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第4章 涙の宇宙回廊。
第2話 皇太子殿下夫妻の死。涙の宇宙回廊。
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地球から遥か遠く、ハービタル・ゾーンのぎりぎりに位置する宙域。
そこでは、数万隻もの異星人の大艦隊が展開していた。
その先頭には、1隻の巨大な武装戦艦と、その戦艦と比べてコメ粒のように小さな宇宙船が戦闘を繰り広げていた。
ウシハクル帝国の無人戦艦と、日本の自衛隊シャトルだった。
戦闘は激しく、双方ともに大きな被害を受けていた。
ウシハクルの無人戦艦は、自衛隊シャトルの攻撃で既にボロボロになっていた。
その核エンジンも、シャトルの攻撃で被弾し、臨界点を迎えてカウントダウンが始まっていた。
ウシハクル帝国の何倍もの科学力を持つ第12貴族院皇国の「シーラス皇国」。
その皇太子の祖父、オスカル・キノ・マゾフィセ・シーラス殿下が作った、孫のノーラ妃殿下専用の宙空攻撃型小型武装短艇「ルサウカ」。
ハイブリッドAIのピーターか、もしくはハイブリッドAIに生まれ変わったノーラの2人が制御していた乗り物だ。
その「ルサウカ」が変形し、自衛隊の小型シャトルに擬態していたのだ。
900メートルの巨大なウシハクル帝国最新鋭の無人武装巡洋戦艦が、「ルサウカ」の攻撃によって1時間も掛からずに、ほぼ廃艦寸前までボロボロになっていたのだ。しかし、「ルサウカ」も返り討ちに遭って、それなりに被弾していた。
ルサウカは至る所から被弾による火花を宇宙空間に散らしながら、小爆発を繰り返すウシハクルの無人巡洋戦艦の周りを周回していた。
時折、爆発の光が広がる戦艦の広い廊下。
(( バシーンッ! ))
(( ゴゴゴゴー! ))
(( ドシンッ!ゴゴゴゴー! ))
武装した男女とそれに続く小さな子供を抱えた夫婦が走っていた。
先頭を走るアーマー・スーツ姿の女性に通信が入った。
立ち止まる4人。そして、壁際でしゃがんだ。
誘拐されたリチャード夫妻を助けた京子たちへ、ようやく「ルサウカ」に乗るノーラから通信が入ったのだ。
( ごめーん、京子ォ、シゲルぅ。戦艦のエネルギー炉に私の弾、当たってた。もうリモート制御も効かない。核のオーバーロード始まっちゃった。臨界のカウントダウン始まったわ。急いで! )
「了解!さぁ、お2人とも急いで。早く、こちらへ。」
オース皇国リチャード殿下とエダ妃殿下、そして生後3か月のオディアを抱えた2人をサポートする椎葉夫妻。
4人は、小爆発を繰り返し始めた戦艦の廊下を走っていた。
( タタタタッ! )
「さぁ、急いで!」
再びノーラからの通信が京子に入った。
( 京子!ルー(ルサウカの呼称)を3番デッキに着けたわ。早く!あと10分で臨界爆発する!その廊下の正面を抜けたら右に抜けて、右よ!右っ!)
「パパ!ノーラがドッキングしたわ!正面廊下のどん付きを右っ!右っ!」
その時、進入時にシゲルが狙って撃ち倒したはずの、倒れていた警備の機動ロボ兵に電源が入るのを見た繁。
( ヒュキィーン……。 )
「了解っ!あっ、京子下がれ!伏せっ!伏せっ!」
自己修復をして息を吹き返した機動ロボ兵だった。
アームを椎葉たちに向け、攻撃したのだ。
(( ギュィーン、バババッ!バババッ!バババッ! ))
廊下の壁や、構造物を容赦なく破壊する量子ビームを撃ってきたのだ。
(( バシンバシンバシンッ!))
(( バシンバシンバシンッ!))
(( バシンバシンバシンッ!))
