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離縁できるまで、あと四日ですわ旦那様。
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宣言通り、私が離縁を申し出た日からドミニク様は仕事を休んでいる。どうしても確認とサインが必要な場合のみ、使者が来て客間で待たせているそうだ。
書斎でテキパキと仕事をこなすドミニク様は凛として格好良いし、やっぱり有能なんだなと実感する。そういった一面を知ることができて嬉しい。ただ距離感がおかしいのよね……近い近すぎる。どうしてここでもドミニク様の膝の上に乗る必要があるのかしら……。
最初はソファに座りながら、事業の書類に目を通していたはず。途中でドミニク様に呼ばれて近づいたら……こうなったのよね。迂闊だったわ。
でも私を好いてくれているのが伝わってきて、離してって言えなかったのは……嫌じゃないから。それに人外の姿がドストライクなのがいけないのだわ。
鉄面皮かつ眼鏡をかけた知的なお姿で、角や尻尾、目の色が違って、鱗の肌!
クールだけど、可愛い部分がある。そのギャップにやられてしまったのだからしょうがないわ。ある意味、異様な光景なはずなのにロータスを始め使用人たちは「目の保養」と、温かな視線を向けてくるばかりで困っている。
「ん? ドミニク様」
「なんだい? 私の愛しい人」
「(愛の囁きのレパートリーが増えている!)……ええっと、この書類など部外者の私が見てしまっても良いのですか?」
「問題ない。重要書類は先に片付けたからな。これは財務関係ではなく、呪い関係の報告書及び有休消化の手続き等だよ」
話しかけるとパアと笑顔──にはならず、表情はほとんど動かない。ただ尻尾はものすごく揺れている。上機嫌なようでなによりだわ。
数日前からドミニク様は本来の姿で寝起きをして、仕事をこなす。もっとも部下を前にしても、本来の姿を隠していなかったけれど。
「今まで本来の姿を隠していたのは、どうしてなんです?」
思わず尋ねてしまった。始祖返りは誉で、喜ばしいはずだ。そう口にした後で、女性が怯えたと言っていたのを思い出す。
余計なことを、とすぐに後悔した。
「フランカに嫌われたくなかったから。この外見は人によって反応が二極化する。呪いを受ける前は不安定だったから、仕事のストレスで角や尻尾が出ていたしな」
「……だから結婚当初から半年ぐらいは、会えなかったのですね」
「ああ。……精神も不安定だったし、姿も無意識にこの姿に戻っていた……君に説明する勇気が当時の私にはなかった。竜人の恋は一度だけ、だからこそ慎重──いや臆病になった……」
語尾が弱々しくなるのも可愛いと思ってしまう。……って、完全に絆されているわ!
ドミニク様が仕事をしているのだから、私も離縁回避の妥協点を考えるべきよね……むう。できれば机に向かって書き出したいけど、旦那様は私と離れるのを嫌がるし、使用人たちも「ぜひ傍に!」と目を輝かせて言われてしまっては断り辛い。
仕方がないので思考をフル回転させて、思考の海に身を投げる。
まず私はパティシエールになりたい。これは譲れない一線。とはいえ、それ以外は解決しつつある。やっぱりドミニク様がどこまで許容してくれるかよね。
私がレシピを考えて、料理人に作ってもらうのは抵抗がないけれど、自分で作りたい。
スイーツ作りは絶対。
元々の計画は自立してパティシエールになることだったけど、公爵家を出ないのなら私が作ったスイーツをお店に出すことは可能。
公爵家の厨房の設備も問題はないわ。
ドミニク様──旦那様の「赤の他人に妻のスイーツを食べて欲しくない」この一点が厄介よね。竜人の習性としては独占欲が凄まじいという話から聞くと、妥協点しているのだろうとは感じる。
んー。詰んでいるとまでは、思いたくないけど。赤の他人は駄目だけど、顔見知りのお茶会は良いって言っていたわよね?
