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第1章 銀河の果てに。
第1話 月裏、異星人コロニーの正体。
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暗闇の水槽の中で、無数に浮かぶ小さな泡。
その暗闇の中心に体を丸め、水中に幼女が浮かんでいるのだ。
母親の羊水につかる胎児の様に、動かずジッとしていた。
黒髪で透き通る色白肌の幼女。
身体には数本の管が差し込まれていた。
体の調子を見るのであろう、センサー類が一緒に浮かんで忙しく管理している。
時折、暗闇の中で発光した文字列が、空間に浮かんで表示されるのであった。
地球上にはない言語、見たこともない文字。
それは地球には無い、遥かに進んだテクノロジーなのかもしれない。
幼女はある儀式を終えて、その身体的処置を受けているのだ。
暗闇の中で大小様々な無数の泡の輪郭が、文字列の光に反射して現れた。
まるで宇宙空間の様だ。
暗闇に浮かぶ大きな泡と小さな泡。
泡の様に暗闇の広大な宇宙空間に浮かぶ我らが地球。
そして、地球の衛星、月。
月は地球周りを公転し、その自らの回転を地球と同期している。だから常に地球と同じ側を向けている。
地球から見て「表と裏」の区別がなされ、人が夜空を見上げるといつも変わらず見える月の表面。
いつもの月の表情が夜の地球を照らしている。
偶然の賜物とはいえその正確さは何か、知的生命の意図を感じずにはいられない。
そして、常に外宇宙に向けているの月の裏側。
字のごとく「月裏」という。
その月裏を、我々と同じ天の川銀河の果てで栄えた高高度文明が、実は3千年近くも前から利用していたのだった。
時空を瞬時に超えて星々の間を瞬間移動する技術。
いわゆる空間ジャンプ技術を有する高高度文明が、幾年も月裏を利用していたのだ。
その高高度文明の名は「ネイジェア( Nejjea )」。
正確には「ネイジェア星域皇国( Stellarion of Nejjea Empire )」。
月裏に基地を構え、他の銀河や宇宙空間にジャンプする中継基地として利用していたのだった。
ネイジェア星域皇国は、万世一系のサイオン皇帝が治めている。
皇国は12の貴族院から構成されていた。
その各貴族院皇国が、星域の政治経済を支えていたのだった。
第一貴族院 ジン・シュウ大皇国(ネイジェア星域皇国統括院)
第二貴族院 ルテーニァ皇国
第三貴族院 フォルモッサール皇国
第四貴族院 ソマイ・サクラナ皇国
第五貴族院 オーガン皇国
第六貴族院 ウシハクル帝国(ウシハクル連合統括院)
第七貴族院 ルーシャ王国(ウシハケル加盟国)
第八貴族院 クルジィーナ連邦(ウシハケル加盟国)
第九貴族院 モル・ガ・ノール王国(ウシハケル加盟国)
第十貴族院 ソーシャ・ラモ連邦(ウシハケル加盟国)
第十一貴族院 オース皇国
第十二貴族院 シーラス皇国
その星域皇国は月裏で、ジャンプ基地の近くで遮蔽処理(仮想映像を出して透明になっている処理)を行い、各貴族院の皇族のみが使用できる一大リゾート基地を築いていた。
遮蔽処理を行わない時のリゾート基地の姿は、直径約800キロメートル。
一辺の長さが400キロの巨大な正6角形、ヘキサゴンの建物。
その名も「55スーリア」。
宇宙で55番目のリゾート用コロニー・ユニットであった。【お華の解説①リゾート地スーリア】
その巨大なアース・スーリアの南の一角には、宇宙船や宇宙艦隊の出入りする「宇宙ポート」があった。
ちょうど、「宇宙ポート」のセレモニーエリアでは盛大な、お見送り式典が執り行われていたのだ。
第十一貴族院のオース皇国の皇族団。
それも15メートルはあるであろう巨人の一団が見送っていた。【お華の解説②巨人族】
そして見送られる側は、ヒューマノイドの小人の代表団。
お互い二手に分かれて並んでいたのだ。
20名程の礼装をした巨人、オース皇国の皇族と、せり上がった台の上の10名の小人たち。
お互いを向いて整列していた。
実は小人ではない。地球人の代表団だったのだ。
そのオース皇国のウィルソン皇太子の孫、満4歳のオディアリーム・エダ・ウィルソン・(シーバ)皇女がネイジェア本星の母国「イゼム・ライゼム」から、「数え5歳の儀」を終えて地球に帰還する皇族公式の式典だったのだ。