(( キャー! ))
(( うわーっ! ))
機動ロボ兵が量子ビーム銃を連射した。
廊下の角に伏せる繁たち。
「この野郎っ!床に寝とれっ!」
伏せた繁が機動ロボ兵のビーム銃と弱点の左脇を、マグナム弾で撃ちぬいた。
(( パンッパンパンッ!カランカランッ。 ))
ビーム兵器対策が進んでいる異星人の兵器だったが、拳銃弾などの物理攻撃には弱いようだった。
( ……シュィーン……。 ガタン、ドン。 )
電源が落ち、アームを床に落として稼働停止する機動ロボ兵。
「よしっ!行くぞ!」
( う~。……う。 )
繁と京子の背後から唸り声が聞こえる。
2人が振り向くと、前に倒れ込むリチャード殿下。
(( ドサッ! ))
「キャー!リチャード!」
エダが倒れたリチャードを瞬間的に、介抱するため泣くオディアを京子に渡した。
「リチャード!何てこと!リチャード!」
泣き叫ぶエダ。
繁がマグナム銃を太もものホルダーに収め、リチャードに駆け寄った。
苦しむリチャードを抱きかかえ、体を表に向けると左脇腹に大きな貫通症があった。
大量に出血している。
機動ロボ兵の最後の攻撃の1発が当たってしまったのだ。
「シ、シゲル。ふ、ふ、2人を頼む。もう立てない。ははっ、う、うがぁ。俺は足でまといだ。早く行けシゲル。エ、エダとオディアを頼む……。うぐっ」
「リチャード何言ってる!根性だ!立て!リチャード!まだ間に合う。立て!」
「ううっ。シ、シゲルからもらったジェネリック・スーツ、着ておけば……。うかつだった。もうオース化(巨人化)もできない。俺たちオースの原点の膵臓を撃ち抜かれたようだ。すまん。さっ……早く行ってくれ。」
「リチャード!寝ぼけた事いうな!立て!」
また、ノーラから京子に通信が入る。
( 何してるの京子っ!その廊下の奥のエネルギーチューブから異常信号!そこも危険よ!早く逃げて! )
機動ロボ兵のビームは廊下奥、壁の中を走るエネルギーチューブをも、砕いていた。
「パパ、ここも危険!早く」
「何っ!」
廊下の奥を振り向いく3人。
同時に大爆発が起こった。
(( バシンッ!ボン!ドカーンッ!ドバババー! ))
( うわー! )
(( ドカン!ゴゴゴゴー! ))
衝撃波と爆風で、オディアを抱いたまま廊下の先に飛ばされる京子と繁。
エダも廊下の壁に叩きつけられた。
(( キャー!ドンッ! ))
エダたちから、離れた先の廊下で倒れ込む繁たち。
( ゴゴゴゴゴー。 )
爆発で拡散した灰色の濃い煙が拡散していく。が、しかしその煙の拡散がいったん止まり、今度は、廊下の奥に徐々に吸い込まれていく。
( ……シューシュバババー、シュー。 )
どこかの外壁に穴が開いたのか、室内空気が廊下奥に吸い込まれ始めた。
「オギャー、オギャ、オギャ。」
倒れ込む京子の胸で泣くオディア。
「……ん。」
オディアの泣く声で意識を取り戻し、フラフラと立ち上がる繁。
「オギャ、オギャ、オギャ。」
「……うー。」
繁も頭を打ち、額の左右から血が流れる。
自分の足元にはオディアを抱いた京子が倒れている。
繁は、自分の手足の異常を反射的に確認した。
次第に気が戻って来た。
( んっ!パンパンッ!よしっ!)
気合いを入れ直し京子を介抱する繁だった。
そして叫んだ。
(( オイッ!ノーラ?残りはーっ! ))
武装短艇「ルサウカ」の中で、チャイルドベットの固定作業をしながら答えるノーラ。
「シゲルー!臨界まで5分切った!京子も早くーっ!あ!マーズ!めっちゃマズッ!今度は防護隔壁が迫ってるー!リモートで試したけど、止められないっ!早くシゲルっ!」
繁は、オディアの顔、京子の顔を見て優しく京子を抱きかかえながら起こした。
気が付くと、リチャードたちが倒れる廊下の奥から、様々な騒音に紛れて防御隔壁の閉まる音が聞こえて来た。
エダも爆風で壁に叩きつけられていた。
エダが気が付き、立ち上がろうとすると背中に激痛が走った。
( ……うっ!うぐっ!あー!痛ーっ! )
エダの背中に、腕程の金属の破片が刺さっていた。
リチャードの左脇に倒れ込むエダ。
