながらルオが謝った。
 
「はははっ!ごめんね~ほんとにだわさ~。」
 
 また、京子、オリエッタも思い出して、笑い始めた。
 
「はははっ!SNSで、あれは酷いわ。汗でお化粧落ちて、顔がドロドロになって。あはははっ。」
 
 京子の腕をピシッと叩いた。
 
「キャー、だからやめて京子!はずかしい~。でも幸せ~!だって、HARMOR3機でダンス!今、見ても凄いわ~。未央ちゃん、きよしちゃん、ルオのモービルのムーンウォークとか信じらんないっ。ホ~ント!滑走路の地面では20機の、あのクソ重い機動歩兵のWALKERもあんな踊りできるなんてそれも信じられなかった!それに各国の大勢の軍人達がジェネリックスーツで一斉に踊って、もう!今、考えても凄い事したわね。ホント、私たちの為に有難う。でも、パパの写真、きょしちゃんもっと良いのなかったの?それと化粧がドロドロのパンダ顔が心残りよ。でも、楽しいわ~。おほほほっ!」
 
 写真の事を間に受けてきよしが真顔でしゃべる。
 
「あの写真は何度も言うけど、ルオが選んだんです。」
 
「きよし、もうええから。でも、お前たちに、ホントに手の込んだ芝居させられた。はははっ!きよしも未央ちゃん、有難うな。ほんと、今考えても楽しい。ホントに。なぁ。」
 
 リーリンの手を握るホァン。幸せそうな2人を見て微笑む京子とオリエッタだった。
 
 前妻を病気で亡くしてほぼ12年。仕事だけに生きてきたホァン
 それでも息子のルオは、その父の背中から寂しさをずっと感じていた。
 4年前、京子やオリエッタの開発プロジェクトに参加したリーリン。
 京子たちに紹介されてから黄とリーリンは付き合っていた。
 しかし、前妻の事もあって、好きになったリーリン博士へ、なかなか打ち明けられなかったホァンの背中を押した息子ルオときよし、そして小林だった。
 
 機動モービル「HARMOR」の整備倉庫前で千歳シーラスワンの有志が協力した。
 日本国軍、自衛隊、PKSF国連平和維持軍、シラス加盟国軍シーラスの兵士が一斉にフラッシュモブをして、世界中のSNS上で有名になったのだった。
 もちろん企画したのは、このキモヲタ3人トリオ。
 
 京子が台所の桶の中の氷で、冷やした台湾の高砂ワインをお盆にグラス3つ乗せて持ってきた。
 
「リーリン、やっと7か月目に突入ね!」
 
 大きくなりかけたお腹を摩りながら、幸せそうなリーリン。
 それを眺めながら満足そうに言うホァン
 
「俺も気合い入れて稼がないとな!はははっ!」
 
 その家族の光景を眺めて、羨ましそうに小林が話した。
 
「何か、いいな~。この雰囲気。ウチは子供、俺の男1人で。普段、話もしない家庭だからな~。まぁ親父!一度口開くといつまでも喋ってうるさいけどぉ。あっ、母さんもか。へへへっ。」
 
「しばらく静かだったけど、また最近、特に僕に絡むよね。おじさんは。ルオには絡まないけど。」
 
 微妙な表情で頭をかく、きよし。
 
 そんなきよしを京子が横目で見ながら、意地悪そうにしゃべった。
 
「ま~、未来ちゃん(小林未央の父)は、きよしの事大好きだからな~。」
 
 皆の皿に惣菜を取り分けながら京子が楽しそうに話した。
 
「ルオちゃんも、未央ちゃんもさ。きよしの事、頼むわよ~。こいつ体だけ大きくなったけど、頭の中はお子ちゃま。だからさ。はははっ。」

 苦笑いするきよしだった。
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