その式典が、終わった頃の光景だった。
その暗闇の中心に体を丸め、水中に幼女が浮かんでいるのだ。
母親の羊水につかる胎児の様に、動かずジッとしていた。
黒髪で透き通る色白肌の幼女。
身体には数本の管が差し込まれていた。
体の調子を見るのであろう、センサー類が一緒に浮かんで忙しく管理している。
時折、暗闇の中で発光した文字列が、空間に浮かんで表示されるのであった。
地球上にはない言語、見たこともない文字。
それは地球には無い、遥かに進んだテクノロジーなのかもしれない。
幼女はある儀式を終えて、その身体的処置を受けているのだ。
暗闇の中で大小様々な無数の泡の輪郭が、文字列の光に反射して現れた。
まるで宇宙空間の様だ。
暗闇に浮かぶ大きな泡と小さな泡。
泡の様に暗闇の広大な宇宙空間に浮かぶ我らが地球。
そして、地球の衛星、月。
月は地球周りを公転し、その自らの回転を地球と同期している。だから常に地球と同じ側を向けている。
地球から見て「表と裏」の区別がなされ、人が夜空を見上げるといつも変わらず見える月の表面。
いつもの月の表情が夜の地球を照らしている。
偶然の賜物とはいえその正確さは何か、知的生命の意図を感じずにはいられない。
そして、常に外宇宙に向けているの月の裏側。
字のごとく「月裏」という。
その月裏を、我々と同じ天の川銀河の果てで栄えた高高度文明が、実は3千年近くも前から利用していたのだった。
時空を瞬時に超えて星々の間を瞬間移動する技術。
いわゆる空間ジャンプ技術を有する高高度文明が、幾年も月裏を利用していたのだ。
その高高度文明の名は「ネイジェア( Nejjea )」。
正確には「ネイジェア星域皇国( Stellarion of Nejjea Empire )」。
月裏に基地を構え、他の銀河や宇宙空間にジャンプする中継基地として利用していたのだった。
ネイジェア星域皇国は、万世一系のサイオン皇帝が治めている。
皇国は12の貴族院から構成されていた。
その各貴族院皇国が、星域の政治経済を支えていたのだった。
第一貴族院 ジン・シュウ大皇国(ネイジェア星域皇国統括院)
第二貴族院 ルテーニァ皇国
第三貴族院 フォルモッサール皇国
第四貴族院 ソマイ・サクラナ皇国
第五貴族院 オーガン皇国
第六貴族院 ウシハクル帝国(ウシハクル連合統括院)
第七貴族院 ルーシャ王国(ウシハケル加盟国)
第八貴族院 クルジィーナ連邦(ウシハケル加盟国)
第九貴族院 モル・ガ・ノール王国(ウシハケル加盟国)
第十貴族院 ソーシャ・ラモ連邦(ウシハケル加盟国)
第十一貴族院 オース皇国
第十二貴族院 シーラス皇国
その星域皇国は月裏で、ジャンプ基地の近くで遮蔽処理(仮想映像を出して透明になっている処理)を行い、各貴族院の皇族のみが使用できる一大リゾート基地を築いていた。
遮蔽処理を行わない時のリゾート基地の姿は、直径約800キロメートル。
一辺の長さが400キロの巨大な正6角形、ヘキサゴンの建物。
その名も「55スーリア」。
宇宙で55番目のリゾート用コロニー・ユニットであった。【お華の解説①リゾート地スーリア】
その巨大なアース・スーリアの南の一角には、宇宙船や宇宙艦隊の出入りする「宇宙ポート」があった。
ちょうど、「宇宙ポート」のセレモニーエリアでは盛大な、お見送り式典が執り行われていたのだ。
第十一貴族院のオース皇国の皇族団。
それも15メートルはあるであろう巨人の一団が見送っていた。【お華の解説②巨人族】
そして見送られる側は、ヒューマノイドの小人の代表団。
お互い二手に分かれて並んでいたのだ。
20名程の礼装をした巨人、オース皇国の皇族と、せり上がった台の上の10名の小人たち。
お互いを向いて整列していた。
実は小人ではない。地球人の代表団だったのだ。
そのオース皇国のウィルソン皇太子の孫、満4歳のオディアリーム・エダ・ウィルソン・(シーバ)皇女がネイジェア本星の母国「イゼム・ライゼム」から、「数え5歳の儀」を終えて地球に帰還する皇族公式の式典だったのだ。
その式典が、終わった頃の光景だった。
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