気を失いかけたリチャートが気が付き、エダの背中に刺さる破片が目に留まった。
「あ、エダ……。」
涙が再び溢れるリチャード。
倒れたエダの前髪をやさしく指で丁寧に拭った。
「エダ、エダ?すまない。僕と一緒に、なったために。ゴホッゴホッゴ、うっっ。……僕と結婚しなければ平穏な日々を過ごせたのに。うぅエダすまな……うっ。愛してるよ。」
仰向けに倒れたままアゴを上げて、廊下の先の繁と京子を見るリチャード。
そして、リチャードの目線を追うように、痛みに耐えてリチャードが見ている廊下の先を見るエダ。
……リチャードとエダの眼には、我が子の様に、大切に、大切にオディアを抱えて立ち上る繁と京子の姿が映る。
リチャードとエダは床に倒れ、激痛に耐えながら繁と京子を見ていた。
繁と京子。
自らも傷つきながら、泣くオディアを優しくあやしていた。
その夫婦の姿が、リチャードとエダの2人の瞳に映っていた。
……2人は見つめ合う。そして、微笑んだ。
繁と京子に、オディアを託す。
そう2人は見つめながら覚悟をした。
見つめながら、笑顔でゆっくりうなずくリチャードとエダ。
そして、そして、どうしようもなく……。涙が、涙があふれてくる2人だった。
2人の涙が止まらない。
「エダ?エダ……。僕らはリーム女神と共に、オディアの守護神になろう。」
自分とエダ。
死を確信したリチャード。
運命を覚悟したエダ。
エダは泣きながらうなずき、震える手で優しくリチャードの頬をなでながら、キスをした。
リチャードの傷口を優しく抑えて、エダも夫の腕に沈んだ。
「えぇ。あなたといっしょに……。有難うリチャード。あなたとオディアに会えて、幸せだった。……楽しかったわ。」
( ……ガシャン!……ガシャン! )
( シューガシャン!シューガシャン! )
防護壁の閉まる音が、だんだん大きくなって来た。
いよいよ崩壊と爆発が始まったウシハクルの戦艦。
ドッキングした「ルサウカ」の入り口、ドッキング・エントランスでノーラが叫んだ。
「京子っ!シゲルっ!早く!走って!」
(( シューガシャン!シューガシャン!ガシャンガシャン! ))
ついに爆発のあった廊下奥の防護隔壁が閉まり始めたのだ。
倒れているリチャード殿下夫妻のすぐ後ろから、無情にも閉まり始める防護隔壁。
京子と目が合うエダ。
泣きながら手を伸ばす京子。
エダは最後の力を振り絞って京子を見続ける。
そしてリチャードも京子を見続けた。
エダは背中から肺を貫いた破片で、もはやまともに声が出ない。
腰が抜けた京子も泣きながら手を伸ばす。
そこにノーラが走って来た。
( タッタッタッ! )
「ノーラ!オディアを頼む!」
京子を抱きかかえて叫ぶ繁。
ノーラは京子からオディアを受け取り、ドッキング・エントランスへ再び走って戻った。
エダが最後の力を込めて、出来る限りの叫びをした。
命の叫びだ。
(( 京子ーっ!オディアを! ))
( ピッピッピッ!シューガシャン! )
そのエダたちのすぐ直前を、無情にも閉じる防護隔壁。
「あっ!嫌っー!エダー、エダー。あ~……エダが、エダが。」
「さぁ行くぞ、京子!」
( ピッピッピッ!シューガシャン! )
「エダー!エダーッ!エダー!」
繁が無理やり京子の手をとって走り始めた。
その2人を追うようにほぼ5m毎にしまる防護隔壁。
( ピッピッピ、シューガシャン!……ピッピッピ、シューガシャン! )
オディアをチャイルドベットに寝かせたノーラが、再びエントランスに出て来て叫んだ。
「早くー!繁ー!京子早くーっ!」
( タタタタッ!タタタタッ! )
廊下を一目散に走る京子と繁。
その時、京子がつまずき、倒れた!
( ドタ。 )
京子の後ろから迫る防護隔壁。
繁はすぐ走り止まり、京子を起こした。
(( ピッピッピー!シューガシャン! ))
京子の足元に閉まる防護隔壁。
目先4メートル前の防護壁の壁のライトが点滅した。
( ピッピッピーッ! )
繁はとっさに京子の襟をつかみ、2~3歩走って、エントランスの方に京子を投げ飛ばした!
