天才外科医は仮初の妻を手放したくない

病院船

雫の誘拐事件から１年後。
雫はもう１歳半になろうとしている。

少しずつ言葉も話すようになり、ますます可愛くなって来る。



「陽斗さん、準備は出来ています。さあ、出発しましょう。」

今日は陽斗さんが以前から計画していた、民間の病院船のお披露目だ。

今回はテストコースとして実際に離島へ向かうのだ。
勿論最初の行き先はあの診療所のある島にしたのだ。

特別に私と雫も招待されて、一緒に乗船できるのだ。


雫は船に乗るのが初めてだ。

「お船がカッコイイ」と大喜びなのだ。

今回はマスコミにも乗船してもらっている。
早く皆に知ってもらうためにも宣伝が必要なのだ。


東京湾を出て少しすると富士山が見えて来たのだ。

雫は富士山を見るのも初めてだ。

「あーーーふじさん、大きい。」

本でしか見たことの無い富士山に大満足の雫だった。






この船は、動く手術室としても最先端の機器を揃えているのだ。
今回は機器の説明に特別ゲストとして大久保も乗船してもらっている。


大久保は最先端の内視鏡や、遠隔での操作ができる機器などを紹介した。

マスコミは目を輝かせて話を聞いている。

この手術室はまるで宇宙船のような見た目をしている。
細かい機器類が並んでおり、美しいと思えるほどだった。


そしてこの船には子供の患者も飽きないようにと、子供のためのプレイルームも備えている。
今回は雫をそこに連れて行ってあげたかったのだ。


子供のプレイルームは時間ごとにプロジェクションマッピングでテーマを変えられるのだ。

海のイメージでは、実際に魚と一緒にお良くことが出来るのだ。
面白いのは自分が小人になったり巨人になったりいろいろな体験ができるのだ。

私と雫がプレイルームに行ったときは、大きな花が咲いているところだったのだ。
まるで自分がミツバチやチョウチョになった気持ちになれえるのだ。


カラフルな花はガーベラが揺れているところだ。