全く駄目ってわけでもないし、顔見知りなら妥協できる。まるでアレね。一見さんお断りみたいな──。
「あ」
「フランカ?」
一見さんお断りのお店!
もしくは特別会員かつ王侯貴族完全予約制なんてどうかしら!?
これなら旦那様が許可した方のみの相手にだけ提供するし、ブランド力も確立できるわ。でもそうなると、市井相手じゃなくなるのよね。うーん、使用人たちにも手の届くようなスイーツも……それなら一般用と王侯貴族用の二種類の会員プランを作れば良いんじゃ?
あくまでも入り口はドミニク様が許可した──という前提で、一般会員と特別会員これなら品揃えや材料費、スイーツの種類などの差別化もできる!
そうだとするとレシピを一から練り直す必要があるあるけど、うん、いいわ。悪くない!
あとはもっとドミニク様への表現提示だわ!
「フランカ? ずっと難しい顔をして黙っているけれど、気分でも悪いのか? それとも……やはり私の傍は嫌か?」
「ドミニク様! 少しの間、別行動をしてもよろしいでしょうか?」
「……っ、構わない」
グッと言葉を飲み込むドミニク様のことをよく見ておらず、頭に降ってきた素晴らしい考えで頭がいっぱいだった。ドミニク様の膝から降りると、そそくさと部屋に戻る。
【フランカが行ってしまった。やはり束縛されて嫌になったのだろうか】
「──っ!?」
廊下を出たあたりで、ドミニク様の心の声が聞こえて思わず踵を返す。
ええ!?
そういえば考え事をしている時に、何か言っていたような……。歩み寄ると決めたのに、つい今まで通りに行動してしまったわ。それに歩み寄るなら今まで通り『旦那様』って呼んだほうが夫婦っぽいわよね。
「ドミ──旦那様!」
執務室に戻ったら、旦那様が短剣を取り出しているではないか。え、どういう状況?
「フランカ」
「……えっと、賊でも入ったのですか?」
「ほら旦那様。奥様は戻ってきましたぞ! 旦那様が奥様に嫌われたと誤解なさっているようです! それで唐突に短剣を……」
「ええ!? どうしてですか! 旦那様との話し合いをするために提案書を作りたいから席を離れただけですわ!」
「え」
「そのごめんなさい。……アイディアを忘れたら大変だと思って急いでいて」
「じゃあ……嫌いになったわけではない?」
「もちろんですわ」
「すまない。今でも夢じゃないかと……自信がないんだ」
旦那様のトラウマは、そう簡単には払拭されないってことね。大人になってから始祖返りになったんだもの、自分の身を守る方法を模索するだけでも大変だわ。
「信じたい……だが」
「もうわかりました」
「フランカっ、すまな──」
「謝罪は不要です。私も話半分に飛び出したのが悪かったのですから。旦那様、すぐには無理でも少しずつ信じられるように、私もできるだけ一緒にいる時間を増やしますわ」
「……っ!?」
「明日、私のお菓子作りを手伝ってくれませんか?」
「え」
「暫くはお休みをいただいたのでしょう? 今日は旦那様の都合に付き合ったのですから、明日は私に付き合ってくださいませ」
「フランカ……」
旦那に抱きつき、この方に安心してほしいと思うようになっていた。まだまだ伝わっていないのだから、もっと私からも好きだと言うのを伝えていこう。
「!? フランカからのハグ……」
「私はドミニク様……旦那様のことが好きですわ。だから不安になるようなことがあったら、声をかけて話し合いをすること。言い淀むのも、飲み込むのもなしです」
ギュッと抱きしめて背中を摩ったら尻尾が元気に揺れているのが、なんとなく分かった。
「フランカ。……君はなんて素晴らしい人なのだろう。私にまで慮って」
「夫婦はお互い思い合わないと、成り立ちませんよ? だから私も寄り添うので、旦那様も同じようにしてくださったら嬉しいですわ」
「ありがとう。……その、今日は私の番らしいのなら膝の上でなくともいいので、同じ部屋にいてくれないだろうか」
「もちろんですわ」
そう言いながら背伸びをして旦那様の頬にキスをする。ビクリと体を震わせて旦那様の耳が真っ赤になっていた。表情はまだ硬いけれど、喜んでいるのが分かるというのは安心するわ。
その日はプレゼン資料を作りつつ、新しいスイーツのレシピを考えるなど充実した時間だった。
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最初はソファに座りながら、事業の書類に目を通していたはず。途中でドミニク様に呼ばれて近づいたら……こうなったのよね。迂闊だったわ。
でも私を好いてくれているのが伝わってきて、離してって言えなかったのは……嫌じゃないから。それに人外の姿がドストライクなのがいけないのだわ。
鉄面皮かつ眼鏡をかけた知的なお姿で、角や尻尾、目の色が違って、鱗の肌!