自分も閉まる防護壁を身を縮めて、ギリギリ前転して抜けた。
(( シューガシャン! ))
ギリギリすり抜けた繁夫婦。
そして手をつなぎながら、夫婦は全力で走った。エントランスで、後ずさりしながら叫ぶノーラ。
「あ、あ、あ。やばい、やばい~。早く!早く~っ!」
( タッタッタッタッ! )
(( 飛び込めーっ! ))
繁と京子はノーラの武装短艇に飛び込んだ。
手を広げたままのノーラ、繁と京子の3人が艇の奥にすべり込んだ。
( きゃー。 )
( ドシン! )
即座に、繁たちが走って来た戦艦の廊下でも、ついに爆発が起こった。
(( バシーン!ドバババババーッ! ))
間一髪!短艇の戸が閉まりウシハクル戦艦から急離脱する武装短艇のルサウカ。
(( キィーン…バシューッバババー! ))
ルサウカは、薄いブルーの物理スラスターの噴射炎を出しながら、全力で離れた。
(( キィーンバババー! ))
脱出した武装短艇の背後では所々、本格的な爆発の始まった戦艦が映っている。
そのルサウカの船内。
倒れてるノーラと繁。
その横で京子が気が付いた。
京子がよつん這いのまま、急いでオディアの寝かされたチャイルドベットに行った。
「オディア、オディア!」
親指をしゃぶり、眠り始めるオディアの顔を見て安心する京子。
すぐさま、背中や手足など身体の異常を確認した。どこにも異常はなかった。
「ふ~、良かった。ふぅ。」
京子は、ホッと安心して笑顔になった。
その笑顔のまま、京子はオディアを優しく上からハグをした。
立ち上がったノーラと繁が、京子の後ろからオディアをのぞき込んだ。
「うっ……。うっ、うっ。」
大粒の涙を流し始める京子。
京子の後ろでは、涙をにじませる繁。
ノーラはそんな繁や京子の顔を見ていた。
そしてノーラもしゃがみ込み、京子の肩を抱えて、京子の肩をさすり始めた。
ノーラの瞳からも溢れ落ちる大粒の涙。
京子がオディアに謝る。
「オディア、ゴメン。……ゴメン。本当にゴメン。パパママ……、助けられなかった。オディア……ごめんなさい。」
また、京子が優しくオディアの頬にキスをした。
涙を流しながら京子の肩をさすり続けるノーラ。
「ご、ごめんなさい。オディ……。うぅ。うっ。」
ノーラも口を押え、声でオディアを起こさないように嗚咽し泣いた。
そんな中、繁がコックピットの上の棚から小さな子供用リュックサックを出した。その小さなリュックサックを京子の足元に置いた。
その繁を見て、ノーラは立ち上がり短艇の後部ハッチまで歩いていく。
そして脇のコンソールを操作し、大きな窓の隔壁シールドを下げた。
宇宙空間が広がるそのガラス面には小爆発を繰り返しながら崩壊し、遠ざかる戦艦が映っている。
……無数の星の光が輝くその暗黒の空間。その、遠ざかる戦艦の中には既に息が絶えたオディアの両親、リチャード殿下夫妻が横たわっていたのだった……。
京子の肩を撫でてから立ち上がる繁。
「急いで家出たから、これしかわからなかった。きよしを麗ちゃんの所に預ける時、使ってたアンパンマンセットかな?これでいいんだべか。一応、コンビニで水も買って2本入ってるべさ。」
「えっ?あっ、ズルッズルッ、パパ有難う。OKよ。」
京子がリュックを開けるとすぐ、きよしが使っていたおしゃぶりを取り出してオディアに吸わせた。
寝ながらチュッチュッ吸い始めるオディア。
優しく見つめる京子。
そのオディア。
……ちっちゃな、お口から綺麗なピンク色の歯茎を出してニッコリ、可愛い笑顔をしたのだ。
(( あっ、あ~!あ~!オディア、オディアーっ! ))
また、大粒の涙を流す京子。
オディアの可愛い頭を愛おしく、優しく撫でた。
おしゃぶりをしながら寝ているオディアを京子は優しく抱きしめた。
京子はオディアを抱いたまま、繁と共にノーラが立って見ている後部扉まで行った。
崩壊する戦艦を見つめる3人。
京子が繁に寄りかかる。
そして、ノーラが厳しい表情でカウントダウンを始めた。
「シゲル。京子……いいっ. うっ。もう、臨界よ。5、4、3、2、……。」
まばゆい白い光が。
無音の宇宙空間に広がる。
オディアの両親は、ウシハクルの無人戦艦と共に完全に消滅したのだ。……
3人が見ているガラス面に映る小さな光となって拡散していく戦艦の破片と衝撃派とガスの波。
衝撃波で揺れる武装短艇「ルサウカ」。
( ……ガサ、ガサガサ。ゴトゴト。 )
「エダ……、リチャード……。う、うっ。ごめん。」
泣き崩れる京子を介抱する繁。
そして大きな青い目から涙を流しながら見続けるノーラ。
そのノーラも繁は肩ごと抱き寄せて3人で泣き始めた。
オディアと3人を乗せた自衛隊シャトルに変形したままの武装短艇の「ルサウカ」
音もなく、宙域を進んでいく。
無数のオース皇国艦隊とシーラス皇国艦隊の間を通る、小さな、小さな武装短艇。
その小さな武装短艇に向かい、巨大な宇宙戦艦の各艦橋、各部屋からは、地球風に敬礼をするオース・シーラス両皇国の男女の兵士たちが居た。
異星人の女性士官の頬を伝わる無念の涙。
宇宙空間の無数の巨大な宇宙戦艦の甲板では、整列をして敬礼をする宇宙服を来た異星人兵士の数々。
オース皇国の巨人兵も、シーラス皇国の軍人達も地球風に合わせて敬礼をしていた。
何万人もの異星人の兵士たちが小さな短艇に哀悼の意を尽くしたのだ。
ノーラの武装短艇は、そんな艦隊が作った涙の宇宙回廊を静かに進んで行った――――。
その回廊の先に浮かぶ、
青い星「地球」――――。
そこでは、数万隻もの異星人の大艦隊が展開していた。
その先頭には、1隻の巨大な武装戦艦と、その戦艦と比べてコメ粒のように小さな宇宙船が戦闘を繰り広げていた。
ウシハクル帝国の無人戦艦と、日本の自衛隊シャトルだった。
戦闘は激しく、双方ともに大きな被害を受けていた。
ウシハクルの無人戦艦は、自衛隊シャトルの攻撃で既にボロボロになっていた。
その核エンジンも、シャトルの攻撃で被弾し、臨界点を迎えてカウントダウンが始まっていた。
ウシハクル帝国の何倍もの科学力を持つ第12貴族院皇国の「シーラス皇国」。
その皇太子の祖父、オスカル・キノ・マゾフィセ・シーラス殿下が作った、孫のノーラ妃殿下専用の宙空攻撃型小型武装短艇「ルサウカ」。
ハイブリッドAIのピーターか、もしくはハイブリッドAIに生まれ変わったノーラの2人が制御していた乗り物だ。
その「ルサウカ」が変形し、自衛隊の小型シャトルに擬態していたのだ。
900メートルの巨大なウシハクル帝国最新鋭の無人武装巡洋戦艦が、「ルサウカ」の攻撃によって1時間も掛からずに、ほぼ廃艦寸前までボロボロになっていたのだ。しかし、「ルサウカ」も返り討ちに遭って、それなりに被弾していた。
ルサウカは至る所から被弾による火花を宇宙空間に散らしながら、小爆発を繰り返すウシハクルの無人巡洋戦艦の周りを周回していた。
時折、爆発の光が広がる戦艦の広い廊下。
(( バシーンッ! ))
(( ゴゴゴゴー! ))
(( ドシンッ!ゴゴゴゴー! ))
武装した男女とそれに続く小さな子供を抱えた夫婦が走っていた。
先頭を走るアーマー・スーツ姿の女性に通信が入った。
立ち止まる4人。そして、壁際でしゃがんだ。
誘拐されたリチャード夫妻を助けた京子たちへ、ようやく「ルサウカ」に乗るノーラから通信が入ったのだ。
( ごめーん、京子ォ、シゲルぅ。戦艦のエネルギー炉に私の弾、当たってた。もうリモート制御も効かない。核のオーバーロード始まっちゃった。臨界のカウントダウン始まったわ。急いで! )
「了解!さぁ、お2人とも急いで。早く、こちらへ。」
オース皇国リチャード殿下とエダ妃殿下、そして生後3か月のオディアを抱えた2人をサポートする椎葉夫妻。
4人は、小爆発を繰り返し始めた戦艦の廊下を走っていた。
( タタタタッ! )
「さぁ、急いで!」
再びノーラからの通信が京子に入った。
( 京子!ルー(ルサウカの呼称)を3番デッキに着けたわ。早く!あと10分で臨界爆発する!その廊下の正面を抜けたら右に抜けて、右よ!右っ!)
「パパ!ノーラがドッキングしたわ!正面廊下のどん付きを右っ!右っ!」
その時、進入時にシゲルが狙って撃ち倒したはずの、倒れていた警備の機動ロボ兵に電源が入るのを見た繁。
( ヒュキィーン……。 )
「了解っ!あっ、京子下がれ!伏せっ!伏せっ!」
自己修復をして息を吹き返した機動ロボ兵だった。
アームを椎葉たちに向け、攻撃したのだ。
(( ギュィーン、バババッ!バババッ!バババッ! ))
廊下の壁や、構造物を容赦なく破壊する量子ビームを撃ってきたのだ。
(( バシンバシンバシンッ!))
(( バシンバシンバシンッ!))
(( バシンバシンバシンッ!))