クールだけど、可愛い部分がある。そのギャップにやられてしまったのだからしょうがないわ。ある意味、異様な光景なはずなのにロータスを始め使用人たちは「目の保養」と、温かな視線を向けてくるばかりで困っている。
「ん? ドミニク様」
「なんだい? 私の愛しい人」
「(愛の囁きのレパートリーが増えている!)……ええっと、この書類など部外者の私が見てしまっても良いのですか?」
「問題ない。重要書類は先に片付けたからな。これは財務関係ではなく、呪い関係の報告書及び有休消化の手続き等だよ」
話しかけるとパアと笑顔──にはならず、表情はほとんど動かない。ただ尻尾はものすごく揺れている。上機嫌なようでなによりだわ。
数日前からドミニク様は本来の姿で寝起きをして、仕事をこなす。もっとも部下を前にしても、本来の姿を隠していなかったけれど。
「今まで本来の姿を隠していたのは、どうしてなんです?」
思わず尋ねてしまった。始祖返りは誉で、喜ばしいはずだ。そう口にした後で、女性が怯えたと言っていたのを思い出す。
余計なことを、とすぐに後悔した。
「フランカに嫌われたくなかったから。この外見は人によって反応が二極化する。呪いを受ける前は不安定だったから、仕事のストレスで角や尻尾が出ていたしな」
「……だから結婚当初から半年ぐらいは、会えなかったのですね」
「ああ。……精神も不安定だったし、姿も無意識にこの姿に戻っていた……君に説明する勇気が当時の私にはなかった。竜人の恋は一度だけ、だからこそ慎重──いや臆病になった……」
語尾が弱々しくなるのも可愛いと思ってしまう。……って、完全に絆されているわ!
ドミニク様が仕事をしているのだから、私も離縁回避の妥協点を考えるべきよね……むう。できれば机に向かって書き出したいけど、旦那様は私と離れるのを嫌がるし、使用人たちも「ぜひ傍に!」と目を輝かせて言われてしまっては断り辛い。
仕方がないので思考をフル回転させて、思考の海に身を投げる。
まず私はパティシエールになりたい。これは譲れない一線。とはいえ、それ以外は解決しつつある。やっぱりドミニク様がどこまで許容してくれるかよね。
私がレシピを考えて、料理人に作ってもらうのは抵抗がないけれど、自分で作りたい。
スイーツ作りは絶対。
元々の計画は自立してパティシエールになることだったけど、公爵家を出ないのなら私が作ったスイーツをお店に出すことは可能。
公爵家の厨房の設備も問題はないわ。
ドミニク様──旦那様の「赤の他人に妻のスイーツを食べて欲しくない」この一点が厄介よね。竜人の習性としては独占欲が凄まじいという話から聞くと、妥協点しているのだろうとは感じる。
んー。詰んでいるとまでは、思いたくないけど。赤の他人は駄目だけど、顔見知りのお茶会は良いって言っていたわよね?
全く駄目ってわけでもないし、顔見知りなら妥協できる。まるでアレね。一見さんお断りみたいな──。
「あ」
「フランカ?」
一見さんお断りのお店!
もしくは特別会員かつ王侯貴族完全予約制なんてどうかしら!?