(( キャー! ))
(( うわーっ! ))
機動ロボ兵が量子ビーム銃を連射した。
廊下の角に伏せる繁たち。
「この野郎っ!床に寝とれっ!」
伏せた繁が機動ロボ兵のビーム銃と弱点の左脇を、マグナム弾で撃ちぬいた。
(( パンッパンパンッ!カランカランッ。 ))
ビーム兵器対策が進んでいる異星人の兵器だったが、拳銃弾などの物理攻撃には弱いようだった。
( ……シュィーン……。 ガタン、ドン。 )
電源が落ち、アームを床に落として稼働停止する機動ロボ兵。
「よしっ!行くぞ!」
( う~。……う。 )
繁と京子の背後から唸り声が聞こえる。
2人が振り向くと、前に倒れ込むリチャード殿下。
(( ドサッ! ))
「キャー!リチャード!」
エダが倒れたリチャードを瞬間的に、介抱するため泣くオディアを京子に渡した。
「リチャード!何てこと!リチャード!」
泣き叫ぶエダ。
繁がマグナム銃を太もものホルダーに収め、リチャードに駆け寄った。
苦しむリチャードを抱きかかえ、体を表に向けると左脇腹に大きな貫通症があった。
大量に出血している。
機動ロボ兵の最後の攻撃の1発が当たってしまったのだ。
「シ、シゲル。ふ、ふ、2人を頼む。もう立てない。ははっ、う、うがぁ。俺は足でまといだ。早く行けシゲル。エ、エダとオディアを頼む……。うぐっ」
「リチャード何言ってる!根性だ!立て!リチャード!まだ間に合う。立て!」
「ううっ。シ、シゲルからもらったジェネリック・スーツ、着ておけば……。うかつだった。もうオース化(巨人化)もできない。俺たちオースの原点の膵臓を撃ち抜かれたようだ。すまん。さっ……早く行ってくれ。」
「リチャード!寝ぼけた事いうな!立て!」
また、ノーラから京子に通信が入る。
( 何してるの京子っ!その廊下の奥のエネルギーチューブから異常信号!そこも危険よ!早く逃げて! )
機動ロボ兵のビームは廊下奥、壁の中を走るエネルギーチューブをも、砕いていた。
「パパ、ここも危険!早く」
「何っ!」
廊下の奥を振り向いく3人。
同時に大爆発が起こった。
(( バシンッ!ボン!ドカーンッ!ドバババー! ))
( うわー! )
(( ドカン!ゴゴゴゴー! ))
衝撃波と爆風で、オディアを抱いたまま廊下の先に飛ばされる京子と繁。
エダも廊下の壁に叩きつけられた。
(( キャー!ドンッ! ))
エダたちから、離れた先の廊下で倒れ込む繁たち。
( ゴゴゴゴゴー。 )
爆発で拡散した灰色の濃い煙が拡散していく。が、しかしその煙の拡散がいったん止まり、今度は、廊下の奥に徐々に吸い込まれていく。
( ……シューシュバババー、シュー。 )
どこかの外壁に穴が開いたのか、室内空気が廊下奥に吸い込まれ始めた。
「オギャー、オギャ、オギャ。」
倒れ込む京子の胸で泣くオディア。
「……ん。」
オディアの泣く声で意識を取り戻し、フラフラと立ち上がる繁。
「オギャ、オギャ、オギャ。」
「……うー。」
繁も頭を打ち、額の左右から血が流れる。
自分の足元にはオディアを抱いた京子が倒れている。
繁は、自分の手足の異常を反射的に確認した。
次第に気が戻って来た。
( んっ!パンパンッ!よしっ!)
気合いを入れ直し京子を介抱する繁だった。
そして叫んだ。
(( オイッ!ノーラ?残りはーっ! ))
武装短艇「ルサウカ」の中で、チャイルドベットの固定作業をしながら答えるノーラ。
「シゲルー!臨界まで5分切った!京子も早くーっ!あ!マーズ!めっちゃマズッ!今度は防護隔壁が迫ってるー!リモートで試したけど、止められないっ!早くシゲルっ!」
繁は、オディアの顔、京子の顔を見て優しく京子を抱きかかえながら起こした。
気が付くと、リチャードたちが倒れる廊下の奥から、様々な騒音に紛れて防御隔壁の閉まる音が聞こえて来た。
エダも爆風で壁に叩きつけられていた。
エダが気が付き、立ち上がろうとすると背中に激痛が走った。
( ……うっ!うぐっ!あー!痛ーっ! )
エダの背中に、腕程の金属の破片が刺さっていた。
リチャードの左脇に倒れ込むエダ。
気を失いかけたリチャートが気が付き、エダの背中に刺さる破片が目に留まった。
「あ、エダ……。」
涙が再び溢れるリチャード。
倒れたエダの前髪をやさしく指で丁寧に拭った。
「エダ、エダ?すまない。僕と一緒に、なったために。ゴホッゴホッゴ、うっっ。……僕と結婚しなければ平穏な日々を過ごせたのに。うぅエダすまな……うっ。愛してるよ。」
仰向けに倒れたままアゴを上げて、廊下の先の繁と京子を見るリチャード。
そして、リチャードの目線を追うように、痛みに耐えてリチャードが見ている廊下の先を見るエダ。
……リチャードとエダの眼には、我が子の様に、大切に、大切にオディアを抱えて立ち上る繁と京子の姿が映る。
リチャードとエダは床に倒れ、激痛に耐えながら繁と京子を見ていた。
繁と京子。
自らも傷つきながら、泣くオディアを優しくあやしていた。
その夫婦の姿が、リチャードとエダの2人の瞳に映っていた。
……2人は見つめ合う。そして、微笑んだ。
繁と京子に、オディアを託す。
そう2人は見つめながら覚悟をした。
見つめながら、笑顔でゆっくりうなずくリチャードとエダ。
そして、そして、どうしようもなく……。涙が、涙があふれてくる2人だった。
2人の涙が止まらない。
「エダ?エダ……。僕らはリーム女神と共に、オディアの守護神になろう。」
自分とエダ。
死を確信したリチャード。
運命を覚悟したエダ。
エダは泣きながらうなずき、震える手で優しくリチャードの頬をなでながら、キスをした。
リチャードの傷口を優しく抑えて、エダも夫の腕に沈んだ。
「えぇ。あなたといっしょに……。有難うリチャード。あなたとオディアに会えて、幸せだった。……楽しかったわ。」
( ……ガシャン!……ガシャン! )
( シューガシャン!シューガシャン! )
防護壁の閉まる音が、だんだん大きくなって来た。
いよいよ崩壊と爆発が始まったウシハクルの戦艦。
ドッキングした「ルサウカ」の入り口、ドッキング・エントランスでノーラが叫んだ。
「京子っ!シゲルっ!早く!走って!」
(( シューガシャン!シューガシャン!ガシャンガシャン! ))
ついに爆発のあった廊下奥の防護隔壁が閉まり始めたのだ。
倒れているリチャード殿下夫妻のすぐ後ろから、無情にも閉まり始める防護隔壁。
京子と目が合うエダ。
泣きながら手を伸ばす京子。
エダは最後の力を振り絞って京子を見続ける。
そしてリチャードも京子を見続けた。
エダは背中から肺を貫いた破片で、もはやまともに声が出ない。
腰が抜けた京子も泣きながら手を伸ばす。
そこにノーラが走って来た。
( タッタッタッ! )
「ノーラ!オディアを頼む!」
京子を抱きかかえて叫ぶ繁。
ノーラは京子からオディアを受け取り、ドッキング・エントランスへ再び走って戻った。
エダが最後の力を込めて、出来る限りの叫びをした。
命の叫びだ。
(( 京子ーっ!オディアを! ))
( ピッピッピッ!シューガシャン! )
そのエダたちのすぐ直前を、無情にも閉じる防護隔壁。
「あっ!嫌っー!エダー、エダー。あ~……エダが、エダが。」
「さぁ行くぞ、京子!」
( ピッピッピッ!シューガシャン! )
「エダー!エダーッ!エダー!」
繁が無理やり京子の手をとって走り始めた。
その2人を追うようにほぼ5m毎にしまる防護隔壁。
( ピッピッピ、シューガシャン!……ピッピッピ、シューガシャン! )
オディアをチャイルドベットに寝かせたノーラが、再びエントランスに出て来て叫んだ。
「早くー!繁ー!京子早くーっ!」
( タタタタッ!タタタタッ! )
廊下を一目散に走る京子と繁。
その時、京子がつまずき、倒れた!
( ドタ。 )
京子の後ろから迫る防護隔壁。
繁はすぐ走り止まり、京子を起こした。
(( ピッピッピー!シューガシャン! ))
京子の足元に閉まる防護隔壁。
目先4メートル前の防護壁の壁のライトが点滅した。
( ピッピッピーッ! )
繁はとっさに京子の襟をつかみ、2~3歩走って、エントランスの方に京子を投げ飛ばした!