これなら旦那様が許可した方のみの相手にだけ提供するし、ブランド力も確立できるわ。でもそうなると、市井相手じゃなくなるのよね。うーん、使用人たちにも手の届くようなスイーツも……それなら一般用と王侯貴族用の二種類の会員プランを作れば良いんじゃ?
あくまでも入り口はドミニク様が許可した──という前提で、一般会員と特別会員これなら品揃えや材料費、スイーツの種類などの差別化もできる!
そうだとするとレシピを一から練り直す必要があるあるけど、うん、いいわ。悪くない!
あとはもっとドミニク様への表現提示だわ!
「フランカ? ずっと難しい顔をして黙っているけれど、気分でも悪いのか? それとも……やはり私の傍は嫌か?」
「ドミニク様! 少しの間、別行動をしてもよろしいでしょうか?」
「……っ、構わない」
グッと言葉を飲み込むドミニク様のことをよく見ておらず、頭に降ってきた素晴らしい考えで頭がいっぱいだった。ドミニク様の膝から降りると、そそくさと部屋に戻る。
【フランカが行ってしまった。やはり束縛されて嫌になったのだろうか】
「──っ!?」
廊下を出たあたりで、ドミニク様の心の声が聞こえて思わず踵を返す。
ええ!?
そういえば考え事をしている時に、何か言っていたような……。歩み寄ると決めたのに、つい今まで通りに行動してしまったわ。それに歩み寄るなら今まで通り『旦那様』って呼んだほうが夫婦っぽいわよね。
「ドミ──旦那様!」
執務室に戻ったら、旦那様が短剣を取り出しているではないか。え、どういう状況?
「フランカ」
「……えっと、賊でも入ったのですか?」
「ほら旦那様。奥様は戻ってきましたぞ! 旦那様が奥様に嫌われたと誤解なさっているようです! それで唐突に短剣を……」
「ええ!? どうしてですか! 旦那様との話し合いをするために提案書を作りたいから席を離れただけですわ!」
「え」
「そのごめんなさい。……アイディアを忘れたら大変だと思って急いでいて」
「じゃあ……嫌いになったわけではない?」
「もちろんですわ」
「すまない。今でも夢じゃないかと……自信がないんだ」
旦那様のトラウマは、そう簡単には払拭されないってことね。大人になってから始祖返りになったんだもの、自分の身を守る方法を模索するだけでも大変だわ。
「信じたい……だが」
「もうわかりました」
「フランカっ、すまな──」
「謝罪は不要です。私も話半分に飛び出したのが悪かったのですから。旦那様、すぐには無理でも少しずつ信じられるように、私もできるだけ一緒にいる時間を増やしますわ」
「……っ!?」
「明日、私のお菓子作りを手伝ってくれませんか?」
「え」
「暫くはお休みをいただいたのでしょう? 今日は旦那様の都合に付き合ったのですから、明日は私に付き合ってくださいませ」
「フランカ……」
旦那に抱きつき、この方に安心してほしいと思うようになっていた。まだまだ伝わっていないのだから、もっと私からも好きだと言うのを伝えていこう。
「!? フランカからのハグ……」
「私はドミニク様……旦那様のことが好きですわ。だから不安になるようなことがあったら、声をかけて話し合いをすること。言い淀むのも、飲み込むのもなしです」
ギュッと抱きしめて背中を摩ったら尻尾が元気に揺れているのが、なんとなく分かった。
「フランカ。……君はなんて素晴らしい人なのだろう。私にまで慮って」
「夫婦はお互い思い合わないと、成り立ちませんよ? だから私も寄り添うので、旦那様も同じようにしてくださったら嬉しいですわ」
「ありがとう。……その、今日は私の番らしいのなら膝の上でなくともいいので、同じ部屋にいてくれないだろうか」
「もちろんですわ」
そう言いながら背伸びをして旦那様の頬にキスをする。ビクリと体を震わせて旦那様の耳が真っ赤になっていた。表情はまだ硬いけれど、喜んでいるのが分かるというのは安心するわ。
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