自分も閉まる防護壁を身を縮めて、ギリギリ前転して抜けた。
(( シューガシャン! ))
ギリギリすり抜けた繁夫婦。
そして手をつなぎながら、夫婦は全力で走った。エントランスで、後ずさりしながら叫ぶノーラ。
「あ、あ、あ。やばい、やばい~。早く!早く~っ!」
( タッタッタッタッ! )
(( 飛び込めーっ! ))
繁と京子はノーラの武装短艇に飛び込んだ。
手を広げたままのノーラ、繁と京子の3人が艇の奥にすべり込んだ。
( きゃー。 )
( ドシン! )
即座に、繁たちが走って来た戦艦の廊下でも、ついに爆発が起こった。
(( バシーン!ドバババババーッ! ))
間一髪!短艇の戸が閉まりウシハクル戦艦から急離脱する武装短艇のルサウカ。
(( キィーン…バシューッバババー! ))
ルサウカは、薄いブルーの物理スラスターの噴射炎を出しながら、全力で離れた。
(( キィーンバババー! ))
脱出した武装短艇の背後では所々、本格的な爆発の始まった戦艦が映っている。
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「ふ~、良かった。ふぅ。」
京子は、ホッと安心して笑顔になった。
その笑顔のまま、京子はオディアを優しく上からハグをした。
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「うっ……。うっ、うっ。」
大粒の涙を流し始める京子。
京子の後ろでは、涙をにじませる繁。
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「ご、ごめんなさい。オディ……。うぅ。うっ。」
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宇宙空間が広がるそのガラス面には小爆発を繰り返しながら崩壊し、遠ざかる戦艦が映っている。
……無数の星の光が輝くその暗黒の空間。その、遠ざかる戦艦の中には既に息が絶えたオディアの両親、リチャード殿下夫妻が横たわっていたのだった……。
京子の肩を撫でてから立ち上がる繁。
「急いで家出たから、これしかわからなかった。きよしを麗ちゃんの所に預ける時、使ってたアンパンマンセットかな?これでいいんだべか。一応、コンビニで水も買って2本入ってるべさ。」
「えっ?あっ、ズルッズルッ、パパ有難う。OKよ。」
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寝ながらチュッチュッ吸い始めるオディア。
優しく見つめる京子。
そのオディア。
……ちっちゃな、お口から綺麗なピンク色の歯茎を出してニッコリ、可愛い笑顔をしたのだ。
(( あっ、あ~!あ~!オディア、オディアーっ! ))
また、大粒の涙を流す京子。
オディアの可愛い頭を愛おしく、優しく撫でた。
おしゃぶりをしながら寝ているオディアを京子は優しく抱きしめた。
京子はオディアを抱いたまま、繁と共にノーラが立って見ている後部扉まで行った。
崩壊する戦艦を見つめる3人。
京子が繁に寄りかかる。
そして、ノーラが厳しい表情でカウントダウンを始めた。
「シゲル。京子……いいっ. うっ。もう、臨界よ。5、4、3、2、……。」
まばゆい白い光が。
無音の宇宙空間に広がる。
オディアの両親は、ウシハクルの無人戦艦と共に完全に消滅したのだ。……
3人が見ているガラス面に映る小さな光となって拡散していく戦艦の破片と衝撃派とガスの波。
衝撃波で揺れる武装短艇「ルサウカ」。
( ……ガサ、ガサガサ。ゴトゴト。 )
「エダ……、リチャード……。う、うっ。ごめん。」
泣き崩れる京子を介抱する繁。
そして大きな青い目から涙を流しながら見続けるノーラ。
そのノーラも繁は肩ごと抱き寄せて3人で泣き始めた。
オディアと3人を乗せた自衛隊シャトルに変形したままの武装短艇の「ルサウカ」
音もなく、宙域を進んでいく。
無数のオース皇国艦隊とシーラス皇国艦隊の間を通る、小さな、小さな武装短艇。
その小さな武装短艇に向かい、巨大な宇宙戦艦の各艦橋、各部屋からは、地球風に敬礼をするオース・シーラス両皇国の男女の兵士たちが居た。
異星人の女性士官の頬を伝わる無念の涙。
宇宙空間の無数の巨大な宇宙戦艦の甲板では、整列をして敬礼をする宇宙服を来た異星人兵士の数々。
オース皇国の巨人兵も、シーラス皇国の軍人達も地球風に合わせて敬礼をしていた。
何万人もの異星人の兵士たちが小さな短艇に哀悼の意を尽くしたのだ。
ノーラの武装短艇は、そんな艦隊が作った涙の宇宙回廊を静かに進んで行った――――。
その回廊の先に浮かぶ、
青い星「地球」――――。
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